現在、自身3度目となるツアーの真っ最中である仲村宗悟。デビュー後すぐに突入したコロナ禍を駆け抜け、ついに声出し解禁となったツアーの2公演目である“SHUGO NAKAMURA 3rd LIVE TOUR ~NOISE~” 東京・Zepp Haneda のステージをレポートする。
TEXT BY えびさわなち
声出しOKのライブまでの道のり――進み続けた仲村宗悟
2019年10月にシングル「Here comes The SUN」で待望のアーティストデビューを果たした仲村宗悟。しかし直後に世界を覆いつくす感染症によって人々を取り巻く環境、ことさらにエンターテインメントのコンテンツはその表現方法を大きく転換させることとなる。一度は息を潜めるかと思われたエンターテインメントだったが、その熱い火が消えることはなく、クリエイター、アーティストたちは規制多き抑制的な社会の中でも創造することを、想像することを止めることなく動き続けた。
もちろん、仲村宗悟も。2021年に開催された“SHUGO NAKAMURA 1st LIVE TOUR~NATURAL~”では観客が声を出せないなかで開催。その最初のツアーではタンバリン、2022年に敢行した“SHUGO NAKAMURA 2nd LIVE TOUR ~+ING~”ではカスタネットをグッズとして発売し、ライブ中のクラップや歓声の代わりにファンの想いとして鳴るそれらの音と共にリズミカルに一体感を作り上げてきた。試行錯誤しながらバンドメンバーと共に続けてきたライブだったが、来る2023年には“SHUGO NAKAMURA 3rd LIVE TOUR ~NOISE~”として、声出しができる環境でのライブ開催となった。実に3年越しの、初めてファンの声が響く会場でのライブとあって、仲村本人のみならず会場に詰め掛けたオーディエンスの期待感も史上最大のツアー。その東京公演の模様をレポートする。
フロアとステージでライブを作る。
愛知県のZepp Nagoyaから始まったツアーの2公演目。会場に詰め掛けた観客の熱気でフロアの温度が上昇するなか、仲村本人によるライブ注意事項のアナウンスが流れる。その最後に「盛り上がる準備はできてるか!?」と煽る声が流れると、フロアからは「イェーーーイ!」と歓声があがる。「まだまだ声が足りないなぁ?盛り上がる準備、出来てるのかー!?」とさらなる声を求められると、会場を震わすような大きな歓声が沸いた。これぞライブ!みんなで最高のライブを作り上げよう、とZepp Hanedaは想いを1つにする。こうして始まったライブは、冒頭から「これが仲村宗悟が見せたかった真のライブの姿だ」と思わせるものに。大きな手拍子の中でステージへと現れた仲村の目に、歓喜の声をあげるオーディエンスはどのように映っただろうか。
仲村のライブでは定番となったバンドとのパフォーマンスに加わる“NOISE”ことオーディエンスの歌声や歓声が重なって、楽曲が大きな音の塊となる。今年3月にリリースされたばかりの特撮ドラマ『ウルトラマンレグロス』の主題歌「first of hope」では「みんなでヒーローになろうぜ!」という掛け声に大歓声が巻き起こった。グルーヴィーなベースラインと軽やかなピアノと真っ直ぐに響くエレキギターの旋律が力強く鳴り響く1曲に腕を上げる観客の熱い反応に、満足そうに笑みを浮かべた仲村は、彼らの力を加えたその歌声を存分に轟かせた。
「最高だね。満員御礼!皆さまのおかげ!サンキュー!」と声をあげる仲村は、盛大な拍手と共に観客からの声が届くと、嬉しさを隠し切れないような表情を浮かべた。
2021年制作のアルバム『NATURAL』収録曲はこれまでにもライブの軸となって演奏されてきたものの、「あなたのこと」や「ゆらゆら」といったコール&レスポンスによって真価を感じさせる楽曲はもちろん、大合唱、歓声といったフロアからの大きな力でようやく“完成”となったことを改めて感じる。そして彼の笑顔のように前向きでポジティヴな色に彩られた楽曲が多いなかで、こうした場で聴くことでより強い意志を滲ませると感じたのは「流転」だった。TVアニメ『最遊記RELOAD -ZEROIN-』のED主題歌だったこの楽曲は、悠久の時の渦の中で足を踏ん張る姿が見えるような、力強いピアノの旋律と鼓動を思わせるビート、そして大地を吹きすさぶようなギターのリフの上で全身で奏でるようなボーカルが印象的だった。拳を突き上げて歌に寄り添うオーディエンスが腕を振るたびに揺れる光。今回は手首につけるタイプのライト(ライトブレスレット)がグッズとして販売され、大きく腕を振りながらライブに参加する観客との一体感をより強く感じられるようになっていた。それもあり、これぞライブ、という景色が広がっていた。
みんなで奏でる“NOISE”!
「1st LIVEの頃からずっと一緒に歌いたくて。こうやってみんなの声で、俺たちの声で叫べたことめちゃくちゃ幸せです。ありがとう。本当に……声出しできるようになって良かったな。こうやってみんなの声が重なり合って、良い相乗効果を生んで……。
気持ちが溢れしまう――そんな様子がMCの度に感じられた。これまで想像することしかできなかった「ここでオーディエンスの声が湧いたなら」という楽曲たちが、その輪郭をようやく明らかにしたような感覚。デビュー曲であり、ファンと「仲村宗悟の歌」の出会いとなった「Here comes The SUN」が歌われたときにも、そんな想いを見せつけられた。ファンにとっても一番長く聴いてきた曲。仲村にとっても最も歌ってきた曲。「カモン!」という仲村の掛け声に大きな歌声が生まれる。マイクをフロアに向ける仲村の満面の笑み。きっと彼と向き合っているオーディエンスも同じく満面の笑みになっている。「これが見たかった」「こうやって歌いたかった」。その想いが結実した、まさしく多幸感が包み込んだ瞬間だった。
そして、ラウドに轟くライブユースな「わかってちょうだいね」での、灼熱の空気の中で暴れまくる仲村の姿に声を出し続ける観客も大きく跳ねていた。「ツアータイトル通り、良い“NOISE”だったぜ!みんな、痺れたわ!」と仲村も満足そうに、これぞライブ、と思わず声を漏らしていた。そしてアニメのタイアップとして生まれた曲たちもまた、多くの人と仲村とを出会わせ、絆を深めるきっかけとなった楽曲たちだ。2022年11月にリリースされた「WINNER」もそんな1曲。超人気アニメ『ブルーロック』のED主題歌である本楽曲は軽快なメロディが印象的なシンガロングな1曲。ファンと仲村とで共に歌うこの曲は、なんとスマホでの撮影が許可され、オーディエンスにはSNSでその動画を拡散し、仲村宗悟のライブがどれほど楽しいものかを伝播するというミッションが与えられたのだった。共にこの先のライブを作る瞬間を生み出すことは、ライブというファンとの時間を愛する仲村らしいと感じる一面だ。
ツアーで育てる「新曲」、そしてこれからの未来へ
この日のライブでのスペシャルな時間はもう1つ――仲村は新曲を歌ったのだ。それもまだタイトルもない、生まれたての楽曲を。
「名古屋でも歌ったときは、1人で弾き語りで歌わせてもらったんです。そのときに、この曲はまだタイトルも決まっていないけど、徐々にツアーで仕上げていきたいなって思って。今日はニカちゃん(ベースの二家本亮介)とハマちゃん(ドラムの濱野喬亮)と3人でやってみようじゃないかと」と2人を呼び込んで、仲村のギターを加えた3ピースバンドでの演奏で聴かせた。
未来への期待を繋ぐ仲村宗悟のZepp Hanedaのステージ。笑顔と歓声と、そして多幸感に満ちた夜。ついに堪能できた声出しのある仲村宗悟の音楽は、ここからさらに真価を発揮していくはず。また、次の機会が楽しみで仕方がない。
●ライブ情報
SHUGO NAKAMURA 3rd LIVE TOUR ~NOISE~
2023年6月25日(日)大阪・Zepp Namba
開場16:00 / 開演17:00
【追加公演】
2023年9月16日(土)東京・LINE CUBE SHIBUYA
開場17:00 / 開演18:00
■チケット
料金:全席指定 7,700円(税込)
<一般発売>
6月17日(土)10:00より各プレイガイドにて販売開始!
ぴあ:https://w.pia.jp/t/nakamurashugo-3rd/
イープラス:https://eplus.jp/nakamurashugo/
ローソン:https://l-tike.com/nakamurashugo/
詳細はこちら
関連リンク
仲村宗悟
公式サイト
https://www.lantis.jp/nakamurashugo/
公式Twitter
https://twitter.com/ShugoAbc
公式Instagram
https://www.instagram.com/nakamura_shugo_official/
公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC7lAePXCHuf3sk-Q4HhWM2A
そこにあったのは、これまでとは違う大きな熱の塊のようなライブ。ついに仲村のライブが真の姿となって“完成”する。
TEXT BY えびさわなち
声出しOKのライブまでの道のり――進み続けた仲村宗悟
2019年10月にシングル「Here comes The SUN」で待望のアーティストデビューを果たした仲村宗悟。しかし直後に世界を覆いつくす感染症によって人々を取り巻く環境、ことさらにエンターテインメントのコンテンツはその表現方法を大きく転換させることとなる。一度は息を潜めるかと思われたエンターテインメントだったが、その熱い火が消えることはなく、クリエイター、アーティストたちは規制多き抑制的な社会の中でも創造することを、想像することを止めることなく動き続けた。
もちろん、仲村宗悟も。2021年に開催された“SHUGO NAKAMURA 1st LIVE TOUR~NATURAL~”では観客が声を出せないなかで開催。その最初のツアーではタンバリン、2022年に敢行した“SHUGO NAKAMURA 2nd LIVE TOUR ~+ING~”ではカスタネットをグッズとして発売し、ライブ中のクラップや歓声の代わりにファンの想いとして鳴るそれらの音と共にリズミカルに一体感を作り上げてきた。試行錯誤しながらバンドメンバーと共に続けてきたライブだったが、来る2023年には“SHUGO NAKAMURA 3rd LIVE TOUR ~NOISE~”として、声出しができる環境でのライブ開催となった。実に3年越しの、初めてファンの声が響く会場でのライブとあって、仲村本人のみならず会場に詰め掛けたオーディエンスの期待感も史上最大のツアー。その東京公演の模様をレポートする。
フロアとステージでライブを作る。
これぞ仲村宗悟のライブの真骨頂!
愛知県のZepp Nagoyaから始まったツアーの2公演目。会場に詰め掛けた観客の熱気でフロアの温度が上昇するなか、仲村本人によるライブ注意事項のアナウンスが流れる。その最後に「盛り上がる準備はできてるか!?」と煽る声が流れると、フロアからは「イェーーーイ!」と歓声があがる。「まだまだ声が足りないなぁ?盛り上がる準備、出来てるのかー!?」とさらなる声を求められると、会場を震わすような大きな歓声が沸いた。これぞライブ!みんなで最高のライブを作り上げよう、とZepp Hanedaは想いを1つにする。こうして始まったライブは、冒頭から「これが仲村宗悟が見せたかった真のライブの姿だ」と思わせるものに。大きな手拍子の中でステージへと現れた仲村の目に、歓喜の声をあげるオーディエンスはどのように映っただろうか。
仲村のライブでは定番となったバンドとのパフォーマンスに加わる“NOISE”ことオーディエンスの歌声や歓声が重なって、楽曲が大きな音の塊となる。今年3月にリリースされたばかりの特撮ドラマ『ウルトラマンレグロス』の主題歌「first of hope」では「みんなでヒーローになろうぜ!」という掛け声に大歓声が巻き起こった。グルーヴィーなベースラインと軽やかなピアノと真っ直ぐに響くエレキギターの旋律が力強く鳴り響く1曲に腕を上げる観客の熱い反応に、満足そうに笑みを浮かべた仲村は、彼らの力を加えたその歌声を存分に轟かせた。
「最高だね。満員御礼!皆さまのおかげ!サンキュー!」と声をあげる仲村は、盛大な拍手と共に観客からの声が届くと、嬉しさを隠し切れないような表情を浮かべた。
「こうやって開催できて嬉しいし、このバンドメンバーで一緒にライブを回れるのは最高!」という仲村の言葉に、バンドメンバーもドドンと音を出して応え、笑顔いっぱいに会話する仲村とバンドの様子に、彼らの“メンバー”としての絆も感じられた。
2021年制作のアルバム『NATURAL』収録曲はこれまでにもライブの軸となって演奏されてきたものの、「あなたのこと」や「ゆらゆら」といったコール&レスポンスによって真価を感じさせる楽曲はもちろん、大合唱、歓声といったフロアからの大きな力でようやく“完成”となったことを改めて感じる。そして彼の笑顔のように前向きでポジティヴな色に彩られた楽曲が多いなかで、こうした場で聴くことでより強い意志を滲ませると感じたのは「流転」だった。TVアニメ『最遊記RELOAD -ZEROIN-』のED主題歌だったこの楽曲は、悠久の時の渦の中で足を踏ん張る姿が見えるような、力強いピアノの旋律と鼓動を思わせるビート、そして大地を吹きすさぶようなギターのリフの上で全身で奏でるようなボーカルが印象的だった。拳を突き上げて歌に寄り添うオーディエンスが腕を振るたびに揺れる光。今回は手首につけるタイプのライト(ライトブレスレット)がグッズとして販売され、大きく腕を振りながらライブに参加する観客との一体感をより強く感じられるようになっていた。それもあり、これぞライブ、という景色が広がっていた。
みんなで奏でる“NOISE”!
「1st LIVEの頃からずっと一緒に歌いたくて。こうやってみんなの声で、俺たちの声で叫べたことめちゃくちゃ幸せです。ありがとう。本当に……声出しできるようになって良かったな。こうやってみんなの声が重なり合って、良い相乗効果を生んで……。
これから俺が新しい曲を書いたり、またライブをしたりするときに、みんなの声のおかげで書ける曲がこれからきっとあります。みんなと歌いたいなぁ、という曲をこれからも書いていくから、みんなも、この状況がずっとずっと続くように。俺のライブでまたガンガン声出していけるように、楽しんでいこうね!」
気持ちが溢れしまう――そんな様子がMCの度に感じられた。これまで想像することしかできなかった「ここでオーディエンスの声が湧いたなら」という楽曲たちが、その輪郭をようやく明らかにしたような感覚。デビュー曲であり、ファンと「仲村宗悟の歌」の出会いとなった「Here comes The SUN」が歌われたときにも、そんな想いを見せつけられた。ファンにとっても一番長く聴いてきた曲。仲村にとっても最も歌ってきた曲。「カモン!」という仲村の掛け声に大きな歌声が生まれる。マイクをフロアに向ける仲村の満面の笑み。きっと彼と向き合っているオーディエンスも同じく満面の笑みになっている。「これが見たかった」「こうやって歌いたかった」。その想いが結実した、まさしく多幸感が包み込んだ瞬間だった。
そして、ラウドに轟くライブユースな「わかってちょうだいね」での、灼熱の空気の中で暴れまくる仲村の姿に声を出し続ける観客も大きく跳ねていた。「ツアータイトル通り、良い“NOISE”だったぜ!みんな、痺れたわ!」と仲村も満足そうに、これぞライブ、と思わず声を漏らしていた。そしてアニメのタイアップとして生まれた曲たちもまた、多くの人と仲村とを出会わせ、絆を深めるきっかけとなった楽曲たちだ。2022年11月にリリースされた「WINNER」もそんな1曲。超人気アニメ『ブルーロック』のED主題歌である本楽曲は軽快なメロディが印象的なシンガロングな1曲。ファンと仲村とで共に歌うこの曲は、なんとスマホでの撮影が許可され、オーディエンスにはSNSでその動画を拡散し、仲村宗悟のライブがどれほど楽しいものかを伝播するというミッションが与えられたのだった。共にこの先のライブを作る瞬間を生み出すことは、ライブというファンとの時間を愛する仲村らしいと感じる一面だ。
ツアーで育てる「新曲」、そしてこれからの未来へ
この日のライブでのスペシャルな時間はもう1つ――仲村は新曲を歌ったのだ。それもまだタイトルもない、生まれたての楽曲を。
「名古屋でも歌ったときは、1人で弾き語りで歌わせてもらったんです。そのときに、この曲はまだタイトルも決まっていないけど、徐々にツアーで仕上げていきたいなって思って。今日はニカちゃん(ベースの二家本亮介)とハマちゃん(ドラムの濱野喬亮)と3人でやってみようじゃないかと」と2人を呼び込んで、仲村のギターを加えた3ピースバンドでの演奏で聴かせた。
朴訥なメロディと素直なサウンドで軽やかに、鼓動のようなビートで人間味に溢れたハートフルな1曲は、この先ライブを重ねながら完成へと近づいていく。心地良いビートにオーディエンスの影が揺れる――さぁ、ここからどんな曲になっていくのか。大阪公演、そして追加公演である9月のLINE CUBE SHIBUYAでの「新曲」が楽しみになる。
未来への期待を繋ぐ仲村宗悟のZepp Hanedaのステージ。笑顔と歓声と、そして多幸感に満ちた夜。ついに堪能できた声出しのある仲村宗悟の音楽は、ここからさらに真価を発揮していくはず。また、次の機会が楽しみで仕方がない。
●ライブ情報
SHUGO NAKAMURA 3rd LIVE TOUR ~NOISE~
2023年6月25日(日)大阪・Zepp Namba
開場16:00 / 開演17:00
【追加公演】
2023年9月16日(土)東京・LINE CUBE SHIBUYA
開場17:00 / 開演18:00
■チケット
料金:全席指定 7,700円(税込)
<一般発売>
6月17日(土)10:00より各プレイガイドにて販売開始!
ぴあ:https://w.pia.jp/t/nakamurashugo-3rd/
イープラス:https://eplus.jp/nakamurashugo/
ローソン:https://l-tike.com/nakamurashugo/
詳細はこちら
関連リンク
仲村宗悟
公式サイト
https://www.lantis.jp/nakamurashugo/
公式Twitter
https://twitter.com/ShugoAbc
公式Instagram
https://www.instagram.com/nakamura_shugo_official/
公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC7lAePXCHuf3sk-Q4HhWM2A
編集部おすすめ