「アイドルマスター」シリーズの合同ライブ“THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023”DAY2が2023年2月12日、東京ドームにて開催された。

DAY2は「アイドルマスター 765プロオールスターズ」から天海春香役の中村繪里子、如月千早役の今井麻美、星井美希役の長谷川明子、萩原雪歩役の浅倉杏美、高槻やよい役の仁後真耶子、菊地真役の平田宏美、水瀬伊織役の釘宮理恵、秋月律子役の若林直美、双海亜美・真美役の下田麻美、我那覇 響役の沼倉愛美が出演。


「アイドルマスター シンデレラガールズ」からは“Threat Sign”本田未央役の原 紗友里、結城晴役の小市眞琴、ナターリア役の生田 輝、“Dimension-3”一ノ瀬志希役の藍原ことみ、二宮飛鳥役の青木志貴、“Flamme Martini”桐生つかさ役の河瀬茉希、三船美優役の原田彩楓、星輝子役の松田颯水、藤原肇役の鈴木みのり、“HappyHappyTwin”双葉 杏役の五十嵐裕美、諸星きらり役の松嵜 麗、“miroir”久川凪役の立花日菜、久川 颯役の長江里加が出演。

「アイドルマスター ミリオンライブ!」からは“Chrono-Lexica”永吉昴役の斉藤佑圭、ロコ役の中村温姫、真壁瑞希役の阿部里果、“閃光☆HANABI団”高山紗代子役の駒形友梨、福田のり子役の浜崎奈々、横山奈緒役の渡部優衣、佐竹美奈子役の大関英里、“4 Luxury”桜守歌織役の香里有佐、豊川風花役の末柄里恵、北上麗花役の平山笑美、馬場このみ役の髙橋ミナミが出演。

「アイドルマスター SideM」からは“FRAME”握野英雄役の熊谷健太郎、木村 龍役の濱 健人、信玄誠司役の増元拓也、“Café Parade”神谷幸広役の狩野 翔、卯月巻緒役の児玉卓也、水嶋 咲役の小林大紀、“F-LAGS”秋月 涼役の三瓶由布子、九十九一希役の比留間俊哉、兜大吾役の浦尾岳大が出演。

「アイドルマスター シャイニーカラーズ」からは“イルミネーションスターズ”櫻木真乃役の関根 瞳、八宮めぐる役の峯田茉優、“アンティーカ”月岡恋鐘役の礒部花凜、田中摩美々役の菅沼千紗、白瀬咲耶役の八巻アンナ、三峰結華役の希水しお、幽谷霧子役の結名美月、“アルストロメリア”大崎甘奈役の黒木ほの香、大崎甜花役の前川涼子、桑山千雪役の芝崎典子、“シーズ”七草にちか役の紫月杏朱彩、緋田美琴役の山根 綺が出演。

スペシャルゲストとして「961プロダクション」からは“ZWEIGLANZ”玲音役の茅原実里、詩花役の高橋李依が出演した。

以上58役57名のアイドルが登場。
「アイドルマスター」シリーズ単独では初となる東京ドーム公演で、現行5ブランド+スペシャルゲストが集まる合同ライブのDAY2が幕を開ける。

TEXT BY 中里キリ

始まりのアイドル・天海春香の「ドームですよ、ドーム!」の声に送り出されるようにステージに駆け出したのは、出演ブランド中もっとも新しいアイマスである「シャイニーカラーズ」の面々。「シャイノグラフィ」という同作最強の名曲を初手でぶっ放してきた。「SideM」の「Growing Smiles!」、「ミリオンライブ!」の「Flyers!!!」、「シンデレラガールズ」の「BEYOND THE STARLIGHT」、そして765プロオールスターズの「Happy!」と、DAY1の逆回りで挨拶代わりには強烈すぎる自己紹介を届けていった。

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シンデレラチームの熟練感すら漂うオープニングMCを経て、第1ブロックは「ヒカリのdestination」からスタート。歌唱担当は中村繪里子、今井麻美、長谷川明子!走り始めたばかりの「シャニマス」のフレッシュ感を象徴する楽曲とレジェンドアイドルたちの取り合わせが面白いが、この3人の組み合わせは17年前の東京ゲームショウで長谷川明子が初ステージを踏んだときのメンバーでもある。
シャッフルをシャッフルで終わらせず、自分たちの輝きを上乗せしてドームに届けていく地力に、止まらずに走り続けてきた時と経験の積み重ねを感じた。

日曜日。双子が多いメンバー。誰もが来るとわかっていても、当たれば倒れてしまうパンチというものがある。双子アイドルmiroir(立花日菜・長江里加)による「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」だ。コールありの環境でのこの姉妹ならではの掛け合いやラップに酔いしれていると、ステージ下段に登場したのは待っていましたの下田麻美(双海姉妹)と黒木ほの香&前川涼子(大崎姉妹)の双子アイドルたち!下田のソウルフルですらあるパワー溢れるラップに、前川たちがのんびりした合いの手を入れていく呼吸が楽しい。
演出面で本当に素晴らしかったのが、各姉妹を映し出したスクリーンの見せ方。1人で二役を務める下田の姿を左右対称に映し出すことで、スクリーンに6人3組の双子を現出させたのはたまらない演出だった。

“ツイン”繋がりで登場したのは、HappyHappyTwin(五十嵐裕美、松嵜 麗)の「あんきら!?狂騒曲」!最初のブロックから怒涛の畳みかけだ。ステージ両端に立った2人が歩み寄りながら喧嘩したり仲直りしたりのくだりも、今日はレフトとライトよりも離れた距離で上演される。お互いの表情は、見えていないはず。なのに、ちゃんと心が繋がっていることがわかってしまう永遠のパートナーたちだ。
そしてコールアンドレスポンスのパートでセンターステージに登場したのは、斉藤佑圭、渡部優衣、三瓶由布子、比留間俊哉、浦尾岳大、関根瞳、峯田茉優、希水しおという面々。心なしか、普段から控室で野球をして怒られていたり(アイドルが)、東京ドームの試合をビジターで観戦していそうな(演者が)顔ぶれが混ざっているのが楽しい。コールアンドレスポンスを各ブランドのタイトルに替え歌したりと最高にハッピーな空間の中で、浦尾が本当に楽しそうに弾けていたのが印象に残った。だって、あんなに楽しそうなんだもの。

アルストロメリア(黒木ほの香、前川涼子、芝崎典子)の「ラブ・ボナペティート」はアイドルの可憐さかわいらしさを凝縮したような楽曲だが、そこに765ASのキュート&あずとさ担当の釘宮理恵&浅倉杏美と、カフェでおもてなしのイメージでCafé Paradeが登場!ちょっと懐かしめなトーンの女性アイドルテイストが抜群に似合う女性陣のなか、キュートな振付に一生懸命に対応する狩野 翔の姿が楽しくてかわいらしい。児玉卓也と釘宮、小林大紀と浅倉の並びが違和感ゼロでハマっているのも“アイドル”という存在の奥深さを感じた。


カフェパレ組はステージに残って、そのまま「Pavé Étoiles」へ。虚空からアスランの高笑いが響くと、ステージは一気に大人のムードに変わる。小林のダンスのキレの良さに、これはかわいいだけじゃないぞ、という予感が走った。中盤に登場した助っ人は、楽曲のテイストにあまりにもぴったりなアンティーカ、それもフルメンバー!色とりどりの高音があつらえたようにぴったりとハマって、魅力的な多人数編成に仕上がっていた。ラストはこの人しかいない小林大紀の“キュン”と、眩しいぐらいのウィンクで締め括った。

トロッコに乗って登場したシンデレラガールズが歌唱するのは、原曲放課後クライマックスガールズの「太陽キッス」!ゆったりと聴かせる歌い出しで内圧を高めると、一気に駆け出すような青春感を溢れさせた。
「もっと、もっと声出せんだろォ~!?」と激しいシャウトでさらなる歓声をあおったのは松田颯水。MCの自己紹介でもそうだったが、ユニットカラーに合わせた大人の装いのなかで、隙あらば輝子の弾けた部分も出していこうとしているのが良い感じだ。タオルをぶん回しながら、シンデレラ流の青春感溢れる「太陽キッス」だった。

第2ブロックは“FIVE STARSみんな元気メドレー!!!!!”と題したメドレータイム。DAY1とはブロックの配置ごと入れ替えてきた。トップバッターは仁後真耶子、松嵜 麗、中村温姫、狩野 翔、黒木ほの香による「キラメキラリ」!恐らくドームでの披露がもっとも待ちわびられていた楽曲の1つであることは、広大な会場を満たす圧倒的な物量のウルトラオレンジからも伝わってくる。助っ人勢もオープニングからの参加で、狩野が全力かつ遠慮なしできらめいていく過剰な存在感が気持ち良い。オープニングのモンキーダンスからしてこれでもかと全力なのだ。中村の背後から4人が顔を出す振付でも、狩野は踏み出す足のストライドが大きく、かっこいい男性アイドルがここにいますよ!と主張している感じで、だからこそ後ろからぴょんぴょんジャンプして存在をアピールする仁後の全力なかわいらしさが際立っていた。

「きゅんっ!ヴァンパイアガール」は、藍原ことみ、菅沼千紗、芝崎典子が披露。どこか浮世離れした空気感が楽曲にぴったりとくるアイドルたちだ。菅沼の摩美々らしさ溢れる歌い出しと微笑み、そして笑顔の芝崎の「きゅんっ」のハマることと言ったらない。ひとたび歌い出せば空間に魔法をかける藍原の魔力は東京ドームでも健在。サビでは3人の魅力が合わさって、オリジナルで魔性な「きゅんパイア」が爆誕していた。

まさかの「Treasure☆」はF-LAGS(三瓶由布子、比留間俊哉、浦尾岳大)と閃光☆HANABI団(駒形友梨、浜崎奈々、渡部優衣、大関英里)が披露。原曲は「シンデレラガールズ」のラジオ番組「デレパ」発という意外なチョイス。勇壮に旗をふるいながら船の舵を取るのはF-LAGS。歌い出し、三瓶の高らかな歌声が誰よりも男の子アイドルしているのがグッとくる。やがて襲い来る嵐に翻弄されるF-LAGS号を助けに来たのは、閃光☆HANABI団号!彼女たちが「もう大丈夫!助けに来たよ!」と登場すれば、どんなピンチも問答無用の元気とパワーで何とかしてくれる安心感がある。最後は7人が一列に並んで、フラッグを掲げるポーズと敬礼でビシッとまとめた。

組み合わせの勝利だったのが、長谷川明子、五十嵐裕美、前川涼子による「Study Equal Magic!」!先生たちの愛情に満ちた原曲を、補習を受ける側の問題児?たちの目線で再解釈した。歌い出し、ステージ脇から甜花、杏、美希の(役の)3人がぴょこっとコミカルに顔を出すと、それだけでこの教室は簡単じゃねぇ!という予感が走る。演出も単なるカバーではなく生徒側から見たB面を描き出そうとする意欲に満ちていて、スクリーンに浮かぶ英単語が“つかれた”“ねむい”の意だったり、数式が美希の大好きなおにぎり算になっていたりと、なんとか勉強に興味を持ってもらおうとする先生側の熱意が伝わってくる。両手で三角を作るようないわゆるタケノコニョッキポーズが、センターが長谷川になった瞬間“おにぎり”ポーズに見えてくるのは天才のアイデアだった。

「よぉし、勉強のあとは運動だ!」とステージに駆け込んできた頼れるアニキたちはFRAME(熊谷健太郎、濱 健人、増元拓也)!小市眞琴、斉藤佑圭、浜崎奈々、峯田茉優、紫月杏朱彩というやる気も運動性能も高そうなアイドルたちと歌うのは「ココロ☆エクササイズ」だ。FRAMEのパワフルなボーカルと女性陣の華やかな合いの手という対比でメリハリを出すと、FRAMEの3人のワイルドすぎる「腹筋!背筋!胸筋!」が炸裂したのは痛快の一言だった。

合同ライブならではの期待に応えたのが、大関英里、増元拓也、礒部花凜による「恋のHamburg♪」。「シンデレラガールズ」が誇るお料理アイドル・五十嵐響子の楽曲を、各ブランドのお料理得意アイドルがカバーするというシンプルかつ最強の組み合わせだ。増元が実に良い笑顔で拳を突き上げながら叫ぶ「ハンバーグ!!」の雄たけびは理屈のいらない面白さ。勉強と運動で頑張ったあとはウマい飯だ!と言わんばかりの曲順も素晴らしい。3人が作るハンバーグはいずれも最高においしそうで、各ブランドのお料理アイドルのさらなる参戦が期待される一皿だった。

「学祭革命夜明け前」は沼倉愛美、河瀬茉希、中村温姫、児玉卓也、小林大紀が披露。一見学祭ライブには縁が薄そうなアイドルたちによるレジスタンスの歌だろうか。センターステージの五角形の頂点に立った5人が五色五様のパフォーマンスを見せるのだが、歌い出しの響(沼倉)がとにかく凛々しくかっこいい。クールなかっこよさを極めた河瀬と、小林のキュートさや児玉の優雅さといった対比を見ていると、アイドルの魅力を見るのに性別はそんなに重要ではないのでは?という気分にさせられた。

トロッコから「プロデューサーさん、近くで歌ってもいいですかー!」とよく通る声を響かせたのは関根 瞳。「シャイニーカラーズ」による「虹色ミラクル」だ。同曲は劇場版「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ」(2014)のEDテーマとして作られた名曲。一方、「シャイニーカラーズ」には現在7つのユニットが存在していて、個性の虹の七色になぞらえていると見る向きもある。「シャニマス」が生まれる前の楽曲が、新たなアイマスの担い手たちにこんなにぴったりとハマって輝いているのがとても嬉しい。

顔いっぱいの笑顔で会場に笑いかける八巻アンナや、めまぐるしく変わる表情豊かさでトロッコ無双する希水しお、本当に優しい笑顔でプロデューサーに笑いかける結名美月、嫌そうで嬉しそうなものすごい(表現が難しい)表情で大ハートを作る菅沼千紗、その菅沼にほとんどの時間かまっている礒部花凜など、アンティーカ勢の躍動が特に印象に残った。あとは無敵の投げキッスを投げていた芝崎典子が、客席の特定のプロデューサーをバキュンと狙い撃ったのは殺傷力が高すぎた。

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第3ブロックは「ミリオンライブ!」チームによる「バーニン・クールで輝いて」からスタート!かなり意外な組み合わせだが、ミリオンには混沌を飲み込んでパワーと輝きに変える懐の深さがある。浜崎奈々の「2・12、東京ドーム!!」の力強い呼びかけで、会場とプロレスの聖地としてのドームがリンクすると、たちまち空間は熱狂の渦に変わる。渡部優衣の突き抜けるような「行くでー!!」の扇動に、ドームは満場の「おいおい!!」の叫びで応えていった。間奏の煽りに散りばめられた“誰一人手放さない”“ひゃくまんパワー”といったワードで、ミリオンの血肉を感じさせる楽曲に昇華させているのが流石だった。

「Friendly Smile」は長谷川明子、原 紗友里、峯田茉優のトリオが披露。前日の青→赤に続き、いわゆる信号機の黄色枠(美希のカラーはフレッシュグリーンだが)が集った。同曲はアニメ『アイドルマスターSideM 理由あってMini!』のEDテーマだが、美希未央めぐるの親しみやすい笑顔からの連想だろうか。元気がないクラスの友達に話しかけるイメージが驚くほどめぐるや未央にハマるし、振付も含めたパフォーマンスが女性アイドルのそれとしてあまりにも自然に馴染んでいるのが選曲の勝利だった。

FRAME(熊谷健太郎、濱 健人、増元拓也)の「Plus 1 Good Day!」は“君”の背中を優しく力強く支える大きな掌のような楽曲。限られた時間にも関わらず助っ人が到着する“前”の3人のパフォーマンスの完成度と輝きが素晴らしく、見せるべきときに魅せる勝負強さを感じた。助っ人にも小市眞琴、生田 輝、駒形友梨、平山笑美、関根 瞳、紫月杏朱彩という応援で誰かの背中を押す姿が似合うアイドルが集まった。助っ人陣の声質やハイトーンの伸びが特徴的で、FRAMEの骨太な歌声にキュートな歌声が寄り添うことで輪郭がくっきりと際立った気がした。

F-LAGS(三瓶由布子、比留間俊哉、浦尾岳大)は「♡Cupids!」を披露。F-LAGS流の恋の応援歌を、バレンタイン間近の最高のタイミングで披露した。そこに、最強の助っ人が登場したのは曲の中盤。“連れてきちゃお”のフレーズに応えるように「Happy love!!」と歌いながら合流したのは若林直美!三瓶が演じる秋月 涼は若林演じる秋月律子のいとこという設定であり、芸能界に涼を連れてきちゃったのが“律子姉ちゃん”だった。そんな2人がこの日、日本一、いや世界一のステージ上で再会する。

「♡Cupids!」は律子のかわいい一面が本当にピッタリくる楽曲で、若林がセンターステージ狭しと動き回りながら3人と一緒に指ハートでポーズを取っていく姿は本当に自然。そう、3人と一緒。涼だけでなく、4人でチームを組んでステージに立つのが秋月律子なのだ。比留間と浦尾が両手で作った大きなハートの中で、三瓶と若林が仲良く歌う。夢のような光景だった。

「ALIVE」とは、2009年に発売された「アイドルマスター ディアリースターズ」に登場するアイドル・日高 愛が母親である日高 舞から受け継いだ楽曲だ。彼女と彼女を愛するプロデューサー/ファンにとってはとても大切かつ特別な楽曲であり、カバーとしての扱いも難しい。今回のライブでは、今井麻美、鈴木みのり、香里有佐、山根 綺が歌唱を担当した。「ALIVE」作編曲の椎名 豪が手掛ける音楽は独創的であり、椎名楽曲と縁の深い今井や鈴木が歌唱するのは自然なチョイスだろう。

声なき神への挑戦。究極の歌唱力と表現力が求められる楽曲に対して、各ブランドが自信を持って送り出せる今の最適答がこの4人だったということだろう。ここはステージに現出した歌姫楽園、究極のアイドルが住まう場所だ。そのなかで個人的に新鮮な驚きがあったのが山根 綺の歌唱だ。「シャニマス」ではシーズのユニットカラーに合わせたパフォーマンスを見ることが多いだけに、表現力に特化した独唱でこれほど圧倒的な引き出しを見せてくれるのは嬉しい驚きだった。

そして最上には最上、最強には最強を。続いてのステージでは、961プロダクションの最新世代のユニット。ZWEIGLANZ(茅原実里、高橋李依)の「アライアンス・スターダスト」が歌われた。幻想的なステンドグラスと燃えさかる劫火を背景に、圧倒的な存在感のパフォーマンスを繰り広げる2人。これがオーバーランク!印象に残ったのは高橋の表情。ドームという極限の舞台で、茅原というレジェンドクラスのアーティストと並び立って歌い踊る笑顔が、本当に愉しそうで幸せそうなのだ。その姿は、もっと高め合おうと望む、天賦の才ゆえの狂気性に見えた。それは役者としての高橋が悩みに悩み抜いたうえで掴み取った、このステージの唯一解であるように感じられた。

ZWEIGLANZのMCでは、茅原から「私たち、野望を見つけました」との言葉が。引き継いだ高橋が「私たち、961プロフェスがやりたいです!」と叫ぶように告白すると、会場は熱狂的な歓声で応えた。作品間で設定がパラレルな部分をどう昇華するかなど難題はあるが、多くの人が夢想してきた夢……いや野望が東京ドームのステージで形のある言葉にされたことは、胸が高鳴るような素敵な経験だった。

灼熱の第4ブロックは、Flamme Martini(河瀬茉希、原田彩楓、松田颯水、鈴木みのり)の「レッド・ソール」からスタート。ハイスペックなボーカルとビジュアルを叩きつける、「シンデレラガールズ」が誇る超実力派ユニットだ。紅と黒を基調にした衣装の足元では真紅のハイヒールが鈍く光る。そしてそこまでやるか!となったのが助っ人陣で、どよめく会場の中で茅原実里が歌い出すと、末柄里恵、髙橋ミナミ、山根 綺とアイマス界ボーカル力世界選抜のような面々が続く(と、自然に思うぐらい「ALIVE」以降の山根の存在感は傑出していた)。アウトロでは8人それぞれの大人のテイストのポーズで決め。本当に良いものを見たと、ため息が出るようなパフォーマンスだった。

ここからは助っ人に入ったチームがそのままステージに入って畳みかける怒涛の流れが続く。Chrono-Lexicaより斉藤佑圭、中村温姫、阿部里果は「dans l’obscurite」を披露。黒き衣装と焔を纏った中二病ユニットとくれば、ステージに加わるのはもちろんアンティーカの5人だ。この8人は楽曲と両ユニットの親和性があまりにも高く、カメラが抜く映像の割り方も1つのチームに対するものと言ってもいいほど。“(甘く呪いの言葉)-ジュテイム-”のフレーズで、暗い照明の中菅沼千紗が見せた絶品の表情を押さえたスイッチャーには拍手を贈りたい。この曲ではアシストする役割であるアンティーカの5人からは、表情と佇まいだけで東京ドームを虜にする(!)というはっきりとした目的意識が見えていた。

そのままの流れでアンティーカ(礒部花凜、菅沼千紗、八巻アンナ、希水しお、結名美月)の「純白トロイメライ」へ。前曲のアウトロからポジションチェンジをすると、八巻をセンターに置いてかしずく4人。八巻の背後に玉座が視える気がするほど明確にイメージが共有されている。以前と比べてグッと存在感を増したように感じるのは希水で、彼女が表現する三峰らしさが見えてきた。

曲の流れを見ればゲストもある程度予想できるもので、本ライブはそこの期待を外さない打率が素晴らしい。アンティーカの代表曲と言えば「バベルシティ・グレイス」。となれば、ここで現れるのは必然的に、同じく破滅の都を冠した楽曲繋がりのDimension-3(藍原ことみ、青木志貴)だ。2人がくると“理解って”いても、青木が歌い出したときには観客のどよめきが抑えきれない。このライブ感こそ有観客ライブの醍醐味だろう。ワルツ調のパートを技巧的に歌う藍原と青木の姿はとても新鮮で、ミュージカル調の楽曲の中でここまで“歌唱”の色にフォーカスして見たのは初めてだったかもしれない。ただしアウトロのダンスでは、藍原の舞台のような鮮やかな体さばきに瞠目したことも付記しておく。ラストは大階段に8人が座り、一幅の絵画のようなキメカットで締め括った。

照明が明滅すると、Dimension-3(藍原ことみ、青木志貴)の2人は立ち上がってリフトごと階段上のステージへ。「バベル」の時間だ。スモークとレーザーがステージ上に余人の存在を許さない結界を生み出していく。リフト、このためだけに仕込んだのならちょっと正気を疑うこだわりだ。2人が天空に昇るリフト上でカウントダウンからのダンスワークを見せる頃には、ステージ上は100%Dimension-3のエリアになっていた。とにかく、空間の支配力が素晴らしい。そしてステージ上で舞うように踊っていた2人が4人に増えたかと錯覚するほど、自然にステージに登場したのはシーズの紫月杏朱彩と山根 綺だった。

パート構成は山根と紫月にかなりバッサリとロングソロを渡す内容になっていて、Dimension-3の世界に入っていった2人がバチバチとやり合っているように感じる。そのこと自体が本当に非凡なる若者たちだと感じた。それだけですごいんだって!最高に良かったのは、藍原と青木が指を絡ませる妖艶なくだりで、山根と紫月が手を触れ合わせなかったこと!立ち位置的にもそれが自然ではあるのだが、互いに手を差し伸べながらも指先は触れない関係性がシーズそのものに思えて、たまらなかった。

シーズ(紫月杏朱彩、山根 綺)の2人が決然とした足取りで階段を降りると、さっとポーズを取った立ち姿が驚くほど絵になる。ここまで2人が他者に“対応”して様々な表情とパフォーマンスを見せてきたからこそ、シーズとして研ぎ澄ましてきた本来のステージングが、改めて鮮烈に映る。そしてそこにラップパートで入ってきたのは……ZWEIGLANZの茅原実里と高橋李依!この流れでこの楽曲の世界に入り込めるのは、やはり最強をまとった2人しかいなかっただろう。逆に言えば、「シャイニーカラーズ」のもっとも新しいユニットが、レジェンドをこの場に引きずり出すだけの非凡さを備えた証だとも言えるかもしれない。

さて、961プロのアイドルたちが存在感を見せつけたところで、会場に流れ始めたのは……“961プロ”の始まりとなった楽曲「オーバーマスター」だった。2008年にパシフィコ横浜で、当時まったく無名の新人だった我那覇 響役の沼倉愛美、四条貴音役の原 由実がこの曲で鮮烈なデビューを飾り、961プロの伝説は始まった。

今回ステージに現れたのもまた3人のスタイリッシュなシルエット。暗がりから仄かに赤く照らし出されたのは……原 紗友里だった。「シンデレラガールズ」発のユニットThreat Sign(原 紗友里、小市眞琴、生田 輝)の登場だ。待機中のポーズは15年前のプロジェクトフェアリーをリスペクトしたもので、15年ぶりにそこにいるのが誰か最初はわからない、でも何かが始まる予感はビンビンに来るという体験をさせてもらった。

この曲は個人的には予想外のサプライズだったが、裏を返せばThreat Signならこのライブの流れを受け止めたうえで、期待を超えるものを見せてくれるとの運営チームからの信頼があったはず。そしてそれをすぐに実感させてくれたのが、ほかならぬ3人のパフォーマンスそのものだった。

自分は、原や小市のライブパフォーマンスをかなりたくさん見てきたと思う。だからこそ、このステージに立つ3人からは、Threat Signという新しいユニットだから見せられるものを伝えようとする気迫がみなぎっているように感じた。そしてダンスに仕草に表情に、時に挑発的なぐらいに攻めた表現を見せる生田。その姿を見て、こんなナターリアを見てみたかったと感じたのは自分だけではないはずだ。

そして「オーバーマスター」の歌唱の自然な流れを受けて、センターステージの五角形の残り2つの頂点を埋めたのは、オリジナルメンバーである沼倉愛美と長谷川明子だった。あえての逆助っ人の2人は、必要以上の気負いなく、誰よりもかっこよく、鮮烈なパフォーマンスを見せた。あの頃の長谷川には、髪の毛のちょっとした扱いだけで女としての格の違いを見せつけるなんて、思いつきもしなかったはずだ。765プロとして積み重ねた時間の価値を見せつけるような、圧巻のステージだった。

激流のような第4ブロックを締め括ったのは、SideMによる「Raise the FLAG」。SideMの“F-LAGS”(三瓶由布子、比留間俊哉、浦尾岳大)と、「ミリオンライブ!」で最強に熱い楽曲の1つである“「Raise the FLAG」”を事前に結びつけた人は多かっただろう。そしてこの組み合わせには、言葉や説明がいらない。最高に熱い楽曲を、最高にかっこいいアイドルたちが歌う、そのシンプルな強さ。そしてラップと男性アイドルは極めて親和性が高い。トロッコの先頭で三瓶が心の旗を振り、重低音の骨格をFRAME(熊谷健太郎、濱 健人、増元拓也)が担う。そんなの、315に決まっている。今日のライブにSideMチームがいてくれて良かったと一番感じたのは、この曲だったかもしれない。

DAY2のラストブロックは“最高に明るく楽しく”がコンセプトで、765プロオールスターズの「Yes! Party Time!!」からスタート。全員が衣装スターリー・フューチャーズを身に着けたAS組は白に桜色をあしらった妖精のようだが、トロッコでわちゃわちゃと大暴れする姿は振り切っている。トロッコに乗って他ブランド曲を歌うシャッフルパートは全ブランドに用意されていたが、「Yes! Party Time!!」といえば、ライブにコールが還ってくる日を焦がれるぐらいに待たれていた最高のパーティーチューン。それを歓声が復活したタイミングで“引き当てる”運も含めて、流石は765プロ。“持っている”と言えるかもしれない。

「Yes! Party Time!!」は2016年に神戸で初披露されたが、その時期に「ちゃんと見てるよ!」のフレーズを聴けば、思い出したのは2014年の劇場版「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」での天海春香の「後ろの席までちゃんと見えてるからね!」の言葉だった。シリーズを超えて「アイドルマスター」を繋いでいくなかで、歌詞や楽曲制作の中でこうした引用やリスペクトは数多く行われてきた。だから、765プロがこの曲を歌って、春香役の中村自身が「ちゃんと見てるよ!」をケレン味たっぷりに歌うことにドキッとするのはある意味逆輸入というべき必然なのだと思う。このフレーズは、ステージサイドでいつも視野を広く持っている若林が歌ったり、一番新しい仲間の浅倉がTVアニメでの「いぇーい!」を思い出す前傾姿勢で歌ったりとポイントになっていた。

続いてセンターステージに登場したのはイルミネーションスターズより関根 瞳と峯田茉優!楽曲は「Happy Funny Lucky」だ。ステージを照らす花びらのような形の光は2人のイメージカラー。光照らすステージで、それ以上に眩しい2つの笑顔が輝く。助っ人として登場したのはmiroir(立花日菜、長江里加)とHappyHappyTwin(五十嵐裕美、松嵜 麗)。長江の元気いっぱいの歌唱と立花の凪感あふれる歌唱が並び立ちながらも、くっきりとキャラクターが立っていて楽しい。あんきらことHappyHappyTwinは文字通りHappy繋がりの登場。キュートかつ優しい包み込むような歌声が良い。一列に並んで“こんなに大切な仲間達と同じ時を生きるって奇跡だもん”のフレーズを歌いながら、松嵜 麗と峯田がブランドの枠を超えた仲間として目線を合わせて頷き合っているのが、とてもエモーショナルだった。

「Bet your intuition!」は「SideM」発のジャジーでセクシーなナンバーだが、今回は「シンデレラガールズ」のFlamme Martini(河瀬茉希、原田彩楓、松田颯水、鈴木みのり)と、「ミリオンライブ!」の4 Luxury(香里有佐、末柄里恵、平山笑美、髙橋ミナミ)という両者を代表する高歌唱力ユニットがカバー。楽曲のスタイリッシュさはそのままに、艶やかな大人の女性の歌に仕上げてきた。サビの““運命”という名で結ばれてた 待ち望んでいた夢ならば”のフレーズが、この場所で5つの星がようやく出会ったことを示しているようでグッとくる。だが、デレミリが交互にソロを歌い合うパートで、足を止めて一発ずつ殴り合っているような迫力を感じるのはどうしたことだろうか。原曲の「さあ次は、君のターンだよ」と勝負の進行を告げるキメフレーズが「さあ次は、お前のターンだ」とつかさのソロ台詞になっていたのが、心臓を掴まれるほど鮮やかだった。

続いては、今度は「SideM」チームが「シャニマス」の「SWEET ♡ STEP」を歌唱した。バレンタインに限らず季節曲は披露のタイミングが難しいが、バレンタイン直前の披露が「SideM」チームによって行われるとは思いもしなかった。これを一足早いホワイトデイと形容してしまうのは、きょうび野暮というものかもしれない。誰よりも凛々しく青年アイドルを演じる女性であっても、女性でも難しい音域をキュートに軽やかに駆け抜ける男性であっても、かわいいものはかわいいし、良いものは良い。通常の「SideM」ではなかなか全体曲には選ばれないタイプの曲だが、男性アイドルが歌うキュート曲としてしっかり収まっているのが彼らの懐の深さを感じさせた。

性別を超えたナンバーシリーズのラストは、平田宏美、青木志貴、河瀬茉希、松田颯水、八巻アンナによる「MOON NIGHTのせいにして」!男性アイドルならではのかっこよさをオールドファッションなまでに真っ直ぐ追求した楽曲を、まさかこの5人に歌わせるとは!ブランドバランスなどうっちゃってしまって、この曲を女性アイドルがカバーするなら? という問いをしたら、ズバリこの5人の名前が挙がってもおかしくないぐらいに狙いすました禁断のチョイスだ。

あるいは、DAY1に男性陣が歌った「Tulip」に対する返礼にも感じられる。意外性という意味で気になったのは2人。青木志貴、低いスタンスを取った一世風靡セピア的なダンスが嘘みたいに似合う。そして、松田演じる星輝子のイケメンで正調なかっこよさを引き出してくれたのも嬉しかった。なお、曲中で殺傷力が最高に高まる「おいで」と誘うフレーズは、スクリーンを5面に割ってのスペシャルアピール。特にドームを抱く女・平田宏美の破壊力は素晴らしく、たった一言で、ドーム中に膝から崩れ落ちるプロデューサーが生まれたことは言うまでもないだろう。

ここまでこれを引っ張るか、という感じだったのが4 Luxury(香里有佐、末柄里恵、平山笑美、髙橋ミナミ)の「花ざかりWeekend✿」。「ミリオンライブ!」ユニット曲の切り札の1つだ。合同ライブという場でこの曲を聴くと、今を生きる女性たちのしなやかな強さ、美しさには最初期「アイドルマスター」楽曲に通じる感性があるように感じる。ここに助っ人として登場したのは、若林直美、原田彩楓、芝崎典子という色鮮やかなカクテルが似合いそうな大人のアイドルを演じるメンバー。若林は2日間を通して、律子無双と言いたくなるぐらいの活躍だ。普段はおしとやかなアイドルを演じる原田や芝崎も、精一杯弾けた歌唱を見せる。落ちサビのソロはゲスト組に譲りつつも、誰もが期待するぴらみ砲(平山が得意とするフェイクたっぷりのアドリブシャウト)はドーム中にしっかりと響き渡っていた。

続いては釘宮理恵、立花日菜、長江里加、小林大紀、関根 瞳、結名美月による「待ち受けプリンス」!CDでは真やよい伊織というメンバーで歌っていた楽曲だが、印象的な“さあBABY 俺についてこいよ”を真ではなくやよいが舌ったらずかつ挑発的に歌う“あえて”が楽しかった記憶がある。そのパートを今度は伊織役の釘宮が、低音の魅力たっぷりに歌うというのが組み合わせの妙だ。

男性アイドルとは、女性アイドルとは、という観念を頭の中でかき交ぜられるような終盤戦だが、この曲のポイントは小林大紀演じる咲が、このメンバーの中にいるのが当たり前なぐらいにしっくりとハマっていることだろう。かなり高いキーと女性寄りのボーカル色で、普段は全体のアクセント、歌声の輪郭を形作ることが多い咲。彼の歌声と存在が自然に溶け込んでいるだけで感動に値する、と思う。「待ちプリ」チームのアイドルには、特徴的で強い声質を持った少女たちがズラリと並んでいる。咲ちゃんがそこに自然にいるための緻密な構成は、質の高いミキシングをリアルタイムで施したように収まりが良かった。余談。“HOLD ON ME! あたしの目を見て”のフレーズで長江が表現した少女のような大人のような、とろけるような歌声がぴかっと光って感じた。

クライマックスにふさわしい閃光をぶち上げたのが、閃光☆HANABI団(駒形友梨、浜崎奈々、渡部優衣、大関英里)の「咲くは浮世の君花火」! 彼女たちの明るさと前向きな無敵のパワーには、ライブという物語を大団円に導くだけの突破力がある。助っ人組には下田麻美、Threat Sign(原紗友里、小市眞琴、生田輝)、FRAME(熊谷健太郎、濱健人、増元拓也)が登場。Threat Signがステージに燃えるような熱情とサンバのリズムを加え、FRAMEは熱く燃えながらも火元の安全は忘れない、そんなイメージの助援だ。

構成の巧さを感じたのは下田の“とかち節”と言うべきかわいさ→ド根性歌唱というチェンジオブペースから、FRAMEの低音へときれいに繋げた部分だ。FRAMEの3人が極低音で原曲キーの下に上手く合わせていく感じは、花火を優しく見守る頼もしい兄(c)たちという感じがする。ステージから撃ちあがった色とりどりの光は、花火に形を変えて東京ドームの天井を鮮やかに照らしていた。最高の笑顔の下田の髪を飾る髪留めの向きが、2日目は双海真美のものになっていることに気づいて、少し泣いた。

5ブランドが結集した合同ライブだが、そのなかでも765プロという始まりのメンバーの絆を感じたのが、765プロオールスターズによる「Destiny」だった。まずはメインステージに登場したのは沼倉、若林、釘宮、下田、仁後。ソロ歌唱の歌い継ぎで構成されていて、歌詞に合わせて会場に語り掛ける仁後、本当に優しく包みこむように歌う釘宮など、それぞれの個性と表現をじっくりと見せていく。歌い出しのメンバーを「ミリオンライブ!」のユニット・レジェンドデイズ組でスタートしたのもさりげないP/ファンサービスだろうか。

続いて登場は浅倉と平田。今回のライブではバランス的にクールでかっこいい役割が多かった平田だが、ここで元気が弾けるような少年っぽい真の表現が見られたのが嬉しい。「みんなのところに行くよー!」と釘宮が宣言すると、センターステージで待ち受けるのは長谷川、中村、今井の3人だ。移動前に浅倉が平田に抱きついていったのだが、雪歩が精一杯の勇気を振り絞った感じがして良かった。センターステージに集合したアイドルたちは、星にも見える円を形作ってドーム全体を見渡し歌う。さらにぎゅっと集まっての歌い上げには、これまで積み重ねてきた万感の想いが感じられた。

「Destiny」は、2015年の「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!2015」で、765プロの色が強いDAY1で全体曲以外のラストを飾った曲でもある。それはどこかプライベートな、20年の同志たちの絆の時間だった。

ここでステージには、出演した5ブランドのアイドル全員が登場。ベース衣装は揃いのスターリー・フューチャーズだが、各ブランドごとにデザインやカラーリングに変化があるのが目にも楽しい。順番に衣装を披露していく回転が、ウェーブのようにステージ上を彩っていく。

出演者が並び立つステージで、「次で最後の曲になります」とマイクを握ったのは、すべてのアイマスを繋ぐ存在である秋月 涼役・三瓶由布子だった。本編のラストナンバーは「CRYST@LOUD」。会場いっぱいの、そして回線や配信の海を越えたクラップがドームを揺らす。765プロオールスターズ、「シンデレラガールズ」、「ミリオンライブ!」、「SideM」、「シャイニーカラーズ」、そしてZWEIGLANZ。961プロというアイマスを形作ってきた仲間が加わったことで、世界はさらに広がりと深みを見せた。彼や彼女の名前が呼べて、良かった。

たくさんの「ありがとう」で満たされたアンコール。MCで中村繪里子から「CRYST@LOUD」の歌詞にある“Crystallize”という単語の意味を二度無茶ぶりされた峯田茉優が、「この楽しい瞬間を、ぎゅぎゅぎゅーっ(圧縮)→キラン☆(結晶化)」とジェスチャーで表現した瞬発力と回転の良さがあまりにも天才的で、あまりにも八宮めぐるそのものだった。

少し面白かったのが、本当のラストナンバーについて中村が「なんの曲か知ってるでしょ?」と会場に振ると、東京ドームが、あの数万人の愛で満たされた空間が「えっ、聞いてませんけど……?」という戸惑いに包まれたこと。仕方がない、このタイミングで歌える楽曲が、「アイドルマスター」には両手の指で数えても足りないほどあるのだから。この、一瞬先には気まずくなりそうなタイミングで、「知りはしないんじゃないかな!?いくらプロデューサーだからと言って!」とズバッと割って入ったのは今井麻美。この阿吽という言葉でもとても足りない、完璧な熟練の呼吸が、765プロだなぁと、本当にそう思った。

次の曲について仕方ないなというふうに中村が示したヒントは、シンプルなたった一言だった。

「今日のライブは、最高傑作。でしたよね?」

最高傑作とは、英語でmasterpieceと書く。「THE IDOLM@STER MASTERPIECE」とは、「アイドルマスター」最初のCDシリーズ。そしてそこから名を戴いた、765プロオールスターズの最高傑作にして、アイマスの歴史で一番の涙を受けてきた銘曲がある。

「M@STERPIECE」。

その連想に思考を要さず、遺伝子に刻まれた大歓声を返せる1人1人の宝石。あなたが、あなたたちこそが「アイドルマスター」のM@STERPIECEだ。

バックダンサーのいないステージで、男性も女性もなく、笑顔と涙を交わすアイドルマスターたち。カメラは57個じゃ足りないけれど、思い出は輝く水晶になって、ポケットに残った。みんなが、幸せを胸に抱き締めていた。

最後に「M@STERPIECE」の歌詞に隠された、私が大好きな言葉で締め括ろう。

“NEVER END IDOLM@STER”!!

●THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023 DAY2
2023.2.12 東京ドーム セットリスト

M01:シャイノグラフィ(シャイニーカラーズ)
M02:Growing Smiles!(SideM)
M03:Flyers!!!(ミリオンライブ!)
M04:BEYOND THE STARLIGHT(シンデレラガールズ)
M05:Happy!(765プロオールスターズ)
M06:ヒカリのdestination(中村繪里子/今井麻美/長谷川明子)
M07:O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!(miroir[立花日菜・長江里加]/下田麻美/黒木ほの香/前川涼子)
M08:あんきら!?狂騒曲(HappyHappyTwin[五十嵐裕美・松嵜麗]/斉藤佑圭/渡部優衣/F-LAGS[三瓶由布子・比留間俊哉・浦尾岳大]/イルミネーションスターズ[関根瞳・峯田茉優]/希水しお)
M09:ラブ・ボナペティート(アルストロメリア[黒木ほの香・前川涼子・芝崎典子]/浅倉杏美/釘宮理恵/Café Parade[狩野翔・児玉卓也・小林大紀])
M10: Pavé Étoiles(Café Parade[狩野翔・児玉卓也・小林大紀]/アンティーカ[礒部花凜・菅沼千紗・八巻アンナ・希水しお・結名美月])
M11:太陽キッス(シンデレラガールズ)
M12:キラメキラリ(Long Intro Ver.)(仁後真耶子/松嵜麗/中村温姫/狩野翔/黒木ほの香)
M13:きゅんっ!ヴァンパイアガール(藍原ことみ/菅沼千紗/芝崎典子)
M14:Treasure☆(閃光☆HANABI団[駒形友梨・浜崎奈々・渡部優衣・大関英里]/F-LAGS[三瓶由布子・比留間俊哉・浦尾岳大])
M15:Study Equal Magic!(長谷川明子/五十嵐裕美/前川涼子)
M16:ココロ☆エクササイズ(小市眞琴/斉藤佑圭/浜崎奈々/FRAME[熊谷健太郎・濱健人・増元拓也]/峯田茉優/紫月杏朱彩)
M17:恋のHamburg♪(大関英里/増元拓也/礒部花凜)
M18:学祭革命夜明け前(沼倉愛美/河瀬茉希/中村温姫/児玉卓也/小林大紀)
M19:虹色ミラクル(Short Intro Ver.)(シャイニーカラーズ)
M20:バーニン・クールで輝いて(Long Intro Ver.)(ミリオンライブ!)
M21:Friendly Smile(長谷川明子/原紗友里/峯田茉優)
M22:Plus 1 Good Day!(FRAME[熊谷健太郎・濱健人・増元拓也]/小市眞琴/生田輝/駒形友梨/平山笑美/関根瞳/紫月杏朱彩)
M23: ♡Cupids!(F-LAGS[三瓶由布子・比留間俊哉・浦尾岳大]/若林直美)
M24:ALIVE(今井麻美/鈴木みのり/香里有佐/山根綺)
M25:アライアンス・スターダスト(ZWEIGLANZ[茅原実里・高橋李依])
M26:レッド・ソール(Long Intro Ver.)(Flamme Martini[河瀬茉希・原田彩楓・松田颯水・鈴木みのり]/末柄里恵/髙橋ミナミ/山根綺/茅原実里)
M27:dans l’obscurite(Long Intro Ver.)(Chrono-Lexica[斉藤佑圭・中村温姫・阿部里果]/アンティーカ[礒部花凜・菅沼千紗・八巻アンナ・希水しお・結名美月])
M28:純白トロイメライ(アンティーカ[礒部花凜・菅沼千紗・八巻アンナ・希水しお・結名美月]/Dimension-3[藍原ことみ・青木志貴])
M29:バベル(Dimension-3[藍原ことみ・青木志貴]/シーズ[紫月杏朱彩・山根綺])
M30:Fly and Fly(シーズ[紫月杏朱彩・山根綺]/ZWEIGLANZ[茅原実里・高橋李依])
M31:オーバーマスター(Threat Sign[原紗友里・小市眞琴・生田輝]/長谷川明子/沼倉愛美)
M32:Raise the FLAG(SideM)
M33:Yes! Party Time!!(765プロオールスターズ)
M34:Happy Funny Lucky(イルミネーションスターズ[関根瞳・峯田茉優]/HappyHappyTwin[五十嵐裕美・松嵜麗]/miroir[立花日菜・長江里加])
M35:Bet your intuition!(4 Luxury[香里有佐・末柄里恵・平山笑美・髙橋ミナミ]/Flamme Martini[河瀬茉希・原田彩楓・松田颯水・鈴木みのり])
M36:SWEET ♡ STEP(Long Intro Ver.)(SideM)
M37:MOON NIGHTのせいにして(平田宏美/青木志貴/河瀬茉希/松田颯水/八巻アンナ)M38:花ざかりWeekend✿(4 Luxury[香里有佐・末柄里恵・平山笑美・髙橋ミナミ]/若林直美/原田彩楓/芝崎典子)
M39:待ち受けプリンス(釘宮理恵/miroir[立花日菜・長江里加]/小林大紀/関根瞳/結名美月)
M40:咲くは浮世の君花火(閃光☆HANABI団[駒形友梨・浜崎奈々・渡部優衣・大関英里]/下田麻美/Threat Sign[原紗友里・小市眞琴・生田輝]/FRAME[熊谷健太郎・濱健人・増元拓也])
M41:Destiny(765プロオールスターズ)
M42:CRYST@LOUD(FIVE STARS!!!!!・ZWEIGLANZ)
M43:M@STERPIECE(FIVE STARS!!!!!・ZWEIGLANZ)

●リリース情報
「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!!!! 2023 Blu-ray PERFECT BOX!!!!!
2023年12月13日(水)(予定)

価格:¥37,000(税込)

■豪華特典
・LIVEフォトブック
・MOIW2023キービジュアル仕様アクリルフレーム
・MOIW2023出演アイドル103名描き下ろしイラスト仕様ダブルフォトスタンド
・LIVE音源『CRYST@LOUD』収録限定CD

■商品ページ
https://shop.asobistore.jp/products/detail/182711-00-00-00

■特設サイト(BD・CD共通)
https://stg-shop.asobistore.jp/feature/idolworld2023_bd_cd

『CRYST@LOUD』CD
2023年7月26日(水)発売

価格:1980円(税込)

■早期予約特典情報
対象期間中のご予約でスクエア缶バッジ(イベントキービジュアル使用)が1個付属!
対象期間:2023年2月11日(土)~2023年4月30日(日)まで
※全5種のうち1種ランダム・絵柄はお選びいただけません。

■商品ページ
https://shop.asobistore.jp/products/detail/182735-00-00-00

■ASOBINOTES公式サイト
https://asobinotes.bn-ent.net/

©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

関連リンク
アイドルマスター ポータルサイト
https://idolmaster-official.jp/