声優・三森すずこが、アーティスト活動10周年を記念したベストアルバム『Mimori Suzuko 10th Anniversary Best Album「RPB」』をリリースする。2013年のアーティストデビューから10年の中で生み出された数々の楽曲たちを、Red、Pink、Blueの3色に分けてカテゴライズした3枚組という大ボリュームとなった本作。
そこで彼女は、自身の10年というキャリアと楽曲、そして本作のために作られた新曲たちにどんな想いを込めたのか?

INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一

ファンとともに作り上げた、3つの色からなるベスト盤
――2013年4月に1stシングル「会いたいよ…会いたいよ!」でソロデビューを果たして、今年アーティスト活動10周年を迎えました。10年という年月を振り返ったお気持ちはいかがですか?

三森すずこ 三森すずこソロプロジェクトが始まったときに、当時のプロデューサーさんに「10年続くプロジェクトにしたい」って言っていただいたんですよね。それで「よし、10年頑張るぞ」っていう気持ちでスタートしたんですけど、始まってみると10年間ですごく色々なことが起きて、武道館ライブをやったり色んな経験をさせていただいたり……。すごく楽しい思い出もあれば、コロナになってしまったり、あまり順風満帆ではなかったときもある10年で、思い返すとものすごく長いな、と感じますね。



――10年間で様々な出来事がありましたし、それらを実感する期間でもあったと。

三森 自分自身も色んな変化があった10年でしたが、世の中の変化の波にも負けずにずっと私を応援してくださったファンの皆さんや、新しく応援してくださるファンの方との出会いもあって、すごく賑やかな10年だったなって。

――ちなみに、「最初に10年続くプロジェクト」という意識で始めたあと、それがいよいよ目前に迫る頃はどんなお気持ちでしたか?

三森 正直、「あ、あと少しで10年だ」っていう感覚があまりなくて、とにかくその年その年が必死だったんですけど、いつだったかな……2016年にやった武道館ライブ(Mimori Suzuko Live Tour 2016 “Grand Revue”)の打ち上げのときに、また「10年をみんなで頑張ろう」という話になって。そのときは10年ってまだまだ先だなっていう印象だったんですけど、ここ1、2年で、「あれ、もうすぐ10年だ」って(笑)。それまで本当に必死すぎて、なかなかゴールは見えないけど、一生懸命走っている感覚だったんですよね。まあ10年も決してゴールじゃではないけど、ひとつの通過点に辿り着いたという想いがあります。

――そうしたなかでリリースされる10周年記念ベスト盤の『RPB』ですが、今回は三森さんの楽曲のなかから、「情熱的、エネルギッシュ、パッション」を感じさせる”Red”、「ラブリー、ハッピー、キュート」を感じさせる”Pink”、「リラックス、クール、アオハル」を感じさせる”Blue”という3枚に分けた構成になりました。

三森 どういうコンセプトにしようかという話になったときに、私のアーティスト活動ってカラフルなものが多くて、その中でもコンセプトだったり、世界観をしっかり持たせたアルバムもあったりして、結構幅が広いので、何か1つのテーマを掲げると漠然としちゃうかな、もう少しシンプルにわかりやすいものがいいのかなと思って。
それでデザイナーの方やスタッフの皆さんの知恵をお借りして、私の楽曲や私自身のイメージ、また声優のイメージとしても連想されるRed、Pink、Blueの頭文字をとろうということになりました!

――ベスト盤史上もっともシンプルなタイトルですね(笑)。

三森 やっぱりシンプルでわかりやすいほうがいいだろうっていう(笑)。でもすごく気に入っているんですよ。文字で見たときに、クルンっていうのが全部入っている。

――ああ、R、P、Bとアルファベットにカーブが入っていますね。

三森 視覚的な話ですけど、なんだか柔らかい感じがして良いですよね。

――まさに三森さんの音楽を構成する三原色が3枚組となったベスト盤になりましたが、選曲はいかがでしたか?

三森 せっかくならたくさん入れたいし、ファンの方に投票してもらって一緒に作っていく感じがあったら楽しいよねと話していました。例えば盛り上がりたい気分の日にはDisc“Red”を聴いてもらうとか。

――そこはファンが三森さんの音楽をどう捉えているか、というのが選曲にも繋がっていったのかなと。

三森 基本的にはファンの皆さんが投票してくれたものをベースにしていて、あとは自分が入れたいものを加えていって、少しずつ意見を出し合ったりしました。

――この曲がここにくるか、という意外性もありましたか?

三森 私やスタッフさん達の中でも「やっぱりそうだよね」っていうものが多かったですね。ライブで人気なものが多い印象でしたけど、「Colorful Girl」がどこに入るのかなとは思っていました(笑)。
でもやっぱりあの曲は王道“Pink”かな、じゃあやっぱり“Red”に入っているものはエネルギッシュなものがいいな、とか考えたり。でも「ユニバーページ」が“Red”に入っていたのは意外だったかな?

――ああ、なるほど。

三森 最初は“Blue”かなと思っていたんですけど、そういえばライブのときにはみんなオレンジのペンライトを振って盛り上がってくれるから、そういうのもあって「ユニバーページ」は“Red”なのかなって。そこは、ライブを観に来てくれるみんなの視点と私の視点が少し違っていて面白いなと思いました。

――3枚組ですから、王道から意外まで様々な構成になったのかなと。

三森 ライブでたくさんやっている曲はもちろんですが、「みんなこの曲聴きたかったんだ!」という掘り出し物的なものがあったのも嬉しかったですね。

――たしかにライブでやっていない曲も収録されていたり。

三森 そうそう、しばらく歌っていない曲もあるんですよね。「TINY TRAIN TOUR」とかもそうで、しばらく歌っていなかったなあって。あと「夢見る!信じる!未来叶えて!」とか、「全部受けとって、強く抱きしめて。」とか……あと、(渡辺)翔さんの曲が全編にランクインしてました(笑)。

――たしかに!翔さんもそうですが、太田雅友さんやPandaBoYさんなど、改めて多くのクリエイターが三森さんの楽曲を作られたんだなとわかる構成にもなっていますね。

三森 そうそう、ありがたいです。


10周年を彩る、多くの人々からのプレゼント
――クリエイターというと、本作には各Discに新曲が収録されています。この作家陣も「おっ!」となる名前がクレジットされていて。例えば山田マンこと山田高弘さんは……。

三森 そう、山田マンには初めてソロ曲を書いてもらったんですよ。

――μ’s(『ラブライブ!』スクールアイドルグループ)の楽曲ではお馴染みですが、意外と初なんですよね。また『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』にも提供されたfhánaの佐藤純一さんもそうですよね。そうしたソロでの初顔合わせも含めて楽曲はどのようにして作られていったんですか?

三森 山田マンも佐藤さんもそうですし、もちろん太田さんも、皆さん絶対に素敵な曲を作ってくださるというのがわかっていたので、あまり細かく指定したものはなかったです。出来上がってきた曲を聴いて「プレゼントしてもらったな」って……「みもりん10周年おめでとう」っていうものを、皆さんがどういう感じの曲で作ってくれるんだろう?って、プレゼントを開けるような気持ちで聴いてみたら、見事に全部違うテイストで。佐藤さんはすごく祝福感があるような、初めてこの曲を聴いたときは電車の中だったんですけど、涙が出ましたね。すごかったです。

――そうした10周年を祝うという点では、畑 亜貴さんと中村彼方さんという2人による作詞も大きいですね。

三森 しかも畑さんは2曲もあってどうしようって思ったかもしれないですけど(笑)、畑さんはずっと関わってくださったし、デビュー曲も畑さんと太田さんのコンビだったので。
このコンビの「大きな愛で君を抱きしめよう」という曲は「会いたいよ…会いたいよ!」を思い出すような、でも「会いたいよ」のときよりスケールの大きな愛にしてくれたんだなって。

――1stアルバムのタイトルは『好きっ』でしたが、10年かけてその「好き」が「愛」に発展したかのような。

三森 すごくキュートなんですよね。あと「ね、そうでしょう!?」は、一緒に歩いてきたみんなとの10年を語っているなぁ、と。

――そうしたプレゼントのような楽曲たちのレコーディングはいかがでしたか?

三森 最初にDisc“Red”の「ね、そうでしょう!?」を歌ったんです。レコーディングに山田マンはいらっしゃらなかったんですけど、山田マンの作ってくれる王道の、胸に刺さるようなメロディを受け取って歌いました。「ありがとう~!」って気持ちを飛ばしながら(笑)。



――山田マンに届けと(笑)。彼らしいメロディラインも素晴らしいのですが、一方で三森さんの歌声もすごく自然体に歌えているなと感じました。

三森 たしかに、そうなんですよ。初めて聴いたときから馴染みやすい曲だなと思っていて。畑さんの歌詞も「会えなかったときのこと」を書いていて、それってこの10年の間でここ数年は情勢的に会える機会が減ってしまったじゃないですか。
そういう辛い時期を乗り越えてきたから、これからもみんなで乗り越えていけるよね?っていう前向きなメッセージを畑さんの歌詞から受け取って、しかも「ね、そうでしょう!?」ってタイトルも、隣にみんながいるような口調で、すごく温かいなと思いました。

――たしかに三森さんらしい距離感の歌声、という気がしますね。

三森 ありがとうございます。でも、久しぶりのソロ楽曲のレコーディングだったから、最初は肩に力が入りましたね。でも、私はいつだって過去の自分を乗り越えてきた。だからこそもう少しレベルアップしたいという気持ちもありますし、そこにエネルギーを使った気がしますね。サビも高い部分が多くて歌いごたえがある、そこをどう歌っていくかというのを試行錯誤するのは楽しかったですね。

――次にレコーディングされたのは?

三森 Disc“Blue”収録の「鈴がなる日」ですね。これは佐藤純一さんが書いてくださったんですが、めちゃくちゃ時間がかかりましたね。全部のハモリやコーラス、被せなどボーカルが色々あって膨大な量だったんですよ。

――まさに祝福感が包み込むような感動的な仕上がりですが、それだけにテイクも膨大だったと。

三森 すごい厚みで、以前から『スタァライト』でお世話になっていたので、佐藤さんの曲はハモリが多いのは知っていたんですけど、今回は1人だからどうなっちゃうんだろう?ってドキドキしながら現場に行きました。
初めてでしたね、4時間越えって。最後は佐藤さんも私もヘロヘロで、佐藤さんが「三森さん、すみません」って(笑)。



――ボーカルとしても三森さんのこだわりが詰まった1曲になっているんですね。

三森 素晴らしい曲だから妥協はしたくないし、頑張ろうと挑みました。歌詞もすごく素敵で。彼方さんは私の曲や『スタァライト』でもお世話になっていますけど、プライベートでも会ったりするんですよ。そういう日常の私も知っているからこそくださった、私への手紙のように思っていて。これは彼方さんからの「メッセージ」になっている気がしましたね。

――タイトルや歌詞にもある“鈴”というワードもグッときますね。

三森 嬉しかったです、これまで自分の名前がフィーチャーされることはなかったので。すごくグッときて、彼方さんにはコーラスもお願いしました。せっかく厚みのある曲なので、私以外の声があったらより厚みが増えていいなと思っていたんです。それで誰がいいかなって友達や声優仲間とか想像してみたんですけど、最終的に彼方さんの顔が浮かんできて。彼方さんからのメッセージをいただいたから、彼方さんに参加してもらいたいと無理を言ったんです。クレジットに乗るコーラスはほぼ初だと言っていました。

――そしてもう1曲はDisc“Pink”収録の「大きな愛で君を抱きしめよう」ですね。「会いたいよ…会いたいよ!」を手がけた畑さん雅友さんコンビの1曲。

三森 そうですね。昔から知っているお二人の曲というので、「あれ、この曲知ってるぞ?」っていう感覚で歌いましたね。

――まさに、「これぞ三森すずこ」というポップでキュートな仕上がりになっていますね。

三森 デビュー当時の私をちょっと蘇らせた感じです。最近は静かな曲や大人っぽい曲が増えてきたなかで、ど真ん中な曲が10周年で歌えるのは、やっぱり嬉しかったですね。



――そして本作をリリースして10周年イヤーがスタートするわけですが、6月にはイベント“みもパ! 10周年スペシャル”、8月には“Animelo Summer Live 2023 -AXEL-”への出演などが控えていますね。

三森 今年は色々やります!

――それこそ昨年には“ブシロード15周年記念ライブ in ベルーナドーム”に出演されて、すでにブランクを感じさせないすごいステージを見せられましたが……。

三森 本当にね、どうかしています。私、自分で自分をどうかしているって思うんですよ(笑)。

――どうかしている!(笑)。

三森 私、自分のことはごく普通の人だと思っていたんですけど、多分ちょっと変なんだと思う(笑)。10年経って気づいたんですけど、自分を追い込むのが好きなんだなって気づきましたね(笑)。

――2016年の“ラブライブ!μ’s Final LoveLive!~μ’sic Forever”の翌日にジム行っていますからね(笑)。

三森 “ブシロード15周年記念ライブ”も、「出たい!」という気持ちと体の状態が乖離しちゃっていたので、「なぜだ?」って思って(笑)。でも体は頑張ればいけるぞって、張り切っちゃいました。

――となると、ソロでもこの先の色々なことのために仕上げていくと。

三森 もちろんです!そのために常人では考えられないペースで整体に行っています(笑)。

――すでにスタートしているぞと。

三森 この前『スタァライト』の舞台(少女☆歌劇 レヴュースタァライト -The LIVE-#4 Climax)があったので、それに向けて体力や筋力を戻さないといけないと思ったので、たくさん通っていて、最終的に先生から「もう来なくていい!」と言われて(笑)。

――わははは、「もう来ないでくれ」と(笑)。

三森 例えば、足を細くするためにリンパマッサージに行っていたんですけど、最後には「まだ満足できないか!?あなたの顔見飽きたよ!」って言われて(笑)。

――無理のない範囲で(笑)。でも今後仕上がった三森さんがどんなパフォーマンスをするのか、これからの10周年イヤーも楽しみにしています。

三森 スイッチが入ると走り出しちゃうので、『RPB』をきっかけにスイッチ入りっぱなしの1年になればいいなって思っています。この先も頑張ります!

●リリース情報
Mimori Suzuko 10th Anniversary Best Album
『RPB』
2023年4月3日(水)発売

予約はこちら

【きゃにめ盤(3CD+Blu-ray)】

品番:SCCG-0126
価格:¥8,800(税込)

<Blu-ray>
2021年8月14日に神奈川県民ホールにて開催したMimori Suzuko Live 2021「Midsummer Funfair」の模様を収録

【通常盤(3CD)】

品番:PCCG-2230
価格:¥3,850(税込)

【収録楽曲】
「Red~情熱的、エネルギッシュ、パッション~」
<Disc“Red”>

M01 みんなでイエー☆オーッ!!
M02 純情DaDanDan
M03 ユニバーページ
M04 革命のマスカレード
M05 Light for Knight
M06 Xenotopia
M07 グローリー!
M08 チャンス!
M09 Heart Collection
M10 TINY TRAIN TOUR
M11 夢見る!信じる!未来叶えて!
M12 ミライスタート
M13 ね、そうでしょう!?
Bonus(CD限定収録) Light for Knight(10th Anniversary Remix by PandaBoY)

「Pink~ラブリー、ハッピー、キュート~」
<Disc“Pink”>

M01 Fantasic Funfair
M02 ドキドキトキドキトキメキス♡
M03 チュッタシュガリン
M04 FUTURE IS MINE
M05 Colorful Girl
M06 恋のキモチは5%
M07 シュガーレス・キッス
M08 恋はイリュージョン
M09 会いたいよ…会いたいよ!
M10 せいいっぱい、つたえたい!
M11 全部受けとって、強く抱きしめて。
M12 Wonderland Love
M13 大きな愛で君を抱きしめよう
Bonus(CD限定収録) ドキドキトキドキトキメキス♡(10th Anniversary Remix by PandaBoY)

「Blue~リラックス、クール、アオハル~」
<Disc“Blue”>

M01 エガオノキミヘ
M02 サマーバケーション
M03 海と空のヒミツ
M04 ちいさな手と観覧車
M05 約束してよ?一緒だよ!
M06 WONDER FLIGHT
M07 ヒカリノメロディ
M08 スマイリウム
M09 サキワフハナ
M10 アレコレ
M11 My First Lesson
M12 星屑のカーテン
M13 鈴がなる日
Bonus(CD限定収録) ちいさな手と観覧車(10th Anniversary Remix by PandaBoY)

『Mimori Suzuko Music Video Collection』
【Blu-ray】
2023年4月3日(水)発売

品番:PCXP-50947
価格:¥4,400(税込)

予約はこちら

●イベント情報
みもパ! 10周年スペシャル
2023年6月24日(土)

昼の部 開場:13時00分 開演:13時30分
夜の部 開場:16時00分 開演:16時30分
会場:山野ホール(渋谷区代々木1丁目53−1)
価格:¥3,333(税込)
イベント内容:トーク、ミニライブ

■応募方法
①4/5発売「Mimori Suzuko 10th Anniversary Best Album『RPB』」に封入されているシリアルナンバー
②4/5発売「Mimori Suzuko Music Video Collection」に封入されているシリアルナンバー
の2つを、商品に封入されているチラシに記載のURL内でご応募ください。

【申込受付期間】2023/04/05(水) ~ 2023/05/09(火) 23:59

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関連リンク
三森すずこ
オフィシャルサイト
http://mimorin.com/

オフィシャルTwitter
https://twitter.com/mimorincom
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