声優アーティストユニット・DIALOGUE+が、2月22日(水)に2ndフルアルバム『DIALOGUE+2』をリリース。1stフルアルバム以降のシングル表題曲はもちろん、DIALOGUE+らしさ溢れる爆速アッパーチューンであるリード曲「絶景絶好スーパーデイ!!」をはじめ、粒揃いの新曲も多数詰まった超濃厚なアルバムに仕上がった。
リスアニ!では本作のリリースを記念し、メンバーとDIALOGUE+総合プロデューサーを務める田淵智也の対談インタビューを全4回にわたってお届け。今回は内山悠里菜・宮原颯希の2人との対談。アルバム制作や前作以降の1年半の振り返りはもちろん、未来を見据えた話題も登場。恐らく最速(?)の、3rdアルバムにまつわる話も必読だ!
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
田淵から見えた、1年半でのこの2人ならではの成長
――『DIALOGUE+1』のリリースから1年半。あっという間の2ndアルバムですね。
田淵智也 そうですね。特にこの1年は「彼女たちって、それぞれ何を考えてるんだっけ?」というのをより知ろうとして色んな発見があった1年だった印象です。どうすれば「ライブもレコーディングも頑張る」というクリエイティブな姿勢を維持したまま、1人1人精神的にも健やかに活動できるのか。これまでそれをちゃんと知ろうとしていなかったな……とすごく痛感して。そういう点にも責任を持って進んでいかないといけないなということをすごく考えた1年だったんですよ。そんななかで、2人とも色々話しているときに見つかることもありました。
――ということは、お二人から「こうしてみたい」と発信や相談してみたことも結構あった?
宮原颯希 ありました。
田淵 宮原さんは、「居心地の良い私」というものを本人が探して、ちゃんとそこを見つけてくれたということがすごく大きな成長だなと、僕は思っています。僕とかファンの頭にある宮原さんの立ち位置が必ずしも正解じゃないよな……と考えたとき、そういえば「宮原さんってどの立ち位置が一番安心するんだろう?」ということを聞いていなかったなと気づいて(笑)。それを知ろうとしたなかで、彼女が目指すところを少し変えたように感じたんですよね。宮原さんは目標だったり仕事として目指すべきところが見えるとそこに向かってすごく頑張れる人なので、その対話のなかで自分が目指すものだったりが何か見つかっていたなら良かったな……と感じたことを、今思い出しました。
内山悠里菜 そういう意味だと、私も「言ってもいいんだ」と思ったことはすごくありましたね。これまでは、与えられたことを自分の中だけで完結していたような感覚が強かったんですけど、「自分はこういうやり方がいい」と伝えられるようになったというか……これまでは結構切羽詰まりながら進んできた感じがあったんですけど、最近では自分に優しくなれる機会が増えたような気がします。ちゃんとお話することで、やり方を提案してくれたりするチームの皆さんや仲間のみんながいるということが、すごく安心できるなって改めて感じました。
田淵 今話してくれたように、内山さんは「自分を知る」ということができてきたのかなと思っていて。僕たちが叶えなければいけないのは「良い音楽をやる」ということだから、それが結果的に達成できるなら自分のできないことや苦手なものを見つけたら違うやり方で山の頂上を目指せばいいよねというお話をしました。
――ということはこの『DIALOGUE+2』のレコーディングでも、そういったことを通じた変化はあったんでしょうか?
宮原 そうですね。
田淵 繰り返しになりますけど、僕がプロデューサーとして就いている限り絶対に見失ってはいけないのは「音楽がちゃんと誇り高いものであること」であり「しっかりライブがかっこいいこと」。それを実現できれば、やり方ってなんでもいいんです。時代的にも“自分らしく生きる”ということが僕はとても大事だと考えていますし、でもそれは人それぞれ違うので、自分自身でやり方を見つけないといけないんですよね。だから今は、1人1人にとってやりやすい形を提案しながら「クオリティの高い音楽とかっこいいライブは必ず維持する」という方向に向かって歩き出した、何歩目かの段階。でもそのトライが少しでも、彼女たちの健やかさに繋がっていればと思います。
――そういった成長も経て完成した『DIALOGUE+2』の、リード曲になっているのは「絶景絶好スーパーデイ!!」です。
田淵 この曲は瀬名(航)くんと一緒に作っているときから、アルバムの象徴的なナンバーを目指していました。それで「彼女たちのストーリーを反映するなら、自分が書いたほうがいいかな」と思って……たしか『DIALOGUE+1』が出る前後くらいに作っていた覚えがあります。
――そのなかで、この曲として目指したかったものはなんでしたか?
田淵 2ndアルバムを象徴するように、「一歩進んだ私たち」というものを表現できたら、という考えもありまして。歌詞の中で“桜の路地はもう見えない”というフレーズが表しているように、昔いたところから一歩先に進んでいる景色になっていればいいなというイメージでした。
宮原 だから、この曲を録ったのも結構前だったんですよね?
田淵 去年の4月とか5月とかだっけ。
――時系列があやふやになるくらい、前なんですね。
宮原 そうですね。でも初めて聴いたときに「DIALOGUE+らしいな」って思ったのは覚えてます。
内山 あ、同じかも!それは私も思った。
宮原 テンポも速くて元気だし、サビの「ス、ス、ス、スーパーデイ」という歌詞もキャッチーで。ログっ子(※DIALOGUE+ファンの総称)さんも好きでしょうし、ライブでも盛り上がるだろうなと思いました。ただレコーディングのときに、その「ス」の数を私が間違えて覚えていっちゃって(笑)。そこが体に馴染むのに一番時間がかかったんですけど、それも面白かったです。
内山 やっぱり私も……「難しかった」です(笑)。でも私は、音楽についての感覚みたいなものをあまり掴めているほうではないので、難しいことを気にするより「楽しくなくなっちゃうほうが嫌だな」みたいな気持ちが強くて。だからとにかく「楽しもう!」と、まずは曲から感じた楽しさや元気さに乗っかっていけたらな……と思いながら歌いました。
――このお二人のレコーディングのときのことで、覚えていることは何かありますか?
田淵 まず、この2人やこの曲に限らないことを前置きとして言うと、今回は僕が歌割りを考えるとき、昔よりも意図的にできるようになっているんですよ。オーディション箇所でも人を絞ったり、「ここはこの人が言ってそうだから、決め打ちでいこう」とか。それはこの曲の、この2人のソロパートについてもそうなんですよね。例えば宮原さんの、2-Bメロの“仲間って助け合うまで全部セットでしょ”というパートもそう。ここはリズムが急に変わるところなのですごく表現が難しいんですけど、ちゃんと包み込むようなお姉さん感も出ている。「宮原颯希はこんな表現もできるんですね」というのが、すごく印象的でしたね。本人が目指したいと心から思って進むところとしても、それを表す歌詞としても、すごく良いソロだったなぁと感じています。あと、その直前のうっちー(内山)の“ほっといたらダメだよ”も、メロディを聴いたときに「うっちーっぽいなぁ!」となったところがあって。
――どんなところで、そう感じましたか?
田淵 内山さんって文字を切るときに独特の切れ際があって、「ウッ」っていう成分が少し交じるんですよね。
――村上さんが抜き出すところですね(笑)。
田淵 そうそう。やっぱりリード曲なので、ダンスに関してもより人気のものになったらいいなという気持ちもあったので、そういう見たことのない振付が出たのはすごく面白くて……最初、ニヤッとしました(笑)。
世界一早いアイデア出し!? メンバーが3rdアルバムで歌ってみたい曲とは
――では続いて、1stアルバムの際と同様に、内山さんと宮原さんに『DIALOGUE+2』の新曲の中からお気に入りの曲を1つ挙げていただきたいのですが……。
内山 うーん……。
宮原 難しいね(笑)。
内山 でもそうだなぁ……私、1曲に絞るなら「夕空航路」です。最近レコーディングだったので、すごく聴いたっていうのもあるんですけど……(笑)。今回初めて、みんなの収録済の音源を聴かせていただいてからのレコーディングだったんです。ライブのとき以外に、しかもまだ世に出ていない音源でみんなの歌声を聴くことにすごく新鮮味がありましたし、その歌声がみんな優しくて温かい感じで、泣けるんですよ。
宮原 そうね。去年の“puzzle”(DIALOGUE+ LIVE 2022)で歌ってた。
内山 私はそれを観られてはいないんですけど、「もしかしたらこんな表情だったんじゃないかな?」みたいなのも、本当にざっくりとですけど思い浮かべることもできて……それも楽しかったですね。
宮原 私は、「やばきゅん♡シューベルト」ですね。この曲のサビがシャッフルで、タッタカタッタカみたいな特徴的なリズムに乗せて歌うのがすごく心地良かったんです。実は昔歌った「パジャマdeパーティー」もそのリズムだったんですけど、そのときはレコーディングで「これはシャッフルっていうリズムだよ」と教えていただいても「よくわからん!難しい!」と思っていたんです(笑)。でも今回は「たしかに!これはそういうリズムだ!」と自分でも納得がいきまして。そのうえで「このリズムに乗るの、楽しい!」という気持ちでレコーディングできたことが、すごく思い出に残っています。
田淵 この曲自体めちゃくちゃリズムが難しいし、シャッフルやスウィングって口で説明しても伝えきれない、体で覚えるしかないものなんですよ。そうやってしばらく反復しているとある日突然気づくときがあるんです(笑)。バンドとかをやっていてもそうなんですけど。今宮原さんが言ったみたいに、たくさんレコーディングやライブなどをやっている間に「この曲はこういうリズムなんだ」とわかってきたというのは、すごく嬉しいエピソードですね。
――さて、年末に配信された「DIALOGUE+WHITE BOX」のラストで、田淵さんが「3rdアルバムに向けて曲書きます!」とおっしゃっていました。なので気が早いうえに勝手な話ではあるんですけど、内山さんと宮原さんが3rdアルバムでやってみたいことをお教えいただけますか?
宮原 私、バーで流れていそうなジャズチックな曲をやってみたいです。今ある曲だと、「I my me mind」にも大人っぽい雰囲気はありますけど、それよりも暗めのバーに似合うような、オトナな雰囲気の曲といいますか。そういう曲ってまだないし、私自身がこういう雰囲気の曲が好きなので、DIALOGUE+でも歌えたらなと思います。
田淵 参考にします(笑)。そういう曲を歌うには自分たちの歌い方というか、「どんなジャンルを歌っても、こうすれば私たちの歌ってDIALOGUE+っぽくなるよね」という感覚を掴むことが大事になってくるんですよ。バーに似合うようなかっこいい曲を作ったときに、ただ単に無理してかっこつけた歌い方をしてしまうと「それは別にDIALOGUE+がやらなくてもいいんじゃない?」という感じになってしまう。でもそれを「DIALOGUE+印の、バーで流れるようなジャズっぽい曲」にするためには自分たちの歌い方を身につけることが必要だし、その折り合いをどうつけるのかを考えるのもすごく楽しそうですよね。それはグループ全体としてもそうだし、宮原さんが歌って「ここは宮原のパートだ!」とちゃんとわかるような、「宮原颯希っぽく歌う」ための歌唱力のようなものも必要になってくると思います。
――内山さんはいかがですか?
内山 私は音楽知識が全然ないのでちょっと漠然としているんですけど、面白い曲があると楽しいな、と思っていて。
――“面白い曲”ですか?
内山 春夏秋冬じゃないですけど、歌っていくうちに景色の変わる曲?「Aメロはこういう景色だったのに、Bメロでは違う景色に行って、サビはまた違って……」みたいに、聴きながら移り変わってゆく景色みたいなものが見えたら面白いんじゃないかな、と思っていて。もしかしたらダンスも、景色が変わったところはシーンの切り替えみたいに表現できるのかな?とか……音楽だけじゃなくてダンスの話もしてしまってすみません。
田淵 いや、いいんですよ。組曲みたいな感じなのかな?
内山 うん。それが面白いかなと思いました。
田淵 参考にします(笑)。……いや、話を聞きながら「なるほどな」と思ったところがあったんですよ。これはあくまでも僕だけが勝手に考えていることなんですけど……僕が目指している3rdアルバムのイメージって、「DIALOGUE+という音楽を、1回完成させる」という狙いがあって。そのときに、1個格が上がっていてほしいといいますか。
――格が上がる、とは?
田淵 『DIALOGUE+1』は偶発的にできたすごく完成度の高いアルバムで、この『DIALOGUE+2』はさらに挑戦を恐れないタイプの、トータルバランスをあまり気にせず作ったものになった。そこから続いていった道を3rdではしっかりまとめたいし、そのうえでログっ子に対して「これからもよろしくね」と言えるようなものにしたいんです。だからこそ、そのときに楽曲も彼女たちも「格が上がった!」と思えるような存在感のものになっていたら嬉しいんですよ。それが実現できたら、今うっちーが言っていたような“面白い曲”みたいなものが輝いてくるはずだし、それこそそういう曲がアルバムを締め括っても面白いかもしれない。その“面白い曲”ってすごいヒントになるような気が、今はしています。
●リリース情報
2ndアルバム
『DIALOGUE+2』
2023年2月22日(水)発売
■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら
【きゃにめ限定盤(CD+Blu-ray+Instrumental CD)】
品番:SCCG-0122
価格:¥7,700(税込)
【初回限定盤(CD+BD)】
品番:PCCG-2207
価格:¥6,600(税込)
【通常盤(CD)】
品番:PCCG-2208
価格:¥3,300(税込)
■きゃにめ限定盤特典
・Instrumental CD
─アルバム楽曲のインストゥルメンタル 12曲
─「世界はこじつけでできている」BGM 5曲(作曲:Akki)
─YouTube DIALOGUE+Official Channel BGM 3曲(作曲:Akki)
─ラジオ体操D1BGM(作曲:岡田力也)
■初回限定盤・きゃにめ限定盤 共通特典
・フルカラーブックレット(32P)
・特典Blu-ray Disc
―ミュージックビデオ
「僕らが愚かだなんて誰が言った」「恋は世界定理と共に」「デネブとスピカ」「1000万回ハグなんだ(アニメ Short Size)」「絶景絶好スーパーデイ!!」
―「絶景絶好スーパーデイ!!」メイキング
―ライブ映像
– 朗読イベント「世界はこじつけでできている」夜公演
– DIALOGUE+ LIVE 2022「puzzle」東京公演
<収録内容>
「僕らが愚かだなんて誰が言った」「恋は世界定理と共に」「デネブとスピカ」と2022年のDIALOGUE+を代表する楽曲たちとライブで披露された「1000万回ハグなんだ」「夕空航路」ほか新曲9曲の全12曲収録。
今作は、瀬名航、睦月周平、広川恵一、ONIGAWARA、中山真斗、堀江晶太、kz(livetune)、佐高陵平、大胡田なつき、古屋真などおなじみのクリエイターに加え、林直大、Akki、sumeshiii a.k.a.バーチャルお寿司など新進気鋭の面々も参加。
M01. D+ has come
作詞:大胡田なつき、田淵智也 作曲:林直大、田淵智也 編曲:林直大、シノダ
M02. 絶景絶好スーパーデイ!!
作詞:田淵智也 作曲・編曲:瀬名航
M03. 1000万回ハグなんだ
作詞:田淵智也 作曲・編曲:睦月周平
M04. 恋は世界定理と共に
作詞:田淵智也 作曲:竹内サティフォ(ONIGAWARA) 編曲:中山真斗 (F.M.F)
M05. めっちゃオンリーユー
作詞:竹内サティフォ 作曲・編曲:ONIGAWARA ブラスアレンジ:伊藤翼
M06. やばきゅん♡シューベルト
作詞:田淵智也 作曲・編曲:広川恵一 (MONACA)
M07. MAHOROBA-Deli
作詞・作曲:田淵智也 編曲:佐高陵平(Hifumi,inc)
M08. 僕らが愚かだなんて誰が言った
作詞・作曲:田淵智也 編曲:kz(livetune)
M09. うしみつあっパレイド
作詞:大胡田なつき 作曲・編曲:Akki
M10. 夕空航路
作詞:古屋真 作曲・編曲:sumeshiii a.k.a.バーチャルお寿司
M11. デネブとスピカ
作詞・作曲:田淵智也 編曲:堀江晶太
M12. ぼくらのユニバース
作詞・作曲:林直大 編曲:栁舘周平 (F.M.F)
8thシングル
TVアニメ「久保さんは僕を許さない」EDテーマ
「かすかでたしか」
2023年3月22日(水)発売
【初回限定盤(CD+BD)】
品番:PCCG-2217
価格:¥5,500(税込)
【通常盤(CD)】
品番:PCCG-2218
価格:¥1,400(税込)
■初回限定盤特典
・フルカラーブックレット(12P)
・特典Blu-ray Disc
「かすかでたしか」ミュージックビデオ・メイキング
「ワンマン」ライブ映像(2022年3月6日、4月2日、6月5日 3公演分)
■通常盤特典
・描き下ろしアニメイラストアナザージャケット
<収録楽曲>※全形態共通
1. かすかでたしか
作詞・作曲:田淵智也 編曲:広川恵一(MONACA)
2. まるっとジブン時代
3. かすかでたしか(TV Size Ver.)
4. かすかでたしか(Instrumental)
5. まるっとジブン時代(Instrumental)
関連リンク
DIALOGUE+オフィシャルサイト
https://dialogue-music.jp/
DIALOGUE+オフィシャルTwitter
https://twitter.com/DIALOGUE_staff
DIALOGUE+ Official YouTube Channel
https://www.youtube.com/channel/UCHds7LkFqXgM7s2usAyzi7g
リスアニ!では本作のリリースを記念し、メンバーとDIALOGUE+総合プロデューサーを務める田淵智也の対談インタビューを全4回にわたってお届け。今回は内山悠里菜・宮原颯希の2人との対談。アルバム制作や前作以降の1年半の振り返りはもちろん、未来を見据えた話題も登場。恐らく最速(?)の、3rdアルバムにまつわる話も必読だ!
INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次
田淵から見えた、1年半でのこの2人ならではの成長
――『DIALOGUE+1』のリリースから1年半。あっという間の2ndアルバムですね。
田淵智也 そうですね。特にこの1年は「彼女たちって、それぞれ何を考えてるんだっけ?」というのをより知ろうとして色んな発見があった1年だった印象です。どうすれば「ライブもレコーディングも頑張る」というクリエイティブな姿勢を維持したまま、1人1人精神的にも健やかに活動できるのか。これまでそれをちゃんと知ろうとしていなかったな……とすごく痛感して。そういう点にも責任を持って進んでいかないといけないなということをすごく考えた1年だったんですよ。そんななかで、2人とも色々話しているときに見つかることもありました。
――ということは、お二人から「こうしてみたい」と発信や相談してみたことも結構あった?
宮原颯希 ありました。
ここ半年くらいでDIALOGUE+のチームが大きく変わったのですが、新しいことを感じさせないくらい、スタッフさんも含めた新しいチームにも信頼感が増した期間だったな……という感覚があります。それを通じて、特に「安心して話せる」と改めて感じられたことは、活動を続けるなかでもすごく大事で嬉しい出来事でしたね。
田淵 宮原さんは、「居心地の良い私」というものを本人が探して、ちゃんとそこを見つけてくれたということがすごく大きな成長だなと、僕は思っています。僕とかファンの頭にある宮原さんの立ち位置が必ずしも正解じゃないよな……と考えたとき、そういえば「宮原さんってどの立ち位置が一番安心するんだろう?」ということを聞いていなかったなと気づいて(笑)。それを知ろうとしたなかで、彼女が目指すところを少し変えたように感じたんですよね。宮原さんは目標だったり仕事として目指すべきところが見えるとそこに向かってすごく頑張れる人なので、その対話のなかで自分が目指すものだったりが何か見つかっていたなら良かったな……と感じたことを、今思い出しました。
内山悠里菜 そういう意味だと、私も「言ってもいいんだ」と思ったことはすごくありましたね。これまでは、与えられたことを自分の中だけで完結していたような感覚が強かったんですけど、「自分はこういうやり方がいい」と伝えられるようになったというか……これまでは結構切羽詰まりながら進んできた感じがあったんですけど、最近では自分に優しくなれる機会が増えたような気がします。ちゃんとお話することで、やり方を提案してくれたりするチームの皆さんや仲間のみんながいるということが、すごく安心できるなって改めて感じました。
田淵 今話してくれたように、内山さんは「自分を知る」ということができてきたのかなと思っていて。僕たちが叶えなければいけないのは「良い音楽をやる」ということだから、それが結果的に達成できるなら自分のできないことや苦手なものを見つけたら違うやり方で山の頂上を目指せばいいよねというお話をしました。
――ということはこの『DIALOGUE+2』のレコーディングでも、そういったことを通じた変化はあったんでしょうか?
宮原 そうですね。
やり方の変化を感じたのは、1日に録る曲数を個人によって変えてもらえるようになったことでしょうか?今までは、例えば「この日、2曲録ります」と全員決まっていたところが、「1日1曲にしたほうがクオリティが上がるなら、1曲にしましょう」というお話をしてもらえて。メンバーごとに合ったやり方ができるようになったなと思いました。
田淵 繰り返しになりますけど、僕がプロデューサーとして就いている限り絶対に見失ってはいけないのは「音楽がちゃんと誇り高いものであること」であり「しっかりライブがかっこいいこと」。それを実現できれば、やり方ってなんでもいいんです。時代的にも“自分らしく生きる”ということが僕はとても大事だと考えていますし、でもそれは人それぞれ違うので、自分自身でやり方を見つけないといけないんですよね。だから今は、1人1人にとってやりやすい形を提案しながら「クオリティの高い音楽とかっこいいライブは必ず維持する」という方向に向かって歩き出した、何歩目かの段階。でもそのトライが少しでも、彼女たちの健やかさに繋がっていればと思います。
――そういった成長も経て完成した『DIALOGUE+2』の、リード曲になっているのは「絶景絶好スーパーデイ!!」です。
田淵 この曲は瀬名(航)くんと一緒に作っているときから、アルバムの象徴的なナンバーを目指していました。それで「彼女たちのストーリーを反映するなら、自分が書いたほうがいいかな」と思って……たしか『DIALOGUE+1』が出る前後くらいに作っていた覚えがあります。
――そのなかで、この曲として目指したかったものはなんでしたか?
田淵 2ndアルバムを象徴するように、「一歩進んだ私たち」というものを表現できたら、という考えもありまして。歌詞の中で“桜の路地はもう見えない”というフレーズが表しているように、昔いたところから一歩先に進んでいる景色になっていればいいなというイメージでした。
正直、それを1stアルバムが出た直後の彼女たちに実現できるかどうかって、その当時は一か八かみたいなところもあったんですよ。出来上がった音源を聴くと、声がしっかり大人になっている感じに仕上がっていて。1年後の作品を見越して書いたことが、上手くハマって良かったなと思いましたね。
宮原 だから、この曲を録ったのも結構前だったんですよね?
田淵 去年の4月とか5月とかだっけ。
――時系列があやふやになるくらい、前なんですね。
宮原 そうですね。でも初めて聴いたときに「DIALOGUE+らしいな」って思ったのは覚えてます。
内山 あ、同じかも!それは私も思った。
宮原 テンポも速くて元気だし、サビの「ス、ス、ス、スーパーデイ」という歌詞もキャッチーで。ログっ子(※DIALOGUE+ファンの総称)さんも好きでしょうし、ライブでも盛り上がるだろうなと思いました。ただレコーディングのときに、その「ス」の数を私が間違えて覚えていっちゃって(笑)。そこが体に馴染むのに一番時間がかかったんですけど、それも面白かったです。
内山 やっぱり私も……「難しかった」です(笑)。でも私は、音楽についての感覚みたいなものをあまり掴めているほうではないので、難しいことを気にするより「楽しくなくなっちゃうほうが嫌だな」みたいな気持ちが強くて。だからとにかく「楽しもう!」と、まずは曲から感じた楽しさや元気さに乗っかっていけたらな……と思いながら歌いました。
――このお二人のレコーディングのときのことで、覚えていることは何かありますか?
田淵 まず、この2人やこの曲に限らないことを前置きとして言うと、今回は僕が歌割りを考えるとき、昔よりも意図的にできるようになっているんですよ。オーディション箇所でも人を絞ったり、「ここはこの人が言ってそうだから、決め打ちでいこう」とか。それはこの曲の、この2人のソロパートについてもそうなんですよね。例えば宮原さんの、2-Bメロの“仲間って助け合うまで全部セットでしょ”というパートもそう。ここはリズムが急に変わるところなのですごく表現が難しいんですけど、ちゃんと包み込むようなお姉さん感も出ている。「宮原颯希はこんな表現もできるんですね」というのが、すごく印象的でしたね。本人が目指したいと心から思って進むところとしても、それを表す歌詞としても、すごく良いソロだったなぁと感じています。あと、その直前のうっちー(内山)の“ほっといたらダメだよ”も、メロディを聴いたときに「うっちーっぽいなぁ!」となったところがあって。
――どんなところで、そう感じましたか?
田淵 内山さんって文字を切るときに独特の切れ際があって、「ウッ」っていう成分が少し交じるんですよね。
その個性のおかげで歌詞を書いている段階から「ここは内山だな」と思ったし、実際にも狙い通りの仕上がりになったと感じています。あと、レコーディングは全然関係ないですけど、MVでDメロの“本文より抜き出せ”で内山さんが抜き出されるのって最高ですよね(笑)。
――村上さんが抜き出すところですね(笑)。
田淵 そうそう。やっぱりリード曲なので、ダンスに関してもより人気のものになったらいいなという気持ちもあったので、そういう見たことのない振付が出たのはすごく面白くて……最初、ニヤッとしました(笑)。
世界一早いアイデア出し!? メンバーが3rdアルバムで歌ってみたい曲とは
――では続いて、1stアルバムの際と同様に、内山さんと宮原さんに『DIALOGUE+2』の新曲の中からお気に入りの曲を1つ挙げていただきたいのですが……。
内山 うーん……。
宮原 難しいね(笑)。
内山 でもそうだなぁ……私、1曲に絞るなら「夕空航路」です。最近レコーディングだったので、すごく聴いたっていうのもあるんですけど……(笑)。今回初めて、みんなの収録済の音源を聴かせていただいてからのレコーディングだったんです。ライブのとき以外に、しかもまだ世に出ていない音源でみんなの歌声を聴くことにすごく新鮮味がありましたし、その歌声がみんな優しくて温かい感じで、泣けるんですよ。
おかげで「みんな、こういう感じで歌ったんだ」とより考えるようにもなりましたし、レコーディング前から情景はかなり思い浮かんでいました。みんなはライブで披露したんだっけ?
宮原 そうね。去年の“puzzle”(DIALOGUE+ LIVE 2022)で歌ってた。
内山 私はそれを観られてはいないんですけど、「もしかしたらこんな表情だったんじゃないかな?」みたいなのも、本当にざっくりとですけど思い浮かべることもできて……それも楽しかったですね。
宮原 私は、「やばきゅん♡シューベルト」ですね。この曲のサビがシャッフルで、タッタカタッタカみたいな特徴的なリズムに乗せて歌うのがすごく心地良かったんです。実は昔歌った「パジャマdeパーティー」もそのリズムだったんですけど、そのときはレコーディングで「これはシャッフルっていうリズムだよ」と教えていただいても「よくわからん!難しい!」と思っていたんです(笑)。でも今回は「たしかに!これはそういうリズムだ!」と自分でも納得がいきまして。そのうえで「このリズムに乗るの、楽しい!」という気持ちでレコーディングできたことが、すごく思い出に残っています。
田淵 この曲自体めちゃくちゃリズムが難しいし、シャッフルやスウィングって口で説明しても伝えきれない、体で覚えるしかないものなんですよ。そうやってしばらく反復しているとある日突然気づくときがあるんです(笑)。バンドとかをやっていてもそうなんですけど。今宮原さんが言ったみたいに、たくさんレコーディングやライブなどをやっている間に「この曲はこういうリズムなんだ」とわかってきたというのは、すごく嬉しいエピソードですね。
――さて、年末に配信された「DIALOGUE+WHITE BOX」のラストで、田淵さんが「3rdアルバムに向けて曲書きます!」とおっしゃっていました。なので気が早いうえに勝手な話ではあるんですけど、内山さんと宮原さんが3rdアルバムでやってみたいことをお教えいただけますか?
宮原 私、バーで流れていそうなジャズチックな曲をやってみたいです。今ある曲だと、「I my me mind」にも大人っぽい雰囲気はありますけど、それよりも暗めのバーに似合うような、オトナな雰囲気の曲といいますか。そういう曲ってまだないし、私自身がこういう雰囲気の曲が好きなので、DIALOGUE+でも歌えたらなと思います。
田淵 参考にします(笑)。そういう曲を歌うには自分たちの歌い方というか、「どんなジャンルを歌っても、こうすれば私たちの歌ってDIALOGUE+っぽくなるよね」という感覚を掴むことが大事になってくるんですよ。バーに似合うようなかっこいい曲を作ったときに、ただ単に無理してかっこつけた歌い方をしてしまうと「それは別にDIALOGUE+がやらなくてもいいんじゃない?」という感じになってしまう。でもそれを「DIALOGUE+印の、バーで流れるようなジャズっぽい曲」にするためには自分たちの歌い方を身につけることが必要だし、その折り合いをどうつけるのかを考えるのもすごく楽しそうですよね。それはグループ全体としてもそうだし、宮原さんが歌って「ここは宮原のパートだ!」とちゃんとわかるような、「宮原颯希っぽく歌う」ための歌唱力のようなものも必要になってくると思います。
――内山さんはいかがですか?
内山 私は音楽知識が全然ないのでちょっと漠然としているんですけど、面白い曲があると楽しいな、と思っていて。
――“面白い曲”ですか?
内山 春夏秋冬じゃないですけど、歌っていくうちに景色の変わる曲?「Aメロはこういう景色だったのに、Bメロでは違う景色に行って、サビはまた違って……」みたいに、聴きながら移り変わってゆく景色みたいなものが見えたら面白いんじゃないかな、と思っていて。もしかしたらダンスも、景色が変わったところはシーンの切り替えみたいに表現できるのかな?とか……音楽だけじゃなくてダンスの話もしてしまってすみません。
田淵 いや、いいんですよ。組曲みたいな感じなのかな?
内山 うん。それが面白いかなと思いました。
田淵 参考にします(笑)。……いや、話を聞きながら「なるほどな」と思ったところがあったんですよ。これはあくまでも僕だけが勝手に考えていることなんですけど……僕が目指している3rdアルバムのイメージって、「DIALOGUE+という音楽を、1回完成させる」という狙いがあって。そのときに、1個格が上がっていてほしいといいますか。
――格が上がる、とは?
田淵 『DIALOGUE+1』は偶発的にできたすごく完成度の高いアルバムで、この『DIALOGUE+2』はさらに挑戦を恐れないタイプの、トータルバランスをあまり気にせず作ったものになった。そこから続いていった道を3rdではしっかりまとめたいし、そのうえでログっ子に対して「これからもよろしくね」と言えるようなものにしたいんです。だからこそ、そのときに楽曲も彼女たちも「格が上がった!」と思えるような存在感のものになっていたら嬉しいんですよ。それが実現できたら、今うっちーが言っていたような“面白い曲”みたいなものが輝いてくるはずだし、それこそそういう曲がアルバムを締め括っても面白いかもしれない。その“面白い曲”ってすごいヒントになるような気が、今はしています。
●リリース情報
2ndアルバム
『DIALOGUE+2』
2023年2月22日(水)発売
■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら
【きゃにめ限定盤(CD+Blu-ray+Instrumental CD)】
品番:SCCG-0122
価格:¥7,700(税込)
【初回限定盤(CD+BD)】
品番:PCCG-2207
価格:¥6,600(税込)
【通常盤(CD)】
品番:PCCG-2208
価格:¥3,300(税込)
■きゃにめ限定盤特典
・Instrumental CD
─アルバム楽曲のインストゥルメンタル 12曲
─「世界はこじつけでできている」BGM 5曲(作曲:Akki)
─YouTube DIALOGUE+Official Channel BGM 3曲(作曲:Akki)
─ラジオ体操D1BGM(作曲:岡田力也)
■初回限定盤・きゃにめ限定盤 共通特典
・フルカラーブックレット(32P)
・特典Blu-ray Disc
―ミュージックビデオ
「僕らが愚かだなんて誰が言った」「恋は世界定理と共に」「デネブとスピカ」「1000万回ハグなんだ(アニメ Short Size)」「絶景絶好スーパーデイ!!」
―「絶景絶好スーパーデイ!!」メイキング
―ライブ映像
– 朗読イベント「世界はこじつけでできている」夜公演
– DIALOGUE+ LIVE 2022「puzzle」東京公演
<収録内容>
「僕らが愚かだなんて誰が言った」「恋は世界定理と共に」「デネブとスピカ」と2022年のDIALOGUE+を代表する楽曲たちとライブで披露された「1000万回ハグなんだ」「夕空航路」ほか新曲9曲の全12曲収録。
今作は、瀬名航、睦月周平、広川恵一、ONIGAWARA、中山真斗、堀江晶太、kz(livetune)、佐高陵平、大胡田なつき、古屋真などおなじみのクリエイターに加え、林直大、Akki、sumeshiii a.k.a.バーチャルお寿司など新進気鋭の面々も参加。
M01. D+ has come
作詞:大胡田なつき、田淵智也 作曲:林直大、田淵智也 編曲:林直大、シノダ
M02. 絶景絶好スーパーデイ!!
作詞:田淵智也 作曲・編曲:瀬名航
M03. 1000万回ハグなんだ
作詞:田淵智也 作曲・編曲:睦月周平
M04. 恋は世界定理と共に
作詞:田淵智也 作曲:竹内サティフォ(ONIGAWARA) 編曲:中山真斗 (F.M.F)
M05. めっちゃオンリーユー
作詞:竹内サティフォ 作曲・編曲:ONIGAWARA ブラスアレンジ:伊藤翼
M06. やばきゅん♡シューベルト
作詞:田淵智也 作曲・編曲:広川恵一 (MONACA)
M07. MAHOROBA-Deli
作詞・作曲:田淵智也 編曲:佐高陵平(Hifumi,inc)
M08. 僕らが愚かだなんて誰が言った
作詞・作曲:田淵智也 編曲:kz(livetune)
M09. うしみつあっパレイド
作詞:大胡田なつき 作曲・編曲:Akki
M10. 夕空航路
作詞:古屋真 作曲・編曲:sumeshiii a.k.a.バーチャルお寿司
M11. デネブとスピカ
作詞・作曲:田淵智也 編曲:堀江晶太
M12. ぼくらのユニバース
作詞・作曲:林直大 編曲:栁舘周平 (F.M.F)
8thシングル
TVアニメ「久保さんは僕を許さない」EDテーマ
「かすかでたしか」
2023年3月22日(水)発売
【初回限定盤(CD+BD)】
品番:PCCG-2217
価格:¥5,500(税込)
【通常盤(CD)】
品番:PCCG-2218
価格:¥1,400(税込)
■初回限定盤特典
・フルカラーブックレット(12P)
・特典Blu-ray Disc
「かすかでたしか」ミュージックビデオ・メイキング
「ワンマン」ライブ映像(2022年3月6日、4月2日、6月5日 3公演分)
■通常盤特典
・描き下ろしアニメイラストアナザージャケット
<収録楽曲>※全形態共通
1. かすかでたしか
作詞・作曲:田淵智也 編曲:広川恵一(MONACA)
2. まるっとジブン時代
3. かすかでたしか(TV Size Ver.)
4. かすかでたしか(Instrumental)
5. まるっとジブン時代(Instrumental)
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