豊作となった4月クールの新作アニメの中で、放送開始とともに作品と音楽の双方向から話題を一気にさらったTVアニメ『【推しの子】』。そのなかでアイドルにまつわる業を痛切に描き切ったED主題歌が、女王蜂による「メフィスト」である。
そして今回は特別にアヴちゃんに代わり、女王蜂の地獄のアイドルこと”ぁゔち”に、アヴちゃんが楽曲に込めた想い、そして『【推しの子】』を通して浮き彫りになったアイドルそのものについて語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一
アイドルの「ほんとはね」と、その裏にある業まで描くために
――リスアニ!としては、女王蜂とは昨年『後宮の烏』OPテーマ「MYSTERIOUS」についてアヴちゃんにインタビューして以来となります。
ぁゔち ですね!アヴちゃんと話しているのを拝見しました!
――ぁゔちさんへのインタビューは初めてになるのですが、改めてぁゔちさんの女王蜂での立ち位置を教えてください。
ぁゔち 以前、アヴちゃんがまいっていた時期がありまして、…それがちょうどクリスマスの日だったんですよね。女王蜂は毎年クリスマスにライブを開催して、そのときアヴちゃんはスタッフの皆さんにプレゼントを渡すんですが、ボロボロすぎて当日まで買いに行くのを忘れていたんです!それで慌てて目黒駅のアトレに入ったら、テディベア展が開催されていて、そこで邪悪なぬいぐるみと目が合ったんです。そのぬいぐるみの中に入っていたのがぁゔちなんですね。アヴちゃんが一番まいっていた時期に話しかけていたのがぁゔちで、今回はアヴちゃんとハイタッチをして、バトンタッチして来ました!
――なるほど。いわばアヴちゃんの最も近くにいた存在でもあるということで、アヴちゃんが思っていることを代わりにお話いただけると。
ぁゔち そうです!曲についてもたくさん聞いてきているので、なんでもお答えできると思います!
――では早速ですが、今回「メフィスト」がED主題歌となった『【推しの子】』についてお伺いします。原作は以前から読まれていたんですか?
ぁゔち もちろん!コミックスで追っていて、ぁゔちもずっと好きでした。
――ED主題歌の依頼があったのはいつ頃だと聞いていますか?
ぁゔち 去年の1月に依頼をいただいて、恐らく納品が3月とあっという間だったので、1年越しにやっと公開されたものになる筈…。アヴちゃんがメフィストというモチーフをずっと温めていて、『【推しの子】』のED主題歌が決まったときにはすごく喜んでいました!決まって、泣いていたのもぁゔちは見ていたんですけど、一番びっくりしたのは、ぁゔちがこうして出てくるタイミングが、アヴちゃんの「0年0組」という番組が始まったタイミングと同じで。そのタイミングででこの曲が世に出るということが、なんて運命なんだろうと思っていて……!
――今年1月にスタートした、アヴちゃんがプロデュースするオーディション番組「0年0組 -アヴちゃんの教室-」ですね。そのあとに『【推しの子】』が始まるというのも、たしかに何か因果を感じさせるというか。
ぁゔち 放送時期がこれだけ重なるというのは、アヴちゃんもぁゔちも想定していませんでしたね……!
――また、女王蜂としては昨年から刺激的なアニメ作品とのタッグが続いているというのも、点が線になっているように感じますよね。
ぁゔち 世界が重なって続いて、そしてこんがらがるわけでもなく、でもまとまるわけでもなく……熱を帯びているなかで「メフィスト」が出て、改めてものすごい曲になったなとぁゔちは思っています!
――そんな「メフィスト」ですが、まず目を引いたのがそのタイトルですよね。いわばゲーテの戯曲「ファウスト」でも知られる悪魔。
ぁゔち 以前からアヴちゃんは曲作りの際に戯曲からモチーフを引っ張ってきて、台詞の引用だったり自分ならこう解釈する、みたいな制作が多かったとぁゔちは思っている。子供の頃からゲーテが好きで、色んな作品を読んでいる中でも「ファウスト」という、おじいちゃん学者がもう一度若返って様々な願望をメフィストが叶えるという話。ただ叶えるだけのハッピーではなくて根元から攫われるというか、その感じから幼少期から印象に残っていたみたいですね!
――アヴちゃんの幼少の頃から強烈な残像として残っていたと。
ぁゔち それで『【推しの子】』という作品に出会ったときも、芸能界の描き方にものすごい熱があり、そういう作品って現代ではなかなかないので、まさに“現代最高の復讐劇”だなって。それを曲にするときに、抽象的な言葉よりは戯曲というとても巨大な……メフィストというモチーフもゲーテが描く前から伝承されていることもあって、そういう脈々と受け継がれる血潮みたいなものをぎゅっと顕現させたのかなってぁゔちは思います!
――そうしたメフィストをモチーフに、『【推しの子】』という作品をどう絡ませようと考えたのでしょうか?
ぁゔち “星”と“宝石”というものを大事にしたかったみたいです。
――なるほど。
ぁゔち あと歌詞でも、“らくになる日はまず来ない”とか、言い切ってしまっている。どの筆致をかなりエグいこと言っているなってぁゔちは思うんですけど(笑)、アヴちゃんとしては書き切ったんだと思います。板の上に立ってまでやることの真理だったり、“わたしが命を賭けるから あげるから あなたは時間をくれたのでしょう?”とか”誰を生きたか忘れちゃった!”とか、作品力という大きなものをお借りして、痛烈なものを打ち込んだっていう気がしていて。ぁゔちも「ああ、これが真理だな」って思って歌っています。
――たしかに「メフィスト」でアヴちゃんが書いた言葉はどれも痛烈で、まさに言い切っている力強さがあります。アイドルにまつわる、歌詞や本作でも登場する「嘘は愛」というワードについてはどうお考えですか?
ぁゔち 「欲しい」から「つく」んだと思うんですよね、嘘って。事実にしたいから。事実になっちゃえば嘘じゃないし。でもみんなは嘘つきって言いたい、そう思うことで安心したいという部分がすごくあると思う。
――ある意味でアイドルなんて虚構だよって言って安心したい、という心理は理解できますね。
ぁゔち アイドルのお仕事って嘘って言ってしまうとすごく心許ない、脆弱な、簡単に手折られてしまうものだと認識している人もいると思うんですけど、でもそれってきっと違うんでしょうね。嘘を真(まこと)にしてしまうアイドルの力、アーティストの力というのがあって、さっきまでなかったのに宗教のように一瞬で神棚に上がってしまうような、ただの人間がそういうものではなくなる瞬間、そういうものを描いている作品って少ないと思っていて。
――たしかに。
ぁゔち 『【推しの子】』が、アイドルの「ほんとはね」という内面と、その裏にある業まで描いているのはすごく大切なことだと思っています。嘘つきがカルマまで背負っていると誰も逃げられない、嘘つき呼ばわりできないっていうのは、ぁゔちはいつも感じています。最初は誰も、偉業をなす人を嘘つき呼ばわりして狩ろうとするじゃないですか。そこにぁゔちが全部ぶっ飛ばして、「地獄のアイドルぁゔちです!」っていうだけでここに生きていられること自体が、アイドルの強引な成立力の賜物なのかも。それが「嘘は愛」なんだと思います。でも愛は嘘になれないのにね、だからみんな楽なところから見ているなって思いますね♡
――そういうぁゔちさんがおっしゃる「嘘は愛」を体現しているのが、TVアニメ第1話における星野アイですよね。嘘をついて多くの愛を得ようとしている。
ぁゔち そう、強欲に。
――その結果、彼女は死の直前にアクアとルビーに愛を告げるという最期を見せるわけですよね。あのシーンをご覧になった感想はいかがでしたか?
ぁゔち 拍手しちゃいました。「すごい、ここまで背負わせるんだ!」って。現実の人にも痛みが伝わる瞬間というか、なんてものを見ているんだろうってコミックスを通して、アニメを通したくさん感じた人がいたはず。そこには大きな問題提起があるように感じました。
復讐劇だからこその、生命の躍動を感じさせるサウンド
――さて、そんな「メフィスト」についてサウンド面でもお伺いします。まず冒頭のストリングスから美しいけれど、何か不穏な印象もあって。
ぁゔち 何かよくないことが起こるかもーって感じ(笑)。
――そこから比較的硬いビートが入った、終始ヒリヒリとした緊張感のあるサウンドになっていますよね。
ぁゔち サウンド面でいうと、アヴちゃんは「LOVE PHANTOM」と「フレンズ」って言っていましたね。
――B’zとレベッカですか。
ぁゔち 「LOVE PHATOM」と「フレンズ」というのは、この曲でのすごいポップな部分だと思っていて。最初に出来たデモはもう少しつらいというか……ぁゔちはアヴちゃんの弾き語りで聴いたんですけど、弾き語りの「メフィスト」もすごく悲しかったです。で、痛切だなって思っていたものがアレンジが上がってきた段階で、でも生きていくしかないというか、生命力に溢れているものになっていたので驚きましたね。こういうサウンドになったのは『【推しの子】』が復讐劇だからだと思います。復讐ではなく転落劇だったらこういう生命力は宿らなかったんじゃないかなって!
――その生命の躍動と思わせるのがサビでの壮絶な歌唱ですよね。たしかに悲しみを背負っていながらも活き活きとしているというか。
ぁゔち 嬉しい!ぁゔちも歌っているんですけど、「ねぇ、息継ぎって知ってる?」ってくらい大変で…。なのでこの曲を歌うときは肺活量を2倍にしました。最初に歌ったときは、素直に「アヴちゃんってすごい!」って。
――だからこそ歌詞の言い切り、というのが光るわけですよね。
ぁゔち そう!女王蜂の今までのアニメのタイアップって、その作品の根幹をちゃんと見出して「こういうことかな?」って書いている姿勢がすごく好きなんですけど、今回はそれ以上に言葉を明確に言い切ったなっていう気がしていて。
――たしかにサウンドも歌詞も何より雄弁というか、だからこそ聴く人たちがその意図を考察したくなるというのはありますよね。
ぁゔち ね!歌詞もアクア目線なのかルビー目線なのか、あるいはここはアイが言っているのか、なんて言われていてすごく面白いですね。でもこの前、赤坂(アカ)先生と横槍(メンゴ)先生と対談したんですけど、2人が絶賛してくれたポイントが「この曲は『【推しの子】』のラストを言い切っている」って言っていただけて。「最終ネームの準備稿を見ましたか?」って!
――実際に物語の結末はご覧になったんですか?
ぁゔち え⁉見てないです!でもお二人から「実はここのここが……」と言われて、ぁゔちはとんでもないものに参加しているんだな…って嬉しくもありつつ「アヴちゃんやりよったな」って(笑)。シンクロした部分がすごくありましたね。
――意図せずとも作品とシンクロした結果、そうとも取れる楽曲になったと。
ぁゔち 嬉しかったですー!今までもアニメのタイアップのお仕事をするときには、アニメで許されてる範囲での表現で、アニソン、キャラソン、劇伴とはまた違う位置のものを女王蜂は担当してきていて、でもそれってすごく孤独なんだろうなって思っていたんです。その孤独さを祝福してもらったというか、ここ最近はアニメのお仕事をするたびにそこを絶賛してくださったりとか、このシンクロ度や先の示唆を喜んでいただけるというのは、女王蜂ファンのぁゔちとしても嬉しく思いますね!
――そしてもう1つ伺いたいのが、楽曲の最後に聴かれる“さあ星の子たちよ よくお眠りなさい”というパートですね。ここのフレーズがまた新たな想像を掻き立てるといいますか……。
ぁゔち あ、それには面白い話があって。フルバージョンには“さあ星の子たちよ よくお眠りなさい”のあとに“よく狙いなさい”って入っているんですけど、TVバージョンでは“よくお眠りなさい”を繰り返しているんです。最初はフルバージョンと同じく“よく狙いなさい”で提出していたんです。そうしたらアニメサイドから「これはアイちゃんの目線ですか?」と聞かれて、アヴちゃんが「……誰の目線なんですかね?」って返していて。
――アヴちゃんも誰の目線で書いたかわからなかった。
ぁゔち ぁゔちもそれを横で見ていて珍しいなって思っていたんですけど、アニメサイドからはこれがアイちゃんの目線だとしたら、アイは復讐を望んでいるかわからないから“お眠りなさい”のほうがいいかもしれませんねと言っていただいて。それでTVサイズは“よくお眠りなさい”を繰り返しているんです。ただ、フルバージョンは絶対“狙いなさい”って言い切りたかったみたいで。でも、誰の目線なんだろうって半年くらいモヤモヤしていたんです。それでコミックスを読み返してみたら、結構先の話なんですけどとあるシーンで出てくるカラスの女の子……、超然とした存在が出てくるんですけど、この人の目線で書いているんだなって気づいて。そこにはアイちゃんはいなかったんだなとわかって、「ああ、突っ張ってよかったね」って思ったみたいです!
――いわば今放送されているアニメの先にいる存在が語りかけるような歌詞になっていると。
ぁゔち そうですね。だからこの先『【推しの子】』のアニメが続いてくれた先に、このフルバージョンが頭の中で鳴ってくれるようなときを、やっぱり“狙いなさい”でよかったのかなって思っています。
――しかもそれもまた、意図して書いたわけではなく……。
ぁゔち もう、こんなんばっかりですよ!霊媒師と話してるみたいな(笑)。ぁゔちもそう思いますよ、「あなたの職はなんですか?」って。
――改めて様々な縁が繋がっていくような、運命的なものを感じさせる楽曲となったわけですね。
ぁゔち 例えば冒頭の“踊り出すまま駆けたこの夜空”というのも、書いたときに「YOASOBIさんで『夜に駆ける』って曲あるよね?」ってなったんですけど、でもそのときはOP主題歌がYOASOBIさんって聞いてなかったし「まあいいか」って書いてて、その1年後に「OP主題歌はYOASOBIさんです」って。ここも「あなたの職は……」って思いましたね(笑)。
――そういえば先ほどのカラスという話は『後宮の烏』とも通じたり、『チェンソーマン』も悪魔が出てきますよね(笑)。
ぁゔち ちょうどこの3作品の納品がとっても近かったんですよ。なので女王蜂メンバーの間では“魔の三部作”って言われています(笑)。
――“魔の三部作”!
ぁゔち アニソン界隈に魔を輸入してる!怖いですね♡
EDテーマではなく、ED主題歌として
――改めてアニメで「メフィスト」が流れたのをご覧になっていかがでしたか?エンディングの入り方またグッとくるといいますか。
ぁゔち そうなんです!この曲が愛されているんだな、すごいな!って思いました。ちなみに女王蜂のジャケットも、ぁゔちの小指にたくさんの糸が絡んでいるというのを「アイドルの約束」として表現したんですけど、まさかアクアくんが赤い糸にまみれるという表現ともシンクロしていて「お互い夢で会っているのかな?」って驚きもありながら。
――そこも偶然だったと。
ぁゔち はい…!とにかく“ED主題歌”として扱っていただいていると感じました。以前アニメサイドから「EDテーマではなくED主題歌」と書いてくださいって言われたときに、「主題を私は担っているんだな」ってアヴちゃんは感じていて、OP/EDテーマではなくて、OP/ED主題歌と評されるくらいのものを受け止めて映像として掛け算してくれたんだなって。
――そして本作のカップリングですが、こちらのタイトルが「ファウスト」。まさにゲーテの戯曲の世界ですね。
ぁゔち 「メフィスト」と「ファウスト」は運命の双子だと思っています。「ファウスト」はレコーディングにぁゔちも参加しているんですけど、エンジニアの人が「この曲をミックスしてると情緒不安定になる」って言っていて(笑)。
――情緒不安定ですか(笑)。
ぁゔち でも「これにタイアップついていないのはおかしい」って、情緒不安定になるくせにー!そこにぁゔちがいるのもそうですけど、女王蜂は振れ幅を手に入れちゃっているんだなって思います。
――同じゲーテからの引用ながら、アプローチとしては広い振れ幅なのも興味深いですね。
ぁゔち そうですよね!ファウストとメフィストという古典的な名称を、アヴちゃんが現代に使っているのが面白いなって。でも、それをただ単にノーブルに見せたい!というわけじゃないところも好きなんですよね。頭の良さをーってわけじゃなくて、人類全体が思っていること、避けて通れないことをこの双子の曲は語っていて。それに、双子っていうとルビーちゃんとアクアくんも双子だし。「ファウスト」の歌詞は「メフィスト」より強く提言している感じなのかな。「メフィスト」より追い詰めている気もします!
――改めて「メフィスト」から入った人にも1枚通して聴いてもらいたい作品になりましたね。
ぁゔち 聴いてほしいですね!アニメが好きな方は…女王蜂も好きだと思うんですよ。ぁゔちはよく漫画家さんに好かれるんですけど、アヴちゃんも自分の体を使ってキャラメイクを自身から逃さずに、人の話にせずにずっと抱えて生きている。アニメが好きで、想像力が結実する瞬間が好きな方はぁゔちと一緒で女王蜂を好きになると思います。今回「メフィスト」で女王蜂を知った方は大切に…、絶対に指切りをして!離さないようにしたいです。
――まさにジャケット写真のように、無数の赤い糸の先には多くの新しいファンが待っているわけですね。
ぁゔち 全員逃がさないからー!
――また、本作りリース直後にはすぐさま全国ツアー“メフィスト召喚”がスタートします。どんなライブになりそうですか?
ぁゔち 皆さんにぁゔちが地獄のアイドルとしてのすべてを魅せて、お互いを傷つける、傷つくツアーだと思います。「こんなものを観ていいのでしょうか?」って思うものになると思いますね。
――地獄のアイドルとしてのぁゔちさんがどんなステージを見せるのか、今から楽しみですね。
ぁゔち いつもアーティストという言葉ってすごく便利だなって思っているけど…、アイドルという言葉はその倍便利だなって思っているんですね。他人事というか「アーティストだから仕方ないよね」っていうのと、「アイドルだから我慢しなさい」っていう使われ方をしているなって思っていて。そういう発言をする人たちは、板に立つ人間がどういう気持ちでやっているのか、どういうところまでやっているのって、潜在的に気づいていない気がしていて。もちろん美学としてそういう内側を表に出さないのも素敵だと思うんです。でもぁゔちのお仕事は、皆さんがおままごとしているなかに「実際のもの」を置くことだと思うんです。よく切れる包丁を置くことがぁゔちの仕事だと思っていて。ごっこ遊びを終わらせるために、おままごとを終わらせるための、そんな“メフィスト召喚”になるかと思います!
●リリース情報
TVアニメ『【推しの子】』エンディング主題歌
女王蜂 ニューシングル
「メフィスト」
発売中
【初回生産限定盤(CD+Blu-ray)】
価格:¥3,000(税込)
品番:AICL-4370~4371
※7inchレコードサイズ紙ジャケット仕様
予約はこちら
<CD>
DISC-01(CD)
01.メフィスト
02.ファウスト
03.メフィスト (off vocal ver.)
04.ファウスト (off vocal ver.)
<Blu-ray>
アヴちゃん聖誕祭2022 ~ハーピィ・ギャル~
[2022.12.25 Live at Zepp DiverCity(TOKYO)]
失楽園
P R I D E
バイオレンス
ヴィーナス
十
歌姫
犬姫
Introduction
【通常盤初回仕様(CD※アニメ盤)】
価格:¥1,500(税込)
品番:AICL-4372
※7inchレコードサイズ アニメ絵柄描きおろし紙ジャケット仕様
予約はこちら
<CD>
01.メフィスト
02.ファウスト
03.メフィスト (anime size edit)
04.メフィスト (off vocal ver.)
各店舗特典
・Amazon:メガジャケ(購入された品番のジャケットデザインになります)
・楽天ブックス:「メフィスト」2L判ブロマイド
・セブンネット:「メフィスト」ジャケットデザイン缶バッジ
・TOWER RECORDS:「メフィスト」ポストカードA
・応援店:「メフィスト」ポストカードB
・アニメイト:「メフィスト」アニメ盤絵柄 ましかくブロマイド
・ゲーマーズ:「メフィスト」アニメ盤絵柄 L判ブロマイド
※店舗特典は数量限定。無くなり次第終了となります
●ライブ情報
女王蜂 全国ツアー「メフィスト召喚」
5月19日(金)
神奈川 KT Zepp Yokohama (OPEN 18:00 / START 19:00) ※SOLD OUT
問い合わせ:DISK GARAGE
5月23日(火)
北海道 Zepp Sapporo (OPEN 18:00 / START 19:00)
問い合わせ:マウントアライブ(050-3504-8700 / 平日 11:00~18:00)
5月26日(金)
名古屋 Zepp Nagoya (OPEN 18:00 / START 19:00)
問い合わせ:JAILHOUSE(052-936-6041)
5月27日(土)
大阪 Zepp Osaka Bayside (OPEN 17:00 / START 18:00)
問い合わせ:YUMEBANCHI(06-6341-3525 / 平日12:00~17:00)
6月1日(木)
福岡 Zepp Fukuoka (OPEN 18:00 / START 19:00)
問い合わせ:キョードー西日本(0570-09-2424 / 11:00~15:00(日曜日/祝日休))
6月9日(金)
東京 Zepp DiverCity (OPEN 18:00 / START 19:00) ※SOLD OUT
問い合わせ:DISK GARAGE 050-5533-0888 (weekday12:0~15:00)
6月11日(日)
宮城 仙台GIGS (OPEN 17:00 / START18:00)
問い合わせ:ジー・アイ・ピー
※追加公演
7月3日(月)
Zepp Haneda(OPEN18:00 / START18:00)
問い合わせ:DISK GARAGE
発売日:5月27日
チケット料金:¥6,800(税込 / 1階スタンディング / 2階指定席 / 別途要ドリンク代)
●作品情報
TVアニメ『【推しの子】』
放送中
<INTRODUCTION>
「この芸能界せかいにおいて嘘は武器だ」
地方都市で働く産婦人科医・ゴロー。
ある日”推し”のアイドル「B小町」のアイが彼の前に現れた。
彼女はある禁断の秘密を抱えており…。
そんな二人の”最悪”の出会いから、運命が動き出していく―。
TOKYO MX 毎週水曜 23:00~
チバテレ 毎週水曜 24:45~
群馬テレビ 毎週水曜 25:00~
サンテレビ 毎週水曜 25:00~
KBS 京都 毎週水曜 25:00~
BS11 毎週水曜 25:00~
静岡放送 毎週水曜 25:25~
テレビ愛知 毎週水曜 25:30~
tvk 毎週水曜 25:30~
テレ玉 毎週水曜 25:30~
とちぎテレビ 毎週水曜 25:30~
北陸放送 毎週水曜 25:30~
東日本放送 毎週水曜 25:31~
広島ホームテレビ 毎週水曜 25:40~
テレビ北海道 毎週水曜 26:05~
TVQ 九州放送 毎週水曜 26:05~
新潟放送 毎週水曜 26:30~
AT-X 毎週金曜 21:00~
リピート放送:毎週火曜 09:00~/毎週木曜 15:00~
※放送日時は変更になる可能性がございます。
■配信情報
ABEMA にて地上波同時・単独最速配信決定!
ABEMA 毎週水曜 23:00~
その他サイトも毎週(木)23:00~以降、順次配信予定!
【スタッフ】
原作:赤坂アカ×横槍メンゴ(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
監督:平牧大輔
助監督:猫富ちゃお
シリーズ構成・脚本:田中 仁
キャラクターデザイン:平山寛菜
サブキャラクターデザイン:澤井 駿
総作画監督:平山寛菜、吉川真帆、渥美智也、松元美季
メインアニメーター:納 武史、沢田犬二、早川麻美、横山穂乃花、水野公彰、室賀彩花
美術監督:宇佐美哲也(スタジオイースター)
美術設定:水本浩太(スタジオイースター)
色彩設計:石黒けい
撮影監督:桒野貴文
編集:坪根健太郎
音楽:伊賀拓郎
音響監督:高寺たけし
音響効果:川田清貴
アニメーション制作:動画工房
【キャスト】
アイ:高橋李依
アクア:大塚剛央
ルビー:伊駒ゆりえ
有馬かな:潘めぐみ
黒川あかね:石見舞菜香
MEM ちょ:大久保瑠美
ゴロー:伊東健人
さりな:高柳知葉
アクア(幼少期):内山夕実
(c)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
関連リンク
女王蜂 公式サイト
http://www.ziyoou-vachi.com/
女王蜂 公式Twitter
https://twitter.com/qb_announce
ぁゔち 公式Twitter
https://twitter.com/qb_avu
TVアニメ『【推しの子】』公式サイト
https://ichigoproduction.com/
昨年から『後宮の烏』『チェンソーマン』と話題作で強烈な楽曲をドロップしてきた女王蜂、その中心人物のアヴちゃんは、なぜアイドルをテーマにした作品に”悪魔”というタイトルを用いたのか。“愛”と“嘘”が織りなす復讐劇を、哀しくも活き活きと躍動するサウンドに仕立て上げたその真意に迫る。
そして今回は特別にアヴちゃんに代わり、女王蜂の地獄のアイドルこと”ぁゔち”に、アヴちゃんが楽曲に込めた想い、そして『【推しの子】』を通して浮き彫りになったアイドルそのものについて語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一
アイドルの「ほんとはね」と、その裏にある業まで描くために
――リスアニ!としては、女王蜂とは昨年『後宮の烏』OPテーマ「MYSTERIOUS」についてアヴちゃんにインタビューして以来となります。
ぁゔち ですね!アヴちゃんと話しているのを拝見しました!
――ぁゔちさんへのインタビューは初めてになるのですが、改めてぁゔちさんの女王蜂での立ち位置を教えてください。
ぁゔち 以前、アヴちゃんがまいっていた時期がありまして、…それがちょうどクリスマスの日だったんですよね。女王蜂は毎年クリスマスにライブを開催して、そのときアヴちゃんはスタッフの皆さんにプレゼントを渡すんですが、ボロボロすぎて当日まで買いに行くのを忘れていたんです!それで慌てて目黒駅のアトレに入ったら、テディベア展が開催されていて、そこで邪悪なぬいぐるみと目が合ったんです。そのぬいぐるみの中に入っていたのがぁゔちなんですね。アヴちゃんが一番まいっていた時期に話しかけていたのがぁゔちで、今回はアヴちゃんとハイタッチをして、バトンタッチして来ました!
――なるほど。いわばアヴちゃんの最も近くにいた存在でもあるということで、アヴちゃんが思っていることを代わりにお話いただけると。
ぁゔち そうです!曲についてもたくさん聞いてきているので、なんでもお答えできると思います!
――では早速ですが、今回「メフィスト」がED主題歌となった『【推しの子】』についてお伺いします。原作は以前から読まれていたんですか?
ぁゔち もちろん!コミックスで追っていて、ぁゔちもずっと好きでした。
たしか第1話が週刊少年ジャンプ+で公開されていたときから注目していて、アヴちゃんもそこから追っていたみたいですね!
――ED主題歌の依頼があったのはいつ頃だと聞いていますか?
ぁゔち 去年の1月に依頼をいただいて、恐らく納品が3月とあっという間だったので、1年越しにやっと公開されたものになる筈…。アヴちゃんがメフィストというモチーフをずっと温めていて、『【推しの子】』のED主題歌が決まったときにはすごく喜んでいました!決まって、泣いていたのもぁゔちは見ていたんですけど、一番びっくりしたのは、ぁゔちがこうして出てくるタイミングが、アヴちゃんの「0年0組」という番組が始まったタイミングと同じで。そのタイミングででこの曲が世に出るということが、なんて運命なんだろうと思っていて……!
――今年1月にスタートした、アヴちゃんがプロデュースするオーディション番組「0年0組 -アヴちゃんの教室-」ですね。そのあとに『【推しの子】』が始まるというのも、たしかに何か因果を感じさせるというか。
ぁゔち 放送時期がこれだけ重なるというのは、アヴちゃんもぁゔちも想定していませんでしたね……!
――また、女王蜂としては昨年から刺激的なアニメ作品とのタッグが続いているというのも、点が線になっているように感じますよね。
ぁゔち 世界が重なって続いて、そしてこんがらがるわけでもなく、でもまとまるわけでもなく……熱を帯びているなかで「メフィスト」が出て、改めてものすごい曲になったなとぁゔちは思っています!
――そんな「メフィスト」ですが、まず目を引いたのがそのタイトルですよね。いわばゲーテの戯曲「ファウスト」でも知られる悪魔。
ぁゔち 以前からアヴちゃんは曲作りの際に戯曲からモチーフを引っ張ってきて、台詞の引用だったり自分ならこう解釈する、みたいな制作が多かったとぁゔちは思っている。子供の頃からゲーテが好きで、色んな作品を読んでいる中でも「ファウスト」という、おじいちゃん学者がもう一度若返って様々な願望をメフィストが叶えるという話。ただ叶えるだけのハッピーではなくて根元から攫われるというか、その感じから幼少期から印象に残っていたみたいですね!
――アヴちゃんの幼少の頃から強烈な残像として残っていたと。
ぁゔち それで『【推しの子】』という作品に出会ったときも、芸能界の描き方にものすごい熱があり、そういう作品って現代ではなかなかないので、まさに“現代最高の復讐劇”だなって。それを曲にするときに、抽象的な言葉よりは戯曲というとても巨大な……メフィストというモチーフもゲーテが描く前から伝承されていることもあって、そういう脈々と受け継がれる血潮みたいなものをぎゅっと顕現させたのかなってぁゔちは思います!
――そうしたメフィストをモチーフに、『【推しの子】』という作品をどう絡ませようと考えたのでしょうか?
ぁゔち “星”と“宝石”というものを大事にしたかったみたいです。
星野アイちゃんって苗字に星がついているし、そしてルビーちゃん、アクアマリンくんも宝石だし。キラキラしているものって、砕けているか自分で磨き倒して削れているかのどちらかだとぁゔちは思っているんです!星も遠くからみると綺麗だけど、近くで見ると爆発しまくっていたり、そういう部分を表現したかったのかな。
――なるほど。
ぁゔち あと歌詞でも、“らくになる日はまず来ない”とか、言い切ってしまっている。どの筆致をかなりエグいこと言っているなってぁゔちは思うんですけど(笑)、アヴちゃんとしては書き切ったんだと思います。板の上に立ってまでやることの真理だったり、“わたしが命を賭けるから あげるから あなたは時間をくれたのでしょう?”とか”誰を生きたか忘れちゃった!”とか、作品力という大きなものをお借りして、痛烈なものを打ち込んだっていう気がしていて。ぁゔちも「ああ、これが真理だな」って思って歌っています。
――たしかに「メフィスト」でアヴちゃんが書いた言葉はどれも痛烈で、まさに言い切っている力強さがあります。アイドルにまつわる、歌詞や本作でも登場する「嘘は愛」というワードについてはどうお考えですか?
ぁゔち 「欲しい」から「つく」んだと思うんですよね、嘘って。事実にしたいから。事実になっちゃえば嘘じゃないし。でもみんなは嘘つきって言いたい、そう思うことで安心したいという部分がすごくあると思う。
――ある意味でアイドルなんて虚構だよって言って安心したい、という心理は理解できますね。
ぁゔち アイドルのお仕事って嘘って言ってしまうとすごく心許ない、脆弱な、簡単に手折られてしまうものだと認識している人もいると思うんですけど、でもそれってきっと違うんでしょうね。嘘を真(まこと)にしてしまうアイドルの力、アーティストの力というのがあって、さっきまでなかったのに宗教のように一瞬で神棚に上がってしまうような、ただの人間がそういうものではなくなる瞬間、そういうものを描いている作品って少ないと思っていて。
――たしかに。
ぁゔち 『【推しの子】』が、アイドルの「ほんとはね」という内面と、その裏にある業まで描いているのはすごく大切なことだと思っています。嘘つきがカルマまで背負っていると誰も逃げられない、嘘つき呼ばわりできないっていうのは、ぁゔちはいつも感じています。最初は誰も、偉業をなす人を嘘つき呼ばわりして狩ろうとするじゃないですか。そこにぁゔちが全部ぶっ飛ばして、「地獄のアイドルぁゔちです!」っていうだけでここに生きていられること自体が、アイドルの強引な成立力の賜物なのかも。それが「嘘は愛」なんだと思います。でも愛は嘘になれないのにね、だからみんな楽なところから見ているなって思いますね♡
――そういうぁゔちさんがおっしゃる「嘘は愛」を体現しているのが、TVアニメ第1話における星野アイですよね。嘘をついて多くの愛を得ようとしている。
ぁゔち そう、強欲に。
黙っているところは黙っているだけなんですけど、みんな彼女に背負わせますよねー。
――その結果、彼女は死の直前にアクアとルビーに愛を告げるという最期を見せるわけですよね。あのシーンをご覧になった感想はいかがでしたか?
ぁゔち 拍手しちゃいました。「すごい、ここまで背負わせるんだ!」って。現実の人にも痛みが伝わる瞬間というか、なんてものを見ているんだろうってコミックスを通して、アニメを通したくさん感じた人がいたはず。そこには大きな問題提起があるように感じました。
復讐劇だからこその、生命の躍動を感じさせるサウンド
――さて、そんな「メフィスト」についてサウンド面でもお伺いします。まず冒頭のストリングスから美しいけれど、何か不穏な印象もあって。
ぁゔち 何かよくないことが起こるかもーって感じ(笑)。
――そこから比較的硬いビートが入った、終始ヒリヒリとした緊張感のあるサウンドになっていますよね。
ぁゔち サウンド面でいうと、アヴちゃんは「LOVE PHANTOM」と「フレンズ」って言っていましたね。
――B’zとレベッカですか。
たしかに冒頭のストリングスは「LOVE PHANTOM」らしく、そこから硬めのビートは「フレンズ」っぽくもあり。
ぁゔち 「LOVE PHATOM」と「フレンズ」というのは、この曲でのすごいポップな部分だと思っていて。最初に出来たデモはもう少しつらいというか……ぁゔちはアヴちゃんの弾き語りで聴いたんですけど、弾き語りの「メフィスト」もすごく悲しかったです。で、痛切だなって思っていたものがアレンジが上がってきた段階で、でも生きていくしかないというか、生命力に溢れているものになっていたので驚きましたね。こういうサウンドになったのは『【推しの子】』が復讐劇だからだと思います。復讐ではなく転落劇だったらこういう生命力は宿らなかったんじゃないかなって!
――その生命の躍動と思わせるのがサビでの壮絶な歌唱ですよね。たしかに悲しみを背負っていながらも活き活きとしているというか。
ぁゔち 嬉しい!ぁゔちも歌っているんですけど、「ねぇ、息継ぎって知ってる?」ってくらい大変で…。なのでこの曲を歌うときは肺活量を2倍にしました。最初に歌ったときは、素直に「アヴちゃんってすごい!」って。
――だからこそ歌詞の言い切り、というのが光るわけですよね。
ぁゔち そう!女王蜂の今までのアニメのタイアップって、その作品の根幹をちゃんと見出して「こういうことかな?」って書いている姿勢がすごく好きなんですけど、今回はそれ以上に言葉を明確に言い切ったなっていう気がしていて。
これまでは「かもね」というか、To Be Continued…という感じだったのが、今回は「こういうことだと思います」という言い切りを感じています。だから今回アヴちゃんは、こうしてインタビューをぁゔちに任せているんだと思いますね。今回アヴちゃんがインタビューで語りたがらないというか、ぁゔちを通して話させるというのは、この曲についてアヴちゃんは言い切ったからなのかな…って。
――たしかにサウンドも歌詞も何より雄弁というか、だからこそ聴く人たちがその意図を考察したくなるというのはありますよね。
ぁゔち ね!歌詞もアクア目線なのかルビー目線なのか、あるいはここはアイが言っているのか、なんて言われていてすごく面白いですね。でもこの前、赤坂(アカ)先生と横槍(メンゴ)先生と対談したんですけど、2人が絶賛してくれたポイントが「この曲は『【推しの子】』のラストを言い切っている」って言っていただけて。「最終ネームの準備稿を見ましたか?」って!
――実際に物語の結末はご覧になったんですか?
ぁゔち え⁉見てないです!でもお二人から「実はここのここが……」と言われて、ぁゔちはとんでもないものに参加しているんだな…って嬉しくもありつつ「アヴちゃんやりよったな」って(笑)。シンクロした部分がすごくありましたね。
――意図せずとも作品とシンクロした結果、そうとも取れる楽曲になったと。
ぁゔち 嬉しかったですー!今までもアニメのタイアップのお仕事をするときには、アニメで許されてる範囲での表現で、アニソン、キャラソン、劇伴とはまた違う位置のものを女王蜂は担当してきていて、でもそれってすごく孤独なんだろうなって思っていたんです。その孤独さを祝福してもらったというか、ここ最近はアニメのお仕事をするたびにそこを絶賛してくださったりとか、このシンクロ度や先の示唆を喜んでいただけるというのは、女王蜂ファンのぁゔちとしても嬉しく思いますね!
――そしてもう1つ伺いたいのが、楽曲の最後に聴かれる“さあ星の子たちよ よくお眠りなさい”というパートですね。ここのフレーズがまた新たな想像を掻き立てるといいますか……。
ぁゔち あ、それには面白い話があって。フルバージョンには“さあ星の子たちよ よくお眠りなさい”のあとに“よく狙いなさい”って入っているんですけど、TVバージョンでは“よくお眠りなさい”を繰り返しているんです。最初はフルバージョンと同じく“よく狙いなさい”で提出していたんです。そうしたらアニメサイドから「これはアイちゃんの目線ですか?」と聞かれて、アヴちゃんが「……誰の目線なんですかね?」って返していて。
――アヴちゃんも誰の目線で書いたかわからなかった。
ぁゔち ぁゔちもそれを横で見ていて珍しいなって思っていたんですけど、アニメサイドからはこれがアイちゃんの目線だとしたら、アイは復讐を望んでいるかわからないから“お眠りなさい”のほうがいいかもしれませんねと言っていただいて。それでTVサイズは“よくお眠りなさい”を繰り返しているんです。ただ、フルバージョンは絶対“狙いなさい”って言い切りたかったみたいで。でも、誰の目線なんだろうって半年くらいモヤモヤしていたんです。それでコミックスを読み返してみたら、結構先の話なんですけどとあるシーンで出てくるカラスの女の子……、超然とした存在が出てくるんですけど、この人の目線で書いているんだなって気づいて。そこにはアイちゃんはいなかったんだなとわかって、「ああ、突っ張ってよかったね」って思ったみたいです!
――いわば今放送されているアニメの先にいる存在が語りかけるような歌詞になっていると。
ぁゔち そうですね。だからこの先『【推しの子】』のアニメが続いてくれた先に、このフルバージョンが頭の中で鳴ってくれるようなときを、やっぱり“狙いなさい”でよかったのかなって思っています。
――しかもそれもまた、意図して書いたわけではなく……。
ぁゔち もう、こんなんばっかりですよ!霊媒師と話してるみたいな(笑)。ぁゔちもそう思いますよ、「あなたの職はなんですか?」って。
――改めて様々な縁が繋がっていくような、運命的なものを感じさせる楽曲となったわけですね。
ぁゔち 例えば冒頭の“踊り出すまま駆けたこの夜空”というのも、書いたときに「YOASOBIさんで『夜に駆ける』って曲あるよね?」ってなったんですけど、でもそのときはOP主題歌がYOASOBIさんって聞いてなかったし「まあいいか」って書いてて、その1年後に「OP主題歌はYOASOBIさんです」って。ここも「あなたの職は……」って思いましたね(笑)。
――そういえば先ほどのカラスという話は『後宮の烏』とも通じたり、『チェンソーマン』も悪魔が出てきますよね(笑)。
ぁゔち ちょうどこの3作品の納品がとっても近かったんですよ。なので女王蜂メンバーの間では“魔の三部作”って言われています(笑)。
――“魔の三部作”!
ぁゔち アニソン界隈に魔を輸入してる!怖いですね♡
EDテーマではなく、ED主題歌として
――改めてアニメで「メフィスト」が流れたのをご覧になっていかがでしたか?エンディングの入り方またグッとくるといいますか。
ぁゔち そうなんです!この曲が愛されているんだな、すごいな!って思いました。ちなみに女王蜂のジャケットも、ぁゔちの小指にたくさんの糸が絡んでいるというのを「アイドルの約束」として表現したんですけど、まさかアクアくんが赤い糸にまみれるという表現ともシンクロしていて「お互い夢で会っているのかな?」って驚きもありながら。
――そこも偶然だったと。
ぁゔち はい…!とにかく“ED主題歌”として扱っていただいていると感じました。以前アニメサイドから「EDテーマではなくED主題歌」と書いてくださいって言われたときに、「主題を私は担っているんだな」ってアヴちゃんは感じていて、OP/EDテーマではなくて、OP/ED主題歌と評されるくらいのものを受け止めて映像として掛け算してくれたんだなって。
――そして本作のカップリングですが、こちらのタイトルが「ファウスト」。まさにゲーテの戯曲の世界ですね。
ぁゔち 「メフィスト」と「ファウスト」は運命の双子だと思っています。「ファウスト」はレコーディングにぁゔちも参加しているんですけど、エンジニアの人が「この曲をミックスしてると情緒不安定になる」って言っていて(笑)。
――情緒不安定ですか(笑)。
ぁゔち でも「これにタイアップついていないのはおかしい」って、情緒不安定になるくせにー!そこにぁゔちがいるのもそうですけど、女王蜂は振れ幅を手に入れちゃっているんだなって思います。
――同じゲーテからの引用ながら、アプローチとしては広い振れ幅なのも興味深いですね。
ぁゔち そうですよね!ファウストとメフィストという古典的な名称を、アヴちゃんが現代に使っているのが面白いなって。でも、それをただ単にノーブルに見せたい!というわけじゃないところも好きなんですよね。頭の良さをーってわけじゃなくて、人類全体が思っていること、避けて通れないことをこの双子の曲は語っていて。それに、双子っていうとルビーちゃんとアクアくんも双子だし。「ファウスト」の歌詞は「メフィスト」より強く提言している感じなのかな。「メフィスト」より追い詰めている気もします!
――改めて「メフィスト」から入った人にも1枚通して聴いてもらいたい作品になりましたね。
ぁゔち 聴いてほしいですね!アニメが好きな方は…女王蜂も好きだと思うんですよ。ぁゔちはよく漫画家さんに好かれるんですけど、アヴちゃんも自分の体を使ってキャラメイクを自身から逃さずに、人の話にせずにずっと抱えて生きている。アニメが好きで、想像力が結実する瞬間が好きな方はぁゔちと一緒で女王蜂を好きになると思います。今回「メフィスト」で女王蜂を知った方は大切に…、絶対に指切りをして!離さないようにしたいです。
――まさにジャケット写真のように、無数の赤い糸の先には多くの新しいファンが待っているわけですね。
ぁゔち 全員逃がさないからー!
――また、本作りリース直後にはすぐさま全国ツアー“メフィスト召喚”がスタートします。どんなライブになりそうですか?
ぁゔち 皆さんにぁゔちが地獄のアイドルとしてのすべてを魅せて、お互いを傷つける、傷つくツアーだと思います。「こんなものを観ていいのでしょうか?」って思うものになると思いますね。
――地獄のアイドルとしてのぁゔちさんがどんなステージを見せるのか、今から楽しみですね。
ぁゔち いつもアーティストという言葉ってすごく便利だなって思っているけど…、アイドルという言葉はその倍便利だなって思っているんですね。他人事というか「アーティストだから仕方ないよね」っていうのと、「アイドルだから我慢しなさい」っていう使われ方をしているなって思っていて。そういう発言をする人たちは、板に立つ人間がどういう気持ちでやっているのか、どういうところまでやっているのって、潜在的に気づいていない気がしていて。もちろん美学としてそういう内側を表に出さないのも素敵だと思うんです。でもぁゔちのお仕事は、皆さんがおままごとしているなかに「実際のもの」を置くことだと思うんです。よく切れる包丁を置くことがぁゔちの仕事だと思っていて。ごっこ遊びを終わらせるために、おままごとを終わらせるための、そんな“メフィスト召喚”になるかと思います!
●リリース情報
TVアニメ『【推しの子】』エンディング主題歌
女王蜂 ニューシングル
「メフィスト」
発売中
【初回生産限定盤(CD+Blu-ray)】
価格:¥3,000(税込)
品番:AICL-4370~4371
※7inchレコードサイズ紙ジャケット仕様
予約はこちら
<CD>
DISC-01(CD)
01.メフィスト
02.ファウスト
03.メフィスト (off vocal ver.)
04.ファウスト (off vocal ver.)
<Blu-ray>
アヴちゃん聖誕祭2022 ~ハーピィ・ギャル~
[2022.12.25 Live at Zepp DiverCity(TOKYO)]
失楽園
P R I D E
バイオレンス
ヴィーナス
十
歌姫
犬姫
Introduction
【通常盤初回仕様(CD※アニメ盤)】
価格:¥1,500(税込)
品番:AICL-4372
※7inchレコードサイズ アニメ絵柄描きおろし紙ジャケット仕様
予約はこちら
<CD>
01.メフィスト
02.ファウスト
03.メフィスト (anime size edit)
04.メフィスト (off vocal ver.)
各店舗特典
・Amazon:メガジャケ(購入された品番のジャケットデザインになります)
・楽天ブックス:「メフィスト」2L判ブロマイド
・セブンネット:「メフィスト」ジャケットデザイン缶バッジ
・TOWER RECORDS:「メフィスト」ポストカードA
・応援店:「メフィスト」ポストカードB
・アニメイト:「メフィスト」アニメ盤絵柄 ましかくブロマイド
・ゲーマーズ:「メフィスト」アニメ盤絵柄 L判ブロマイド
※店舗特典は数量限定。無くなり次第終了となります
●ライブ情報
女王蜂 全国ツアー「メフィスト召喚」
5月19日(金)
神奈川 KT Zepp Yokohama (OPEN 18:00 / START 19:00) ※SOLD OUT
問い合わせ:DISK GARAGE
5月23日(火)
北海道 Zepp Sapporo (OPEN 18:00 / START 19:00)
問い合わせ:マウントアライブ(050-3504-8700 / 平日 11:00~18:00)
5月26日(金)
名古屋 Zepp Nagoya (OPEN 18:00 / START 19:00)
問い合わせ:JAILHOUSE(052-936-6041)
5月27日(土)
大阪 Zepp Osaka Bayside (OPEN 17:00 / START 18:00)
問い合わせ:YUMEBANCHI(06-6341-3525 / 平日12:00~17:00)
6月1日(木)
福岡 Zepp Fukuoka (OPEN 18:00 / START 19:00)
問い合わせ:キョードー西日本(0570-09-2424 / 11:00~15:00(日曜日/祝日休))
6月9日(金)
東京 Zepp DiverCity (OPEN 18:00 / START 19:00) ※SOLD OUT
問い合わせ:DISK GARAGE 050-5533-0888 (weekday12:0~15:00)
6月11日(日)
宮城 仙台GIGS (OPEN 17:00 / START18:00)
問い合わせ:ジー・アイ・ピー
※追加公演
7月3日(月)
Zepp Haneda(OPEN18:00 / START18:00)
問い合わせ:DISK GARAGE
発売日:5月27日
チケット料金:¥6,800(税込 / 1階スタンディング / 2階指定席 / 別途要ドリンク代)
●作品情報
TVアニメ『【推しの子】』
放送中
<INTRODUCTION>
「この芸能界せかいにおいて嘘は武器だ」
地方都市で働く産婦人科医・ゴロー。
ある日”推し”のアイドル「B小町」のアイが彼の前に現れた。
彼女はある禁断の秘密を抱えており…。
そんな二人の”最悪”の出会いから、運命が動き出していく―。
TOKYO MX 毎週水曜 23:00~
チバテレ 毎週水曜 24:45~
群馬テレビ 毎週水曜 25:00~
サンテレビ 毎週水曜 25:00~
KBS 京都 毎週水曜 25:00~
BS11 毎週水曜 25:00~
静岡放送 毎週水曜 25:25~
テレビ愛知 毎週水曜 25:30~
tvk 毎週水曜 25:30~
テレ玉 毎週水曜 25:30~
とちぎテレビ 毎週水曜 25:30~
北陸放送 毎週水曜 25:30~
東日本放送 毎週水曜 25:31~
広島ホームテレビ 毎週水曜 25:40~
テレビ北海道 毎週水曜 26:05~
TVQ 九州放送 毎週水曜 26:05~
新潟放送 毎週水曜 26:30~
AT-X 毎週金曜 21:00~
リピート放送:毎週火曜 09:00~/毎週木曜 15:00~
※放送日時は変更になる可能性がございます。
■配信情報
ABEMA にて地上波同時・単独最速配信決定!
ABEMA 毎週水曜 23:00~
その他サイトも毎週(木)23:00~以降、順次配信予定!
【スタッフ】
原作:赤坂アカ×横槍メンゴ(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
監督:平牧大輔
助監督:猫富ちゃお
シリーズ構成・脚本:田中 仁
キャラクターデザイン:平山寛菜
サブキャラクターデザイン:澤井 駿
総作画監督:平山寛菜、吉川真帆、渥美智也、松元美季
メインアニメーター:納 武史、沢田犬二、早川麻美、横山穂乃花、水野公彰、室賀彩花
美術監督:宇佐美哲也(スタジオイースター)
美術設定:水本浩太(スタジオイースター)
色彩設計:石黒けい
撮影監督:桒野貴文
編集:坪根健太郎
音楽:伊賀拓郎
音響監督:高寺たけし
音響効果:川田清貴
アニメーション制作:動画工房
【キャスト】
アイ:高橋李依
アクア:大塚剛央
ルビー:伊駒ゆりえ
有馬かな:潘めぐみ
黒川あかね:石見舞菜香
MEM ちょ:大久保瑠美
ゴロー:伊東健人
さりな:高柳知葉
アクア(幼少期):内山夕実
(c)赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
関連リンク
女王蜂 公式サイト
http://www.ziyoou-vachi.com/
女王蜂 公式Twitter
https://twitter.com/qb_announce
ぁゔち 公式Twitter
https://twitter.com/qb_avu
TVアニメ『【推しの子】』公式サイト
https://ichigoproduction.com/
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