2023年6月に活動7周年を迎えるシンガーソングライターのナナヲアカリ。今回はリスアニ!ライターで音楽評論家の冨田明宏との対談をお届けする。
5月10日リリースの「奇縁ロマンス」の話から始まり、活動7周年を記念したインディーズ作品のデジタル配信、最近の趣味の話まで、ナナヲアカリの人物像にも迫っていく。抜群の歌唱力を持つアーティストでありながら、素顔はただのオタクでもあるナナヲアカリ、その根源にあるものは何なのか?

INTERVIEW BY 冨田明宏
TEXT BY 金子光晴

今、改めて問う「ナナヲアカリとは?」
冨田明宏 今は何か制作をされているんですか?

ナナヲアカリ 今、動き出すよ!のポーズをしてる段階ですね。

冨田 ナナヲさんは、次、誰とどんな面白いことをするのかというのが常に気になる人なんですよ。

ナナヲ 今、まさに「誰と何を」深掘りしたいムーブをしているところですね。

冨田 そこがぶっちゃけ一番楽しくないですか?(笑)

ナナヲ そうですね。何をやっても楽しいんですけど、その中でも「今、何をするか」というのが重要ですね。色々妄想が膨らむというか(笑)。今、わくわくしてます。

冨田 さて、だんだん世の中も元気になってきまして。

ナナヲ ようやくという感じですね。

冨田 とはいえ、ナナヲさんはコロナ禍でもライブを止めずにやっていましたよね。

ナナヲ そうですね。
地方に会いに行きたいという気持ちもあったので。でも、昨年10月のライブでは声出しがなかったのが、今回の春のツアーでは声出し解禁になってキャパも全然違って……両極端にあるものを半年で感じたので、春ツアーはよりくるものがありましたね。

冨田 やっぱり違いますか?

ナナヲ 全然違いましたね。見ている人も「3年大変だったよな……」みたいな。「チューリングラブ feat.Sou」も声出しではできていなかったんですよ。それをきっかけで知ってくれた人もいるし、ナナヲのファンって年齢層が低いので、ライブで声を出したことがない子たちが結構多くて、ある意味「令和」をめっちゃ感じましたね(笑)。「ライブで声出したことないんだ!」って。でも、ツアーの後半になるにつれて、ライブ慣れした人たちが声出してくれたので、ギアが上がっていくのを肌で感じられるツアーになって面白かったです。

冨田 ここ3、4年の間でナナヲさんを知ったけれど、ライブには行けなかった若い世代の人たちって、「ライブでアーティストとコミュニケーションをとる」という概念自体がないのかもしれないですよね。絶たれていたものが繋がってきた感じですが、それはナナヲさんがライブをやり続けてきたからだし、発信し続けてきたからこそ、繋がれる関係だと思うんですよ。

ナナヲ 苦しみながらも続けてきてよかったなって、今やっと思えてきている感じですね。

冨田 ナナヲさんのインディーズ時代の楽曲も、コミュニケーション不全であったり、それでも頑張って生きている人々を肯定するメッセージを強く発信していましたよね。
そんなナナヲさんが、あえてライブにこだわって、人との直接的な繋がりを大事にしてきた約3年の期間が、僕にはものすごくかっこよく見えるんですよ。

ナナヲ ありがとうございます。

冨田 もちろんやりにくい部分もあったと思いますけど、結局歌う場所を自分で作って、聴きに来てくださる人たちと目と目で会話するというのが一番のアイデンティティだったんだろうなって、見ていてすごく思ったんです。

ナナヲ 嬉しいです。それが伝わっていたらいいんですけど、コツコツ続けていきたいなと思っています。

冨田 改めて、ナナヲさんの「奇縁ロマンス」は、和ぬかさんだったり、100回嘔吐さんだったり、旬なサウンドクリエイターが参加した最高のポップナンバーで、そういう情報だけでも話題性抜群なんですけど、今回聴いてみて僕は「ナナヲさんの歌がすごいんじゃないか」と思ったんですよ。歌の表現力に改めて気付かされて。ふとナナヲさんのTwitterのプロフィールを見てみたら、「歌うことが好きです」しか書いてない。結局、ナナヲさんはシンプルにそこだけの人なんじゃないかなって思ったんですよね。

ナナヲ そうですね。そこだけの人かもしれないです(笑)。それに気付いたのはコロナ禍の後半くらいで、「歌うの好きなだけちゃう?」って(笑)。
表面にあるものを色々剥いていって、辿り着いた根源が一番シンプルな「歌うのが好き」の人だよな私、みたいな感じでしたね。

冨田 今回の楽曲でも表現することがすごく楽しいというのが伝わってきました。もちろん、『江戸前エルフ』らしい和の要素があったり、和ぬかさんたちの作る最高にキャッチーな最新鋭のポップスというのがあったりしながらも、歌の情緒を残しながら躍動感を表現する歌唱力がまず耳を引くんです。これはナナヲさんの過去のインタビューなどの文献を紐解いても意外と出てこないんですけど、歌による解釈の引き出し方とか、歌唱表現についてのこだわりがハンパじゃないなって。

ナナヲ そうですね、自分の中で楽しく解釈しています。どうやって歌ったらより楽しいか、より伝わるか、レコーディング前は色々考えるんですけど、「奇縁ロマンス」もいざ歌ってみたらすっごい歌いやすくてシンプルに楽しかったから、自分の中でものびのび感がすごくて、色々試せる楽曲でした。ナナヲの楽曲って、「高い!」「速い!」というのが多いんですけど、それって表現に限界もあるんですよね。でも、「奇縁ロマンス」はたくさん遊べたので、珍しく歌心を感じてもらえる楽曲なのかなと思いました。

冨田 リリースして反響はいかがでしたか?

ナナヲ アニメの反響もすごくて、私も観てるんですけどすごく素敵なんですよね。この時代にすごくほしかったアニメを観ている気がして。日々目に飛び込んでくる社会的問題とか、そういうのにちょっと疲れ切っているときに『江戸前エルフ』を観ると「このアニメありがてぇ」って思うんですよ(笑)。「奇縁ロマンス」という楽曲を聴いて、アニメに合っているだけじゃなくて、「このサビすごくぐっとくるな」みたいなことを感じてくれる人がたくさんいて、ちゃんとこの素敵なアニメと楽曲を通して伝わってるなというのはリリースから少し経った今でも感じますね。
今回、アーティスト版とアニメ版でパッケージにこだわってみたんですけど、それも評判が良かったんです。今、CDって集めたくなるものであればあるほどいいなと自分では思っているので、手に取る理由になっていると思うと良かったなと思います。

冨田 これ、パッケージを触ったときの質感も含めてこだわりがすごい。いつまで経ってもCDというモノ自体の価値を最大化してくれているこういう仕様は、やっぱりオタク心をくすぐられるんですよ。

ナナヲ 『江戸前エルフ』は制作陣の愛が強いんですよ。歌詞カードにカエル戦車がいて嬉しかったです(笑)。

冨田 そういうのもこだわって作られてますよね。アニメの制作側と歌い手が想い合ってる感情が、こうやってモノとして形になるというのは理想的なことだなと思います。それは楽曲も含めて感じるところなんですけど、「奇縁ロマンス」の歌詞は、じっくり聴くとすごく泣ける歌詞なんですよね。

ナナヲ そうなんですよね。さらっと聴けちゃうんですけど、グサッとくる人はいるんじゃないかなって。

インターネットの海から生まれたMV
冨田 制作の中で和ぬかさんとはどんなやり取りがあったんですか?

ナナヲ 『江戸前エルフ』の原作を読んで、自分が歌いたい気持ちとリンクするところがあったので、それをメモにまとめて和ぬかさんにお渡しして、1~2回のラリーでデモは出来上がった感じですね。
ナナヲは昔から「変化」を歌ってきて、それは多分自分にコンプレックスが強いからこその「変わりたい」という気持ちだったんですけど、やっと「一歩踏み出す」のも「新しい世界を見てみる」のも意外と悪いことばかりじゃないって思えるようになってきて……まずはリスナーにそういうメッセージを届けたいなって思ったんです。そんな気持ちが『江戸前エルフ』のエルダとシンクロするところがあって、ナナヲの分身であるダ天使ちゃんとエルダって「まんまやん」と思うくらい近くって(笑)。だから、このタイミングでこの想いを歌えたらいいなと思って、和ぬかさんにお伝えしました。そうしたら、言葉遊びもあってキャッチーな感じだけど、でも芯をとらえた楽曲になっていて。めっちゃ歌詞いいなって思いましたね。デモはシンプルだったんですけど、100回嘔吐さんが厚みを出してくださって、完成したという感じですね。

冨田 「一歩踏み出す」というキーワードを、部屋から出るとか、布団から出るとか、自分の限られたコミュニティから出るとか、そういうことで変わってきた現状や環境を経験してきたからこそ表現できると思いました。あえて例を挙げると、“続けることを美徳だとする風潮が嫌でした”という歌詞が特に。

ナナヲ ああ、もうホントにそうですね(笑)。

冨田 でも“嫌でした”は過去形なんですよ。それに対して、“現代に迷う僕と君が 理想を描くために旅立つんだ”は現在進行形。ここの価値観の違いが、過去形と現在進行形で表現されているところに、「今のナナヲさんはこうなんだ」というのが伝わる歌詞で、ナナヲさんを7年間追いかけてきたファンはぐっとくるワードなんだろうなって思います。


ナナヲ そこはナナヲもぐっときたところで、“続けることを美徳だとする風潮が嫌でした”というのは昔めっちゃ思ってたんですけど、なんだかんだ自分も7年歌ってきちゃっているなあというのがあって(笑)。それが美徳かどうかはわからないですけど、7年続けてきちゃっているので、楽しいから歌えてきたんだろうなとは思ったし、この1行はすごく好きって言ってくれるファンの子も結構いて、色んな人の芯をとらえたワードなのかなって思いましたね。

冨田 1つのことを、頑なに、愚直に続けられる人って、純粋に尊敬するしすごいなって思うんですよ。僕はすごく苦手だから、音楽評論や音楽プロデュース、ラジオMCとか、色々なことを仕事にすることで〈飽きる〉ことから辛うじて逃げ続けてきた人生なので(苦笑)。でも改めて聴くと“続けることを美徳だとする風潮が嫌”ということに安易に同調するのではなくて、「今は~でした」というのがこの曲のキモだなと思っていて。実はこういうことを言うのって、勇気がいるんですよね。ある人たちに対しては耳の痛いことでもあるし、ナナヲさんのファンにも様々な考え方の人がいるはずだから。

ナナヲ 前だったらこの過去形になっている部分は歌えなかったと思うんです。でも今回はすっと歌えたので、「時」を感じますね。

冨田 それには色々理由があるとは思うんですけど、何が一番大きいですか?

ナナヲ 発信を止めなかったことで、みんなと繋がっている感覚、ですね。デビューした当初の心持ちのままなら、続けられなかった気がするし、1人だったら辞めちゃってたと思うので(笑)。「続ける理由」になってくれる人がいるっていうのは、やはり大きいと思いますね。

冨田 その一方で、Aiobahn feat. KOTOKO「INTERNET OVERDOSE」のような曲の盛り上がりと、曲の持つメッセージや意味をちゃんとキャッチして、サラッと“歌ってみた”をYouTubeにアップしちゃうフットワークも相変わらずに持っているという。

ナナヲ やっぱりインターネット大好きキッズの心を根底に持ち続けているので(笑)。たしかに、リスナーの気持ちのままの自分もいるんですよね。

冨田 その辺がナチュラルボーンな感じがするんですよ(笑)。

ナナヲ 本当はもっと色々歌いたいんですけど、あんまり節操なく歌うのもアレだなと思って(笑)。

冨田 韓国のトラックメーカーであるAiobahnさんと、美少女ゲームソングや電波ソングのレジェンドであるKOTOKOさんによる、ある意味では結構高度な批評性も含まれているああいう曲に、ちゃんとビビッドに反応できる感じ。このナナヲさんのバランス感覚ってやっぱり普通じゃないと思うんですよ。しかもそれがすごく自然で、「今のマインドとしてはこうだよ」というシンクロ感を表現できるのって、ナナヲさんしかいないなってすごく思うんですよ。アンダーグランドにだっていつでも「ただいま」できるし、それがちっとも嫌みじゃないというか。

ナナヲ ナチュラルボーンにオタクしてますもんね(笑)。

冨田 そういう芯のあるオタク的なマインドと、アーティストとしてすごい表現力を持っている部分が乖離していないんですよね。それはナナヲさん独自のものだなって。

ナナヲ たしかに不思議ですね。ここまでナチュラルボーンオタクアーティストはあんまりいない……まあ、自分で言うことではないかもしれませんけど(笑)。

冨田 インターネットの混沌とした海から自然発生した感じ(笑)。ご自身の成長をちゃんと音楽として表現することもブレてないんですけど、この曲はどの曲とも似てなくて、圧倒的に新しい。サビもめちゃめちゃキャッチーで。あと、今回のMVも本当にすごいですね。

ナナヲ すごいですよね。あれは十八番茶さんにお願いしたんですけど、ネットサーフィンをよくするので、インディアニメのタグを漁るのが好きなんですよ。

冨田 #indie_anime。あのこむぎこ2000さんのやつ、僕も大好きでずっと前からチェックしています。めちゃくちゃ面白いですよね。

ナナヲ あれ一生見れちゃいますよね!すごく画期的なハッシュタグですよね。その流れでYouTubeを色々見ていたら、「なにやってもうまくいかない」のリミックスのMVを見つけて、「この人やば!」と思って調べたら、あれが十八番茶さんの初作品らしくて、「えっ、何者!?」と思ってずっと密かに見てたんですよ。それで、今回の「奇縁ロマンス」が『江戸前エルフ』のタイアップということで、「和じゃん!……絶対お願いしたい人がいるんですけど!」って(笑)。そうしたら、たまたまナナヲアカリを聴いてくれていたらしく快諾していただけて、制作期間1年くらいでお一人でやってくださいました。最初、絵コンテが送られてきたんですけど、枚数が多すぎて1人でできる量じゃなかったので、「素敵だけど、ここからカットされるんだろうな」って思っていて。そしたら……なんと、超えてきたんですよ(笑)。ご覧になってわかると思うんですけど、枚数えぐいじゃないですか。

冨田 あれをお一人で!?

ナナヲ そうなんですよ。本業はアニメ制作ではなく別のお仕事で、昼は仕事、夜に映像制作をされているらしいです。

冨田 へぇー!

ナナヲ ナナヲを含めたネットミュージックが好きで元気をもらっていたから、還元したいと思って、「アニメーションでも描いてみようかな」と2年間独学されたそうです。

冨田 2年であれができちゃうんだ。

ナナヲ 何をやったら2年であれができるんだろって(笑)。今回のMVもナナヲのサブチャンネルとかインタビュー記事とか色んな要素が散りばめられていて、「えっ、なんでそれも知ってるんですか!?」ってちょっと引くくらい、十八番茶さんの愛の深さを思い知りました(笑)。

最近の趣味はあまり言いたくないけど……。
冨田 カップリングの「忘れないでベイベー」は作詞・作曲・編曲のGuianoさんの作家性がよく出た楽曲でありつつも、ナナヲさんの信念が結びついた印象ですね。ネットと二次元とリアルの架け橋をナナヲアカリの歌と存在で繋ぎ留めているという矜持を、ハッとするような言葉と演出で表現されている楽曲だなと思いました。

ナナヲ この楽曲は、タイアップも関係なく自由に1曲出しましょうとなったときに、ガチの等身大のナナヲの気持ちをGuianoさんに話したことがあったんですね。コロナ禍もあって色々迷ったし、「忘れられたくないな」とすごく思うようになったんですよ。ライブの景色で印象的だったのが、東京キネマ倶楽部で歌ったときの「メルヘル小惑星」で、死ぬときに思い出すのはあそこなんだろうなってなんとなく思っていることがあって。そういう景色をたくさん作っていきたいなと思う一方で、でもみんな数年したら忘れていく、コンテンツとして消費されていくんだろうなという自分もいて、その淋しさと葛藤してた時期だったんです。結局言いたいのは「忘れられたくないな」ということで、それを話したら、Guianoさんとは人間性というか根の部分が近かったのか「めっちゃわかります」って言ってくださって。それで書き下ろしていただいた楽曲なんですけど、自分の葛藤って言語化するとはっきりしすぎるので自分ではあまりしない人間なんですけど、すごくクリアに表現してくれて、こういうサウンドに乗せて叫ぶことによって自分も救われた気持ちになったし、ナナヲをずっと応援してくれている子たちにはすごい刺さる曲になったと思います。泣いちゃってる子とかもいて、「あまり深読みしすぎないで」って思ったんですけど(笑)。

冨田 表現する人ってみんな少なからずこういう想いを持っているからこそ、リスクを背負ってでも人前に出て歌うんだろうなって。深い死生観とかじゃなくて、「いつか死んじゃうかもしれないけど、今見ている景色を忘れたくないな」とか、そういうシンプルなことなんだと思うんですよ。

ナナヲ でもそれがマイナー調のサウンドだと重すぎると思うんですよ。この軽快なサウンドだからすっと受け止めてもらえた気がしますね。自分も伝えやすいし、ライブでどんどん育っていきそうなすごく好きな曲です。

冨田 ナナヲさんって歌に対してシンプルな人なんだなと改めて思ったんですけど、この「忘れないでベイベー」は決定打でしたね。ナナヲさんの曲の中では、今一番大勢の人に聴いてもらいたい曲だと思いました。さて、今年の6月で「ナナヲの7年」ということですが。

ナナヲ 2016年の6月28日に「ハッピーになりたい」を投稿してから7年になりますね。

冨田 7周年を記念して、インディーズ作品4タイトルがデジタル配信されますね。

ナナヲ ついに(笑)!ずっと出したい気持ちはあったんですけど、自分の中で出したらもったいないという気持ちもあったし、7周年まで温めておこうと思っていたので、7周年に突入できてよかったなって。でも、7年って長くないですか?(笑)

冨田 長いですよ(笑)。

ナナヲ 7年!?みたいな(笑)。7って自分の中でターニングポイントというか、名前にも入っていますし。これまでは「長いようで短いような〇年でした」とか言ってたけど、これからは「長いっすね」ってなるなって思いました。そのなかで、インディーズ4作品のデジタル配信が解禁されるんですけど、やっぱり若いんですよ(笑)。歌声やテクニカルな面もそうですけど、あまりにも幼くてこっぱずかしい(笑)。

冨田 写真のアルバムみたいなもので、あのときの私はこうだったというのがしっかりと保存されているから(笑)。

ナナヲ でも、時代性を比べたときに、当時では早すぎた曲もあったと思っていて、「これ令和の曲じゃん!」と思えるような作品もあると思うんですよ。それも反応が楽しみですね。

冨田 聴き直してみると、コロナ禍で出ていたら意味が変わっただろうなというような曲もありますよね。それが今の令和世代の若い子たちに、どういう刺さり方をするのか。それに、7年前のナナヲさんがリアルに感じていたのと同じような想いを抱えた人って、どの時代にもいると思うし、コロナ禍では特に“分断”という言葉も使われるような深刻な問題にもなっていた。そういう人たちにも<ナナヲ的生き方の処方箋>として、改めて楽曲が届いてほしいんですよね。

ナナヲ そうですよね。当時も今も、10代の人っていますもんね。ずっと14歳の人は存在しないし(笑)。

冨田 ずっと17歳の人たちは声優業界にいますけど(笑)。それに、ここで改めてナナヲさんが初期の活動を振り返るというのも意味があるのかもしれないですね。

ナナヲ そうですね。名前にナナが入ってなかったら振り返ることもなくて、「10周年目指すぞー!」ってなってたかもしれないですけど(笑)。

冨田 あとは、毎年恒例になっている“770の日”。ホームともいえるEX THEATER ROPPONGで行われますが。

ナナヲ 実家ですねぇ。

冨田 六本木に実家(笑)。今年の“770の日”はどんな感じでなんですか?

ナナヲ インディーズ楽曲を配信したことによって、より幅が広がるかなと。対バン形式で、ネクライトーキーさんとはずっとやりたかったので楽しみなんですよ。めっちゃライブかっこいいんで、気圧されないように楽しみたいと思います(笑)。

冨田 ナナヲの年を迎えて、今改めてのナナヲさんはどんなモードですか?守るモード?それとも攻めるモード?

ナナヲ 「奇縁ロマンス」「忘れないでベイベー」が、かなり今の気持ちに沿っているのでそこから大きく変わったことはないんですけど、この2曲はナナヲにしては新しいサウンド感なので、それを腑に落ちた状態で楽しく歌えるようになったっていうところがありますね。もっと色んな表現ができるなっていう実感があるから、みんなが楽しめるナナヲアカリサウンドを作っていきながら、端っこで密かに色んなチャレンジをしていく。そのチャレンジをもっと割合を大きくするともっともっと楽しいかなと思ってます。

冨田 表現をすることに向き合うというのが、すごく求道的ですよね。最初に言った、「ナナヲアカリは歌いたい人である」という話の答え合わせになったような気がします。

ナナヲ やっぱり自分が歌えてこそ、観に来た人も引っ張れるし、歌えてナンボかなって。

冨田 ところで、ナナヲさんって、オタク的な活動とアーティストとしての活動以外には、あんまり興味がない感じなんですか?

ナナヲ 趣味はありますよ。「スプラトゥーン」とか(笑)。

冨田 それもオタクの活動じゃないですか(笑)。

ナナヲ そっか(笑)。えー……これ、あんまり言いたくないんですけど……冨田さんってサウナ好きなんですよね?

冨田 超大好きですよ。

ナナヲ にわかだけど、私も好きで!サウナ、良いですよね。70度くらいのにサーッと入るのが好きなんです。

冨田 僕の好きなところだと110度のとことかありますからね。からの水風呂4度とか。

ナナヲ 死んじゃう!

冨田 とにかく!相変わらずナナヲさんが健やかにナナヲさんでよかったです。改めて思いましたけど、まったく似た存在がいない(笑)。まだ誰も歩んでいない道を、オリジナルな哲学と歌で闊歩している。それはコロナ禍を経ても変わらないどころか、さらに解像度が上がって、より信念が際立った印象を新曲たちとお話しから感じることができました。今回はいろいろな答え合わせができたような感じがします。

ナナヲ 改めて「ナナヲは歌うの好きなだけの人」って言われて、自分の中でも答えが見つかったような気がします(笑)。

●リリース情報
ナナヲアカリ 6th Single
「奇縁ロマンス」
発売中

配信リンクはこちら

【アーティスト盤:完全生産限定盤 [CD+Goods]】

価格:¥4,620(税込)
品番:AICL-4354~4355
仕様:ペリペリジッパー付き特殊ボックス仕様
封入物:おみくじトレカ(全7種中1種ランダム封入)
CD購入者限定ライブ「ナナヲアカリ爆誕祭」抽選申込みチラシ封入
※完全生産限定盤のみ(AICL-4354~4355)

[CD]
1.奇縁ロマンス [作詞・作曲:和ぬか 編曲:100回嘔吐]
2.忘れないでベイベー [作詞・作曲・編曲:Guiano]
3.奇縁ロマンス (笹川真生Remix)
4.奇縁ロマンス (Instrumental)

【アニメ盤:期間生産限定盤[CD+BD]】

価格:¥1,800(税込)
品番:AICL-4356~4357
仕様:和紙風トールサイズツイントレイデジパック
封入物:アニメジャケット絵柄ステッカー
※購入者限定ライブ「ナナヲアカリ爆誕祭」抽選申込チラシの封入はございません。

[CD]
1.奇縁ロマンス [作詞・作曲:和ぬか 編曲:100回嘔吐]
2.忘れないでベイベー [作詞・作曲・編曲:Guiano]
3.奇縁ロマンス (笹川真生Remix)
4.奇縁ロマンス (TV-size ver.)

[BD]
TVアニメ『江戸前エルフ』ノンクレジットオープニング映像

■ナナヲアカリインディーズ作品4タイトル
6月28日(水)デジタル一斉配信

ナナヲアカリ「しあわせになりたい」
Original Release 2016年9月22日
illustration by 寺田てら

<収録楽曲>
1. 9.72m² [作詞・作曲:ナナヲアカリ]
2. ハッピーになりたい [作詞:Neru、ナナヲアカリ 作曲・編曲:Neru]
3. 19bitch [作詞・作曲:ナナヲアカリ 編曲:真部脩一]
4. キラキラキライ [作詞・作曲:ナナヲアカリ 編曲:ヤマモトショウ]
5. ビビっちゃいない [作詞:Neru、ナナヲアカリ 作曲・編曲:Neru]
6. Sing and dance [作詞・作曲・編曲:ナナヲアカリ]

ナナヲアカリ「ネクラロイドのつくりかた」
Original Release 2016年11月5日
illustration by 寺田てら

<収録楽曲>
1. マンネリライフ [作詞:和田たけあき、ナナヲアカリ 作曲・編曲:和田たけあき]
2. 私の中の痛い子さん [作詞・作曲・編曲:梨本うい]
3. 事象と空想 [作詞:バルーン、ナナヲアカリ 作曲:バルーン 編曲:バルーン]
4. 一生奇跡に縋ってろ [作詞・作曲・編曲:Neru]
5. 東京秒針 [作詞・作曲・編曲:はるまきごはん]
6. ディスコミュ星人 [作詞・作曲・編曲:ナユタン星人 ポエトリー:ナナヲアカリ]

ナナヲアカリ「ネクラロイドのあいしかた」
Original Release 2017年8月22日
illustration by 寺田てら

<収録楽曲>
1. んなわけないけど [作詞・作曲:DECO*27 編曲:Rockwell]
2. おばけのウケねらい [作詞・作曲・編曲:ピノキオピー]
3. ハノ [作詞・作曲・編曲:バルーン]
4. クチュール [作詞・作曲・編曲:有機酸]
5. 化物は幸福を望んだ [作詞:こんにちは谷田さん(キタニタツヤ)、ナナヲアカリ 作曲・編曲:こんにちは谷田さん(キタニタツヤ)]
6. メルヘル小惑星 [作詞・作曲・編曲:ナユタン星人]

ナナヲアカリ「いろいろいうけど「♡」(いいね)がほしい」
Original Release 2018年2月14日発売
illustration by 寺田てら

<収録楽曲>
1. インスタントヘブン feat.Eve [作詞・作曲・編曲:ナユタン星人 ポエトリー:ナナヲアカリ]
2. ドッペルアリー [作詞:Eve、ナナヲアカリ 作曲:Eve、ナナヲアカリ 編曲:Numa]
3. プラネタリー・メッセージ [作詞:ナナヲアカリ 作曲・編曲:Yunomi]
4. ギヴミー「♡」(いいね)!!ドル活☆DAYS [作詞:狐夢想(COOL&CREATE)、ナナヲアカリ 作曲・編曲:ARM(IOSYS)]
5. 眠らない街、眠りたい僕 [作詞:ナナヲアカリ 作曲・編曲:こんにちは谷田さん(キタニタツヤ)]
6. Heart.empty [作詞:はるまきごはん、ナナヲアカリ 作曲:はるまきごはん 編曲:MI8k]

●ライブ情報
ナナヲアカリ Presents ライブ&パーティー 第十二話 ―770の日―

ナナヲアカリ Presents ライブ&パーティー 第十二話 ―770の日―
2023年07月07日(金)@EX THEATER ROPPONGI
OPEN 18:00 START 19:00

詳細はこちら

関連リンク
ナナヲアカリ
公式サイト
https://www.nanawoakari.com/

公式Twitter
https://twitter.com/nanawoakari/

公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCrrNHoXQ1uTYsR6v41pDalQ/
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