6月21日、東京・代官山UNITで開催されたASCAのワンマンライブ「ASCA LIVE 2023 “No Voice, No Live”」は、その場にいたすべての人にとって、忘れ難い一夜になったのではないだろうか。彼女が単独公演で“観客の声出し解禁ライブ”を行うのは、実に3年半ぶりのこと。
しかも今年2月に声帯ポリープの手術を受けてから、最初のワンマンライブでもある。
だからこそ“No Voice, No Live”というライブタイトルには、様々な意味や想いが重ねられていたわけだが、何よりも彼女の“声”は特別であるということ、その歌声があらゆる人々の“生きる”活力になっているということを、ASCAはこの日、堂々たるステージングで力強く示してくれた。

TEXT BY 北野 創(リスアニ!)
PHOTOGRAPHY BY 草刈雅之

3年半ぶりの“声出し解禁ライブ”が起こした爆発的な熱狂!
チケットはソールドアウト、フロアはASCA社長の活動を支える社員(※ASCAのファンの呼称)たちで溢れかえったこの日のライブは、意外な楽曲で幕を開けた。それは「このメロディに乗せて」。彼女の1stアルバム『百歌繚乱』の最後に収録されている、応援してくれるファンへの素直な気持ちを等身大の言葉で綴ったバラードだ。彼女はそのサビのフレーズのみを、アカペラで披露。“聞こえてくるのはキミの言葉”“まだここは夢の続き 輝けるように 歌って歌って”――そう歌い上げて、自身が歌い続ける意味、ステージに立つ理由を改めてファンの心にしっかりと届けると、「“No Voice, No Live”始めます」と告げ、一転してアッパーなロックチューン「進化論」に雪崩れ込む。彼女のライブを支えるバックバンド・AS課によるアグレッシブな演奏もさることながら、いきなりフルスロットルで熱い歌声を叩きつけるASCAに呼応するように、オーディエンスものっけから熱狂。サビ終わりでは「ウォオオー」と“進化論”ならぬ“シンガロング”が巻き起こり、ASCAも両手をいっぱいに広げて、幸せそうにその“声”を全身で受け止める。みんなで声を出し合って作り上げるライブ空間――3年越しの願いが叶った瞬間だ。

歌唱後、会場が歓喜の声に沸くなか、白いワンピースに赤いジャケットを合わせた出で立ちのASCAは改めて挨拶すると、「次は日本で初めて声出しが叶う曲です」「みんなの声、聴かせてくれる?」と呼びかけて、今やフェスやイベント出演時には欠かせない人気曲「Howling」を、ライブグッズのフラッグを掲げながら熱唱。元々ライブでみんなと一緒に“Howling(=叫ぶ)”ことを想定して作られたこの楽曲、サビにある“wow wow”というパートはもちろん、ASCAの「3年半我慢してきた想いを、今ここでぶつけていきましょう!」という呼びかけに続いた間奏パートでも、オーディエンスが地鳴りのように大きな声を上げて盛り上がる。
その圧倒的な一体感、凄まじいまでの熱気に、「Howling」という楽曲が今ようやくその真価を発揮したことに気づかされる。今までライブで聴いてきた「Howling」ももちろんすごかったが、“声出し解禁”の現場で歌われる「Howling」はもはや別次元だ。

「皆さん、ますます盛り上がっていきましょう。Let’s Go」とクールに言い放って披露されたのは、バンドのグルーヴ感たっぷりな演奏にASCAの力強くも艶やかな歌声が絡みつく「いかれた世界だろ構わないぜ」。さらに彼女が敬愛するシンガーソングライター・阿部真央からの提供を受けたワイルドなロックンロール「NO FAKE」へと繋げ、曲間ではコール&レスポンスを行って観客のボルテージをさらに引き上げる。「そんなんで足りると思ってんの?」とSっ気満点に煽るASCA社長に全力の声で応える社員たち。さらにAS課の竿隊、Saku(g)とokamu.(b)がステージ前方のお立ち台に躍り出てフリーキーな演奏で盛り上げる。

ここで一旦クールダウンということで、ゆったりとしたナンバーを2曲続けて披露。昨年は海外でのライブが多く、日本ではなかなかライブができなかったことに対して、「みんなに忘れられないかな」と焦りや不安を抱いていた時期もあったというASCA。その「忘れられたくない」という気持ちを、阿部真央の楽曲「Don’t leave me」のカバーに乗せて届ける。アコギとピアノの演奏のみをバックにした1番から、ドラムとベースが加わって歌声にもより感情が乗った2番、そしてマイクスタンドを握りしめながら想いをぶつける終盤――そのドラマチックな展開と表現に思わず引き込まれてしまう。続いて歌われたデビュー曲「KOE」での、ひたむきさとエモーションを強調したような歌声にも心を奪われた。


そして現時点での最新シングル「リンネ」を披露。彼女はMCで、この楽曲の歌詞を書いている時期は、喉の不調に悩まされていたと語る。自分の存在価値が揺らいでしまったとき、誰のことも信じられなくなったとき。自身を含む、そんな状況にある人々にとっての「お守りみたいな曲になってくれたら」という想いを込めて、歌詞を書いたのだという。ASCAは、バンドの怒涛とも言えるアンサンブルを背にしながら、まるで大河の流れのように大きく、深く、スケール感のある歌声でこの楽曲を表現。ときに手を前方に差し伸べて、目の前にいるファン1人1人に向けて楽曲に込めた想いを届けていく。“大丈夫、生きていくことは怖くない”と力強く歌う彼女の姿に、きっと多くの人が励まされたはずだ。


「No Voice, No Live」――その“声”がある限り歌い続ける
バンドが前奏的なSEを奏でるなか、ASCAは背を向けると、赤いジャケットを脱ぎ去って、純白のワンピース姿に。そして西川貴教とのコラボ曲「天秤-Libra-」に突入する。西川のパートは音源を流す形だったが、ステージ後方のスクリーンには同楽曲のMVが大写しにされ、彼との競演がその場で繰り広げられているような臨場感を演出。MVの中のASCAも白い衣装を着ているため、その意味でも視覚的なリンクが深まっていく。歌唱面でも爆発的なエネルギーが放出され、ASCAは「歌えー!」と煽りながら会場のボルテージを一層高めていく。


続く疾走感溢れるシンフォニックロック「アインソフオウル」では、マイクスタンドを軸にした動きでも魅せるパフォーマンスで楽曲の世界観を表現。そして「新曲持ってきました」との声に続いて披露されたのが、杉山勝彦書き下ろしの分厚いシンセサウンドが印象的なEDM調のナンバー「Stellar」。ドロップ部分ではASCAが両手を上げながらジャンプし、それに合わせてオーディエンス(とAS課のメンバーたち)もジャンプしながら楽しむ。まるでEDMフェスで見るような景色だ。(※なお、「Stellar」は本日6月30日に行われた<「ASCA LIVE 2023 “No Voice, No Live”」リスニングパーティー>にて7月28日(金)にデジタルリリースされることが発表された)

その後のMCで、ASCAは「こんなに飛んでくれるとは思わなかった」と喜ぶと、続いてAS課のメンバーを紹介。重永亮介(Key/バンドマスター)、Saku(g)、okamu.(b)、関口孝夫(ds)。ライブだけでなく、音源の演奏や楽曲提供などでもASCAの活動を支える最強の“いつメン”だ。ステージ上でも気さくなやり取りをしつつ、「このメンバーで3年半越しの声出し解禁ライブができて嬉しく思っています」「大好きやで」と伝えていたところからも、ASCAと彼らの絆の深さが伺える。

早くもライブは後半戦ということで、ASCAは「このままで終わってもいいんですか?」「まだまだ声出るよね?」と観客に檄を飛ばし、ここでASCAらしい魅力が凝縮したマイナーアップチューン「CHAIN」を投下。クラップやコールの応酬によって会場の熱気も一気に沸点へと達する。さらに休みなく一直線に駆け抜けるようなラウドロック「OVERDRIVE」に繋げ、間奏ではバンドメンバーによるワイルドなソロ回しでさらなる高みに突入。そしてここでダメ押しとばかりに代表曲「RESISTER」が披露され、3年半、溜まりに溜まったお互いの想いが爆発したような熱狂が会場を支配する。
ASCAのすべてを振り絞らんばかりのパフォーマンスと、(TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』の登場人物・アリスに由来する)黄色のペンライトを夢中で振るオーディエンス。その光景があまりにも眩しすぎた。

そしてASCAは「みんなと一緒に声出しができる曲、次がラストです」「最高の思い出、残したいよね?」と呼びかけると、次の楽曲のみ動画撮影OKとなることを告知。そしてワンマンライブでは初披露となる楽曲「Real Dawn」をスナネコのようにギラついた歌声で熱唱する。ライブは終盤であるにも関わらず、ASCAはエネルギッシュにファンを先導(もしくは扇動)して、夜明けが訪れた喜びをファンと分かち合う。みんなと歌うために用意された後半の“La-la-la-la”のパートはもちろん大合唱となり、ラストは全員でジャンプして締め括られた。なお、本楽曲のパフォーマンス動画をTikTokに投稿する企画が行われているので、どんな熱狂ぶりだったか気になる人は、ぜひハッシュタグ「#ASCA_NVNL」で検索してみてほしい。

楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、この日のライブも終わりの時間に。ASCAは最後の楽曲について、「どんなライブにしようか考えたときに、すっごく曲を書きたくなって。今日のためにもう1曲新曲を持ってきました」と明かす。作詞だけでなく、作曲も(重永亮介との共作という形で)久々に行ったというその楽曲のタイトルは「No Voice, No Live」。彼女は歌唱前に「伝えたいことは全部、曲に書いたつもりです」と語っていたが、ピアノを軸にした穏やかで優しい雰囲気のミディアムバラードとなっているこの楽曲には、シンガーとして様々な苦労や苦悩を経験してきたASCAの、それでもこれからも歌い続けていくという決意と覚悟が表れている。
そして彼女が歌い続けるのは、その“声”を必要としてくれる誰かのためであり、“あなた”と“私”、お互いの“声”が繋がり響き合うことが、彼女にとっては何よりも大切だということも。この日、一番温かで慈しみに満ちた“歌声”で届けられたその楽曲は、ASCAというシンガーの本質を体現していたのではないだろうか。

これはあくまでも筆者の推測に過ぎないのだが、ライブの後半、自身のラッキーカラーである赤のジャケットを脱ぎ捨て、真っ白な衣装になったのは、コロナ禍や声帯ポリープの手術を経て、シンガーとしてまた心を新たにした彼女の心境を表したものだったように思う。終演後、彼女自身が「まだまだこんなもんじゃない」「もっと大きい会場でライブをやりたい」「一緒に伝説作ろうよ」と口にしていた通り、ファンの“声”を手にしたASCAの本気は、絶対にこんなものでは収まらない。9月に開催される東名阪ツアー、そしてその先の伝説に向けて、彼女の第2章はこの日にようやく幕を開けたのだ。

<セットリスト>
01. このメロディに乗せて(アカペラ)
02. 進化論
03. Howling
04. いかれた世界だろ構わないぜ
05. NO FAKE
06. Don’t leave me
07. KOE
08. リンネ
09. 天秤-Libra- 百希夜行ver.
10. アインソフオウル
11. Stellar
12. CHAIN
13. OVER DRIVE
14. RESISTER
15. Real Dawn
16. No Voice, No Live

ASCAワンマンライブプレイリスト公開中!
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●配信情報
「No Voice, No Live」
配信中

作詞:ASCA 作曲:ASCA・重永亮介

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「Stellar」
7月28日(金)にデジタルリリース決定!

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●ライブ情報
「ASCA 5th ANNIVERSARY TOUR 2023(仮)」
9/9(土)大阪 umeda TRAD 17:00開場 / 18:00開演
問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888 平日・土 11:00~16:00
9/24(日)愛知 SPADE BOX 17:00開場 / 18:00開演
問合せ:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100 全日12:00~16:00
10/6(金)東京 新宿BLAZE 18:00開場 / 19:00開演
問合せ:ディスクガレージ 050-5533-0888 平日 12:00~15:00

チケット:AME社員割引 ¥6,000(税込) / 一般前売料金 ¥6,500(税込)
※整理番号付き・オールスタンディング / 未就学児入場不可 / 各会場ドリンク代別途必要

ASCA公式ファンコミュニティ「ASCA Music Entertainment」最速先行受付スタート!
受付期間:7/2(日)23:59まで

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AME社員割引:6,000円(税込)

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