藍井エイルが1月11日にリリースしたニューアルバム『KALEIDOSCOPE』は、そのタイトルが示す通り、まさに「万華鏡(=カレイドスコープ)」のように多彩で色鮮やかな作品に仕上がった。「月を追う真夜中」「星が降るユメ」「I will…」「鼓動」「アトック」「PHOENIX PRAYER」「HELLO HELLO HELLO」「心臓」のTVアニメ主題歌シングル8曲に加え、須田景凪やCö shu Nieの中村未来らが提供した新曲を収録。
楽曲ごとに様々な表情と表現を見せる彼女が、久々のオリジナルアルバムに込めた想いと新たな挑戦にインタビューで迫る!

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)


新作のテーマは「万華鏡」と「不思議の国のアリス」
――今作『KALEIDOSCOPE』は、約4年ぶりのニューアルバムになりますね。

藍井エイル 前作のアルバム『FRAGMENT』から期間が空いたこともあって、収録するべきシングル曲がたくさん溜まっていたので、気づいたらベストアルバムみたいになってしまいました(笑)。

――『FRAGMENT』は自然体のエイルさんが投影されたような作品でしたが、今作はビジュアルやデザイン周りを含め世界観がしっかり作り込まれている印象を受けました。

藍井 今回はベストアルバム(『BEST -E-』『BEST -A-』)のときと同じアートディレクターさんに入っていただいたのですが、その方に「不思議の国のアリス」をモチーフにして、万華鏡の世界をアリスとして旅していく、というテーマを提案していただいて、そこからアルバム全体のコンセプトを組み立てていきました。この間に開催した横浜アリーナでのワンマンライブ(2022年11月13日に行われた“Eir Aoi 10th Anniversary LIVE 2022 ~KALEIDOSCOPE~ History of 2011-2022”/リンク→https://www.lisani.jp/0000215370/)も、アルバムのコンセプトに合わせて演出を考えたので、ライブが今回のアルバムの伏線にもなっていたんです。

――今作は「完全生産限定盤」「初回生産限定盤A」「初回生産限定盤B」「通常盤」の4種類がリリースされますが、それぞれジャケットのデザインが違っていて、エイルさんもジャケットごとに違った衣装を着ています。

藍井 今回は「不思議の国のアリス」に登場するキャラクターをモチーフにした格好をしています。「通常盤」がマッドハッター、緑のドレスを着ているのがハートの女王(「初回生産限定盤A」)、花柄の服でおでこを出しているのがアリス(「完全生産限定盤」)、ピンクの衣装がチェシャ猫をイメージしています(「初回生産限定盤B」)。ほかにもおでこを出していたり、「こんな服、この世に存在するの?」というくらいすごい衣装を着たり(笑)、新鮮な撮影になったので、皆さんにはぜひアルバムを手に取って確かめてほしいです。

――エイルさん自身、新しいことに挑戦したい気持ちがあったのですか?

藍井 最初は私も今までの自分のイメージとは違い過ぎていたので、「大丈夫かな?」と思ったんですよ。だけど実際に撮影してみるとしっくりきて。それに私の2022年の活動自体も新しいチャレンジが多かったので、それらの楽曲たちが収録されるアルバムという意味では、ピッタリのジャケットになりました。


――確かに『FRAGMENT』以降のシングルでは常に新しいことにチャレンジしてきた印象があります。

藍井 本当に挑戦が多い期間でした。もちろんアルバム用の新曲でも、今までご一緒したことのない方に楽曲制作をお願いしたり、アルバム全体で「万華鏡」を感じられるように、ほかの収録曲とは被らない楽曲を作りました。

――ビジュアルだけでなく楽曲ごとに色んな表情のエイルさんを見ることができる、まさに「カレイドスコープ(=万華鏡)」のような作品になっているわけですね

藍井 まさにそうだと思います。

負けられない想いがここに!新たな「SAO」タイアップ曲
――ここからはアルバム初出の新曲を中心にお話を聞いていきます。1曲目のインスト曲「Kaleidoscope」は、先日の横アリ公演のオープニングでも流れていた曲ですよね。

藍井 そうです!前作の『FRAGMENT』は日常を感じさせる作品にしたかったので、SEはなしにしたのですが、今回はSEから始まって世界観に入り込むものにしたかったので、ライブのオープニングと同じ楽曲を収録しました。ライブに来てくださった方は、このアルバムでまた“KALEIDOSCOPE”の世界に迷い込むような繋がりを感じてもらえたら嬉しいです。

――そして2曲目に「心臓」、3曲目に「星が降るユメ」とエモーショナルなシングル曲が続き、4曲目が横アリ公演でも披露された新曲「ANSWER」。アプリゲーム「ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン」の主題歌です。

藍井 この曲は、エイルバンドのギタリストの篤志さんに作っていただきました。篤志さんは「藍井エイルに休憩を与えない」という呪いにかかっているみたいで(笑)、これまでの楽曲で言うと「グローアップ」みたいにゴリゴリな楽曲を作るのが得意なんです。
この曲もバキバキだし、最初に聴いたときはサビの転調部分が慣れない聴き心地で「あれ?」と思ったのですが、慣れるとその違和感がクセになっていきました。ただ、最初は歌うのも大変で、実はレコーディングしたのが1年以上前のことなのですが、ちょっと叫ぶような歌い方をしてしまって、次の日に喉が枯れてしまうことがありました。

――すごく熱い曲ですものね。特にラスサビ前の歌声の気持ちの入り方がすごくて。

藍井 “切り裂いてみせる”の辺りですよね。この部分はあえて少しがなるように歌ったのですが、それを本Recでやりすぎて、喉が枯れてしまったんです。でも、私は元々レコーディングのとき、わざと喉を犠牲にしながら歌うことが多いんですよ。ライブの場合は喉の負担を考えてもう少しきれいに歌っているのですが、レコーディングではあえて負担をかけて歌うことが多くて。

――それは音源として残すにあたって、より熱量のあるテイクにしたいということですか?

藍井 そうです。(音源の場合は)どうしてもフィルターを通して届くものになるので、少しでもエモーショナルさが伝わればと思って、代わりに自分の喉を犠牲にしています(笑)。

――ライブと音源では歌い方のアプローチを変えているんですね。

藍井 はい。
ライブは1日で何十曲も歌わなくてはいけないので。レコーディング音源でしか感じられないものと、ライブでしか感じられないもの、それぞれ分けて聴いてもらえると楽しみ方が増えると思います。

――それぞれに別々の良さがあると。

藍井 なので、私のレコーディング音源での歌い方をカラオケでマネしないでほしいなと思います。本当に喉を傷めてしまうので(苦笑)。歌ってもらえるとしたら、喉を痛めないように、ご自身を労わっていただければと思います!

――歌詞も篤志さんが書かれていますが、どんな印象を受けましたか?

藍井 『SAO(ソードアート・オンライン)』の世界観にすごく合っていると思いました。最初の“これ以上は 差し出すものは無い”から、どのキャラクターにも合う内容ですし、きっと負けられない人には刺さる曲だと思います。私もこの曲を聴きながらFPSをやりたいですもん(笑)。この曲を聴いたあとならエイム(※敵に照準を合わせること)が良くなる気がする!

――アハハ(笑)。でも、実際に「負けられない気持ち」や「譲れない想い」があるという意味では、もしかするとエイルさんご自身の心情とも重なる部分があるのかなと思って。

藍井 そうですね。私の場合、ライブやテレビの生放送みたいに、自分の都合で延期ができないもの、言い方を変えると「逃げられないもの」に立ち向かわなくてはいけない状況に似ています。
私、そういう日が近づくと、いつも緊張で逃げ出したくなるんですよ。でも、それをやり終えたあとの爽快感がたまらなくて、やっぱりこれが生き甲斐だなと思うし、そこからまた期間が空くと「ライブ、恐いよ~」って毎日震えていることを何度も繰り返していて(苦笑)。「ANSWER」の歌詞は、そのライブや生放送の当日になったときの心境と似ていますね。「もう逃げられないし、行かなくてはいけない!」っていう気持ち。

――ある種、自分を追い込んで奮い立たせるような。

藍井 そうですね。「ANSWER」は自分を追い込まなくてはならなくなったときにピッタリだと思うので、試験勉強や何かしらの締め切りに追われている方にもお薦めの曲です。



須田景凪提供の新曲「ロゼ」に映る、素直になれない一面
――そこから「HELLO HELLO HELLO」「PHOENIX PRAYER」を挿み、須田景凪さんが提供された新曲「ロゼ」へ。須田さんとは今回が初顔合わせですよね。

藍井 私は須田さんの音楽が好きなので、私からスタッフさんに頼んでオファーしていただきました。まさか書いてくださるとは思わず……!この楽曲は元々タイトル案が2パターンあって、「ロゼ」と「余光」で迷っていたのですが、個人的に「ロゼ」のほうが好きだったのでそちらでお願いしました。

――「ロゼ」という言葉はこの楽曲の歌詞に登場しませんが、どんな意味が込められているのか気になります。


藍井 「ロゼ」は、この歌詞の世界観を表す、架空の人物の名前らしいんですよ。私の楽曲で言うと「KASUMI」もそれに近くて、あの曲も歌の中に登場する人物の名前が「KASUMI」で、歌詞とタイトルがどうリンクしているのかパッと聴きはわからない作りになっているんです。そういう感覚の楽曲は久々ということもあって、「ロゼ」という曲名にしていただきました。

――切ない雰囲気のバラード曲ですが、楽曲を作ってもらうにあたって、須田さんとはどんなやり取りをしていったのでしょうか。

藍井 須田さんには基本自由に楽曲を作っていただいたのですが、最初に打ち合わせでお会いしたときに、お互いの恋愛観のお話になったんです。そのときに「素直になれないことって多いですよね」「そういう気持ちを歌った楽曲が歌いたいです」というようなお話はしました。そこから須田さんが「ロゼ」という人の恋愛観をイメージして曲を作ってくださったんだと思います。

――レコーディングの際にはどんなイメージで歌いましたか?

藍井 須田さんにもあらかじめ確認して、失恋からまだ心が落ち着いていない人の気持ちを意識しながら歌いました。この曲はデモを5~6回くらい録って、キーも何度も変更したうえで、本番のレコーディングを行ったんです。エモーショナルさを追求した結果、最初の状態からキーを5つも上げてもらいました。それと本Recのときに須田さんと話し合いながら声色の年齢設定をして、大人すぎず、子供すぎない年齢層、私の中では15~16歳くらいの男の子の声のイメージで歌いました。役に入り込んでから歌を録るやり方も新鮮で面白かったです。


――須田さんとのやり取りで、そのほかに印象に残っていることは?

藍井 デモを録っていたときは「どうすればエモーショナルになるのか?」を試行錯誤していたのですが、本Recで須田さんにディレクションしていただいたら、すごくわかりやすくゴールが見えました。あと、そのときにご一緒したエンジニアさんが、Cö shu Nieの(中村)未来と長い仲らしくて、「今回のアルバムでは未来にも新曲を書いてもらったんですよ」という話をしたら、みんなで「えっ!?」という感じになって、不思議な繋がりを感じました。未来にもLINEしたら「えっ!?」ってなってました(笑)。

――「ロゼ」では先ほどお話いただいたように、素直になれないがゆえに強がってすれ違ってしまった気持ちが描かれていますが、エイルさん自身にも「素直になれない」経験はありますか?

藍井 私はめちゃくちゃ天邪鬼なので(笑)、これは恋愛とかではなく人生のすべてにおいて、まず人に甘えないですし、甘え方も知らないんです。友達にも自分の本音を言わなくて、何か言われても全部「そうだね」という感じで、その場は自分の意見を言わないまま、勝手に1人で「もういいや!」ってなることが多くて。だから、時には喧嘩することも大事なんだなと思うことがあります。

――意見をぶつけ合うことの大切さ、ですね。

藍井 そうです。ちゃんとお互いが自分を見つめた状態で、お互いを見つめ合い直すことは、すごく大切なことだと思うんですけど、私は基本それができなくて。「お願いだから〇〇して」みたいなことは私からは絶対に言えないですし、もし言ったとしたら私は爆ぜます。

――いやいや(笑)。

藍井 でも、本当にそれくらい人に本音を伝えられない人間なので、この歌詞を見たときに「わかる!言えないよね!」と思いましたし、すごく気持ちが入りました。だって“駄目だよ 私が愛した私を あなたが愛してくれないなんて”なんて親にも絶対に言えないですし、言ったら爆ぜるので絶対に無理です(笑)。自分の本音を話すのって、すごく恥ずかしくないですか?

――まあ確かにそうですね。

藍井 上っ面だけであればいくらでも言えますけど、深く掘り下げたところは絶対に言えないので。「本当はこうしてほしいんだよね」なんて口が裂けても言えないし、「あなたがそう思うならそれでいいんじゃない?」という感じになるんですよ。我ながら、弟はもっと素直な性格をしているのに、私はかわいくないなあと思います(苦笑)。

――でも「ロゼ」は、そんな自分に後悔の念を抱いている歌でもあるわけですよね。

藍井 そうなんですよ。だからリアルな感情を持った曲だと思います。


盟友・Cö shu Nieの中村未来が描く「藍井エイル」の歩み
――そこからアルバムは「月を追う真夜中」「アトック」と続き、10曲目は先ほどお話にあったCö shu Nieの中村さんが書き下ろした新曲「Campanula」。シングル曲「PHOENIX PRAYER」に続いての提供になります。

藍井 これは実は「PHOENIX PRAYER」よりも前に作ってもらった曲になります。未来と初めてお会いしたときに、少しお話をして、そのあと、帰宅してから5時間くらい電話したんですよ。

――中村さんのコメントにも、「オファーを貰った時、エイルと5時間程電話をして、これまでの人生について話を聞きました」とありました。

藍井 そうなんです。そのときに未来が私の人生観を掘り下げて聞いてくれて、「エイルはこういう人なんだね」と分析してくれて出来上がったのが「Campanula」でした。なので、私のファンの方への気持ちとか、発声障害や突発性難聴で挫けた部分、それでも活動していきたい想いといったものが、すごくリアルに描かれていると思います。

――エイルさん自身がそう感じたわけですね。

藍井 はい。きっと私が自分自身のことを書いたとしても絶対にこうはならないし、未来が第三者視点で想像も含めた状態で書いてくれたからこそ出来た歌詞だと思います。だからこそ「これが欲しかった」と思いました。

――自分も最初に聴いたときに、まさにエイルさんの歩みそのものを描いたような歌詞だと思いました。1番の歌詞は、活動休止に至るまでの心境なのかなと、勝手に想像を膨らませたり。

藍井 そうやって聴いてくれる方がそれぞれ想像を膨らませてくれることが、この曲の答えだと思うので、嬉しいですね。

――加えてサウンドや歌も非常にアグレッシブですね。

藍井 ギターとベースの歪んだ音は、まさにCö shu Nieを感じさせますよね。歌は未来がディレクションしてくれたのですが、歌詞の内容にガッチリ合わせて歌いました。“駆け下りた フラフラと今にも転びそうな足で”のところはわざとフラフラした感じにしたり、“渾身の一歩”ではドスを効かせたりしていて。かなり振り切った曲だと思います。

――歌声の話で言うと、冒頭のフェイクも印象的でした。動物的と言いますか、美しい獣の咆哮のようなイメージが浮かんで。

藍井 素敵な言葉をありがとうございます。私の中では、この曲は地面の中に半分埋まっているけど、それでも這いつくばって立とうとする人、みたいなイメージで歌っていて。

――それは自分自身の歩みを重ねたときに、そういうイメージが浮かんだのでしょうか?

藍井 そうですね。実は活動休止中に、発声障害で歌えなくなったことは公表していますが、「もう歌えないのではないか」という不安に陥って、看護師になることを考えた時期が1ヵ月くらいあったんです。人前で鼻歌を歌うこともできないし、だんだんしゃべることも出来なくなって。そのときは自分の中に何も入ってこないくらい思い悩んでいた状態で、本当に諦めそうになりましたね。

――そんな時期があったんですね。

藍井 その後、ボイトレに通うようになって、精神をきれいな状態に持っていくことができて。でも、その当時の感情も今は「Campanula」を歌うときに役に立っていると思います。

――そのお話を聞くと、この曲の“逃げなかったのは 僕の宿命だから”という歌詞は、より心に響きます。

藍井 そう、これは本当に救われました。結構ダークな曲ですけど、藍井エイルの今までを知っている人が聴いてくれたら、ちょっとウッとくる部分があると思います。この曲はライブで歌うのが楽しみなんですよね。早く歌いたい!


藍井エイルから夢を追う人に向けた応援ソング「YeLL」
――そしてアルバムは終盤へ。11曲目と12曲目に「鼓動」「I will」が収められ、ラストはこの間の横アリ公演でも歌われた新曲「YeLL」。アルバムの締め括りに相応しい晴れやかな楽曲です。

藍井 これは日本工学院さんのCMテーマソングで、夢を追いかける人へのエールを込めた楽曲なのですが、卒業式や結婚式の祝辞みたいに、手紙を音読しているようなイメージで書きました。普通に応援するよりも“今から私の 手紙を読みます”で始まるほうが、意外性もあって面白いかなと思って。

――その後の“恥ずかしがらずに聞いてくれるかな”もすごく良いフレーズだと思います。

藍井 ありがとうございます。この曲は「応援している側」が聴き手で、「応援されている側」の自分が感謝の言葉を自分なりに伝えるから読みます、という体になっていて。「応援している側」というのは、例えば「親」だと思うのですが、親が自分の子供に「いつもありがとうね」みたいなことを言われると、「恥ずかしいから止めてよ」みたいな反応になるじゃないですか。その感じをこの部分で表現してみました。

――そういう言葉は手紙でないとなかなか伝えられないものですし。

藍井 ですよね。私の中でこの曲は「親子」のイメージが強かったですね。親が、子供の夢をずっとバカにせず応援してくれたから、私は今こうやって立っていられます、ということをイメージして書きました。

――それはエイルさん自身のご両親への気持ちも含まれている?

藍井 それはあります。うちの母親は私の歌手になる夢について「いい加減に現実的なことを考えなさい!」と言っていましたけど(笑)、父親は「別に諦めなくていいんじゃないか」みたいな感じで、不器用ながらも応援してくれていたので。だから、そのときの自分の心境を思い浮かべたり、「もし私が父親に手紙を書くとしたら」とか、ほかの人たちの場合のことを想像しながら書きました。

――ご自身の気持ちだけでなく、誰もが共感できるものを目指したわけですね。

藍井 はい。途中の合唱になるパート、“「努力は裏切らない」「夢を叶えなさい」「自分を信じてね」”のところは、色んな国の人がみんなで合唱しながら応援しているイメージで歌詞を書いていて。実は歌詞を書くにあたって、ネットで「夢 応援 言葉」みたいなワードで検索したんです。そうしたら親から自分の子供に向けたメッセージがたくさん出てきて。そこから抜粋した言葉もあります。

――その意味ではリアルな応援メッセージも詰まっているわけですね。それと今、お父さまのお話がありましたが、それこそ「リスアニ!Vol.46.1 藍井エイル音楽大全」(リンク→https://www.lisani.jp/0000188999/)で掲載させていただいたお父さまからのメッセージへの返答のような曲にもなるのかなと。

藍井 そういえばそうでした!まあ父親には「YeLL」のことは話していないんですけどね。言わなきゃと思いつつ、ちょっと恥ずかしいからやめておこうと思って(笑)。とりあえず「アルバム買ってね」とだけ伝えておきます。

――お父さまがこの記事を読んでくれることを願っております(笑)。エイルさんの心情も含みつつ、夢を追う人が聴くと背中を押される楽曲になりましたね。

藍井 自分としては、手紙を読むところから始まって、最終的に“ねえ 誰にも 言えなかった夢に 今夜 近付こうと決めた”で終わっているところがお気に入りで。この手紙を通じて伝えているのは、感謝の気持ちと、「私は夢に進むことに決めた」と決意して今からスタートする意味合いで聴いてもらえると、スッキリすると思います。皆さんにエールを伝えるような楽曲になりました。

――これから夢に向かって最初の一歩を踏み出す人の歌でもあると。

藍井 そうです。それとこの曲はエイルバンドのギターの新井(弘毅)さんが書いてくださったんですけど、新井さんはプラス思考の現実主義者で、例えると「今が落ち目なんだったら、これ以上落ちないじゃん」みたいな考え方の人なんですよ。だからなのか新井さんとメジャーアップ系の楽曲は相性が良くて、今まで私に書いてくれた曲だと「レイニーデイ」も似た感じなのですが、ハッピーな歌詞が合うんですよね。それで私もこの歌詞が書けたのかなと思います。

――あと、エイルさんは本音を話せないタイプというお話でしたが、やはり歌詞を通してだと素直な気持ちを伝えられるのかなと、この曲のお話を聞きながら感じました。

藍井 ああ、そうかも。それと歌詞を書くと改めて自分自身のことが色々わかるなと思いました。「私は結局、親に応援してもらいたかったんだろうな」と思いましたし、自分の素直な部分に無理やりにでも目線を合わすのが歌詞を書くことなのかなって。でも、それは歌詞だからできることで、例え日記でも自分の本音は書けないです(笑)。

――でも、日記は自分以外の誰も読まない前提で書くわけじゃないですか。

藍井 それでも書けないですね。一度やってみたんですけど、無理でした。「あ~、恥ずかしい!無理無理!」ってなって(笑)。

――その意味でも、歌詞を書いたり歌をうたうことは、エイルさんにとって大切なことなんでしょうね。

藍井 確かに。デトックスとかに近いかもしれないです。

――以上、シングル曲も含めて多彩な楽曲が詰まった作品になりましたが、ご自身としてはどんな作品になったと感じますか?

藍井 藍井エイルの色んな一部分を足していった結晶みたいな作品になりました。しかもこれから先も色んな楽曲ができたときに、その結晶の固まりがガチッとハマるようなアルバムになったと思っていて。『KALEDOSCOPE』は今までの作品と比べると少し異色ですが、きっとどんどん馴染んでいくと思いますし、10年先や20年先に振り返ったときに、「当時は斬新なアルバムに感じたけど、今思えばピタッとハマる1枚だよね」と感じてもらえるような作品になったと思います。



●リリース情報
『KALEIDOSCOPE』
発売中

【完全生産限定盤(CD+BD+DVD+PHOTOBOOK+Tシャツ)】

価格:¥11,000(税込)

【初回生産限定盤A(CD+BD+PHOTOBOOK)】

価格:¥4,400(税込)

【初回生産限定盤B(CD+DVD+PHOTOBOOK)】

価格:¥4,400(税込)

【通常盤(CD)】

価格:¥3,300(税込)

<CD>
01. Kaleidoscope
02. 心臓(「劇場版ソードアート・オンライン -プログレッシブ-冥き夕闇のスケルツォ」主題歌)
03. 星が降るユメ(TVアニメ「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」EDテーマ)
04. ANSWER(アプリゲーム「ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン」主題歌)
05. HELLO HELLO HELLO(TVアニメ「カッコウの許嫁」2期EDテーマ)
06. PHOENIX PRAYER(TVアニメ「15周年 コードギアス 反逆のルルーシュ」第2オープニングテーマ)
07. ロゼ(Lyrics & Music by 須田景凪)
08. 月を追う真夜中(TVアニメ「グランベルム」オープニングテーマ)
09. アトック(TVアニメ「BLUE REFLECTION RAY/澪」第2クールオープニングテーマ)
10. Campanula(Lyrics & Musi by 中村未来[from Cö shu Nie]
11. 鼓動(TVアニメ「バック・アロウ」2ndオープニングテーマ)
12. I will…(TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」2ndクールエンディングテーマ)
13. YeLL(日本工学院CMテーマソング)

<BD/DVD>
01.「心臓」Music Video
02.「HELLO HELLO HELLO」Music Video
03.「PHOENIX PRAYER」Music Video
04.「アトック」Music Video
05.「鼓動」Music Video
06.「I will…」Music Video
07.「月を追う真夜中」Music Video
08.「星が降るユメ」Music Video
09.「ANSWER」Music Video
10.「心臓」Studio Live

関連リンク
藍井エイル オフィシャルサイト
https://www.aoieir.com/

特設サイト『藍井エイル 10th Anniversary 「SAI」』
https://www.aoieir.com/special/10th/

藍井エイル 公式Twitter
https://twitter.com/eir_ruru

藍井エイル 公式YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCZ7B1oCEDT_d4c9XTtChX7w
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