近未来――飽和状態となったHIPHOPカルチャーから新たなムーブメント“幻影ライブ”が誕生し、華麗なステージに若者は熱狂した。突如復活した伝説のクラブ・CLUB paradoxで開催された「Paradox Live」(以下、パラライ)で激突するBAE、The Cat’s Whiskers、cozmez、悪漢奴等の白熱のステージバトルは世界からの注目を集める。
2020年にスタートしたCDシリーズ「Paradox Live」でThe Cat’s Whiskers(TCW)のリーダーである西門直明を演じてきた竹内良太が、その「パラライ」の舞台化作品である「Paradox Live on Stage vol.2」(パラステ)でも西門を演じることが発表され、話題に。そんな竹内にTCW、そしてパラステへの想いを聞く。

INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち

3年をかけて紡いできたTCW・西門直明の歌と物語
――2020年からスタートした「Paradox Live」ですが、TCWのメンバーとなってから今日まで過ごされた率直な印象をお聞かせください。

竹内良太 「パラライ」自体はステージバトルを経てチームが成長していく物語でもあるので、同じチームで3年間ずっと一緒に切磋琢磨して、キャスト陣でも話し合いながら成長していける機会はなかなかないなと思っていて。西門さんという立ち位置が、アニメやドラマCDと違って一発でドーン!とお芝居をするのではなく、どんどん積み重ねていって今のTCWとして歌うことができるのは、唯一無二のコンテンツだなと思いながら日々を過ごしています。

――勝ち負けによって、歌う際の心持ちも変わってきますしね。

竹内 それこそこれだけ「勝ちたい」と貪欲になれる作品もなかなかに少ないなと思っていて。ストーリーにも関わってきますし、フックやバースでの言葉の意味合いや熱量も変わってくるし。そう思うと、先がどういう物語になっていくのかが想像できないから楽しくもあり、燃えますよね(笑)。

――新チームが入ってきたことによる新たなステージバトル「Road to Legend」では1Nm8との絡みがあり、西門さんも思うところがある、という発言に繋がっていきました。これまでとはまた違った、新鮮な西門さんが見られたようにも感じます。

竹内 西門さんの燃えるようなセリフはここまでそれほどなくて。
みんなを守っていこう、この4人を、居場所であるバーを守っていこうというセリフが多かったぶん、自分が思っていることを初めて熱く言葉として出したのが1Nm8との出会いでしたし、そんなボイスドラマだと思ったので、お芝居もすごく熱くなるし、だんだんと西門と神林匋平というTCWの大人組もどんどん前に出始めて、力強くなってきましたし、より攻撃的に、貪欲に、勝ちにこだわりだしたところは1つの変化として楽しくなってきました。

――初めの頃は闇堂四季、棗 リュウというTCWの年少組が物語を動かしているところもありましたからね。

竹内 子供たちの暗い過去や悲痛な過去を大人組は包み込んで、守って、という家族構成のようになっていましたが、リュウくんの悲痛な過去について1Nm8と出会ったことで知ることができたので。僕は四季が心配だし、匋平はリュウくんを気にかけているところもあって、お互いに大切なところを改めて感じさせてもらいました。これから物語がどうなっていくのか、トーナメントに勝ったり負けたりしたときにどうなっていくのかな、というのは楽しみですね。

――HIP HOPを始めて3年でもあります。歌についてはいかがですか?

竹内 ジャジーなグルーヴ感を大事にするTCWですが、それこそ「Master of Music」からステージバトルの曲を出すにつれて、TCWもメロディアスなところから歌詞も含めてどんどん前に進んできていて。前にしか進まない、むしろ攻撃的にもなってきているというか……そこでの微妙な変化が楽しいです。ほかのチームに比べて一発目の大きなアクションはないのですが、だんだんと燃え上がっていく炎のような、今だからこそトーナメントで一勝できたところでの曲調からも各キャラクターのモチベーションのわかる熱い言葉でラップできているのが個人的には胸アツです。最初は西門さんも静かな感じでゆっくりと言葉を紡いでいたものが、だんだんと言葉にも圧が出ましたし、韻を踏むところでもグッと言葉に力を込めて、仲間のための熱い想いを表に出せるようになってきたのが、僕としては「待ってました!西門さん!」という感覚です。

――クリエイターさんのお話を伺っていると「レコーディングのときにコトノハさんが……」(※西門のMCネーム)といった言葉が出てくるのもあって、TCWというヒップホップチームに楽曲を提供している、という自負が伝わってきます。

竹内 MCネームで呼んでくださるんですよね。
歌詞を書いてくださったSIMONさんが実際に来て歌唱指導もしてくださるんですけど、その状態からすでに熱くて。僕たちよりももっと役を理解しているんじゃないかと思うくらいに、言葉の妙だったり、ラップの仕方もそうですし。TCWは“孤高の四天王”と言われるくらい4人のスキルも高いですし、色も個性も違うので、各個性の出し方や歌い方も緻密に「ここは半拍ズラして」など細かいところまで追求してくださるので、僕らはすごく助かりますし、安心して委ねられるんです。みんな「パラライ」のことが好きなんだな、と伝わってきます。

「Paradox Live」から「Paradox Live on Stage」へ――2つの世界線を歩む竹内の想い
――そんな「パラライ」が舞台に。

竹内 きた!

――実際にSTAGEをご覧になった感想をお聞かせください。

竹内 実は実際のステージは拝見できなかったのですが、Blu-rayで「on Stage」と「THE LIVE」を観させてもらいました。今度アニメがスタートするものの、僕らはボイスドラマでしかお芝居をする機会はなかったのですが、舞台ではキャラクターが実際に立ち上がっているところを目の当たりにすることになって。特に幻影ライブで、あのキャラクターが立体的に動くと手の動きや表情はこんなふうに見えているんだな、という目線で見てしまいました。すごく自分の役が深まっていくというか。声優の技術的な面で処理してきたものを、身振り手振り、誰かと目線を合わせる、といった基本的なお芝居の中で見ると、とても素敵なステージだなって感じました。

――ご自身がCDシリーズで演じている西門を、そんな動きを持ってのお芝居で見せることとなりました。
出演が決まった際のお気持ちをお聞かせください。


竹内 竹内、正直驚きました(笑)。本当に僕でいいの?というのが本音で。2回目の「Dope Show」のときに制作の方が観に来てくださって、「西門さんは竹内さんでしょう」というお話からオファーがありまして。お話は嬉しかったのですが、自分は20年くらい舞台を踏んでいなくて、声優をやってきているぶん芝居で動けるのだろうか、と驚きと共に不安の
ほうが強くて。「on Stage」で出来上がっているカンパニーの中に新しく入るときに、パラステの世界を崩したくないと緊張も強かったのですが、「Dope Show」を見て僕に決めてくださるということは、それだけショーの中で竹内の演じる西門さんを感じていただけたということなので、その期待に応えられるように頑張っていこう、と今に至ります。キャストの皆さまはみんな本当に良い人たちで。とても良くしていただきながら、ああでもない、こうでもないと稽古期間をずっと同じメンバーで過ごして、だんだんとチームとしてのTCWもできてきて、それにつれて緊張も楽しみに変わっていって。今はひたすらに本番が楽しみだなという気持ちです。

――声優さんの中には朗読劇やライブパフォーマンスの機会になると、声のお芝居だけではなく、役を憑依させるようにパフォーマンスされる方もいらっしゃいます。竹内さんはそういったタイプであるという印象なので、舞台に立たれたときにそれほど違和がないのではないかと思うのですが。

竹内 そうかぁ、なるほど。
竹内の中では「Dope Show」もそうですが、西門さんと同時に脚色をしようとする竹内が半々くらいの割合でいるんです。来てくれたヘッズの皆さまを盛り上げたい竹内と、やはりTCWだからと西門さんでいようとする自分とがせめぎ合っているところが結構あって。今回のパラステに関しては、「パラライ」の世界しかないから、そこに竹内がいてはいけない!と思うんです。時々稽古中でも、自分の歌入りのときにどうしてもお客さんを盛り上げたくて竹内が出てきてしまうんです(笑)。この身振りは竹内だ!西門さんはやらないだろう、という葛藤みたいなものが竹内の中にすごくあって。だんだんと盛り上がっていくと、“楽しみたい竹内”が出てきちゃうから、ぐっと抑えるのに最近はすごく苦労しています。「出ていけ!竹内!」みたいになっていますね(笑)。西門さんで立ちたいから、その竹内を抑えながら立っています。西門さんは竹内とは性格だったり、生き方だったりも違っていて、似ているところも少ないですから。本番ではずっと西門さんでいられたらいいな、と思いながら日々の稽古に勤しんでいます。

目の前にTCWがいる、その幸せ
――共演者の皆さんとの呼吸やお芝居はいかがですか?

竹内 まず、俳優さんがオリジナルキャラクターをリスペクトして落とし込んでくださっていることがすごく嬉しくて。実際僕が西門さんを演じたときに、自然に役に入れるようにしていただけたので、そこが自信に繋がったというか。
皆さん、僕が西門だからすぐに神林になれる、リュウくんになれるっておっしゃるんですね。その言葉をもらって緊張がほぐれました。自分なりの西門さんの役作りで接することが出来ているんだなって。ほかのチームの皆さんもすごく僕を気にかけてくださりますし、僕が舞台を久々なぶんなかなか上手く動けなかったりもするので、そのときには「僕がこう動くので、こうしてみてください」など色々な案を出してくださいますし、気を遣っていただいています。声優のTCWの雰囲気と、俳優さんのTCWの雰囲気もすごく似ていて、僕的にはどちらも居やすいですし、落ち着ける場所にしていただきました。

――声優、俳優、どちらのTCWもご存知なわけですしね。

竹内 幸せものですよ、僕は。実際に演じる俳優さんたちの性格も似ているのか、本当に落ち着ける場所なので。だんだんと境界線がわからなくなってきています(笑)。そのぶん、お芝居の部分に関しては真摯に向き合いたいと思いますし、原作でも歌わせていただいていますから、歌の部分に関しても自信を持って、俳優さんのお力を借りつつTCWとして西門さんを演じていければいいなと思います。

――「Dope Show」の衣装の再現度も非常に高かったのですが、舞台の衣装を身に着けられた際にはどのような感想がありましたか?

竹内 そこで脚色竹内が出てきそうになるんですよ。パラステは西門さんのアクセサリーや眼鏡に至るまで西門さんとして、コトノハさんとして纏えるんですね。
纏った瞬間の、テンションや気持ちがすごく高まる。ビジュアル撮影のときも、衣装をつけて通し稽古をしたときもそうですし、やっぱりあのスーツ、ネクタイを纏うと自然と気持ちが入っていくんです。不思議ですが、「今、西門さんでいられている」という気持ちはすごくありました。「Dope Show」はパーティ感があるというか。華やかな感じもありましたし、お客様と一緒に盛り上がろうという感じですが、実際に衣装を纏ったところを立体的に見ると自分たちがやったボイスドラマのお芝居の先にあるものというか、四季に触れたりもできるんですよ。それが嬉しくて。「僕は今、西門さんとして四季に触れているんだ」とか「匋平と乾杯しているんだ」とか。実際に感じ取れることで、よりパラステって素敵だなと感じています。

――どちらの表現も持ち帰れますよね。

竹内 西門さんとしての表現はさらに深まった気がしますし、貴重な経験だと思います。

――舞台での、「西門さんを崩さないぞ」という形で歌うのはいかがですか?

竹内 西門さんでいたいという想いを抱いて、幻影ライブでのトラウマという根深いところも抱え込んで、身振り1つをとっても西門さんとして滲み出るものを表現できるといいなと思っています。ただ楽しいだけではなくて、西門さんが何かを感じて歌っているということを表現したいなと。歌っていると周りのTCWのメンバー、匋平やリュウくん、四季くんの姿も目に入ってきて、その瞬間に自分が西門さんであることやTCW感を感じることが出来るので、そこはすごく助かっていますし、パラステの良いところだなと思います。ずっと西門さんでお芝居して、ぐっと歌に入れるという流れもすごく良いですね。


ドラマCDだけでは感じられなかった空気感や立体感を楽しんで
――パラライ、パラステの双方を体感している竹内さんだからこそ、改めて思う「Paradox Live」の魅力とは。

竹内 全部、って言いたい(笑)。双方体感したからこそ言えることは、どちらも物語として補完し合っているように感じることですね。僕らはドラマCDとステージバトルの歌でお客さまに楽しんでいただいて、実際パラステに関しては、ボイスドラマでは感じ取れないような各キャラクターの表情などを見せてくれているんですね。舞台の稽古をしながら、より物語に深みが出るなと感じていますし、双方が良い意味で満たし合っているイメージです。制作陣もキャスト陣も、もちろん俳優陣もみんな「Paradox Live」が大好きで。パラステのキャストの皆さんはキャラをより深めようと、ドラマを聴いたりして「on Stage vol.2」で演じることとなりますし、僕は僕で、パラステで実際に皆さんがお芝居している姿を体感しながら西門さんのお芝居を深めることができた。お客さんとして観たときにも、双方どちらも分け隔てなく「Paradox Live」なんです。作品としてまったく同じ世界線にいることを体感できますし、「Paradox Live」の世界観がそこに1つとなってまとまっているという差のない感覚が魅力だと思います。

――舞台に立っている竹内さん目線で「ここに注目してほしい」という部分を教えてください。

竹内 TCW贔屓になりますよ?大丈夫ですか?

――構いません。ぜひ、お願いします!

竹内 TCW4人の姿ですね。TCWって適度な距離感が心地良いと思うんです。ほかのチームのような“ファミリー”といったガシッという関係性よりも、何も言わなくても側にいてくれるだけで落ち着くし、色んなことをお互いに対して想ってくれているのが僕にとってはTCWの魅力でもあって。今回のパラステのTCWもそうなんですよね。みんなが想い合っていて、でも悩むときには悩んでいるし、それを気にかけている。そのTCWの素敵な雰囲気があるんです。やっぱり四季やリュウくんがわちゃわちゃするぶん、大人として僕らはどう彼らを思っていくのか。それだけではなく、匋平や西門さんの思う部分も見えてくる。子供たちとの会話の中にある大人たちの想いにも注目してもらいたいですね。TCWは大人組と子供組との魅力のどちらも感じられて、2度おいしいと思いますから。その4人が歌になると1つになって唯一無二の色を紡ぎ出すところも注目していただきたいです。

――では最後にこの「Paradox Live on Stage vol.2」を楽しみにしてくださっている皆さん、そして「Paradox Live」を好きだけれどまだパラステを体感したことのない皆さんにも向けて、メッセージをお願いします。

竹内 原作とステージの架け橋になれたことがすごく嬉しいですし、自信と喜びになっています。3年をかけて、自分も西門さんのことが、TCWのことが好きでやってきたなかで、パラステへの出演は本当に素敵な経験だと思っています。これからずっと物語が進んでいく「パラライ」の、1つの物語が立体的に広がっていますし、観ていただくことで次の物語もより深みが出ていき、パラステを見ることによってそれぞれのチームをより好きになれると思うんです。ボイスドラマでは感じきれなかった各キャラクターの動きや感情の機微を実際に目の当たりにできるので、そこをぜひ会場で見ていただきたい。パラステを観ていただいて、また次の「Paradox Live」の物語をお待ちいただければなと思います。



●作品情報
Paradox Live on Stage vol.2

■日程・劇場
2023年3月9日(木)~3月19日(日)@品川ステラボール(東京)

■キャスト
【BAE】 朱雀野アレン:佐奈宏紀、燕 夏準:小南光司、アン・フォークナー:立道梨緒奈
【The Cat’s Whiskers】 西門直明:竹内良太、神林匋平:安里勇哉、棗 リュウ:堀 海登、闇堂四季:輝山 立
【cozmez】 矢戸乃上珂波汰:土屋直武、矢戸乃上那由汰:大崎捺希
【悪漢奴等】 翠石依織:武子直輝、雅邦 善:川上将大、征木北斎:稲垣成弥、伊藤紗月:小林竜之、円山玲央:神越 将

※出演者は変更になる可能性があります

■スタッフ
原作:Paradox Live
脚本:伊神貴世
演出/脚色:私オム
主催:エイベックス・ピクチャーズ株式会社

■チケット料金
会場チケット:8,800円(税込/全席指定)

■チケットスケジュール
【当日引換券販売】
受付期間:2023年3月6日(月)20:00~

※各公演の前日まで販売しております。
※販売終了時間はプレイガイドによって異なりますので、販売ページよりご確認ください。

<楽天チケット>
受付URL:https://r-t.jp/paradoxlivestage_vol2

<チケットぴあ>
受付URL:https://w.pia.jp/t/paradoxlive-stage/
チケットに関するお問い合わせ先:https://t.pia.jp/help/

<ローソンチケット>
受付URL:https://l-tike.com/paradoxlive-stage/
チケットに関するお問い合わせ先:https://l-tike.com/contact/

<イープラス>
受付URL:https://eplus.jp/paradoxlive-stage_vol2/
チケットに関するお問い合わせ先:https://eplus.jp/qa/

■配信チケット
チケット券種

●配信公演
・2023年3月9日(木)18:00公演
・2023年3月19日(日)12:00公演
・2023年3月19日(日)17:00公演
※視聴ページへのご案内につきましては、各公演30分前からのご案内となります。

●アーカイブ視聴期間
初日公演チケット:公演開始 ~ 2023年3月16日(木)23:59
初日公演全景チケット:公演開始 ~ 2023年3月16日(木)23:59
千秋楽公演チケット:公演開始~2023年3月25日(土)23:59
千秋楽公演全景チケット:公演開始~2023年3月25日(土)23:59

※3公演プレミアムチケットをご購入していただいた方も、アーカイブ視聴期間は全券種共通になります。
※アーカイブ配信は公演終了から準備できしだい配信開始予定となります。
※アーカイブ開始時間は状況により前後する場合がございます。
※内容は一部変更になる可能性がございます。

●特典映像視聴期間
2023年4月3日(月)18: 00~2023年4月10日(月)23:59
※視聴期間は変更となる場合がございますので予めご了承ください。

●配信プラットフォーム
mahocast:https://www.mahocast.com/

詳細はこちら

関連リンク
Paradox Live 公式サイト
https://paradoxlive.jp/

Paradox Live on Stage 公式サイト
https://paradoxlive-stage.jp/
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