にじさんじ所属のバーチャルライバー・叶が2022年7月にmini album『flores』でアーティストデビュー。2022年12月21日には早くも2ndミニアルバム『夜明かし』がリリースされた。
前作から引き続きサウンドプロデュースを行ったyuxuki wagaが見た、叶の隠れた魅力とは?プライベートでも交流があるという2人によるアルバム制作秘話をお届けする。

INTERVIEW BY 北野 創(リスアニ!)
TEXT BY 金子光晴

「叶くんはマジで良い人。バイブスが合う」
――前作『flores』の叶さんのインタビュー記事で、アーティスト活動では和賀さんが精神的な支えになっているという発言を見かけたのですが、和賀さんの第一印象はいかがでしたか?

 最初は大人たちに囲まれてレコーディングするのが怖かったんですけど、和賀さんがすごく優しくて。会うたびにお土産をくれたり、だんだん「和賀さんがいるから大丈夫!」みたいな気持ちになりました(笑)。エンジニアさんとかは曲によって代わったりするんですけど、和賀さんはいつもいてくださるので、和賀さんの顔を見ると安心していましたね。

yuxuki waga 嬉しいですね(笑)。

――和賀さんは叶さんがレコーディングにあまり慣れていないということで心遣いをされた、という感じですか?

yuxuki waga 自分がデビューしたての頃にしてもらったことを思い出しながらという感じですね。それに、最初のレコーディングはすごくたくさんの人が来たので、そのみんながじーっと見ている状態で歌うのはマジで大変だろうなと思ったし、実は僕も緊張していたんですよ(笑)。だから少しでもやりやすい空気を作れたらなと思っていましたね。

――前作でも和賀さんは必ずレコーディングに立ち会われていたんですか?

 そうですね。歌録りでは必ず来ていただいています。

yuxuki waga ディレクションもしているので基本的にいますね。


――和賀さんとしては、叶さんにはどんな印象を持たれましたか?

yuxuki waga マジで良い人なんですよね。波長が合う感じがすごくしていて、盛り上がりすぎない、良い感じのバイブスでやっているところを含め、自分とBPMが同じ感じがして(笑)。こちらから何かディレクションするよりも叶くんの中から出てくるものを大切にしたいので頻繁に話し合いながら作業するんですけど、相談をしやすくてやりやすかったですね。

――叶さんも配信でおっしゃってましたけど、ギターを一緒に買いに行かれたとか?

 そうなんです!一緒に行きました。

――プライベートでのお付き合いも増えているんですか?

 ゲームを教えてもらうこともあれば、うちに来て機材の調整をしてもらうこともありますね。

yuxuki waga たまに遊んでもらってます(笑)。

――配信内でゲームのお話もありましたが、叶さんも和賀さんもゲームがお好きですよね。共通の趣味もあったりするんですか?

yuxuki waga 話はめちゃめちゃ合いますね。

 やってるゲームが近くて、『flores』のときは「ELDEN RING」が出た時期でしたよね?

yuxuki waga 初対面から『ELDEN RING』の話をしていた気がする(笑)。あとはFPSも『オーバーウォッチ』を一緒に遊んだりとかしていますね。

――和賀さんもゲーム配信を始めるかもしれませんね。

yuxuki waga いいですね。
そのときはやり方を教えてください(笑)。

 もう、何でも聞いてください(笑)。

“表現者としての叶”を出せたアルバム
――今回、早くも2ndミニアルバム『夜明かし』がリリースされるということで、引き続き和賀さんのプロデュースとなりますが、叶さんとしてはどんな作品にしたいという想いがありましたか?

 前作は正直、曲を作る、アルバムを作るというのがどういうことかちゃんとわかっていなくて、とりあえず自分が好きなものでテーマにしやすそうな“花”をコンセプトとして提案させていただいたんです。でも、今回は前回のアルバムを経て理解できた部分があったので、前回よりも具体的に「こういう曲にしたい」というお話をさせてもらいました。僕自身は普段、あまりハッピーな曲を聴いたり歌ったりしなくて、特に(前作に収録の)「ブロードキャストパレード」は自分と真反対の位置にある曲だったので、今回はより自分に近い曲にしたい、もっと尖らせた歌詞にしたいという提案が多かったですね。

――和賀さんはその提案を踏まえて、作品の方向性を決めていったわけですね。

yuxuki waga そうですね。今回は“外から見た叶くん”ではなく、“叶くんを知っている人から見た叶くん”のイメージに近い作品を作りたいというのがありました。これは『flores』と対比にしたかったんですよ。『flores』は「ブロードキャストパレード」もそうですけど、明るくて優しい曲が多いし、広い意味で“VTuberが歌う楽曲”というのを表現できればと思っていました。今回はもっとパーソナルな“表現者としての叶”というところを出せたらいいのかな、と。2個セットでより色々な視点から叶くんを見られるようなものにしたいと思ったんですね。


――確かに「ブロードキャストパレード」は今までの叶さんのイメージとは違う印象がありましたが、今作は叶さんのイメージにより近づいている印象があります。そこは和賀さんがより叶さんのパーソナルな部分を踏まえたうえで作られた部分が大きいのでしょうか?

yuxuki waga 自分が参加させてもらっている意味や理由があればいいなと思っているんです。例えば『flores』は最初なのでわかりやすくお祝いのイメージがあって、プロデュースはやりやすい感じがあったんですけど、今回は叶くんに迫っていくうえで、叶くんだけで表現できる世界に、もう1つ何かエッセンスや面白さを加えるサポートができれば、というイメージでしたね。



――叶さん自身も具体的な音楽の雰囲気を提案できたとおっしゃっていましたが、そこに和賀さんが一捻りを加える作業だったわけですね。

yuxuki waga 今回は叶くんが色々意見をくれて助かりました。歌詞も作詞家の方と具体的なやり取りをしてくれて。それがあったから生々しさが出たのかなって。

――叶さんも自分らしさが出た、というのは感じますか?

 そうですね。ちょっと挑戦してみたり、一歩踏み出したりというのは多かったですね。

――だからこそ今回は「惜別」という楽曲で、作詞にも挑戦したのでしょうか?

 そうですね。作詞は本当に楽しかったけど、大変でした(笑)。

yuxuki waga 初めての作詞にしては、ずいぶん難しい楽曲にしてしまったなと(笑)。
でも、世界観が初稿から良い感じにできていてすごいなと思いましたね。毎週、作詞講座みたいなことをしていたんですよ。「ブロードキャストパレード」の歌詞を書いてくれたCocoro.(Dream Monster)さんにお願いして、「作詞とは?」というところから教えていただきました。

――講座の中で叶さんが掴めた作詞のコツはどんなものだったんですか?

 歌詞を書くその瞬間に言葉ができなくても、プロットみたいなのができればいい、ということですね。それがわかってからは、歌詞の作り方も1番から順ではなくて、例えば2番にいく前にラスサビにいったりできるようになって、進みが早くなりました。それまでは最初の4行とかはすぐ出るんですけど、そのあとが続かなくて悩んでたんです。最終的にはスムーズにできたかなと思います。

もっともっとパンチの強い歌詞に!
――収録曲を1曲ずつ詳しく聴いていきたいんですが、まずは「セイテイノア」。漢字に直すと「井底蛙」で、これは渋いタイトルだなと思いました。

 タイトルは悩みましたよね。

yuxuki waga 悩みましたね。カタカナにしたらインパクトがあるかなという話で、あえてこれにしました。


――かなりアグレッシブな曲調ですが、叶さんとしてはどんな印象の楽曲ですか?

 この曲は、ブランディング的に大丈夫かなという話があったんです(笑)。結構、自分のイメージと離れてるんじゃないか、みたいな……。でも「僕はこれが好きなので、これがいいです」と言いました。僕はイメージと実際が違うと言われることが多いんですけど、そのギャップが出ている曲なのかなと思っています。僕としてはマインド的にはすごく共感しやすい曲でしたね。

――世の中にうんざりしながらも、やりたいことをやればいい、という歌詞ですよね。

 思っているけど言わないことって、きっとみんなあるじゃないですか。だから歌っていて気持ち良かったですね(笑)。

yuxuki waga 歌詞のトゲがすごいですよね(笑)。

 僕から「もう少し尖った歌詞にしてほしい」とお願いしたのがこの曲なんですよ。最初にいただいた歌詞に、もっともっとパンチを強くしてほしいって。

yuxuki waga 2段階ぐらい強くなったよね(笑)。


――和賀さんとしては、作曲・編曲のebaさんとはどんなやり取りをされたんですか?

yuxuki waga まず、大前提なんですけど『夜明かし』という作品が、日が落ちたあとから夜明けまでの活動や心境を楽曲の流れで表現したものなんですね。だから、1曲目から順番に曲を聴いていくと、徐々に時間が経っていく感じなんです。「セイテイノア」は19時くらいで、「さあ、街に出て遊びに行こうか」みたいな楽曲ですね。ebaくんとは夜の街に繰り出すようなテンポ感がいいなと話していました。もう1つ、叶くんには“都会の夜の黒猫”というイメージがあったので、それも踏まえて曲を発注した感じですね。

――この曲は冒頭がシティポップっぽい感じで始まるのは、街に出て遊びに行くイメージからきているんですか?

yuxuki waga まさに、それが狙いですね。夜が始まるぜ!みたいな感じで。

――叶さんが歌唱する際に心がけたことは?

 歌うときに、良い子でなければないほどいいと思っていました。

yuxuki waga 叶くんはノってくると歌に良い感じのクセが出てくるんですけど、自然にロックな感じのバイブスが出るので、それを上手く収録したいと思っていました。かっこいいですよね。

――終わりの“清々すんわ”の吐き捨てるような感じもかっこいいなと思いました。

yuxuki waga あそこは元々メロがあったんですけど、レコーディング現場でセリフにしようという話になって。何回も“清々すんわ”って言ってもらいました(笑)。

 色んなテンションでやりましたね(笑)。

苦手意識があったラップへの挑戦
――2曲目の「Midnight Showcase」ですが、夜が更けてさらにアグレッシブな曲になっていますね。巻き舌やラップが強烈で。

 これはすごかったですよ……(笑)。割と早い段階にデモをもらったんですけど、練習する時間がほしくて収録をあとのほうにしてもらったんです。デモ音源を0.5倍速からだんだん速くしていって練習をしました。譜割りも難しくて早口だし、どうしたら歌いやすいか何度も聴き込みましたね。

yuxuki waga こんなに歌詞が長い曲、僕も見たことないですね(笑)。

 収録時間も長かったですよね。

yuxuki waga 7時間くらいかかったんだっけ?

 当初の予定より大幅に長かったです(笑)。

――作詞・作曲・編曲はかめりあ(Camellia)さんですが、和賀さんとしてはどういうイメージで発注されましたか?

yuxuki waga これはテーマがちょっと面白くて、“千両役者”というイメージで発注したんです。叶くんって人によって違う印象を持たれる人で、かわいい、癒しキャラという部分もあるし、FPSをやっているときはぶっ飛んでるときもあるし(笑)、死生観を歌う儚げなところもあったりして、配信という舞台で様々な姿を見せるのが“千両役者”なんじゃないかというのがまずありました。それに加えて、叶くんも色んな人たちから、色んなプレッシャー、色んな願望、色んなイメージの押し付けなどを持たれているなかで、それらをすべて自分のものとして昇華してしまう強さがあって、“求められる自分と、自分が求める自分”をミックスして「かかってこいよ!」みたいな変幻自在なカリスマ性を表現できたら面白いのかなと思って。かめりあさんにはアンチヒーローというか、パンキッシュでカウンターカルチャーで強めな感じ、というお願いをしましたね。そして叶くんからは「エレクトロスウィングをやりたい」というリクエストがあって。

 好きなんですよ、エレクトロスウィング。

yuxuki waga なので「エレクトロスウィングにトゲを加えてほしい」とお願いしたら、とんでもない楽曲が上がってきました(笑)。

――叶さんはどんなイメージでレコーディングに臨まれましたか?

 僕はそもそもラップ調の曲があまり得意ではないのですが、でも今まで歌ってこなかったからこそ、ここはバシッとキメてファンの方にはしっかりギャップを見せたいという気持ちがありましたね。レコーディングには、かなり覚悟した顔で向かっていたと思います(笑)。今日は頑張らないといけないぞって。やっぱりラップはノリが大事な印象があったので、少しでも早くノれるようにしておかないといけないと思っていましたね。

yuxuki waga 叶くんのラップパートの収録のときに、1コーラス歌ったらこっち側のブースが「おぉーっ!」って沸いたんですよ。その場にいた人が全員ハッとした顔をして。あのシーンはめちゃめちゃ良かったです。

――苦手意識があったとは思えないくらいのかっこよさですもんね。

 大きな経験でした(笑)。

yuxuki waga リスナーの方の反応が楽しみな曲ですね。試聴だと一番激しいところが聴けないので。

 そう、試聴だとギャップのあるところが聴けないんですよね。

――締めのブロックのラップはマジでエグいですよね。

yuxuki waga 言葉がグルーヴしてるのがかっこいいなと思いました。ラッパーになれるかもしれない。

――3曲目の「K/D Dance Hall」はノリの良い曲調ですが、歌詞は命の奪い合いを描いたかなり物騒な内容で。叶さんの曲だからFPSのイメージなのかなと思ったんですが、この曲はどんなイメージで作られたんですか?

 歌詞が上がってきたときに、ここまで直接的なものがくるとは思っていなかったので驚きました。ワードも濁したりせずにストレートにドンときてるから結構びっくりしたんですけど、曲にすると逆にそれがすごく良くて。「K/D Dance Hall」は深夜が始まったなくらいのテンション感で歌っていましたね。

yuxuki waga 僕もまったく同じ印象でした(笑)。

 ストレートすぎてびっくりしましたよね(笑)。

yuxuki waga まんまやん!って思って(笑)。歌詞を書いてくれた烏屋(茶房)さんには、叶くんの人となりとか、ゲームが好きという話をして、ゲームに関連付けた曲ができたらシナジーがあるしいいなと思っていたんですけど、関連というレベルじゃないものができましたね(笑)。歌詞は叶くんに寄っている感じで、曲に関してはUKポップスみたいな感じですね。ゲームの曲はシンプルに作るとEDMとかになりがちですけど、あえてそうせずに深夜感とミックスさせたイメージでした。ここまでゲームの曲になるとは思ってなかったですが、めちゃめちゃ良かったです。

 すごくかっこいい曲になりましたよね。

yuxuki waga 歌も良かったですよ。叶くんのノリがめっちゃ良くて。

 ニュアンス強めの歌い方だったなって思います。ほかの曲よりもイメージしやすかったですね。

yuxuki waga これは勝手に僕が思っているんですけど、叶くんってたまに若い頃のチバユウスケみたいなロック感が出るんですよ。

――ああ、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT時代の。

yuxuki waga そう。そのかっこいいニュアンスが入ってるのがいいなと思って、レコーディングのときに毎回驚きがあるんですよね。

――この曲はライブでも盛り上がりそうですね。

yuxuki waga ライブ映えする曲は今回多めに入れているんですが、この曲は特にそうだと思います。

初作詞で見せた言葉のセンス
――そして叶さんが作詞した「惜別」ですが、これは曲があって作詞をしたという感じですか?

 そうですね。曲先でした。

――ではどんなイメージで作曲・編曲のKijibato(Dream Monster)さんには発注されたんでしょうか?

yuxuki waga この曲も夜中の12時、1時くらいのイメージで、ジャンル的には2ステップにしてほしいとオーダーしました。深夜の曲なのでクラブミュージックがいいのかなと思ったんですけど、普通の4つ打ちだと面白くないし、2ステップやUKガラージなら夜のイメージにピッタリなので。Kijibatoさんはクラブ文化にも理解がある方なので、それを踏まえてお願いしました。

――そういう曲に叶さんはどんな歌詞をつけようと思われたのですか?

 ぶっちゃけると、あまり歌詞のテーマを考えるときに曲調は気にしませんでした。すごいハッピーな雰囲気の曲なのに歌詞はめっちゃ暗いというようなギャップもすごく好きなので、まず自分の中でテーマを決めてから曲に合うように寄せていく感じで書いていきました。

――ではどんなテーマで作詞されたのですか?

 最初は親鳥が雛鳥に餌をあげる行為をテーマにしていたんですけど、気付いたら違うテーマになってましたね。もう少し感情的なテーマに寄っていったんですが、そこが作詞して面白いなと思ったところでもありましたね。最初のテーマとは違うんですけど、歌詞を書いていて芽生えた気持ちに対するアンサーみたいな感じでどんどん進んでいきました。

――歌詞に書かれている内容をそのまま受け取るとかなりディープな内容で、愛や人の感情に絶対はないという部分と、その変化すらも楽しんでるような雰囲気が感じられました。

 おっしゃる通りで、僕らは(ライバーの)活動をしていくと「変わったよね」って言われることが結構あるんですね。でも、例えば親と子ども、先生と生徒みたいに、与える者と与えられる者という関係でスタートしたとしても、お互いの感情は時が経つにつれてどんどんすれ違っていくと思うんです。親が思う幸せの形と子どもが思う幸せの形も、きっとどこかですれ違うはずで。それが俗にいう「変わった」ということなのかなと思いながら、この曲の歌詞を書いていましたね。

――“愛し愛され刺し違えて”なんて、ドキッとするフレーズもありますね。叶さんは作詞家としても世界観のある歌詞を書かれる方なんだなという印象を受けました。

yuxuki waga 言葉のセンスが良いんですよね。ちゃんと文字としてもパンチがあるし、歌ってもかっこいいし。これは勉強して出てくるものではないので、持って生まれたものなのかなって。

――しかも歌も良いんですよね。

yuxuki waga これは聞いてみたかったんだけど、自分で作詞したほうが歌いやすかった?

 ほかの曲よりも理解は深かったですね。情景が浮かびやすくて、練習量に対しての理解量がすっと入りやすかったです。

yuxuki waga また機会があれば、ぜひ作詞をお願いします(笑)。

――次の曲「声を聴かせて」は和賀さんの作曲・編曲ですが、どういうイメージで作られたのですか?

yuxuki waga 今年の夏に“Aim Higher”というにじさんじのライブがあったんですけど(2022年7月27日、ぴあアリーナMM)、そこで叶くんのステージを観たときに、刹那感というか儚さというか、そういうエモーショナルさがある人なんだなというのをすごく感じて、その勢いとテンションで作った曲です。当たり前だと思っていた止まっていたときが動き出す、「ずっとこのままじゃないよね」という刹那感を表現したら面白いのかなって。夜の2~3時は物思いにふける時間帯だから、そんな心境を曲順で表現している感じです。

――その刹那感がエモーショナルな曲調で表現されているから、聴いていて本当にエモくなりますね。

yuxuki waga 自分で聴いていてもエモくなります(笑)。歌がほかの曲よりも若干、儚げなのがいいですね。

――叶さんはこの曲をどのように受け止めて表現しようと思われたのですか?

 この曲は今までの雰囲気とは打って変わって、ちょっと寂しさを感じつつ、それでも大丈夫だよという、慰めるような気持ちで歌いましたね。

――叶さん自身は、和賀さんがおっしゃったような刹那感を自分の要素として意識することはありますか?

 要素、というとわからないですけど、僕は刹那的という意味では、もし活動を辞めるようなことがあったとしたら、「明日辞めます」とかは言わないで、終わりはパッと終わりたいなと思っているんです。どんなことでもいつか終わりはくるから、そういうことも考えちゃうじゃないですか。だから、後よりも今を大事にしたいという気持ちはすごい強いので、刹那的な印象というのはそういうところなのかなぁという気がしますね。

――これはこじつけかもしれないですけど、前作のインタビューで「花は咲いて枯れるところが好き」とおっしゃっていたこととも繋がってくるのかなと思いました。

 そうですね。それも花であるか人であるかの違いはあるけれど同じ思想です。

次回作ではギターに挑戦!?
――最後の「水性のマーブル」は夜明けに位置する曲なのかなと思いますが、チルな感じがありますね。

yuxuki waga そうですね。ギリギリ太陽が出てない、外がまだ暗い夜明け前のイメージ。テーマは出発、もしくは“開戦前夜”という感じで、今作は2枚目のアルバムでもあるので、アーティストとしての叶と、普段の配信者をやっている叶、色んな叶が並行しているんだけど、混ざりきらない感じが“マーブル”ということですかね。色んな自分がいるなかであえて主体的に歌うというのが、この曲で表現できたらいいのかなぁと。「夜明かし」という夜を一緒に過ごしたリスナーと、夜明けを迎えようという曲です。

――叶さんはこの曲でどんなことを表現したかったのですか?

 この曲は割とお任せした部分も多いのですが、曲を聴いてからはこのアルバムの中でも特に好きな曲になりました。マーブル柄ってそれまであまり注目したことがなかったんですけど、歌っていて情景がイメージしやすかったですね。

――この曲も歌詞が良くて、最後には“この夜が明けてゆく”というタイトル回収があって上手いなという印象でした。

yuxuki waga その最後の最後の瞬間に、リバーブが全部消えるんですよね。それが夜が明けた感があってすごく良いですね。あれはエンジニアさんの粋な計らいなんですけど。歌詞は今回初めてやぎぬま(かな)さんにお願いしたのですが、面白い視点で書いてくれたので、時間軸が違う感じが出たのかなと思います。

――さて、今回のアルバムはどんな作品になったと思いますか?

 僕は自分が歌で表現してきたなかでは、一番良くできたんじゃないかなと思っています。すべての曲に対して僕が共感できることや感じられることがすごく多くて、自分が出すアルバムとしては、これが正解の形に一番近いんじゃないかなという印象がありますね。

yuxuki waga 僕も最初に思い描いたように、叶くんらしさを上手く表現できたのではないかなと思っています。色んな叶くんを表現したかったし、それをリスナーが「叶くんってこうじゃないよね」と思わないようにしたかったんですよ。「そうそう、これが叶くんだよね」というふうになる曲であり、しかもパンチのある楽曲が揃ったので、自分的にはとても自信を持って出せる、良い作品に仕上がったと思ってます。

――今後、和賀さんが叶さんに期待することはなんですか?

yuxuki waga 今回、作詞も含めて色んな新しい面を見ることができたんですが、叶くんの視点がすごく良いんですよね。制作陣にない視点から発言してくれたりするので、その良さを自分ももっと引き出して、濃い作品を作っていけたらいいなと思っています。一緒にいると、叶くんにしかないような強味が見えてくるので、それを上手くパッケージングしたいなって。「俺の知ってる叶はこんなにすごいんだぜ」というところをぜひ(笑)。それは叶くんのリスナーさんにも喜んでもらえると思うし、叶くんの魅力をもっともっと広げられたらいいなと思っているので、まだ知らない人にも届けられる形でやっていきたいですね。叶くんはそれができる人だと思うので、一緒に頑張れたらいいなと思っています。

 頑張ります!本当にありがとうございます。

――逆に叶さんが和賀さんとしてみたいことってありますか?

 和賀さんはめちゃめちゃ新しいことを提案してくれるんですよ。和賀さんとアコギを買いに行ったので、来年、再来年……いつか少しでも弾けることができたらいいのかなと思っているんですけど、現状ではまだ難しいかもしれないですね(笑)。

yuxuki waga じゃあ、次か、次の次の作品で叶くんが弾いた音を入れましょうか(笑)。

 でも、こうやってちょっと話しておくと、すぐ大人たちに囲まれて想定より早くやることになっちゃうんですよ(笑)。

yuxuki waga ギターならいくらでも教えますよ(笑)。

 精進します(笑)。

●リリース情報
叶 2nd mini album
『夜明かし』
発売中

■mora
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【初回限定盤(CD+グッズ)】

価格:¥2,970(税込)
品番:LACA-35030

【通常盤(CD)】

価格:¥2,310(税込)
品番:LACA-25030

<収録内容>
1.セイテイノア
作詞:Cocoro.(Dream Monster) 作曲・編曲:eba
2.Midnight Showcase
作詞・作曲・編曲:かめりあ(Camellia)
3.K/D Dance Hall
作詞:烏屋茶房 作曲:丸⼭真由⼦編曲:⽇⽐野裕史, 清⽔武仁
4.惜別
作詞:叶 作曲・編曲:Kijibato(Dream Monster)
5.声を聴かせて
作詞:Cocoro.(Dream Monster) 作曲・編曲:yuxuki waga
6.⽔性のマーブル
作詞:やぎぬまかな 作曲・編曲:佐藤厚仁(Dream Monster)
※7~12は各曲のinstrumental を収録

<初回限定盤・通常盤共通:初回生産分のみ>
・ランダムでトレーディングカード1枚が封入(初回限定盤ジャケットイラスト・通常盤ジャケットイラストの2種+左記に本人の複製直筆コメントが入った2種の合計4種類)

・叶 1st Concert「午前0時の向こう側」
叶 2nd mini album「夜明かし」シリアル封入先行抽選受付 チラシ封入

・叶 2nd mini album発売記念オンラインおしゃべり会 抽選応募シリアル封入
開催日:2023年2月5日(日)
配信プラットフォーム:WithLIVE
応募期間:2022年12月20日(火)10:00~2023年1月15日(日)23:59

●ライブ情報
叶1st Concert「午前0時の向こう側」

会場:グランキューブ大阪 メインホール
日時:2023年3月16日(木) OPEN/17:00 START/18:00
出演:叶

イベントHP:https://event.nijisanji.app/kanae_1stconcert
席種:全席指定¥9,900(無線制御ペンライト付き)
受付期間:2022年12月21日(水)12:00 ~ 2023年1月15日(日)23:59

●fhánaライブ情報
イベント名:fhána New Year Live 2023 あけおめの集い
開催日:2023年1月26日(木)

開場:18:30 開演:19:00
会場:渋谷PLEASURE PLEASURE
出演:fhána
HP :http://fhana.jp/blog/?p=5251
チケット:¥6,500(全席指定)※入場時ドリンク代別途必要

イベント名:fhána Cipher Live Tour 2022 名古屋公演 振替公演
開催日:2023年1月29日(日)

<1部> 開場 14:00 / 開演 15:00
<2部> 開場 17:00 / 開演 18:00
会場:名古屋ReNY limited
出演:fhána
HP :http://fhana.jp/blog/?p=5220
チケット:¥6,500(全席自由)※入場時ドリンク代別途必要

●アルバム情報
fhána
『Cipher』
発売中

【初回限定盤(CD+Blu-ray)】

価格:¥5,280(税込)
品番:LACA-35946
https://www.lantis.jp/release-item/LACA-35946.html

【通常盤】

価格:¥3,300(税込)
品番:LACA-15946
https://www.lantis.jp/release-item/LACA-15946.html

関連リンク
叶 公式プロフィール
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