DJをテーマに、アニメ、ゲーム、ライブなど様々なメディアミックス展開を行うプロジェクト「D4DJ」。そのTVアニメ2期『D4DJ All Mix』が、2023年1月から放送をスタートした。
連載第5回では、アニメ第6話においてエピソードとライブシーンを通じて衝撃を与えてくれた、高校生ユニット・Happy Around!(通称:ハピアラ)のキャストより、西尾夕香(愛本りんく役)、各務華梨(明石真秀役)と、同ユニットの音楽プロデューサーを務める斎藤 滋、音楽ディレクターのタノウエマモル、ボーカルディレクションにも携わる作詞家・安藤紗々の対談を敢行。第6話で披露された新曲「Look at me♡」の話題を含め、これまでの活動を存分に振り返ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
始まりから3年半、衝撃を与えられる存在へと成長したハピアラ
――楽曲のお話の前に、まずは斎藤さんをはじめ制作陣の方々に、これまでのハピアラの皆さんの変化や成長についてどう感じられているのかをお聞きしたいのですが。
斎藤 滋 最初の頃、僕はHappy Around!について、世間には「成長の伸びしろが一番あるユニットです」と言っていました。それは、その時点の5ユニットの中では未熟な面もありましたが、逆に言えば成長していく姿を見届けられる、いい意味で「これから始まる」というユニットだったから。でも、今ではステージングも堂々としていますし、見ていてすごく安心感のある、名前の通り幸せな気持ちをお客様に与えられるユニットに成長していると思います。そのなかで、僕らの役割も少し変わってきていまして……。
――どのように変化したんですか?
斎藤 僕は引き続き音楽プロデューサーとして関わっていますが、スタジオワークに関しては弊社(ハートカンパニー)のタノウエに任せることが多く、今はタノウエと一緒に方針を決めていく仕事がメインになっています。
タノウエマモル 僕は1曲目の「Dig Delight!」から携わらせていただいているのですが、最初の頃はまず斎藤が作った方針の中で動いていく……というところから、だんだん様々なことを任せてもらえるようになりました。今では楽曲の大きな方針をブシロードの皆さんも含めて一緒に考えて、スタジオワークやレコーディング、そして色んな人々のコーディネートといった実制作の部分を担当しています。
――だんだんと中に入っていかれるなかで、成長が見えたり、素敵に感じた部分も多かったのでは?
タノウエ 成長スピードがすごく速いですし、メンバーの皆さんからも「こういう曲をやりたい」という意見がたくさん出てくるのもあって、色んな新しい挑戦のできるユニットだと思います。最初は明るく楽しく元気よく……という、いわゆる王道の楽曲がメインでしたが、徐々に切ない曲やかっこいい曲も増えていって、表現の幅がどんどん広がっている実感があります。
安藤紗々 私は「君にハピあれ♪」で初めて歌詞を提供したのですが、その前からボーカルディレクションでずっと携わらせていただいていたので、歌の表現力や上手さの成長については一番身近で感じています。それに今では、自分の演じるキャラクターのこともすごく掴めていて、例えば西尾さんに「ここはもう少し、りんくちゃんらしさを出したいです」というだけですぐに対応してくれます(笑)。皆さん心に色んな表情のキャラクターを住まわせているんだなぁって、いつも感心しますね。
各務華梨 こんなにもたくさん「成長した」と言ってもらえて、とても嬉しいです!私たち自身も、お披露目のときから「これから成長を見せていかないといけない」とすごく感じていたので、私は毎回ライブやレコーディングではそのときの最大限の力を出して、次は必ずそれを上回るようにしよう……という気持ちで挑んでいるんです。そうやって3年間積み重ねてきたものが、いつも支えてくださっている方々に伝わっていることを感じたので……これからも頑張ろうと思います(笑)。
西尾夕香 ただ、成長を見せていかなくてはいけないユニットではありましたし、実際に最初の頃はできていない部分もたくさんありましたけど、それを言い訳みたいにするのは嫌だったんです。だから当時は「本当はちゃんとしたものを出したいけど、追いついてない……うぅー!」と、ちょっともどかしさも感じていました。でも最近では、思い描いていたものが出せるようにはなってきているんじゃないかなと思っていて。徐々にでも、期待に応えられるようになっていたら嬉しいです。
――逆に、そんな今のお二人からは、ハピアラ楽曲の魅力とはどういうところにあると感じますか?
西尾 斎藤さんがよくおっしゃっている「おもちゃ箱をひっくり返した感じ」というのが、ハピアラの色んな楽曲に通ずることで、ハピアラは「なんでもあり感」がすごく強いと思います。先ほどタノウエさんもおっしゃっていましたが、実は「D4DJ」のユニットの中で一番縛りがなくて、幅広い曲調で遊んでいいユニットなのかなと思っていて。そういう楽曲が今の時点でもいっぱいありますし、もっとたくさん遊んでいけたらいいなと思っています。
各務 私も今おゆさん(西尾)が言ってくださったことと同じ気持ちなんですけど、それにプラスするなら……ハピアラはすごく元気なユニットで、アップテンポのキラキラしたサウンドでキーの高い曲が多いと思うんですけど、その中に少し悲しさや寂しさを感じる部分や、活動のなかで感じた「楽しいことだけじゃない」という部分も正直に表現されていると思うんです。だから「この子たちは、こういう人生を歩んでるんだなぁ」と感じさせてくれる楽曲がたくさんあるところも、大好きなポイントです。
――そしてTVアニメ『D4DJ All Mix』第6話「ハクチュウム」の劇中歌となった新曲「Look at me♡」もまた、全然違うテイストの曲で。
西尾 そうですね。一番予想外というか、私たちも最初は「あ、こういう楽曲もやっていいんだ!」と思ったのが正直なところでした。
――その第6話については、どんな印象をお持ちですか? 各務さん演じる真秀が英語しか話せなくなったり、ライブではメンバーが全員ゾンビになったりしていましたが……。
各務 実は私は『All Mix』第1話のアフレコの頃に、水島(精二)総監督から「真秀が、突然英語しか喋れなくなる話を作る予定でいる」ということを伺っていまして。その時点から「『All Mix』では、『First Mix』(TVアニメ第1期)とはアプローチが全然違うお話がたくさんあるんだな」と思っていましたし、実際に第6話は謎めいたお話になっていたので、私たち自身も謎に感じながらアフレコした部分もありました。
西尾 台本を読みながら「結局これは、最後まで夢だった……のかな?そうだよね?たぶん」みたいなことを、結構探りながらやっていたよね。
各務 監督からも「これは真秀の想像の世界なので、真秀がみんなから言ってほしいことを言ってもらえる。だから真秀はそれに乗っかって、いつもよりもちょっと甘えるようにセリフを言ってみて」というディレクションをいただいたんです。今までの真秀はどちらかというとみんなを引っ張っていく側だったので、土台が違うからこそのニュアンスをたくさん入れたお話になりました。
西尾 結局あれは、夢だったんだよね?
各務 たぶん。あのライブ映像は、夢じゃないとありえないから。
西尾 ……っていうことは、現実世界では、ハピアラはライブしたのかな?(笑)。
各務 あれ!?そういえば……!(笑)。
歌詞に携わるという初挑戦の裏側には、あのレジェンドの存在も……?
――そんなエピソードに合わせた新曲「Look at me♡」自体もまた、ハピアラの楽曲としては非常に斬新で、衝撃的なものだったと思います。
斎藤 最初の打ち合わせでは「イントロとA・Bメロは洋楽っぽさや、メロディのきれいさを重視してください」というオーダーがありまして。他にも「頭にはちゃんとフックをつけて、おどろおどろしい雰囲気があって、這うようなベースラインを意識してほしい。そのうえで、ダンサブルにしてほしい」と。楽曲の構造の参考としては、例えばマイケル・ジャクソンの「Thriller」などの楽曲を提示していただきました。
――最初から狙いはかなり明確だったんですね。
斎藤 はい。この楽曲は完全にアニメの演出に合わせる形で、「ハピアラっぽくないほうがむしろ面白いので、そうしてほしい」と、かなり丁寧に説明いただきました。
タノウエ ジョンさんは難易度の高いオーダーのほうが燃えてくれるタイプの方なので、その意味でもジョンさんにお願いすることにしました。水島総監督からも僕からも何度かリテイクをお願いしたのですが、最終的にはハピアラらしさもある、ちょうどいいバランス感の楽曲にしてくれました。
――そういった楽曲イメージは、安藤さんにも共有されたうえで作詞に臨まれたのでしょうか。
安藤 そうですね。私はまず歌詞の初稿をハーフサイズで書いたのですが、そこから「もう少しこうしたほうがいいかも」といったやり取りが何度かあった結果、水島監督とオンライン会議で改めてすり合わせをして書き直しをしました。
――そのなかで、どのように変化したんでしょうか?
安藤 最初は、パーティーで「あの人いいよね?どうする?」みたいにキャッキャッしているイメージで書いていたのですが、「真秀が書いた歌詞なのでもっと照れ隠しも入れて、ギークっぽくしたい。だけどちょっと背伸びした感じも欲しい」というお話だったので、そのうえでワチャワチャ感を出すのになかなか悩んだ気がします。ただ、大元のコンセプトとして「真夏の夜の夢」というテーマがあったので、多少ぐちゃっとした感じでも夢なら何でも認められるという安心感があって。だからこそ、よりガチャガチャした歌詞にできたのかなと思っています。
――そしてこの「Look at me♡」は、安藤さんとともに各務さんも作詞にクレジットされています。
安藤 各務さんは英詞の部分を担当していて、私が書いた日本語の歌詞をまるっと英訳してもらいました。
タノウエ 水島総監督から、「アニメで流れる部分(1番)はすべて英詞にしたい」というご提案があったんですよ。それでまずは安藤さんにメロディに当てはめない形で大枠を作ってもらってから、斎藤が「各務さんに英訳をお願いしたら、面白いんじゃないか?」というアイデアを出して、ご快諾いただき携わっていただけることになりました。
各務 歌詞を手がけるのはまったく未知の世界過ぎて、最初にこのお話をいただいたときは「どうしよう?」となっていたんです。でもそんなとき、私が所属している事務所(株式会社S)の社長の佐藤ひろ美さんが、歌詞の書き方の流れをご自分の経験から教えてくださって。おかげで取りかかることができました。
――すごい方からの直伝ですね!
各務 はい(笑)。それに安藤さんからも「そこまで忠実に訳さなくても大丈夫」という伝言をいただいたので、「日本語の意味に近づけるのは、ちょっと無理かもしれない」と思ったところはメロディに当てはまることを優先するようにして。でも、全体を見たときにはちゃんとニュアンスが伝わるように考えていきました。
西尾 しかも今回、仮歌もかがみん(各務)が歌ったものだったんですよ!
――仮歌まで?
西尾 そうなんです。私が初めてこの曲を聴いたのはその仮歌の音源だったのですが、真秀ちゃんではなくかがみんとして歌っているのを聴いて、「制作サイドで携わるなんて、すごーい!」と思って(笑)。それを聴いて、レコーディングに臨みました。
――そのうえで、今度はそれを自分がりんくとして歌うにはどうしようか?とも考えつつ。
西尾 はい。英語の正しい発音も確認したうえで、「メロディ的に、ここの音が上がっているんだな」というのもちゃんと理解して。しかも、りんくは普段特殊なニュアンスや節回しをつけて歌っていて、それがりんくらしさでもあるので、どこまでやったら歌に合ったうえでりんくになるのかな?というバランスを探るところでは、少し悩みました。
――実際のレコーディングは、どのように進めていかれたのでしょう?
安藤 私も英語に関しては不安な部分が多いので、今回は各務さんの仮歌を頼りにしました。とにかくかっこよく、でもサビは明るくというイメージがあったので……私はニュアンスの部分だけを伝えて、英語のかっこよさや突き抜けていく感じを出す表現は、仮歌を聴いて練習してくれたメンバーのみんなに頼りました(笑)。
――各務さんは、今度は真秀として歌っていかなければいけないわけですよね。
各務 そうですね。ただアニメでの映像演出上、真秀が歌い始めるのはサビに入ってからなので、今回はアニメサイズだと真秀のソロパートが2ヶ所しかないんです。なので「真秀も歌ってるよ!」とアピールできるように、真秀らしさを込められるよう集中して臨みました。ただ、真秀のソロが、私が特に気に入っていた歌詞のところだったんです!
――そのパートは、どこですか?
各務 安藤さんが元々“シンデレラですけど”と書いてくださったところを、“私があなたのシンデレラですよ”というニュアンスかな?と思って“I am your Cinderella.”と訳したところです。アメリカでは「Your Queen.」とか「such a Cinderella!」みたいに、「超かっこいい!」と最上級のニュアンスを伝えるための褒め言葉として「Queen」や「Princess」、あとプリンセスの名前を使ったりするんです。それを使うことで元の日本語以上に強い意味を持たせられたお気に入りのパートだったので、ソロで歌わせていただけることになって……ガチガチに緊張しました(笑)。
安藤 でも“Cinderella”のしゃくり、めっちゃかっこよかったよ!
各務 あそこは曲を聴いたときから、ちょんって上げたいなぁと思っていたところなので、自分がイメージしたとおりに真秀としても歌えて、嬉しかったです。
――一方、西尾さんのレコーディングはいかがでしたか?
西尾 りんくは、普段は歌詞どおりにストレートに感情を表現することにしているのですが、今回はライブシーンの映像がゾンビになるのと歌詞の内容が恋愛要素ということで、小悪魔の意識を常に持って歌うようにしました。私は元々英語が苦手なので不安だったのですが、りんくの力を借りたことですごくいい感じに歌えたと思います。
安藤 特にりんくちゃんは歌い出し担当なので、より怪しげな空気を出さなくてはいけないのですが、そこでニヤリとした小悪魔ゾンビのりんくちゃんの表情を意識されて歌っているのをすごく感じました。
今のハピアラは“最高のジョーカープレイヤー”!
――タノウエさんは、レコーディングを通じてどんなことを感じられましたか?
タノウエ やはり各務さんの仮歌というしっかりしたガイドがあって臨めたことは、我々制作陣としてもとても助かりました(笑)。あと、他の3名の方々もすごく練習してきてくれた努力の痕跡が垣間見える歌だったんですよ。それも今回だけではなくて、毎回我々が心を込めて作った楽曲に負けないくらいのパワーと熱量で打ち返してくれるんです。そこはHappy Around!の制作に携わるなかで、幸せを感じるポイントですね。
安藤 三村(遙佳/大鳴門むに役)さんは“むにちゃんのプロ”なので、最初は1番のゾンビむにちゃんを意識しすぎてか、日本語の歌詞が混ざる2番以降も練習しすぎたあまりかっこよくなりすぎていたのですが、やっぱりむにちゃんらしくいてほしい気持ちがあるので、少しカタカナ寄りの発音にしてもらいました。それと入江(麻衣子/渡月 麗役)さんは、なんとこの楽曲が麗としての初レコーディングだったんです。
タノウエ すごく難しい曲を緊張しながらも、頑張って歌ってくれまして。
安藤 入江さんもたくさん練習してきてくださったことが伝わってきましたし、「何でも言ってください!直します!何回でも歌います!」みたいな体育会系の方だったんですよ。私はこだわると「ここだけはどうしてもこうして欲しい!」というようなことを結構言うのですが、それにもめげずについてきてくれました。
タノウエ 初手からスパルタでやっていたので「大丈夫かなぁ?」って、ドキドキしながら見ていましたけど(笑)。
――ちなみに西尾さんと各務さんは、安藤さんの「スパルタ」を感じた思い出はあったりしますか?
西尾 具体的なエピソードはあまり思い出せないんですけど、楽曲のなかで「ここは譲れないんだろうなぁ」というのを感じるときはありますね。きっと頭の中にイメージしているものがはっきりとあるからなのかな、と思うんですけど。
各務 私は事務所からレコーディングの資料をもらうときに「この日は安藤さんが担当です」と教えていただいたときは、より気が引き締まって……。
安藤 ビビられてる(笑)。
タノウエ 僕のときは油断してるのかなぁ(笑)。
各務 そんなことないです!(笑)。安藤さんは細かいニュアンスも含めてディレクションしてくださるので、絶対に素敵な真秀ちゃんになれるんです。私は歌に自信がないので少しビビっている気持ちもありますけど(苦笑)、「絶対に真秀ちゃんとして歌える!」という安心感もあって。だから毎回ちゃんと練習をしたうえで「安藤さんの期待に応えられるよう、頑張るぞ!」という強い気持ちを持って挑んでいます。
――斎藤さんは「Look at me♡」の完成版を聴いていかがだったでしょうか?
斎藤 僕は1年くらい前から、ブシロードの方々に「ハピアラもそろそろかっこいい曲をやりたい」みたいな話をしていたんです。だからこの曲がそういうことをやっていくきっかけになればいいなと思いました。最初の頃はハピアラがこういうサウンドを歌う想像がまったくできなかったと思うのですが、神田ジョンという作家が水島さんの要望にしっかり応えられたところや、各務さんが歌詞に携わってくださったところも含めて、新しい扉が開かれたと感じましたね。
――その扉の先は、ディグラー(※「D4DJ」のファンの呼称)さんにとっても楽しみなところかと思うのですが、皆さんがハピアラに今後作ってみたかったり、ハピアラとして歌ってみたい楽曲ジャンルみたいなものはありますか?
斎藤 「Look at me♡」を通じて「こういう曲もやっていいんだ」ということが示されたと思うので、次はバトルアニメのOPテーマのような激しい曲をハピアラが歌ってもいい……と誰かがおっしゃってくださったら嬉しいですね(笑)。さっき西尾さんが「なんでもあり感」と言っていましたが、僕も今のハピアラは最高のジョーカープレイヤーでもあると思っているので、そういう可能性をたくさんいただけたら嬉しいです。
タノウエ 「そろそろ許されるんじゃないか?」という意味では、生音を入れた楽曲もやってみたい思いがあって。「D4DJ」はDJをテーマにしたコンテンツということで、最初の頃はガチガチにクラブっぽいサウンドで作っていたんです。でも、そろそろ生系の音をいっぱい入れてもコンテンツの人たちは許してくれるんじゃないかな?……なんて、淡い期待を抱きながら過ごしております(笑)。
安藤 ハピアラの4人の歌声は非常に個性的だと思っているので、その4人が思いっきりハモるような曲があっても面白いかなと思います。それも調和ではなく、ガチャッとしたハモリみたいな(笑)。全員の個性で押していくような楽曲が、ハピアラに欲しいですね。
各務 私は「ぐるぐるDJ TURN!!」の完成版を初めて聴いたときに、おゆさんの歌い出しの“Everybody 人類みなトモダチ”というフレーズの“Everybody”の発音が、普段英語を喋っている方が聴いても違和感がないくらい、完璧に近い英語の発音をされていたので、当時衝撃を受けたんですよ。
西尾 そうだったんだ!
各務 そう!なのでこの「Look at me♡」もすごく楽しみにしていたら、もう予想どおりで!
西尾 謙遜じゃなくて英語が死ぬほど苦手なので、まさかそんなことを言ってもらえるとは思わなかった……耳が良くてよかった(笑)。
各務 他のみんなも、ちょっと長めのフレーズでも違和感のないくらいきれいな英語の発音ができることがわかって私もすごく嬉しかったですし、「ハピアラはそういうところもアピールしていけるな!」と感じたんです。ちょっと安直ですけど、英語があるとDJっぽいかなとも思うので(笑)、さらにかっこいい英語を散りばめた楽曲にも挑戦していけたら嬉しいです。
西尾 私も、もちろん英語にも引き続きチャレンジしてみたいですし、個人的にラップのパートが多い楽曲がもっとあれば、かっこよくなるんじゃないかな?と思っていたので、そういう曲もやりたいです。あと、今のかがみんの話を聞いているうちに、色んな言語がごちゃ混ぜになった曲も「おもちゃ箱をひっくり返した感じ」に通ずるものがあって面白いのかなぁ……なんて思いました。
――例えば、Aメロはあの国の曲っぽい、Bメロはまた違う国の曲っぽい……みたいな?
西尾 ですね。りんくちゃんはアフリカ出身なので、急に民族音楽系が出てきたりしても面白いですし、それこそハピアラは「ぼくんちは“世界”」(※「Direct Drive!」の歌詞)って歌っていたりもしますからね(笑)。
――最後に、アニメの放送を楽しまれているディグラーの皆さんへのメッセージを、キャストのお二人からいただけますか?
各務 今回放送になった第6話は、今までの『All Mix』や『First Mix』とは全然違うお話になっていたと思います。ということは、お披露目から3年半経った「D4DJ」の可能性が、またさらに広がったということですよね?きっとこれからも、予想もつかないような展開もあり得ると思うので、ぜひぜひ今後のアニメやゲーム、そして楽曲も見逃さずにいてくれたら嬉しいです。
西尾 『All Mix』は『First Mix』よりもたくさんのキャラが出演していて、それぞれにお当番回があって、色んなキャラのさらに深いところも観られる楽しいアニメになっていますし、ライブパートもすごく進化しています。もちろん、いつか実際のライブでもその楽曲たちを披露すると思いますし、ハピアラも3月5日にライブがあるんです(“Happy Around! 4th LIVE「Happy Presentation!」”)。しかも声出しも解禁になったので……ハピアラの楽曲たちは声出しができると2倍3倍面白いと個人的には思っているので、アニメを観て期待感を高めたうえで、ライブでも声を出して思いっきり楽しんでもらえたら嬉しいです。
●ライブ情報
Happy Around! 4th LIVE「Happy Presentation!」
新生Happy Around!が、1st LIVEぶりに羽田の地に帰ってくる!
4人揃ってさらにパワーアップしたハピアラが皆さんに幸せをお届けします!
チケット一般発売受付中!
日時
2023年3月5日(日)
昼公演:開場14:15/開演15:00
夜公演: 開場18:15/開演19:00
会場
Zepp Haneda(TOKYO)
出演
Happy Around!(西尾夕香、各務華梨、三村遙佳、入江麻衣子)
●作品情報
『D4DJ All Mix』
TOKYO MX:1月13日(金) 23:00~23:30
BS日テレ:1月13日(金) 23:00~23:30
KBS京都:1月13日(金) 25:00~25:30
サンテレビ:1月14日(土) 22:30~23:00
AT-X:1月13日(金) 23:00~23:30
配信情報
DMMTV:1月8日(日)~ 毎週日曜 23:00
Hulu:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
Amazon Prime Video:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
U-NEXT:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
dアニメストア:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
ひかりTV:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
アニメタイムズ:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
GooglePlay:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
バンダイチャンネル:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
HAPPY!動画:1月14日(土)~ 毎週土曜 12:00
ビデックス:1月14日(土)~ 毎週土曜 12:00
TELASA:1月16日(月)~ 毎週月曜 24:00
J:COMオンデマンド: 1月16日(月)~ 毎週月曜 24:00
milplus(みるプラス): 1月16日(月)~ 毎週月曜 24:00
auスマートパスプレミアム: 1月16日(月)~ 毎週月曜 24:00
※放送日時・内容は予告なく変更される場合があります。予めご了承ください。
【あらすじ】
奉仕の心を理念とする伝統ある有栖川学院に通う、桜田美夢、春日春奈、白鳥胡桃、竹下みいこは、
みんなを笑顔にする奉仕の一つとしてDJユニット「Lyrical Lily」としての活動を認められていた。
ある日、春奈が商工会に呼ばれ、新年から一年を通して地域活性化イベントの依頼を受けることになる。
自分たちだけで実現出来るか不安になるが、思い浮かんだのは初めてのライブを一緒に成功させた面々、そして来場者の笑顔だった。
奉仕の心、Lyrical Lilyの想いは、DJの祭典《D4 FES.》で共に称えあった各ユニットに次々と繋がり、
ついに新年に相応しい新しいステージが幕を開ける―――
【STAFF】
原作:ブシロード
ストーリー原案:中村 航
キャラクター原案:やちぇ
総監督:水島精二
監督:鈴木大介
シリーズ構成:雑破業
アニメーションキャラクターデザイン:茶之原拓也、八森優香
モデリングディレクター :原岡大輔、髙岡真也、横山貴央
リギングディレクター:矢代 奈津子
色彩設計:松山 愛子 (颱風グラフィックス)
撮影監督:小林俊介
美術監督:池田裕輔
美術設定:綱頭瑛子
編集:榎田美咲
音響監督:長崎行男
音楽:佐高陵平、グシミヤギ ヒデユキ
アニメーション制作統括:松浦裕暁
アニメーション制作:サンジゲン
関連リンク
TVアニメ「D4DJ All Mix」公式サイト
https://anime.d4dj-pj.com/all-mix/
D4DJ公式サイト
https://d4dj-pj.com/
個性豊かな音楽性と魅力を持った6ユニットの活躍が描かれる本アニメを、リスアニ!では連載企画「Diggin’『D4DJ All Mix』」として徹底特集!
連載第5回では、アニメ第6話においてエピソードとライブシーンを通じて衝撃を与えてくれた、高校生ユニット・Happy Around!(通称:ハピアラ)のキャストより、西尾夕香(愛本りんく役)、各務華梨(明石真秀役)と、同ユニットの音楽プロデューサーを務める斎藤 滋、音楽ディレクターのタノウエマモル、ボーカルディレクションにも携わる作詞家・安藤紗々の対談を敢行。第6話で披露された新曲「Look at me♡」の話題を含め、これまでの活動を存分に振り返ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
始まりから3年半、衝撃を与えられる存在へと成長したハピアラ
――楽曲のお話の前に、まずは斎藤さんをはじめ制作陣の方々に、これまでのハピアラの皆さんの変化や成長についてどう感じられているのかをお聞きしたいのですが。
斎藤 滋 最初の頃、僕はHappy Around!について、世間には「成長の伸びしろが一番あるユニットです」と言っていました。それは、その時点の5ユニットの中では未熟な面もありましたが、逆に言えば成長していく姿を見届けられる、いい意味で「これから始まる」というユニットだったから。でも、今ではステージングも堂々としていますし、見ていてすごく安心感のある、名前の通り幸せな気持ちをお客様に与えられるユニットに成長していると思います。そのなかで、僕らの役割も少し変わってきていまして……。
――どのように変化したんですか?
斎藤 僕は引き続き音楽プロデューサーとして関わっていますが、スタジオワークに関しては弊社(ハートカンパニー)のタノウエに任せることが多く、今はタノウエと一緒に方針を決めていく仕事がメインになっています。
タノウエマモル 僕は1曲目の「Dig Delight!」から携わらせていただいているのですが、最初の頃はまず斎藤が作った方針の中で動いていく……というところから、だんだん様々なことを任せてもらえるようになりました。今では楽曲の大きな方針をブシロードの皆さんも含めて一緒に考えて、スタジオワークやレコーディング、そして色んな人々のコーディネートといった実制作の部分を担当しています。
――だんだんと中に入っていかれるなかで、成長が見えたり、素敵に感じた部分も多かったのでは?
タノウエ 成長スピードがすごく速いですし、メンバーの皆さんからも「こういう曲をやりたい」という意見がたくさん出てくるのもあって、色んな新しい挑戦のできるユニットだと思います。最初は明るく楽しく元気よく……という、いわゆる王道の楽曲がメインでしたが、徐々に切ない曲やかっこいい曲も増えていって、表現の幅がどんどん広がっている実感があります。
安藤紗々 私は「君にハピあれ♪」で初めて歌詞を提供したのですが、その前からボーカルディレクションでずっと携わらせていただいていたので、歌の表現力や上手さの成長については一番身近で感じています。それに今では、自分の演じるキャラクターのこともすごく掴めていて、例えば西尾さんに「ここはもう少し、りんくちゃんらしさを出したいです」というだけですぐに対応してくれます(笑)。皆さん心に色んな表情のキャラクターを住まわせているんだなぁって、いつも感心しますね。
各務華梨 こんなにもたくさん「成長した」と言ってもらえて、とても嬉しいです!私たち自身も、お披露目のときから「これから成長を見せていかないといけない」とすごく感じていたので、私は毎回ライブやレコーディングではそのときの最大限の力を出して、次は必ずそれを上回るようにしよう……という気持ちで挑んでいるんです。そうやって3年間積み重ねてきたものが、いつも支えてくださっている方々に伝わっていることを感じたので……これからも頑張ろうと思います(笑)。
西尾夕香 ただ、成長を見せていかなくてはいけないユニットではありましたし、実際に最初の頃はできていない部分もたくさんありましたけど、それを言い訳みたいにするのは嫌だったんです。だから当時は「本当はちゃんとしたものを出したいけど、追いついてない……うぅー!」と、ちょっともどかしさも感じていました。でも最近では、思い描いていたものが出せるようにはなってきているんじゃないかなと思っていて。徐々にでも、期待に応えられるようになっていたら嬉しいです。
――逆に、そんな今のお二人からは、ハピアラ楽曲の魅力とはどういうところにあると感じますか?
西尾 斎藤さんがよくおっしゃっている「おもちゃ箱をひっくり返した感じ」というのが、ハピアラの色んな楽曲に通ずることで、ハピアラは「なんでもあり感」がすごく強いと思います。先ほどタノウエさんもおっしゃっていましたが、実は「D4DJ」のユニットの中で一番縛りがなくて、幅広い曲調で遊んでいいユニットなのかなと思っていて。そういう楽曲が今の時点でもいっぱいありますし、もっとたくさん遊んでいけたらいいなと思っています。
各務 私も今おゆさん(西尾)が言ってくださったことと同じ気持ちなんですけど、それにプラスするなら……ハピアラはすごく元気なユニットで、アップテンポのキラキラしたサウンドでキーの高い曲が多いと思うんですけど、その中に少し悲しさや寂しさを感じる部分や、活動のなかで感じた「楽しいことだけじゃない」という部分も正直に表現されていると思うんです。だから「この子たちは、こういう人生を歩んでるんだなぁ」と感じさせてくれる楽曲がたくさんあるところも、大好きなポイントです。
――そしてTVアニメ『D4DJ All Mix』第6話「ハクチュウム」の劇中歌となった新曲「Look at me♡」もまた、全然違うテイストの曲で。
西尾 そうですね。一番予想外というか、私たちも最初は「あ、こういう楽曲もやっていいんだ!」と思ったのが正直なところでした。
――その第6話については、どんな印象をお持ちですか? 各務さん演じる真秀が英語しか話せなくなったり、ライブではメンバーが全員ゾンビになったりしていましたが……。
各務 実は私は『All Mix』第1話のアフレコの頃に、水島(精二)総監督から「真秀が、突然英語しか喋れなくなる話を作る予定でいる」ということを伺っていまして。その時点から「『All Mix』では、『First Mix』(TVアニメ第1期)とはアプローチが全然違うお話がたくさんあるんだな」と思っていましたし、実際に第6話は謎めいたお話になっていたので、私たち自身も謎に感じながらアフレコした部分もありました。
西尾 台本を読みながら「結局これは、最後まで夢だった……のかな?そうだよね?たぶん」みたいなことを、結構探りながらやっていたよね。
各務 監督からも「これは真秀の想像の世界なので、真秀がみんなから言ってほしいことを言ってもらえる。だから真秀はそれに乗っかって、いつもよりもちょっと甘えるようにセリフを言ってみて」というディレクションをいただいたんです。今までの真秀はどちらかというとみんなを引っ張っていく側だったので、土台が違うからこそのニュアンスをたくさん入れたお話になりました。
西尾 結局あれは、夢だったんだよね?
各務 たぶん。あのライブ映像は、夢じゃないとありえないから。
西尾 ……っていうことは、現実世界では、ハピアラはライブしたのかな?(笑)。
各務 あれ!?そういえば……!(笑)。
歌詞に携わるという初挑戦の裏側には、あのレジェンドの存在も……?
――そんなエピソードに合わせた新曲「Look at me♡」自体もまた、ハピアラの楽曲としては非常に斬新で、衝撃的なものだったと思います。
斎藤 最初の打ち合わせでは「イントロとA・Bメロは洋楽っぽさや、メロディのきれいさを重視してください」というオーダーがありまして。他にも「頭にはちゃんとフックをつけて、おどろおどろしい雰囲気があって、這うようなベースラインを意識してほしい。そのうえで、ダンサブルにしてほしい」と。楽曲の構造の参考としては、例えばマイケル・ジャクソンの「Thriller」などの楽曲を提示していただきました。
――最初から狙いはかなり明確だったんですね。
斎藤 はい。この楽曲は完全にアニメの演出に合わせる形で、「ハピアラっぽくないほうがむしろ面白いので、そうしてほしい」と、かなり丁寧に説明いただきました。
それをもとにタノウエが、この曲の作編曲を手がけた神田ジョンさんとやり取りをしていきまして。
タノウエ ジョンさんは難易度の高いオーダーのほうが燃えてくれるタイプの方なので、その意味でもジョンさんにお願いすることにしました。水島総監督からも僕からも何度かリテイクをお願いしたのですが、最終的にはハピアラらしさもある、ちょうどいいバランス感の楽曲にしてくれました。
――そういった楽曲イメージは、安藤さんにも共有されたうえで作詞に臨まれたのでしょうか。
安藤 そうですね。私はまず歌詞の初稿をハーフサイズで書いたのですが、そこから「もう少しこうしたほうがいいかも」といったやり取りが何度かあった結果、水島監督とオンライン会議で改めてすり合わせをして書き直しをしました。
――そのなかで、どのように変化したんでしょうか?
安藤 最初は、パーティーで「あの人いいよね?どうする?」みたいにキャッキャッしているイメージで書いていたのですが、「真秀が書いた歌詞なのでもっと照れ隠しも入れて、ギークっぽくしたい。だけどちょっと背伸びした感じも欲しい」というお話だったので、そのうえでワチャワチャ感を出すのになかなか悩んだ気がします。ただ、大元のコンセプトとして「真夏の夜の夢」というテーマがあったので、多少ぐちゃっとした感じでも夢なら何でも認められるという安心感があって。だからこそ、よりガチャガチャした歌詞にできたのかなと思っています。
――そしてこの「Look at me♡」は、安藤さんとともに各務さんも作詞にクレジットされています。
安藤 各務さんは英詞の部分を担当していて、私が書いた日本語の歌詞をまるっと英訳してもらいました。
タノウエ 水島総監督から、「アニメで流れる部分(1番)はすべて英詞にしたい」というご提案があったんですよ。それでまずは安藤さんにメロディに当てはめない形で大枠を作ってもらってから、斎藤が「各務さんに英訳をお願いしたら、面白いんじゃないか?」というアイデアを出して、ご快諾いただき携わっていただけることになりました。
各務 歌詞を手がけるのはまったく未知の世界過ぎて、最初にこのお話をいただいたときは「どうしよう?」となっていたんです。でもそんなとき、私が所属している事務所(株式会社S)の社長の佐藤ひろ美さんが、歌詞の書き方の流れをご自分の経験から教えてくださって。おかげで取りかかることができました。
――すごい方からの直伝ですね!
各務 はい(笑)。それに安藤さんからも「そこまで忠実に訳さなくても大丈夫」という伝言をいただいたので、「日本語の意味に近づけるのは、ちょっと無理かもしれない」と思ったところはメロディに当てはまることを優先するようにして。でも、全体を見たときにはちゃんとニュアンスが伝わるように考えていきました。
西尾 しかも今回、仮歌もかがみん(各務)が歌ったものだったんですよ!
――仮歌まで?
西尾 そうなんです。私が初めてこの曲を聴いたのはその仮歌の音源だったのですが、真秀ちゃんではなくかがみんとして歌っているのを聴いて、「制作サイドで携わるなんて、すごーい!」と思って(笑)。それを聴いて、レコーディングに臨みました。
――そのうえで、今度はそれを自分がりんくとして歌うにはどうしようか?とも考えつつ。
西尾 はい。英語の正しい発音も確認したうえで、「メロディ的に、ここの音が上がっているんだな」というのもちゃんと理解して。しかも、りんくは普段特殊なニュアンスや節回しをつけて歌っていて、それがりんくらしさでもあるので、どこまでやったら歌に合ったうえでりんくになるのかな?というバランスを探るところでは、少し悩みました。
――実際のレコーディングは、どのように進めていかれたのでしょう?
安藤 私も英語に関しては不安な部分が多いので、今回は各務さんの仮歌を頼りにしました。とにかくかっこよく、でもサビは明るくというイメージがあったので……私はニュアンスの部分だけを伝えて、英語のかっこよさや突き抜けていく感じを出す表現は、仮歌を聴いて練習してくれたメンバーのみんなに頼りました(笑)。
――各務さんは、今度は真秀として歌っていかなければいけないわけですよね。
各務 そうですね。ただアニメでの映像演出上、真秀が歌い始めるのはサビに入ってからなので、今回はアニメサイズだと真秀のソロパートが2ヶ所しかないんです。なので「真秀も歌ってるよ!」とアピールできるように、真秀らしさを込められるよう集中して臨みました。ただ、真秀のソロが、私が特に気に入っていた歌詞のところだったんです!
――そのパートは、どこですか?
各務 安藤さんが元々“シンデレラですけど”と書いてくださったところを、“私があなたのシンデレラですよ”というニュアンスかな?と思って“I am your Cinderella.”と訳したところです。アメリカでは「Your Queen.」とか「such a Cinderella!」みたいに、「超かっこいい!」と最上級のニュアンスを伝えるための褒め言葉として「Queen」や「Princess」、あとプリンセスの名前を使ったりするんです。それを使うことで元の日本語以上に強い意味を持たせられたお気に入りのパートだったので、ソロで歌わせていただけることになって……ガチガチに緊張しました(笑)。
安藤 でも“Cinderella”のしゃくり、めっちゃかっこよかったよ!
各務 あそこは曲を聴いたときから、ちょんって上げたいなぁと思っていたところなので、自分がイメージしたとおりに真秀としても歌えて、嬉しかったです。
――一方、西尾さんのレコーディングはいかがでしたか?
西尾 りんくは、普段は歌詞どおりにストレートに感情を表現することにしているのですが、今回はライブシーンの映像がゾンビになるのと歌詞の内容が恋愛要素ということで、小悪魔の意識を常に持って歌うようにしました。私は元々英語が苦手なので不安だったのですが、りんくの力を借りたことですごくいい感じに歌えたと思います。
安藤 特にりんくちゃんは歌い出し担当なので、より怪しげな空気を出さなくてはいけないのですが、そこでニヤリとした小悪魔ゾンビのりんくちゃんの表情を意識されて歌っているのをすごく感じました。
今のハピアラは“最高のジョーカープレイヤー”!
――タノウエさんは、レコーディングを通じてどんなことを感じられましたか?
タノウエ やはり各務さんの仮歌というしっかりしたガイドがあって臨めたことは、我々制作陣としてもとても助かりました(笑)。あと、他の3名の方々もすごく練習してきてくれた努力の痕跡が垣間見える歌だったんですよ。それも今回だけではなくて、毎回我々が心を込めて作った楽曲に負けないくらいのパワーと熱量で打ち返してくれるんです。そこはHappy Around!の制作に携わるなかで、幸せを感じるポイントですね。
安藤 三村(遙佳/大鳴門むに役)さんは“むにちゃんのプロ”なので、最初は1番のゾンビむにちゃんを意識しすぎてか、日本語の歌詞が混ざる2番以降も練習しすぎたあまりかっこよくなりすぎていたのですが、やっぱりむにちゃんらしくいてほしい気持ちがあるので、少しカタカナ寄りの発音にしてもらいました。それと入江(麻衣子/渡月 麗役)さんは、なんとこの楽曲が麗としての初レコーディングだったんです。
タノウエ すごく難しい曲を緊張しながらも、頑張って歌ってくれまして。
安藤 入江さんもたくさん練習してきてくださったことが伝わってきましたし、「何でも言ってください!直します!何回でも歌います!」みたいな体育会系の方だったんですよ。私はこだわると「ここだけはどうしてもこうして欲しい!」というようなことを結構言うのですが、それにもめげずについてきてくれました。
タノウエ 初手からスパルタでやっていたので「大丈夫かなぁ?」って、ドキドキしながら見ていましたけど(笑)。
――ちなみに西尾さんと各務さんは、安藤さんの「スパルタ」を感じた思い出はあったりしますか?
西尾 具体的なエピソードはあまり思い出せないんですけど、楽曲のなかで「ここは譲れないんだろうなぁ」というのを感じるときはありますね。きっと頭の中にイメージしているものがはっきりとあるからなのかな、と思うんですけど。
各務 私は事務所からレコーディングの資料をもらうときに「この日は安藤さんが担当です」と教えていただいたときは、より気が引き締まって……。
安藤 ビビられてる(笑)。
タノウエ 僕のときは油断してるのかなぁ(笑)。
各務 そんなことないです!(笑)。安藤さんは細かいニュアンスも含めてディレクションしてくださるので、絶対に素敵な真秀ちゃんになれるんです。私は歌に自信がないので少しビビっている気持ちもありますけど(苦笑)、「絶対に真秀ちゃんとして歌える!」という安心感もあって。だから毎回ちゃんと練習をしたうえで「安藤さんの期待に応えられるよう、頑張るぞ!」という強い気持ちを持って挑んでいます。
――斎藤さんは「Look at me♡」の完成版を聴いていかがだったでしょうか?
斎藤 僕は1年くらい前から、ブシロードの方々に「ハピアラもそろそろかっこいい曲をやりたい」みたいな話をしていたんです。だからこの曲がそういうことをやっていくきっかけになればいいなと思いました。最初の頃はハピアラがこういうサウンドを歌う想像がまったくできなかったと思うのですが、神田ジョンという作家が水島さんの要望にしっかり応えられたところや、各務さんが歌詞に携わってくださったところも含めて、新しい扉が開かれたと感じましたね。
――その扉の先は、ディグラー(※「D4DJ」のファンの呼称)さんにとっても楽しみなところかと思うのですが、皆さんがハピアラに今後作ってみたかったり、ハピアラとして歌ってみたい楽曲ジャンルみたいなものはありますか?
斎藤 「Look at me♡」を通じて「こういう曲もやっていいんだ」ということが示されたと思うので、次はバトルアニメのOPテーマのような激しい曲をハピアラが歌ってもいい……と誰かがおっしゃってくださったら嬉しいですね(笑)。さっき西尾さんが「なんでもあり感」と言っていましたが、僕も今のハピアラは最高のジョーカープレイヤーでもあると思っているので、そういう可能性をたくさんいただけたら嬉しいです。
タノウエ 「そろそろ許されるんじゃないか?」という意味では、生音を入れた楽曲もやってみたい思いがあって。「D4DJ」はDJをテーマにしたコンテンツということで、最初の頃はガチガチにクラブっぽいサウンドで作っていたんです。でも、そろそろ生系の音をいっぱい入れてもコンテンツの人たちは許してくれるんじゃないかな?……なんて、淡い期待を抱きながら過ごしております(笑)。
安藤 ハピアラの4人の歌声は非常に個性的だと思っているので、その4人が思いっきりハモるような曲があっても面白いかなと思います。それも調和ではなく、ガチャッとしたハモリみたいな(笑)。全員の個性で押していくような楽曲が、ハピアラに欲しいですね。
各務 私は「ぐるぐるDJ TURN!!」の完成版を初めて聴いたときに、おゆさんの歌い出しの“Everybody 人類みなトモダチ”というフレーズの“Everybody”の発音が、普段英語を喋っている方が聴いても違和感がないくらい、完璧に近い英語の発音をされていたので、当時衝撃を受けたんですよ。
西尾 そうだったんだ!
各務 そう!なのでこの「Look at me♡」もすごく楽しみにしていたら、もう予想どおりで!
西尾 謙遜じゃなくて英語が死ぬほど苦手なので、まさかそんなことを言ってもらえるとは思わなかった……耳が良くてよかった(笑)。
各務 他のみんなも、ちょっと長めのフレーズでも違和感のないくらいきれいな英語の発音ができることがわかって私もすごく嬉しかったですし、「ハピアラはそういうところもアピールしていけるな!」と感じたんです。ちょっと安直ですけど、英語があるとDJっぽいかなとも思うので(笑)、さらにかっこいい英語を散りばめた楽曲にも挑戦していけたら嬉しいです。
西尾 私も、もちろん英語にも引き続きチャレンジしてみたいですし、個人的にラップのパートが多い楽曲がもっとあれば、かっこよくなるんじゃないかな?と思っていたので、そういう曲もやりたいです。あと、今のかがみんの話を聞いているうちに、色んな言語がごちゃ混ぜになった曲も「おもちゃ箱をひっくり返した感じ」に通ずるものがあって面白いのかなぁ……なんて思いました。
――例えば、Aメロはあの国の曲っぽい、Bメロはまた違う国の曲っぽい……みたいな?
西尾 ですね。りんくちゃんはアフリカ出身なので、急に民族音楽系が出てきたりしても面白いですし、それこそハピアラは「ぼくんちは“世界”」(※「Direct Drive!」の歌詞)って歌っていたりもしますからね(笑)。
――最後に、アニメの放送を楽しまれているディグラーの皆さんへのメッセージを、キャストのお二人からいただけますか?
各務 今回放送になった第6話は、今までの『All Mix』や『First Mix』とは全然違うお話になっていたと思います。ということは、お披露目から3年半経った「D4DJ」の可能性が、またさらに広がったということですよね?きっとこれからも、予想もつかないような展開もあり得ると思うので、ぜひぜひ今後のアニメやゲーム、そして楽曲も見逃さずにいてくれたら嬉しいです。
西尾 『All Mix』は『First Mix』よりもたくさんのキャラが出演していて、それぞれにお当番回があって、色んなキャラのさらに深いところも観られる楽しいアニメになっていますし、ライブパートもすごく進化しています。もちろん、いつか実際のライブでもその楽曲たちを披露すると思いますし、ハピアラも3月5日にライブがあるんです(“Happy Around! 4th LIVE「Happy Presentation!」”)。しかも声出しも解禁になったので……ハピアラの楽曲たちは声出しができると2倍3倍面白いと個人的には思っているので、アニメを観て期待感を高めたうえで、ライブでも声を出して思いっきり楽しんでもらえたら嬉しいです。
●ライブ情報
Happy Around! 4th LIVE「Happy Presentation!」
新生Happy Around!が、1st LIVEぶりに羽田の地に帰ってくる!
4人揃ってさらにパワーアップしたハピアラが皆さんに幸せをお届けします!
チケット一般発売受付中!
日時
2023年3月5日(日)
昼公演:開場14:15/開演15:00
夜公演: 開場18:15/開演19:00
会場
Zepp Haneda(TOKYO)
出演
Happy Around!(西尾夕香、各務華梨、三村遙佳、入江麻衣子)
●作品情報
『D4DJ All Mix』
TOKYO MX:1月13日(金) 23:00~23:30
BS日テレ:1月13日(金) 23:00~23:30
KBS京都:1月13日(金) 25:00~25:30
サンテレビ:1月14日(土) 22:30~23:00
AT-X:1月13日(金) 23:00~23:30
配信情報
DMMTV:1月8日(日)~ 毎週日曜 23:00
Hulu:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
Amazon Prime Video:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
U-NEXT:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
dアニメストア:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
ひかりTV:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
アニメタイムズ:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
GooglePlay:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
バンダイチャンネル:1月13日(金)~ 毎週金曜 23:00
HAPPY!動画:1月14日(土)~ 毎週土曜 12:00
ビデックス:1月14日(土)~ 毎週土曜 12:00
TELASA:1月16日(月)~ 毎週月曜 24:00
J:COMオンデマンド: 1月16日(月)~ 毎週月曜 24:00
milplus(みるプラス): 1月16日(月)~ 毎週月曜 24:00
auスマートパスプレミアム: 1月16日(月)~ 毎週月曜 24:00
※放送日時・内容は予告なく変更される場合があります。予めご了承ください。
【あらすじ】
奉仕の心を理念とする伝統ある有栖川学院に通う、桜田美夢、春日春奈、白鳥胡桃、竹下みいこは、
みんなを笑顔にする奉仕の一つとしてDJユニット「Lyrical Lily」としての活動を認められていた。
ある日、春奈が商工会に呼ばれ、新年から一年を通して地域活性化イベントの依頼を受けることになる。
自分たちだけで実現出来るか不安になるが、思い浮かんだのは初めてのライブを一緒に成功させた面々、そして来場者の笑顔だった。
奉仕の心、Lyrical Lilyの想いは、DJの祭典《D4 FES.》で共に称えあった各ユニットに次々と繋がり、
ついに新年に相応しい新しいステージが幕を開ける―――
【STAFF】
原作:ブシロード
ストーリー原案:中村 航
キャラクター原案:やちぇ
総監督:水島精二
監督:鈴木大介
シリーズ構成:雑破業
アニメーションキャラクターデザイン:茶之原拓也、八森優香
モデリングディレクター :原岡大輔、髙岡真也、横山貴央
リギングディレクター:矢代 奈津子
色彩設計:松山 愛子 (颱風グラフィックス)
撮影監督:小林俊介
美術監督:池田裕輔
美術設定:綱頭瑛子
編集:榎田美咲
音響監督:長崎行男
音楽:佐高陵平、グシミヤギ ヒデユキ
アニメーション制作統括:松浦裕暁
アニメーション制作:サンジゲン
関連リンク
TVアニメ「D4DJ All Mix」公式サイト
https://anime.d4dj-pj.com/all-mix/
D4DJ公式サイト
https://d4dj-pj.com/
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