デビュー曲は現在放送中のTVアニメ『神無き世界のカミサマ活動』のOPテーマ「I wish」。この作品で、シアン役として声優デビューも果たす。オフィシャルファンクラブ「くるーず!」も開設し、ここから新たな一歩を踏み出していく彼女に、声優への想い、そしてデビューシングル「I wish」について聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY 塚越淳一
「まだまだ学ぶことがあることにワクワクした」
ーーどうして声優を目指そうと思ったのですか?
来栖りん アニメやゲームに触れる機会が、同い年の女の子よりも多かったんです。それは好きだったからというのが一番なんですけれど、アイドルをやっている間も、アニメなどが好きだということを少しずつ表に出していたので、ファンの方からも「声が好きです」とか「声がきっかけで好きになりました」「声のお仕事はしないの?」とたくさんおっしゃっていただけるようになったんです。
――なるほど。
来栖 でも、やってみたい!挑戦してみたい!という気持ちはあっても、当時はスケジュール的にも不可能に近いと思っていて。というのも、声優さんのお仕事って、台本を見て演技をしながら、同時に映像を見て、タイムも見て、ボールドのタイミングでしゃべり出さなければならない。マルチタスクすぎてなかなかできないことなんですよね。
ーー職人的な技術は求められますね。
来栖 そういうことも知っていたので、やってみたいからやるというノリでは当然できないし、私もそんな気持ちではやりたくない。好きなことだからこそ、踏み込んではいけないところだとずっと思っていたんです。
ーー簡単でないことがわかっていたから、すごく厳しい世界だとわかっていても、そこに飛び込んでいくんだ!という強い気持ちがあったと。
来栖 “夢”だと言ってしまったらやらなきゃいけないじゃないですか、絶対に。どんな芸能の仕事でも、表に立つ仕事である以上、言うだけってありえないんです。口に出してしまったら、絶対にやり遂げなければいけないとわかっていたので、ずっと言わなかったんです。お母さんにも「声優をやりたいけど、今の私では絶対にできないし、中途半端になるくらいならば口には出せない」と話していました。
――覚悟があったからこその答えだったんですね。
来栖 でもそのなかで、「声の仕事をやってほしい」とか「何でアニメとかゲームが好きなのに声優をやらないの?」というファンの方のエールはすごく多くて、「ずっと見ていたいから好きなことをやって、(芸能界に)残っていてほしい」と言ってくれたんですね。そこで、新しいことをイチから目指していい状況になっているんだ!と改めて思ったんです。まだ21歳か……まだイチからいけるぞ!と思って、お母さんに「声優をやりたい!」と宣言したら、「やりたいことをやれ!」と言われて、口に出すようになりました(笑)。
ーーたしかに、まだイチからいけますね。
来栖 口に出すことでなぜお話をいただけるかというと、「自分で行動する」からで。
ーーそこから実際に何かをしたり?
来栖 家でフリー台本を探して録音したり、それを聞いてみたりしたんですけど、自分だけでやるのはどうしても限界があったんですよね……。自分の素人耳でしか判断できないから伸びない。だから、そこからレッスンに通いました。教えてもらうだけでこれだけできるようになるんだと、自分の可能性と、今できないことの悔しさを同時に感じたんです。自分がハングリーにならないと、学ばせていただくことが減ってしまう。でも新しい世界に飛び込むと、自分ってこんなにできないことが山積みなのかって、まだまだ学ぶことがあることにワクワクしたし、自分の伸び代を感じることができたので、より本気でやろう!と思えました。
ーー口に出すまでに覚悟が必要で、口に出してからは自分でも行動し、レッスンやアフレコを経験することで、さらに本気度が上がるような感じだったのですね。
来栖 私、水瀬いのりさんが大好きなんですけど、インタビューを読んで、あの水瀬さんでも色んな思いをしていたんだ!と思うこともあって。簡単ではない世界だし、一番狭き門のお仕事だと思っているんです。
ーーちなみにアニメはどんな作品が好きなのですか?
来栖 『メイドインアビス』や『サマータイムレンダ』、少し前だと『妖狐×僕SS』や『らき☆すた』『ローゼンメイデン』『物語』シリーズ、『甲鉄城のカバネリ』とか……色々観ています。日常系のアニメも見るんですけど、こうやって名前を挙げてみると、ちょっとダークな、何かが起きちゃうような作品が好きなんですね。今期だと『化物語』が再放送されているんですけど、私は千石撫子ちゃんが大好きでアニメの世界に入ったようなものなので嬉しいです。撫子ちゃん、本当にかわいい。
ーー花澤香菜さんも、撫子役からさらに注目を浴びられましたからね。
来栖 「恋愛サーキュレーション」が大バズでしたよね。最近でも、TikTokで花澤さんのキャラソンが2曲バズっているんですが、その1曲が『妖狐×僕SS』の「sweets parade」で、本当に最強で、髏々宮カルタちゃんも大好きなんです!
「曲によってセリフパートの言い方は変えています」
ーーそして、「I wish」で5月24日にメジャーデビューをします。タイトル曲はTVアニメ『神無き世界のカミサマ活動』のOPテーマで、同作品でシアン役として声優デビュー。今の心境を聞かせてください。
来栖 まずLantisさんからメジャーデビューという時点で大びっくりだったんです。しかもまさかそれがアニメのOPテーマで、そのアニメのキャラクターボイスも担当させていただけて……。
ーーフル尺で、ソロというのは少なかったのですね。
来栖 グループのときは担当パートがあったので、1曲まるまる自分で歌うのは、体力的にハードルが高いなと思いました。ライブでやるのも大丈夫かな?と思ったりもしたんですけど、逆に1曲を自分1人で表現できるって、すごく自由なことなんですよね。グループだとユニゾンで良さが出るとか、そのメンバーがこういう歌い方をして、自分がここでこういう歌い方をするからその兼ね合いで良くなるみたいな、そのギャップが良い!みたいなところがあったんです。それを自分1人で表現できるってすごく面白いことだから、ここは丁寧に歌うところとか、ここは勢いでいったらカッコいい!とか、そこは逆にアフレコとは違って、しっかりイメージを固めて挑んだ感じでした。
ーー胸ぐらを掴むくらいの気持ちと言っていましたが、曲的にはかわいい感じですよね?
来栖 あははは(笑)。心情とかなりギャップがありますよね。
ーーアニメのタイアップでありながら自分の心境にも重なるような感じですよね。語尾の処理の仕方もすごく個性的で、息の抜け方や使い方がすごく良いなと思いました。
来栖 たしかに、ここは息多めでとか、自分に言っているみたいにとか、考えて歌っていました。AメロBメロや落ちサビって、ゆったりとリラックスして歌う感覚だったので、そういう個所を歌えて嬉しかったです。色んな自分の歌い方にも気づくことができました。
ーーほかの曲もですが、平歌がすごく良いなと思いました。声が特徴的だと言われていた理由もわかります。
来栖 嬉しい!
ーー先ほど歌詞に合わせて歌い方を変えるという話がありましたが、レコーディング中はどんな相談をされたのですか?
来栖 私、裏声はあまり得意ではないんです。なので自分なりのファルセットをどうしていくのかというところは相談しながらやっていった部分です。
ーーセリフ部分はどうでしたか?
来栖 セリフこそ、今までなかったところなので嬉しかったです。実は今回のシングル全曲に入っているんですよ!それはもしかしたら音楽プロデューサーのJunxix.さんが、私が声優デビューするというところも汲み取って入れ込んでくれたのかもしれないですね。その思いを感じながら、曲によって言い方は変えました。この曲の最後の“オネガイ.”は自分の素の声で、あまり作らずに「I wish」っぽく、来栖りんらしく言えたと思います。
ーー“お願い!カミサマ 叶えて”という歌詞が印象的ですが、神様に叶えてほしい願い事はありますか?
来栖 早起きかな……本当に早起きが苦手なので(笑)。あとは、覚えることが苦手なんです。映像のお仕事って台詞を全部覚えるんですけど、人の半分くらいしか覚えられないので、それをカバーするために人の2倍頑張るのよってお母さんに言われていたんです。でも、もう少し要領が良かったら、もっと頑張れたのになって思うこともあったので、そこは改善していきたいですね。
ーーそれこそ歌の歌詞もしっかり覚えていかないといけませんからからね。
来栖 頑張りたい……I wish!
ーー「臆病シャイガール」もかわいらしい曲でしたね。
来栖 この曲は、自分がイメージする“臆病シャイガール”像を想像しました。デモ段階から入らせていただいていて、ラフに録っていいよと言われたのに頑張りたくなっちゃって、家のパソコンとマイクで3時間くらいかけてデモを録って送ったんです。早い段階から入ったからこそ準備ができたというか。何度も録り直しているときに色々考えられたので、かわいこぶりっ子して歌っている感じはありますね。なので、素とはちょっと違います。
ーー歌の主人公、という感じがしますね。
来栖 そうですね。自分でイメージした、こんな感じの臆病シャイガールだったらいいなという気持ちも込めて台詞も言っています。学校で、好きな人を壁からそ~っと見ているイメージですね(笑)。
ーー臆病と言いながらも、最後は頑張ろうとするんですよね。
来栖 最後にすっごく頑張るんですよ。大事なことなので、“掴んでみせるんだ”って2回言ってますし(笑)。
ーー「くるーず!」と「はじまりはいつも」は、これまでのこと、そしてこれからの道を描いているような曲だと思いました。
来栖 Junxix.さんが曲をいくつか用意してくださって、自分で声を当ててみて合う曲を歌っていったんですけど、「はじまりはいつも」は最初の段階から声が合い、私がすごく好きだったので、ライブの最後のほうで歌いたいので入れてもらいました。
――「くるーず!」はいかがでしたか?
来栖 「くるーず!」は、歌っているうちにだんだん自分の気持ちが強くなっていった曲で、ファンの方に届けたい曲ナンバーワンです。私のファンクラブの名前が「くるーず!」でもあり、色んなファンとアーティストの関係値があると思うんですけど、個人的には横並びでいてくれる存在であってほしいという願望があるんです。私のことを憧れて見てくれている方も、もしかしたらいるかもしれないんですけど、すごく身近に感じてくれているファンの方が多い感覚があるんですね。だからこそ、良い景色を見せてあげる、見せてもらうではなくて、見に行こうね!この曲には同じ船に乗って、色んな景色を一緒に見に行こう!という気持ちが詰まっているので、どんな荒波も同じ船で越えていけたらいいよねというイメージの曲になっています。これからライブで歌うこともあると思うので楽しみですし、気持ちが高まるので大好きな1曲です。
ーー「はじまりはいつも」は、ここまで聞いたお話を踏まえて聴くと、またジーンときます。
来栖 この曲、お母さんが大好きなんですよ(笑)。前向きな曲って、頑張れ!とか、手を引いて「行くよ!あなたならいけるよ!」みたいな強気な曲が多いイメージなんですけど、この曲は肯定してくれるソングなんです。できなくても、ゆっくりもう1回行こうぜ!みたいな。頑張れなかった、転んじゃった日の自分を、そんな日もあるよねと肯定してくれる曲だと思っているんです。だから自分自身も、この曲にこれから救われていくんだろうな、というか……。隣で大丈夫だよって言ってくれるお母さんみたいなイメージがあったので、すごく丁寧に歌いました。
ーー最初の気持ちを思い出すというか、これから先の自分にも刺さる曲だと思ったので、まさにその通りだったのですね。
来栖 私にとって大事な曲だと思いました。声優としてもまだ経験もまったくないし、シアンという役を演じさせてもらって、今こそこれからだ!って段階なんです。ファンの方にとっては、“憧れの声優さん”ではなく、“頑張って声優を目指している来栖りん”を応援している感覚だと思うので、一緒に頑張っていくという意味では、私が歌うことで説得力も生まれるのではないかなと思っています。
ーー同じ船に乗っていますからね。ファンの皆さんも、一緒に夢を追える曲になっていますね。
来栖 一緒に今から頑張っていくという位置にいる私だからこそ、頑張っているみんなにも伝わりやすい、伝えやすい曲なのかなって、歌っていてすごく思いました。
ーー色々な4曲が詰まった、自己紹介にもなる1枚になりましたね。
来栖 そうですね。それに色んな声も聴かせられる1枚になったかなと思います。
――そして、声優としてシアンを演じられましたがいかがでしたか?
来栖 シアンに関して、詰めればいいというものではないんですけど、家でできる限りの準備はしました。ただ、練習をしすぎるとディレクションがあったときに対応できなくなるので良くない、という話もよく耳にしていたので、その塩梅が難しくて。
ーーそういうことも御存知だったんですね。
来栖 実はオーディションを何度か受けたことがあるんですけど、そのときはガッチガチに固めていってしまって。「もう少し素っぽくていいよ」と言っていただいたのに、戻せなかったんです。「こうじゃない○○ちゃんってどんな感じなんですか!」という状態になってしまって……その経験があったことは大きいです。だから滑舌部分だけ、家でたくさん詰めていきました。
ーーなるほど。収録はどのような感じで進められたのでしょうか。
来栖 今回は1人でのアフレコだったんですけど見学はさせていただけて、自分がアフレコをしないときも、端っこで見て、メモをしていました。家で自分1人で録り直しているのとは全然違って、こんなに的確に指示をいただけるんだ!って、私が飛び込んだ世界、すごい!ってひしひしと肌で感じました。それが良いプレッシャーになり、これを見たからには、次のアフレコでは今日私が意識したことは絶対に超えるんだ!と、見学の段階で目標を作ることができたので、すごく良い経験になりました。
ーーこの作品に出演されているのは錚々たる方々ですしね。
来栖 悠木 碧さんの収録を見ることができたのですが、もう、本当にすごくて……。アータル役を演じられているんですけど、原作の段階で大好きなキャラクターだったんです。ジト目のちっちゃい、クーデレな感じが刺さったんですけど、悠木さんが声を当てているところを見て、あ、これがアータルだ!本物だ!って思いました。
ーーアニメの絵がまだ完成してないときに聞いても、これがアータルだ!という説得力があったのですね。
来栖 はい!それと、今回は見れていないんですけれど、ダキニ役の高橋李依さんも大好きな声優さんで、高橋さんも色んな役を演じることができる方ですよね。私もそういう声優さんになりたいなと思っているんです。「誰がやっているんだろう?」「あ、来栖りんじゃん」みたいな。いつか少年声とかもできるようになったらいいなと思います。
ーーそこに辿り着くまでに、どうするかも考えていますか?
来栖 いえ、今はまだシアンでいっぱいいっぱいで……全振りでした。でも、色んな声の出し方もいつか教えてもらいたいなと思いました。演技の練習はしているんですけど、演技の先生と解釈一致が起こったときに“楽しい!”って思うんです。理解するのって難しいですけど、それができた時の達成感は気持ちが良いんです。
ーーでは最後に、アーティスト活動で今後やってみたいことは?
来栖 の曲たちをたくさんの方の前で披露したいです。リリイベやライブでやらせていただく機会もあると思うんですけど、1人でパフォーマンスをするのはハードルがかなり高いので、たくさん練習しよう!と思っています。あと、これはアーティストとしてではないのですが、いつかキャラクターソングを歌ってみたい!これからアーティストとしても、声優としても頑張っていくので応援していただきたいです。
●リリース情報
TVアニメ『神無き世界のカミサマ活動』OPテーマ
来栖りん
「I wish」
5月24日(水)リリース
【初回限定盤(CD+Blu-ray)】
価格:¥3,300円(税込)
品番:LACM-34380
※フォトブック、スリーブ付き
<CD>
01. I wish 作詞・作曲 : Junxix. 編曲 : kazuboy.
02. 臆病シャイガール 作詞・作曲 : Junxix. 編曲 : 藤田卓也 , kazuboy.
03. くるーず! 作詞・作曲 : Junxix. 編曲 : Saku
04. はじまりはいつも 作詞・作曲 : Junxix. 編曲 : kazuboy.
<BD>
表題曲「I wish」のMusic Videoとメイキング映像を収録
【通常盤A(CD)】
価格:¥1,650(税込)
品番:LACM-24380
<CD>
01. I wish 作詞・作曲 : Junxix. 編曲 : kazuboy.
02. 臆病シャイガール 作詞・作曲 : Junxix. 編曲 : 藤田卓也 , kazuboy.
03. くるーず! 作詞・作曲 : Junxix. 編曲 : Saku
※通常盤Bと共通
【通常盤B(CD)】
価格:¥1,650(税込)
品番:LACM-24381
※TVアニメ『神無き世界のカミサマ活動』描き下ろしイラストジャケット
<CD>
※通常盤Aと共通
●リリースイベント情報
デビューシングル「I wish」リリースイベント開催中!詳細は来栖りんオフィシャルサイトをチェック!
5月23日(火)アニメイト池袋本店
5月24日(水)池袋・サンシャインシティ 噴水広場
5月25日(木) AKIHABARA ゲーマーズ本店
5月27日(土)イオンモール幕張新都心
5月28日(日)新宿マルイメン/タワーレコード新宿店
■アーティスト写真使用特典
A-on STORE/A!SMART:複製サイン&コメント入り2L判ブロマイド
Amazon:【初回限定盤】複製サイン&コメント入り2L判ブロマイド/【通常盤A/通常盤B】複製サイン&コメント入りL判ブロマイド
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TSUTAYA:複製サイン&コメント入りL判ブロマイド
Neowing:複製サイン&コメント入り2L判ブロマイド
楽天ブックス:【初回限定盤】複製サイン&コメント入りL判ブロマイド&57mm缶バッジ/【通常盤A/通常盤B】複製サイン&コメント入りL判ブロマイド
TVアニメ『神無き世界のカミサマ活動』ジャケット版権使用特典
とらのあな:L判ブロマイド
関連リンク
来栖りん
公式サイト
https://kurusurin.jp
公式Twitter
https://twitter.com/kurusurindesu
TVアニメ『神無き世界のカミサマ活動』公式サイト
https://kamikatsu-anime.jp