そんな彼女たちから届けられたのが、過去5回の“ワクチンライブ”からベストテイクを厳選し、オリジナルアルバムの曲順に沿って再編集したCD4枚組全50曲収録のライブベストアルバム『Absolute LIVE!!!!!』。リスアニ!では、インタビューやライブ取材などを通じてワルキューレの活動を追ってきた4名の“ワルキューレ大好きライター”(杉山 仁、須永兼次、塚越淳一、仲上佳克)に、本アルバムおよびワルキューレのライブの魅力を存分に語り合ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
伝説のフリーイベントから初の横アリ公演までの軌跡
――まずはワルキューレのライブの歴史を振り返っていきます。公の場での初ライブは2016年5月14日、シングル「一度だけの恋なら/ルンがピカッと光ったら」の発売を記念して行われた無料観覧イベント「歌は神秘!“ワルキューレ”ワクチンミニライブ@ラゾーナ川崎プラザ」で、美雲ΔJUNNA、フレイアΔ鈴木みのりが出演。須永さんはオフィシャルレポートを担当していたので現地で観たんですよね。
須永兼次 はい。TVアニメ(『マクロスΔ』)の放送が始まって割とすぐのタイミングではありましたけど、観覧フリーということもあって、通りかかった人も含めてものすごい数の人が集まっていたんですよ。そんな状況のなかで、しかもオーディションで選ばれた2人が、最初ならではの硬さも少しありつつ堂々とパフォーマンスしていたという姿には「すごいな……!」という印象がありましたね。特にJUNNAさんは最初から緊張の色があまり感じられなくて、MCでJUNNAさんが(当時)15歳だと知った方々の声で会場がざわついていました(笑)。
――そして2016年8月から9月にかけて、東名阪のZepp3会場を巡る1stライブ“マクロスΔ 戦術音楽ユニット“ワルキューレ” 1st LIVE in Zepp Walküre Attack!”が開催。こちらでカナメΔ安野希世乃、レイナΔ東山奈央、マキナΔ西田望見も加わって、5人揃ってのワルキューレライブが初お披露目となりました。
塚越淳一 Zeppツアーはバンドが入ってなかったんですよね。
須永 とはいえ、パフォーマンス自体の完成度は既に非常に高かったです。ライブごとにどんどんすごくなっていくので、最新の状態と1stの頃を比べれば違いはあると思いますけど、当時あの完成度の高いライブを生で叩きつけてくるのは衝撃的でした。周りにいた関係者の方も、何人か声を出して泣いていたぐらいでしたから。
――まだTVアニメが放送中でしたし、感情移入しやすかったんでしょうね。
須永 ただ、これも“今と比べれば”という点ではありますが……、「決まり通りのものをしっかりと見せていた」というイメージもありますね。5人がステージ上にほぼ等間隔で並んで、その場でステップを踏みながらきれいに歌う、みたいな。もちろんどの曲でもパフォーマンスの質は高いんですけど、もし今とのステージングの差を挙げるとするならば、そういう部分になるのかな、と。
塚越 最初はダンスをそこまで本格的にやるつもりもなかったらしいですしね。
仲上佳克 踊りもある方向になったのは、その後に横浜アリーナというより大きなステージでライブを行う、ということも大きかったんですかね。
塚越 最初はJUNNAちゃんとみのりちゃんのツインボーカル体制でいくつもりだったのが、5人全員が前に出るようになったことも大きかったんじゃないですかね。ダンスが得意な東山さんがいたことも影響したかもしれない(笑)。
仲上 その“2+3”みたいなところから5人になったっていう、ワルキューレの歴史自体が熱くて好きなんですよね。
塚越 きっとそこから段々ユニットとしての見せ方が変わっていったのかな。
須永 以前メンバーの座談会を担当させていただいたとき、その期間に絆がすごく強くなったと振り返られていました。
――続いてTVアニメの放送終了後、2017年1月28日・29日に横浜アリーナで開催されたのが2ndライブ“マクロスΔ 戦術音楽ユニット“ワルキューレ” 2nd LIVE in 横浜アリーナ『ワルキューレがとまらない』”です。
仲上 僕は普通にお客さんとして初日公演を観に行ったのですが、いわゆる“天空席”と呼ばれる場所で観ていたにも関わらず、それでもすごいなと思った印象が強烈に残っていて。普段、取材で入らせていただくときは、ステージが見えやすい関係者席で観させていただくことが多いですけど、ちゃんとどの席のお客さんにも届くパフォーマンスをやっているんだなっていう当たり前のことを、改めて感じることができたんですよね。
須永 たしかに、色々な演出も含めて、あの大会場の規模にも負けていない“自分たちのステージ”を見せている感じがして。そういう凄みみたいなものが最初に乗ったのが、この横アリのライブだった印象がありますね。
杉山 仁 ライブ全体としてもさらに一段グレードアップした気がしますし、ワルキューレのライブは根本的に“ワクチンライブ”というコンセプトがありますけど、最初は「ようこそ!ワルキューレ・ワールドへ」で始まるところも含めて、そういう部分の演出としてもより魅力的な表現が増えていた気がします。メンバーの皆さんのスキルとポテンシャルもすごくて、僕は普段、ロックバンドやアイドルの方に取材することも多いんですけど、そういう人たちにも引けを取らないくらいのすごいパフォーマンス力を感じました。
塚越 そもそも東山さんがコーラス的なポジションで後ろにいるというのがすごいですからね。あと、2017年の横アリは当時の「マクロス」シリーズの単独ライブの中でも最大規模だったんです。それまでに色んなコンテンツが出てきてライブ会場の規模自体が大きくなってきた流れがあったと思うんですけど、そのきっかけの1つは『マクロスF』だと思うんですね。
――ワルキューレの話ではないですけどね(笑)。
仲上 ただ、そこも欠かしちゃいけませんよね。要は『マクロスΔ』の物語を再現するような演出になっていたので。
塚越 日笠さん(ワルキューレの元メンバー。クレアΔ日笠陽子として歌唱)や声優さんも出てきましたし。あと、衝撃的だったのがJUNNAちゃんの存在の大きさ。それはワルキューレのライブを観るたびに思います。
仲上 僕は衝撃でいうと鈴木みのりさんですね。ちょっと口悪く言いますけど、「彼女はモンスターだな」って思ったんです。特にアンコールに入ってからの荒ぶり、最後の「ルンピカ(ルンがピカッと光ったら)」の暴れっぷりを見て、「こいつはすげえのが出てきたな」っていう(笑)。
塚越 本当に。JUNNAちゃんは歌担当として入っていますし、May’nさんの存在もあったから、すごいことは予想していましたけど、そこに堂々と張り合っていましたからね。
仲上 そうなんですよ。あの時点で完成されていたJUNNAさんに立ち向かってるというか。お互いにライバル意識があるのかはわからないですけど、普段は和気あいあいとしながらも、ステージ上ではちょっとヒリヒリ感が伝わってきたのも良かったですよね。
塚越 声のタイプが違うのも大きかったですよね。みのりちゃんはスタミナもすごくて、走りまくっても歌が全然ぶれないっていう。
須永 鈴木さんって、声質がかわいさやフレイアのキャラクター性もあって案外気づかれにくいんですけど、歌声はパワフルで強いんですよね。それは色んな楽曲を聴くたびに思います。
塚越 その2人を、安野さん、東山さん、西田さんが上手い具合にサポートしているんですよね。この時点で「絶対零度θノヴァティック」を歌っていましたけど、声優中心のグループであのコーラスをライブでちゃんと見せられるのはちょっと衝撃的でした。
杉山 「絶対零度」は本当にすごいですよね。
塚越 東山さんと安野さんがコーラス好きだったのも大きいと思います。たしか東山さんは(学生時代に)合唱部だったんですよね。西田さんはいわゆる“アニメ声”で歌える存在としては外せないし、5人のバランスがすごく良いんです。
須永 西田さんも、ライブで聴いても歌声が埋没しないですから。
仲上 西田さんの「からの!」は絶対欲しいですからね、ライブでは。
――ちなみに2ndライブからバックバンドが付いたわけですが、それについての印象の変化はありますか?
塚越 今回のライブアルバムを聴けば演奏がめちゃくちゃすごいということはわかりますけど、ダンスもするワルキューレの音楽性ならオケでもいいところを、やっぱりバンドにするのがフライングドッグらしいですよね。
杉山 それこそ「絶対零度」はドラムンベースやIDMっぽいビートのパターンが入っていますけど、それを生バンドでやってしまうっていう。
塚越 佐野(康夫/ドラムス)さんは本当にすごいんですよ。ワルキューレの楽曲は結構打ち込み系が多いけど、ライブだとそれを人力ドラムでやるっていう。バンドマスターの西脇(辰弥/キーボード)さんのアレンジも、オリジナルの音源と比べてライブ用にいろいろと変えているはずなんですけど、いい意味で印象が変わらないんですよね。
仲上 音源とアレンジを変えているのに気づかない。
塚越 印象的なフレーズは全部拾ってくれている。なので今回のアルバムでも西脇さんのライブアレンジは聴きどころだと思います。
ワルキューレはあきらめない――彼女たちが貫いてきた信念
――翌2018年2月24日・25日には、同じく横浜アリーナで3rdライブ“『マクロスΔ』戦術音楽ユニット“ワルキューレ” 3rd LIVE 『ワルキューレは裏切らない』 at 横浜アリーナ”が行われました。
仲上 このライブはやっぱりムービングステージが印象的でしたね。
杉山 あれはすごかったですね。
塚越 生で見れて感動しました。
須永 「ジャニーズがやるやつやん!」っていう(笑)。
杉山 僕はあのライブの舞台監督さん(岡本祐次)に「ワルキューレぴあ」の取材でお話を伺ったんですけど、やはり“ワクチンライブ”なので、会場の全員にワクチンを届けなくてはいけないということで、監督さんがムービングステージの使用を提案したというお話でした。
須永 「作中のコンセプトを、どう具現化するか」ということですよね。ファンとしても(演者が)近くに来てくれるのは嬉しいことですし、それを作品に紐づけた形であの大会場でやってくれるなんて、たまらない瞬間だったと思います。
杉山 しかもアリーナ(センター席)で観ていた人からすると、自分たちの上をステージが通るっていう。
仲上 推しを下から見るなんて、普通はありえないですから(笑)。
須永 鈴木さんは最終的に仰向けになって歌ってたりしていて、「楽しんでるなぁ……!」って。
仲上 僕の「あいつすげーな!Part2」ですよ(笑)。
杉山 2ndライブのときは初めての大舞台だと思うのでそれぞれ緊張した部分があったと思うんですけど、3rdライブはみんな本当に楽しそうでしたよね。
塚越 それは、2ndライブのときはこれで(ワルキューレの活動は)終わりだと思っていたからじゃないですか。3rdライブのときはその先も続くことがわかっていたから、みんな思いきり楽しんでいたっていうことを取材で言っていました。
――しかもアンコールで『マクロスF』の2人の歌姫とのコラボが実現。1日目にはシェリル・ノーム starring May’n、2日目にはランカ・リー=中島愛がゲスト出演しました。
塚越 確か両方観たくて両日行った気がする。片方は自分でチケットを取って。
仲上 僕は1日目が取材で、2日目はライブビューイングで見ました。ワルキューレって自分でチケットを買ってでも観たくなっちゃうんですよね。特に1日目、「May’nと対等に並び立って歌うJUNNA」ということじゃないですか。この熱さですよ。
塚越 でも、May’nとJUNNAちゃんは通じるところがありますよね。熱気バサラ(『マクロス7』の主人公でFire Bomberのメインボーカル)からの系譜というか。
――2019年6月に開催されたライブイベント“MACROSS CROSSOVER LIVE 2019 at 幕張メッセ”の1日目では、Fire Bomberとワルキューレのコラボもありましたし。
塚越 JUNNAちゃんにとってもFire Bomberと歌ったことは大きかったみたいですね。
――そして2020年、当初予定していたツアーがコロナの影響で延期になりつつ、10月3日には配信ライブ“#エアワルキューレ プレミアム LIVE TOUR 2020 ~ワルキューレはあきらめない~”、そして同年12月から2021年1月にかけて4thライブにあたるZeppツアー“ワルキューレ LIVE TOUR 2020-2021 ~ワルキューレはあきらめない!!!!!~”が行われました。
塚越 この時期はほかのコンテンツもお客さんを入れてライブをやることはあまりなかったし、多分企画の時点ですごく大変だというのはわかっていたと思うけど、ワルキューレなので諦めるわけにはいかないですよね。「ワルキューレはあきらめない」ですし。
杉山 「ワルキューレはとまらない」とも歌っていますからね。ここで止まらないのはすごい決断でしたよね。
仲上 “ワクチンライブ”と言ってるのにコロナに負けていられないっていう。特にツアーはハードルが高かったと思うんですけど、やることに意義があるわけですから。
塚越 その覚悟がすごいなと思いましたし、その辺がワルキューレのすごいところだなと。
――その後、完全新作となる劇場アニメ『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』の公開を経て、2022年4月9日・10日に幕張メッセで開催されたのが5thライブ“ワルキューレ LIVE 2022 ~Walküre Reborn!~”です。
仲上 ライブ本編は劇場版の物語に沿った構成になっていて、なかでもハイライトはやはりYami_Q_ray(ヤミキューレ)ですかね。僕は初日公演にプライベートで参戦したんですけど、メンバーがYami_Q_rayとしてトロッコに乗って会場を回っているときに、顔見知りだから目が合うのが恥ずかしくて、ペンライトで不自然に顔を隠しながら応援したっていう思い出があります(笑)。
須永 「作品の世界観を現実のライブ演出に取り入れる」という点は、一貫してこだわっているところですよね。
塚越 劇場版のストーリーの関係上、みのりちゃんというかフレイアが演出的にいなくなったりするんですけど、それも映画を観ているような感じで盛り上がれましたね。いい楽曲も多いですし。
仲上 そこは(お客さんが)声を出せないライブだからこその演出に感じたところで、通常のライブなら後半は盛り上がる曲で固めるセットリストが多いと思うんですけど、それとはまた違う構成になっていたのかなと。
塚越 そうですね。「ALIVE~祈りの唄~」から「宇宙のかけら」の流れとか。「愛してる」からの「りんごのうた~Instrumental~」での西脇辰弥さんのハーモニカなど、本当に最高でした。
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ライブ音源から伝わる“絶対的な5人”の魅力を徹底解析!
――今回のライブアルバムには、1stライブから5thライブまでのライブ音源の中から全50曲を収録。ワルキューレの歴史をライブ音源で振り返られる内容になっています。
須永 しかも、アルバムの時系列順にちゃんと並べて収録されていて。
仲上 1つのライブをそのまま入れるのではないのが、面白い形式ですよね。いわゆる人気曲は大体入っているし。なかでもDisc-4が「ようこそ!ワルキューレ・ワールドヘ」で始まるところは、ライブのオープニング感が感じられていいなと思いました。
塚越 バンド紹介も入ってますからね(※Disc-1の「ルンがピカッと光ったら」、Disc-3「ルンに花咲く恋もある」)。
仲上 実際のライブはこのセトリではなかったけど、ちゃんとライブを体感してる感じがするっていう。
須永 そのうえで、要点はちゃんと繋げてくれているんですよね。
塚越 こだわってベストテイクを選んでくれたんでしょうね。個人的に印象に残っているのは「Glow in the dark」。驚くことに、この曲、幕張(5thライブ)の1曲目なんですよ。これまで色んなライブを観てきたけど、1曲目って声が出きっていない人が多いんですけど、JUNNAちゃんは1曲目からすごい。そういう稀有な才能の持ち主なので、今回のライブ盤でもその辺りは注目して聴いてほしいです。前半のJUNNAちゃんもヤバい。
須永 2016年から2022年までの音源が一緒に入っているからこそ、ワルキューレが100から150、200……とステップアップしていったところを、このアルバムで感じられるように思います。最初に衝撃的な登場をして「すごい!」という評価をされた場合、逆にそこで評価が固定されてしまって、さらなる成長についてあまり言及されない気がするんですよ。でも、このアルバムではその成長を意識できる印象があるんですよね。
仲上 それでいうと僕は心の中でJUNNAさんに謝りましたよね。最初の段階で完成していると思ってしまったけど、全然伸びしろがあったし、もっともっとすごくなる人だったんだなっていう。
須永 歌声の深みが凄まじいですもんね。最初から懐が深いなと思っていたけど、「どれだけ広くなるの!?」みたいな。僕自身もこのアルバムを聴いて、やっぱり「もっとすごくなっているなぁ」と感じました。
杉山 楽曲自体もどんどん難しくなっていきましたよね。でも、それをメンバーの皆さんがちゃんと受け止めてすごい形で返していて。それで言うと「Dancing in the Moonlight」や「チェンジ!!!!!」は歌割りがすごく細かいし、ダンスもほかのメンバーの動きと連動しなくてはいけないところがあって、めちゃくちゃ難しいと思うんです。
須永 「あれだけ踊るのにこんなに緻密にハモリます?」みたいな。だから毎回、「え、まだすごくなるんですか?」って驚かせ続けてもらってるといいますか。
塚越 確かに。「GIRAFFE BLUES」はライブでずっと歌われていて色んなバージョンがあるけど、今回はJUNNAちゃんとみのりちゃんが歌うバージョン(Disc-1の「GIRAFFE BLUES」)だけでなく、カナメのソロバージョン(Disc-4の「GIRAFFE BLUES ~Kaname Solo Requiem~」)も入ってるんですよね。
仲上 これいいですよね。安野さんの歌を堪能できるので。
塚越 あとは「愛・おぼえていますか」を入れてくれたのも嬉しかった。あれは現場で観ていて相当感動した覚えがあって。みんな泣いていたから、メンバーはイジられると言って、あまり聴きたがらないかもしれないけど、ワルキューレの「ここで終わるかもしれないと思っていた」という物語を重ねて聴くと、涙なしでは聴けないです。
須永 それで言うと、僕は「God Bless You」はいつ聴いても泣いちゃうんですけど、今回は実際のライブのときとは違ってアルバム(2ndアルバム『Walküre Trap!』)と同じ曲順、「ワルキューレのバースデイソング」から「God Bless You」……という流れで収録されているので、さらに涙腺がやられてしまいます(笑)。
仲上 僕も「AXIA ~ダイスキでダイキライ~」はいつ聴いても泣きますね。ベタ過ぎてあまり言いたくなかったけど(笑)。
杉山 僕もめちゃめちゃベタですけど、「ルンピカ(ルンがピカッと光ったら)」と「恋ハレ(恋! ハレイション THE WAR)」はグッときますね。「恋ハレ」はすごくワルキューレらしい曲だと思うんですよ。あのプログレみたいな曲を、すごいクオリティのパフォーマンスと演奏で聴かせてしまうっていう。
塚越 「Absolute 5」も。
仲上 「Absolute 5」は歌詞が熱いんですよね。
杉山 5人だってことを象徴する曲で。
塚越 あれはJUNNAちゃんが2nd LIVEのMCで、「ワルキューレは『Absolute 5』の歌詞にある通り、“ひとりでも欠けたら 意味を失ってしまう”グループだと思います」と言ったことで、さらに意味を持った感じがしますよね。
――また、今回のライブアルバムには、先ほど話題に上ったカナメΔ安野希世乃のソロ歌唱曲のように、メンバーそれぞれの魅力にフォーカスを当てた楽曲も収録されています。
塚越 今回の収録曲で言うと、東山さんがメインで歌う「Silent Hacker」や「キズナ→スパイラル」はかなり好きな曲で、演奏含め結構難しい曲だと思うんですけど、それをレイナとして歌っているのは、いつもすごいなって思います。本当は会場の隅々まで届く、よく通るクリアな声の持ち主なんですけど、キャラから絶対に逸脱しないですからね。
須永 さっき西田さんの歌声が埋没しないという話をしましたけど、東山さんもそれこそレイナとして、あの力加減で歌っているのに声が埋もれないし、しかもダンスも踊るって尋常じゃないですよ。もはや当たり前のように思っている人もたくさんいるでしょうけど、普通は絶対無理だから(笑)。
塚越 あとはコーラスでいえば、やっぱり安野さんのレベルがすごいですよね。これはメンバーもよく絶賛していますが。
須永 安定感が抜群なうえに、どのポジションでもできるのはすごいですよね。ハモのときは難しいパートを歌うし、「AXIA ~ダイスキでダイキライ~」とかで前に出るときも、力強さも含めて全然見劣りがしない。安野さんはマインド的な部分も含めて、ワルキューレにとってすごく大事な要素だと思います。
塚越 声質もあってか、最近は歌謡曲っぽい曲をよく歌ってますよね。
仲上 この前の幕張メッセの「キキワケナイ!」、好きだったなあ。振付も懐かしい感じで。
塚越 きっと40代オーバーの人はみんな好きですよね。で、西田さんに関しては、もう“きゃわわ”で。
仲上 これは素晴らしいですよ。今回のライブアルバムにも「おにゃの子☆girl」や「マダマニア」といった押さえどころは入っていますから。
須永 西田さんは表情や顔の角度も含めて、魅せ方がめちゃくちゃ巧みで、観ていていつも素晴らしいなと思います。
塚越 ちゃんとマキナな感じになってますよね。確かCGのモデルもやってましたよね。
仲上 3rdライブのオープニングですかね。
塚越 あと、みのりちゃんのベストテイクで言うと「愛してる」かな。明るい声質なのに、それが逆に切ない感じがたまらなくて、泣いちゃうんですよね。本人はいたって冷静に歌っていたみたいですけど。あれを歌っておいて、最後は「ルン花(ルンに花咲く恋もある)」で爆発する人ですからね。恐ろしい。
仲上 ベストテイクの話でいくと、当然『Walküre Reborn!』(3rdアルバム)の楽曲は去年のライブの音源しかないわけですけど、それを今度やるライブで更新してくれるのか?っていう楽しみがあって。劇場版の内容に沿ったセットリストとはまた違った楽曲の活かし方も期待できますし。
――今お話いただいた通り、ワルキューレの単独最後となるファイナルライブツアー“SANKYO presents ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~”が、5月20日から6月4日にかけて行われています。
杉山 今のところマスク着用のうえでの声出しはOKとアナウンスされているので、久しぶりにみんなで声を出して楽しめるのは大きいですよね。
仲上 やっぱり「いけボ(いけないボーダーライン)」では「難易度Gでも」「フー!」って言いたいですから(笑)。今回のライブアルバムもコロナ前の公演の音源にはお客さんの歓声が入っていたので、「こんな感じだったなあ」と思って。
塚越 何を楽しみに行くかと言ったら、やっぱり声出しですよね。このアルバムを聴いた後だから、特に思いますね。あとはどんな演出になるか。
仲上 そうですよね。いわゆる作品と連動した形でのライブではないということですから。ファイナルと銘打っていることを考えると、それこそ歴史を振り返るようなセトリになるのか。
須永 多分観る側は今までの集大成というか、そういう演出が色々と詰め込まれたライブを期待してハードルが高くなりまくっちゃっているところがあると思うんですけど……久々の観客の声出しOKっていう熱気も合わさって、とにかく「伝説を作ってほしい」なと。
杉山 ライブを観るたびに、またすごくなっていることを感じさせてくれるのがワルキューレなので、今回もそれがまた起きるんじゃないかな、起こしてほしいなって思います。
須永 個人的には、テンプレ的な「惜しまれつつのファイナル」みたいな言葉では収まりきらないようなライブが見たいなっていう……具体性のない期待が(笑)。でもなんだか、やってくれそうな気がします。
仲上 ニュアンスでわかります。いわゆるベタな解散ライブみたいなものではなく。そもそも解散ではないですしね。
――「ワルキューレは裏切らない」ですから。
<ライタープロフィール>
杉山 仁/すぎやま・じん:ライター・編集者。音楽、ゲーム、アニメ、VTuberなどエンタメ分野を中心に取材・執筆。『ワルキューレぴあ』で編集/ライターを担当している。
須永兼次/すなが・けんじ:アニソン・声優アーティストの分野を中心に活動するフリーライター。リスアニ!では、『マクロスΔ』放送開始時のVol.25での特集から鈴木みのり・JUNNAへのインタビュー等を担当。メンバー個々の活動においても様々な記事を担当してきた。
塚越淳一/つかごし・じゅんいち:「マクロス」シリーズを愛してやまないライター。2ndライブからワルキューレのライブのオフィシャルレポートを担当。最近では『M魂』会報誌のインタビューなども担当している。リン・ミンメイは永遠のヒロイン。
仲上佳克/なかがみ・よしかつ
アニメ誌編集部勤務を経て、2003年よりフリーで活動開始。女性声優中心にインタビューやライブレポートを数々手掛ける。趣味は野球観戦で、ベルーナドームに足しげく通う。最近の癒しはウェザーニュースLiVEを見ること。
●リリース情報
ワルキューレ
「マクロスΔ」ライブベストアルバム『Absolute LIVE!!!!!』
■mora
通常/配信リンクはこちら
ハイレゾ/配信リンクはこちら
【完全生産限定盤(ビクターオンラインストア限定、4CD+BD)】
価格:¥9,900(税込)
品番:FLDZM-3
【初回限定盤(4CD+BD)】
価格:¥8,800(税込)
品番:VTZL-225
【通常盤(4CD)】
価格:¥6,600(税込)
品番:VTCL- 60572~60575
<収録曲>
Disc1「LIVE from “Walküre Attack!”」
01. 恋! ハレイション THE WAR ~without Freyja~ (「1st LIVE in Zepp Walküre Attack!」より)
02. 一度だけの恋なら (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
03. ジリティック♡BEGINNER (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
04. 不確定性☆COSMIC MOVEMENT(「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
05. 僕らの戦場 (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
06. NEO STREAM (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day2」より)
07. AXIA ~ダイスキでダイキライ~ (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
08. GIRAFFE BLUES (「LIVE TOUR 2020-2021~ワルキューレはあきらめない!!!!!~at Zepp Haneda(TOKYO)」より)
09. Walküre Attack! (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day2」より)
10. ルンがピカッと光ったら (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day1」より)
11. いけないボーダーライン (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day2」より)
12. 恋! ハレイション THE WAR (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
Disc2「LIVE from “Walküre Trap!”」
01. Absolute 5 (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
02. 絶対零度θノヴァティック (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
03. おにゃの子☆girl (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
04. LOVE! THUNDER GLOW (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
05. Silent Hacker (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day1」より)
06. 破滅の純情 (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
07. Hear The Universe (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
08. 涙目爆発音 (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day2」より)
09. ワルキューレのバースデイソング(「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
10. God Bless You (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
11. 風は予告なく吹く (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
12. 愛・おぼえていますか (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
Disc3「LIVE from “Walküre Reborn!”」
01. 唇の凍傷 (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
02. 未来はオンナのためにある (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
03. 無限大DRIVE (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
04. キキワケナイ! (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
05. マダマニア (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
06. キズナ→スパイラル (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
07. 愛してる (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
08. つらみ現在進行形 (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
09. ワルキューレはあきらめない (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
10. ALIVE ~祈りの唄~ (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
11. 宇宙のかけら (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
12. ルンに花咲く恋もある (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
Disc4「LIVE from Others」
01. ようこそ! ワルキューレ・ワールドヘ (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
02. 涙目爆発音~with Claire~ (「LIVE 2017 “ワルキューレがとまらない” at 横浜アリーナ」より)
03. 星間飛行~Freyja meets Ranka~(「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day2」より)
04. 不確定性☆COSMIC MOVEMENT~Walküre meets Ranka~ (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day2」より)
05. ダイアモンド クレバス~Mikumo meets Sheryl~ (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day1」より)
06. 僕らの戦場~Walküre meets Sheryl~ (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day1」より)
07. GIRAFFE BLUES~Kaname Solo Requiem~ (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day1」より)
08. Glow in the dark (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
09. Diva in Abyss (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
10. 綺麗な花には毒がある (「LIVE 2022~Walküre Reborn!~ at 幕張メッセ」より)
11. ワルキューレがとまらない (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day1」より)
12. ワルキューレは裏切らない (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day2」より)
13. チェンジ!!!!! (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day2」より)
14. Dancing in the Moonlight (「LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ/ Day1」より)
<BD>
・Music Video
01. 一度だけの恋なら
02. 絶対零度θノヴァティック
03. ワルキューレがとまらない
04. ワルキューレは裏切らない
05. 未来はオンナのためにある
06. ワルキューレはあきらめない
初回限定盤のMusic Video 6曲に加え、2022年12月26日にフライングドッグ公式YouTubeチャンネルにて期間限定で公開された配信特番映像「ワルキューレ Reborn!年会 at ビクタースタジオ」を収録
●ライブ情報
SANKYO presents ワルキューレ FINAL LIVE TOUR 2023 ~Last Mission~
2023年5月20日(土)開場16:30、開演18:00/東京有明アリーナ(東京)
2023年5月21日(日)開場16:30、開演18:00/東京有明アリーナ(東京)
2023年5月27日(土)開場16:30、開演18:00/丸善インテックアリーナ大阪(大阪)
2023年5月28日(日)開場16:30、開演18:00/丸善インテックアリーナ大阪(大阪)
2023年6月3日(土)開場15:30、開演17:00/幕張メッセ 国際展示場 1-3ホール(幕張)
2023年6月4日(日)開場13:00、開演14:30/幕張メッセ 国際展示場 1-3ホール(幕張)
特別協賛:SANKYO
協賛(五十音順):AVIOT、JOYSOUND、dアニメストア、バンダイ、BANDAI SPIRITS、バンダイナムコアミューズメント、バンダイナムコフィルムワークス、ブシロード、マクロスモデラーズ
出演:
戦術音楽ユニット”ワルキューレ” are 美雲ΔJUNNA、フレイアΔ鈴木みのり、カナメΔ安野希世乃、レイナΔ東山奈央、マキナΔ西田望見
Band Master, Keyboards:西脇辰弥
Drums:佐野康夫、海老原諒(6月3日公演)
Bass:BOH
Guitar:黒田晃年、外園一馬
Manipulator:篠崎恭一
料金:全席指定 ¥10,000(税込)
幕張公演チケット一般発売(先着順)
受付期間:2023年5月26日(金)18:00~ ※売り切れ次第終了
<ライブ・ビューイング>
2023年6月4日(日)14:30開演
実施映画館
https://liveviewing.jp/walkure-lastmission/
カラオケ「みるハコ」
https://miruhaco.jp/archives/item2/813403/
©2023 BIGWEST/MACROSS DELTA PROJECT
関連リンク
『マクロス』公式ポータルサイト
https://macross.jp/