バンダイナムコエンターテインメントが展開する、ダンスミュージックをテーマにした音楽原作キャラクタープロジェクト「電音部」。その新展開として2022年よりスタートした第2部にて、大きな話題を集めているのが新エリア「カブキエリア」の「真新宿GR学園」に所属する3人だ。


いずれも不穏な雰囲気を纏い、強烈な個性を持ったキャラクターが集まる3人のうち、人の不幸を心から願い、人から嫌われることが大好きだという暴力的な女の子・りむるのキャストを務めるのが、映像・イラスト・音楽など幅広く手がけるクリエイターのをとは。彼女はなぜカブキエリアのオーディションに参加し、どんな思いで「電音部」と向き合っているのか。本人に話を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)

「電音部」との出会いがもたらした新しいチャレンジ
――をとはさんは以前から、「電音部」にイラストレーターとして関わっていたわけですが、なぜカブキエリアのオーディションに参加したのでしょうか。

をとは “電音部 2nd LIVE -BREAK DOWN-”を観させていただいたときに、歌われている声優さんやダンサーの皆さん、VJとかも含めた一体感に感動して、「私もこのライブを一緒に作りたい!」と思ったんです。そうしたらライブの最後にオーディションが発表されたので、「これはもう受けるでしょ!」と思って、勢いで受けました(笑)。


――それまで演技や声のお仕事の経験は?

をとは まったくなかったです。でも、私は音楽が大好きで、歌うことが大好きなので。「電音部」の楽曲は元々たくさん聴いていたので、「私も電音部で色々な楽曲を歌いたい!」と思って挑戦しました。私はライブの空間自体が大好きなんです。映像や光の演出とステージに立つ真ん中の人が一体になる感覚、その中心に自分がいられたらすごく嬉しいだろうなと思って。

――をとはさんは個人でも音楽活動をされていますが、その活動を活かしたい気持ちもあったのでしょうか?

をとは 私の個人活動はそんな大したものではないので(苦笑)。
私としては「電音部」で経験させていただけることのほうが大きいですね。しかも私がやっているのは、カブキエリアの楽曲とは全然真逆の雰囲気で、どちらかと言うとハラジュクエリアっぽい曲ばかり作っているので(笑)。

――いわゆる「Kawaii Future Bass」系の曲が多いですものね。ちなみにカブキエリアのことを一言で表すなら、何になると思いますか?

をとは 「混沌」ですかね?「無秩序」というか。敵役という意味では治安の悪いグループではありますけど、キャストの私たち3人(吉田凜音、SONOTA、をとは)も全員違う方向のことをやっていたメンバーで、普通に生きていたら絶対に交わることはなかったと思うんです。その色んな人がいる感じもカブキエリアっぽいなあと思います。


――キャラクターもタイプがバラバラで、それぞれが勝手な方向を向いている印象があります。

をとは そうなんですよ。キャラクターの服装も統一感がなくて、雰囲気も全然違うので。みんな個性がすごいですよね。私たち3人もそもそも声優さんではないですし、敵キャラなので、よくみんなで「周りのキャストさんと仲良くなれるかな?」って話しています(笑)。

――をとはさんはりむる役のキャストに抜擢されたわけですが、りむるとして楽曲を歌うときは、どんな気持ちで臨んでいますか?

をとは 自分のレコーディングの場合は、やりたいことがたくさんありすぎて「あれもこれもやりたい!」って迷ったり、どうしても「もっと上手く歌おう」と意識してしまうことがあるんですけど、「電音部」の場合は、常にりむるちゃんとして歌うことを意識しているので、「りむるちゃんっぽさ」に集中することができて。
りむるちゃんはすごくかわいいキャラなので、いつものレコーディングよりも「かわいい」を出せている気がするし、歌にニュアンスを入れるのも好きなので、かわいくて表情が見える歌をたくさん歌えて楽しいです。

――りむるらしさを表現するために意識していること、あるいはディレクションで印象深かったことは?

をとは とりあえず「性格悪そうに歌って」と言われています(笑)。破壊をめっちゃ楽しんでいるみたいな。多分、楽曲を聴いたらすぐわかると思うんですけど、ずっと煽っているみたいな歌い方をしていて。でも、表情がコロコロ変わるキャラでもあるので、すごくかわいいときもあったり、ちょっと大人しめなときもあって。色んな歌い方ができるので面白いキャラですね、りむるは。


――では「電音部」のレコーディンングでは、新鮮な発見がたくさんあるのではないでしょうか。

をとは 私、そもそもスタジオでのレコーディングがほぼ初めてで、ほかのエンジニアさんにお世話になるのも初めてだったので、そのこと自体が新鮮でした。おかげで、前よりもちゃんと歌えるようになった気がします。

――そういえばTwitterで、この1年ほど歌を練習していたと呟かれていました。

をとは はい。2021年にageHaで開催された“暴カワ(暴力的にカワイイ)”に出演したんですけど、そのときに自分が思っていたよりも歌えなかったのが、すごく心残りで。
それがめっちゃ悔しかったので、この1年歌を練習していたら、「電音部」のオーディションの機会がきたんです。多分、1年前の私の歌唱力だったら絶対に受かっていなかったと思うので、偶然ですけどすごく良いタイミングでした。

りむるの二面性を意識した「ハカハカイプリンセス」
――カブキエリアとしての最初のユニット曲「禁言」では、どんなことを意識して歌いましたか?

をとは ソロで歌うパートは、りむるのキャラがめっちゃ出ていたので、私も自由に歌ったんですけど、サビとかの3人で歌うところは、私1人だけ声質が全然違うので絶対に浮くのが確定しているわけじゃなですか。

――まあたしかに(笑)。

をとは でも、そういうところでもあまり浮き過ぎないように、かわいい声のままかっこよく歌うように頑張りました。ちょっとセクシーな感じで歌うと、ちゃんと馴染むんですよね。ただ、最後の“いけないんだいけないんだ”のところは、私だけメロが少し違っているので、良い意味で浮いている感じにしたくて、すごくニュアンスを付けながら歌いました。



――ソロ楽曲の「ハカハカイプリンセス」も曲調がコロコロと変わってジェットコースターのように展開していく、凄まじい曲ですよね。

をとは 最初に(デモ音源が)届いたとき、私が想像していたものとは全然違っていたんですけど、よりりむるちゃんの解像度が上がった気がして、良い意味で裏切られました。私はもっと「かわいい」と「かっこいい」が交互にきたり、あるいは「かわいい」に全振りするとか、逆にもっとブチ上げ曲みたいなものがくるのかなと思っていたら、意外としっとりしたところもあって。「かわいい」けど、ちょっと「美しい」みたいな。ドロップのところとか、すごく揺れる感じがしませんか?

――揺れる感じ?

をとは 敵キャラって、基本は嫌な奴ですけど、どこか魅力的な部分もあるじゃないですか。「ハカハカイプリンセス」は、りむるちゃんのそういう揺れる二面性をちゃんと表現している気がしたんです。バンパイアとか吸血鬼っぽいキャラの妖艶なところも詰まっていて、受け取ったときからいいなあと思いました。でも、ラップが速すぎて、「これをライブで歌うのかあ……」と思いながら練習していました(笑)。

――レコーディングでは、その妖艶さも意識して歌われたのですか?

をとは はい。基本ラップパートは、りむるらしいかわいい感じで歌っているんですけど、“Dark & Pop Vampire!”という歌詞のところの語尾は、吸血鬼が噛みつくときの口の形を意識して歌っていて。ほかにも表情がコロコロ変わる楽曲で、(「ハカハカイプリンセス (Extended Hakai Version)」の)2番のサビは1番とは全然違う歌い方をしているんですよ。そこはりむるちゃんの本性というか、でもそれも本当の本性なのかわからない感じを出したくて(笑)。聴いている人に「りむるは本当に何を考えているのかわからないなあ」と思ってほしくて、二面性が見え隠れしている感じになるように色々と工夫しました。



――この曲は歌詞もすごくて、かなり物騒なことを言ってますよね。ピー音は入りますが、冒頭から“♡んでくれる?”ですから。

をとは ヤバいですよね(笑)。暴力的な言葉が多くて。

――りむるは相当ぶっ飛んだキャラクターですが、をとはさんは彼女に魅力を感じるところはありますか?

をとは 私はりむるのこと大好きです!「ちょっと嫌な奴」じゃなくて「本当に嫌な奴」じゃないですか。「もう最低!」みたいなキャラで(笑)。でも、「それでしか幸せになれないのかな?」とか想像すると、それがかわいいなあと思っています。

――「ハカハカイプリンセス」があまりにも衝撃的だったので、今後どんな楽曲が登場するのか、気になって仕方ないです。

をとは ですよね。りむるちゃんはキャラ的にどんな楽曲でもこなせそうですけど、私は「禁言」のめっちゃかっこいい曲の中にりむるのかわいくて変なのが混ざっている感じが好きなので、これからも色んな曲を歌えることが楽しみです。

――最後に、今後の「電音部」の活動に期待していること、あるいは新しくチャレンジしたいことを教えてください。

をとは 私はライブ、特にカブキエリアが全体ライブに出演できる日がくるのがすごく楽しみです!「電音部」のみんなの並びの中にカブキエリアのみんなが混ざったらどうなるんだろう?って思うので。

――それこそ場を荒らす役として暴れてくれそうですが。

をとは 敵キャラなので強気にいけたらなと思います!私はライブだといつも緊張してしまうので、りむるを見習ってもっと堂々とできたらいいなと思っていて……もしかしたら、いずれ、私もめっちゃ悪になるかもしれないです(笑)。りむるに乗っ取られないように気を付けます!

●配信情報
『焼ケ鮭』
作詞・作曲・編曲:KOERU
歌:りむる(CV:をとは)、ポメモリ(CV:くいしんぼあかちゃん)
Art by. ちゅうがんじ たかむ

サブスク&DLはこちら
https://nex-tone.link/fiJcbdfZ6

●ライブ情報
電音部 AREA MEETING -HARAJUKU-
2023年3月5日(日)開催

会場:中野サンプラザ
開催時間:
『起』の部…開場11:30/開演12:30
『承』の部…開場17:00/開演18:00
※公演時間は3時間程度を予定しております。

■出演者
▼『起』の部
小坂井祐莉絵(桜乃美々兎LIVEset)
大森日雅(水上 雛LIVEset)
長谷川玲奈(犬吠埼紫杏LIVEset)
picco
Moe Shop
and more…

▼『承』の部
小坂井祐莉絵(桜乃美々兎LIVEset)
大森日雅(水上 雛LIVEset)
長谷川玲奈(犬吠埼紫杏LIVEset)
Neko Hacker
Yunomi
and more…

※出演者は予告なく変更になる可能性がございます。

■チケット料金
『起』の部…¥7,200(指定席/税込)
『承』の部…¥7,200(指定席/税込)
通しチケット…¥14,400(指定席/税込)

▼詳細はこちら

電音部 アザブエリア 1st LIVE -MY STAR-
2023年4月9日(日)開催

会場:森のホール21
開催時間:
『狼煙』の部…開場12:00/開演13:00
『烽火』の部…開場17:00/開演18:00

出演者:
港白金女学院(LIVEset):秋奈 (黒鉄たま役)・小宮有紗 (白金 煌役)・澁谷梓希 (灰島銀華役)
※出演者は予告なく変更になる可能性がございます。

■チケット料金
<一般指定席チケット>
『狼煙』の部…8,800円(指定席/税込)
『烽火』の部…8,800円(指定席/税込)
通しチケット…17,600円(指定席/税込)

<ティーン割チケット>
『狼煙』の部…5,000円(指定席/税込)
『烽火』の部…5,000円(指定席/税込)
通しチケット…10,000円(指定席/税込)

<配信チケット>
coming soon
※発売、詳細は後日発表となります。

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関連リンク
電音部 公式サイト
http://denonbu.jp

電音部 公式Twitter
https://twitter.com/denonbu

をとは 公式Twitter
https://twitter.com/mitukineu