アニメシーンで独自のポジションを築き上げつつある、2ラッパー3ボーカルで構成される5人組ダンスボーカルグループ・MADKID。新作となるTVアニメ『Lv1魔王とワンルーム勇者』OPテーマ「One Room Adventure」は、前向きさが光った、これまでにない趣の楽曲に。
INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ
MADKIDの生きる道 その先を行くFLOWの存在
──1月にリリースした配信限定シングル「Paranoid」はアニメ「伊藤潤二『マニアック』」OPテーマ。そして、今回は『Lv1魔王とワンルーム勇者』主題歌と、アニメ主題歌が続いています。“Animelo Summer Live 2023 -AXEL-”(以下、アニサマ)への出演やアメリカのライブ出演など、MADKIDのアニソンアーティストとしての立ち位置が確立されつつあるように感じていますが、皆さんはどのように捉えられていますか?
YOU-TA 稀有な存在だとは思っていますが、自分たち的にはまだ道半ばというか。『盾の勇者の成り上がり』をきっかけにアニメの主題歌を歌わせてもらえるようになり、自分たちのスタイルが徐々に確立していって。そして、アニサマに出演させていただいたり、アメリカでライブをさせてもらうようになったりするなかで、周りの方からそう思ってもらえるようになったら良いなとは思っていました。でも、やることは変わらないですね。アニソンのなかでも、ダンスロックというジャンルに変わらず挑戦できたらと思っていますし、まだまだ叶えていきたいことはたくさんあります。
──道なき道を行くという意味では、FLOWの存在がロールモデルになるのかなと思います。今回は「Future Notes」でコラボレーションされていますが、皆さんにとってFLOWの存在とは?
YOU-TA メンバーと「どういう人の背中を追っていくべきなのか」という話をしているなかで、やはり一番に上がるのはFLOWさんの名前です。
KAƵUKI 僕もカラオケに行ったら必ず「GO!!!」を歌っていて、それを思うとコラボレーションさせていただけるのは夢のような想いですね。
SHIN 僕らも日本だけじゃなく、世界で活躍したいという気持ちがあるので、世界で活躍されているFLOWさんのことは尊敬しています。先日、ある対談をさせていただいた際に「19年、信じてやってこられたから今がある」というお話を聞きまして。僕たちも諦めずに、これから先も頑張っていきたいなと思いました。いつか追い越せるように、もっと頑張っていきたいなと。
YUKI 昔はアニメソングをバンドでやること自体、白い目で見られていたことも伺いました。僕らはダンスボーカルグループとして活動していますが、ダンスボーカルグループがアニソンを歌うという文化はまだなかなかなくて。壁をぶち壊す存在になった先輩たちに続いて、その壁を殴り続けていくのが、僕たちなりの生きる道なのかなと考えています。
自分がどこにいるかじゃなく、何をするかが大事
──『Lv1魔王とワンルーム勇者』にはどのような印象がありましたか?
LIN これまでやってきた作品とは違う雰囲気なので、楽しく原作を読ませていただきました。
──MADKIDは勇者が登場する作品の主題歌を彩ることが多いように思うのですが、今回の勇者は一味違いますね。
LIN そうですね。
YUKI これまで携わったアニメはどちらかというとネガの要素が強くて。それに比べると、コメディの要素が入っていたので、曲自体も明るいほうにチェンジしていき、これまでになかった曲になりました。今回のアー写も、今までにない色使いや、表情になっていて。
──皆さん笑顔で、素敵な1枚だなと思いました。
YUKI 9年間一度も笑顔のアー写はトライしたことがなかったのですが、作品との出会いにより、みんなでディスカッションして、こういう形になりました。そういった面でも新しさが出たのかなと。
──楽曲制作はどのような形で?
LIN いつも作曲をお願いするときはコンペをするんです。そこでみんなが良いと思った曲を選ばせてもらって。
──編曲もpw.aさんが手がけられていますね。
LIN pw.aさんはヒットメーカーで。そういった方に曲を作っていただけることを光栄に思っています。そのあとに歌詞を置いて、という感じです。また、89秒以外はアニメで使われない、僕たちがライブで披露する部分。そこをいかにMADKIDらしく楽曲を作っていくかというところで、こちらからも要望を伝えさせてもらって、何度かブラッシュアップして完成しました。
──曲が届いたときはこれまでとは違う手応えはありましたか。
LIN 僕はどなたが作られる曲も「すごいな」と思って聴いているんです。だから、その素敵な楽曲を自分たちでできるというのが嬉しいなと。
YOU-TA 今まではシリアスな曲が多かったのですが、今回は前向きで明るい曲です。レコーディングもそこまで苦戦しなかった印象があります。
KAƵUKI YOU-TAはスムーズにレコーディングしていたんですが、僕としては久しぶりに苦戦した記憶があります。僕はド頭の曲を歌う予定だったんですけど、いざレコーディングをしてみたら、英語の発音が悪くてですね……(苦笑)。「ど頭をKAƵUKIに任せることはできない」となってしまいました。僕としては悔しさもある曲になったのですが、自分の力不足も確認できたのでもっと頑張らないとなと思いましたね。そのあとのAメロの入りは低めで。僕自身、声質的に高いもののほうが合うと思っているので、そこも若干苦戦したところです。
SHIN 僕は自分らしく歌うことができました。レコーディングも楽しかったです。
──メンバーによって違いがあるというのが面白いですね。
YOU-TA 僕らはそれだけ、それぞれ声質が違うんですよね。
YUKI 僕の場合はレコーディング自体は苦戦しなかったんですけど……僕たちの曲はラップがアクセントになるので、ラップを作るときにロックっぽい要素をどうやって入れようかなと、模索する時間が長かったように思っています。今回は角が立つようなラップというよりもスルッと聴けるような、それでいてフロウはUSロックっぽいイメージで作りました。
──『Lv1魔王とワンルーム勇者』の主題歌ならではの「One Room Adventure」というタイトルのフレーズはサビにも登場します。どんな想いが込められているのでしょうか。
LIN 主人公のマックスは勇者なんですけど、僕たちが関わらせてもらった作品の中では一番普通の人の感覚に近いというか。昔、偉業を成し遂げたにも関わらず、その後上手くいかずにモチベーションがなくなって……それって、誰にでもあるような気がするんです。数年前にコロナ禍になったとき、家の中にいることが多くなりましたが、そこから飛び出すのも1つのAdventureだと思っていて。でも部屋の中でできることって、実はたくさんあるんですよね。みんな仕事もリモートでやっていましたし、だから心の持ちようというか。自分がどこにいるかじゃなく、何をするかが大事なのかなと思っていたので、どちらにも取れるようにしたんです。「One Roomから飛び出すアドベンチャー」なのか、「One Roomの中のAdventure」なのかは具体的に言及しないようにして、曲名とサビの大事なフレーズにしました。
──聴き手の心の持ちようによって受け取り方も変わるかもしれませんね。
LIN そうですね。
──MVのダンスのポイントを教えてください。
YUKI 今回の振り付けはとっても細かいんです。ポイントとしては、“流れ”でしょうか。曲の爽やかさや疾走感を活かして、流れるように、歌うように振付師の方が作ってくれていて。だから流れが途切れない。ダンスボーカルグループの場合、(メインとなる)人が入れ替わったり、サビの前にわざと止まったり、ということがあるんですが、今回はそういうことがなく常に動いています。だから僕らとしても、最初の振り入れのときは「これは歌いながらできるのか」と思っていたんですが、なんとかできました(笑)。良いチャレンジになりましたね。視覚的にも、新しい作品が作れたなと思っています。
未来に残る音を作りたい=「Future Notes」を掲げて
──カップリングの「Future Notes」は作詞をKOHSHIさん(FLOW)、YOU-TAさん、LINさん、YUKIさん、作曲をTAKEさん(FLOW)、編曲をTAKEさんとLINさんが手がけられています。本作が生まれることになった経緯を改めて教えてください。
YOU-TA アニサマの統括プロデューサーであり、ライブの総合演出も手がけられている齋藤光二さん(以下、齋藤P)が僕らを繋いでくれて、アニサマでコラボレーションさせていただくことになったことがきっかけで。今回の機会も齋藤Pが繋いでくださったんです。そして、タイトルについては僕らが3年前に立ち上げた会社「Future Notes」という名前にするのが良いんじゃないかなと。だからタイトルは最初から決めていました。
──「Future Notes」は今年5月に開催された“MADKID ALLTIME BEST LIVE”のサブタイトルでもありました。それだけ大切な言葉が使われていることからも気合いを感じます。
YOU-TA 「Notes」には音という意味があり、「未来に残る音を作りたい」というシンプルな理由から付けました。色々な想いがあったなかで会社を立ち上げているので、僕らにとってすごく大切な言葉です。“MADKID ALLTIME BEST LIVE”にはKOHSHIさんとTAKEさんが見に来てくださって。KOHSHIさんは「音源で聴くより全然良いじゃん」と言ってくださり、TAKEさんは「GO!!!」を初めて客席で聴いた、と。ありがたいお言葉をいただきました。
──「Future Notes」の制作はどのような流れだったのでしょうか。
YOU-TA 今回の「Future Notes」に関しては、時期的なこともあって最初はオンラインで顔合わせをして、僕らの想いをお二人にお伝えしました。そこからTAKEさんが着想を得て、すぐにデモを上げてくださって。そのあとにKOHSHIさんがワンコーラス分の歌詞を書いてくださり、その続きを僕らが書いたという流れです。
──それこそ“ぶっ放しライナー”と、「GO!!!」を感じる歌詞も散りばめられています。FLOWとMADKIDならではのミクスチャー感が溢れる曲になっていますね。
YOU-TA “踊れる「GO!!!」を作る”というのが、1つのサブテーマだったんです。そのテーマ自体も斎藤Pが提案してくれました。FLOWさんの明るい要素もありながら、MADKIDを象徴する2人のラップを活かしたビートもあって、色々な工夫が込められているなと思っていました。前向きな歌詞で、色々な思いがそこに詰め込まれている。僕らにとって大切な1曲になりました。
──TAKEさんからのコメントに「仲を取り持っていただき、様々なご助言いただいた齋藤Pにも感謝します」とありましたが、斎藤Pは楽曲作りの面においてはどのような関わり方をされているのですか?
YOU-TA 今回は斎藤Pが楽曲のディレクションもしてくださっていて、斎藤Pのこだわりで、ギター、ベースも別の方に乗せてもらっていています。普段は自分たちでディレクションしているので、外部の方がディレクションしてくださるというのは新鮮でしたね。いつもはものすごく時間を掛けて作っていたんですが、斎藤Pは「少ないテイクでどれだけ良いものを出すか」というディレクションの方法で、ものすごくスムーズに進んでいって。以降、僕らのディレクションのやり方も変わりました。また、今回は基本的には僕が平歌を歌っているのですが、「Future Notes KAƵUKI Edition」「Fufure Notes SHIN Edition」を作り、全員それぞれのパートを歌っているというのも、斎藤Pのアドバイスです。
KAƵUKI MADKIDとして活動してきて、1曲丸々歌うというのは初めての経験でした。僕らだけだったら出てこないアイデアだったと思うので、本当に感謝です。
SHIN 緊張感がありましたね、新鮮でした。
──ジャケ写の通り、新たな扉を開くようなシングルだなと思っていましたが、制作の面においても新しさがあったのですね。
YUKI 自分たちでは考えがつかなかったことにも挑戦ができましたし、実際にやってみて、僕たちだからこそできることなのかなという手応えがありました。得たものは大きかったですね。
──そして、この先にも“MADKID ANIME SONG LIVE”、“Animelo Summer Live 2023 -AXEL-”、“MADKID LIVE TOUR 2023”などが控えています。今年の夏も特別な季節になりそうですね。
YOU-TA ライブにはぜひ気軽に遊びにきてもらいたいです。一緒になって楽しめる曲が多いので、1人でも全然大丈夫!無料で見られるライブも全国各地でやっているので、まずそういうところから来てくれたら嬉しいなと思っています。
KAƵUKI ツアーでは初めて全国10都市を周ります。このインタビューを読んで気になった方は、ぜひ近い場所に遊びに来てください。
──ライブに初めて行く方が聴いておいたほうが良い曲はありますか?
YOU-TA タイアップ曲でしょうか。それとQ-MHzさんが作ってくださった「No border」は、リスアニ!の読者の皆様が好きな曲なんじゃないかなと思います。
──では、最後にお一言ずつメッセージをいただけますか。
LIN 「One Room Adventure」、「Future Notes 」どちらも良い曲になっています。ぜひお手に取って楽しんでいただけたら嬉しいです。
YOU-TA この2つの曲は違う意味で、前向きになれる曲になっていると思います。たくさんの方に聴いていただき、その延長でライブに来てくださったらと思っています。
YUKI 「One Room Adventure」をきっかけに知ってくださる方もいらっしゃると思います。MADKIDの強みの1つに、色々な楽曲ができるというものがあるので、この2曲をきっかけに、ぜひほかの楽曲についても掘り下げてほしいです。
SHIN 聴いている人たちの支えになるような曲ができたと思っているので、元気がないときがあれば、ぜひ聴いてもらえたらと。
KAƵUKI 最近男性の方や新しい方がライブにも来てくれるようになり、徐々に僕らのことを気にしてくれている方々が増えているように感じています。この曲をアニメと共にチェックしていただき、ツアーに遊びに来ていただければなと思っています。よろしくお願いします!
──ところで、最初に道半ば、というお話がありました。MADKIDの目標にしている景色もぜひ伺いたいです。
YOU-TA 具体的な景色はないのですが……1人でも多くの人にライブを見てもらいたい、という気持ちがずっとあります。また、アメリカでのライブを経て、海外の方とのシナジーがあると感じたんです。日本の方にも、海外の方にもアプローチできるようになったら良いなと思っていますね。
●リリース情報
MADKID 8th シングル
TVアニメ『Lv1魔王とワンルーム勇者』OPテーマ
「One Room Adventure」
7月26日(水)発売
■mora
通常/配信リンクはこちら
【Type-A(CD+DVD)】
価格:¥1980(税込)
【Type-B(CD)】
価格:¥1430(税込)
「One Room Adventure」
先行配信中
配信リンクはこちら
<CD>
M1.One Room Adventure
作詞:LIN、YUKI 作曲:pw.a, Ucca-Laugh 編曲:pw.a
M2.Future Notes
作詞:KOHSHI(FLOW) &YOU-TA、LIN、YUKI 作曲:TAKE(FLOW) 編曲:TAKE(FLOW) & LIN
M3.One Room Adventure (Instrumental)
M4.Future Notes (Instrumental)
M5.Fufure Notes KAƵUKI Edition
M6.Future Notes SHIN Edition
<DVD>
‘One Room Adventure’ Music Video
‘One Room Adventure ‘ Music Video Behind The Scenes
‘Future Notes’ Live Video at MADKID ALL TIME BEST LIVE -Future Notes-
●ライブ情報
MADKID LIVE TOUR 2023
チケット好評発売中
詳細はこちら
2023/10/7(土) Live House Hearts(埼玉)
開場:16:30/開演:17:00
2023/10/8(日) 稲毛K’s DREAM(千葉)
開場:16:30/開演:17:00
2023/10/14(土) 川崎Serbian Night(神奈川)
開場:16:30/開演:17:00
2023/10/21(土) space Zero(仙台)
DAY 開場:14:30/開演:15:00
NIGHT 開場:17:30/開演:18:00
2023/10/22(日) HEAVEN’S ROCK宇都宮 2/3(VJ-4)(栃木)
開場:16:30/開演:17:00
2023/11/3(金祝) Lion Limited Sakae(愛知)
開場:16:30/開演:17:00
2023/11/4(土) 梅田Zeela(大阪)
DAY 開場:14:30/開演:15:00
NIGHT 開場:17:30/開演:18:00
2023/11/5(日) 広島Yise(広島)
DAY 開場:14:30/開演:15:00
NIGHT 開場:17:30/開演:18:00
2023/11/23(木祝) INSA(福岡)
DAY 開場:14:30/開演:15:00
NIGHT 開場:17:30/開演:18:00
2023/11/25(土) LAZARUS(宮崎)
DAY 開場:14:30/開演:15:00
NIGHT 開場:17:30/開演:18:00
関連リンク
MADKID
公式サイト
https://columbia.jp/madkid/
公式Twitter
https://twitter.com/MADKID_official
TVアニメ「Lv1魔王とワンルーム勇者」公式サイト
https://lv1room.com/
また、カップリング「Future Notes」では先輩であるFLOWが制作に参加。“踊れる「GO!!!」を作る”をコンセプトに、クリエイティブにおけるコラボレーションを展開し、新たな扉を開いている。本稿では、メンバーのYOU-TA、YUKI、KAƵUKI、LIN、SHINに制作のエピソード、制作秘話を聞く。
INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ
MADKIDの生きる道 その先を行くFLOWの存在
──1月にリリースした配信限定シングル「Paranoid」はアニメ「伊藤潤二『マニアック』」OPテーマ。そして、今回は『Lv1魔王とワンルーム勇者』主題歌と、アニメ主題歌が続いています。“Animelo Summer Live 2023 -AXEL-”(以下、アニサマ)への出演やアメリカのライブ出演など、MADKIDのアニソンアーティストとしての立ち位置が確立されつつあるように感じていますが、皆さんはどのように捉えられていますか?
YOU-TA 稀有な存在だとは思っていますが、自分たち的にはまだ道半ばというか。『盾の勇者の成り上がり』をきっかけにアニメの主題歌を歌わせてもらえるようになり、自分たちのスタイルが徐々に確立していって。そして、アニサマに出演させていただいたり、アメリカでライブをさせてもらうようになったりするなかで、周りの方からそう思ってもらえるようになったら良いなとは思っていました。でも、やることは変わらないですね。アニソンのなかでも、ダンスロックというジャンルに変わらず挑戦できたらと思っていますし、まだまだ叶えていきたいことはたくさんあります。
──道なき道を行くという意味では、FLOWの存在がロールモデルになるのかなと思います。今回は「Future Notes」でコラボレーションされていますが、皆さんにとってFLOWの存在とは?
YOU-TA メンバーと「どういう人の背中を追っていくべきなのか」という話をしているなかで、やはり一番に上がるのはFLOWさんの名前です。
ついこの間、TAKEさんと一緒にご飯に行かせていただく機会があって、色々とお話を聞いたんですよ。大先輩のお話は、僕らにとってとても刺激的なお話ばかりでした。僕個人の話で言うと、学生時代にカラオケに行くと必ずFLOWさんの楽曲を歌うくらいに大好きで、尊敬していて……勝手に兄貴分だと思っています。
KAƵUKI 僕もカラオケに行ったら必ず「GO!!!」を歌っていて、それを思うとコラボレーションさせていただけるのは夢のような想いですね。
SHIN 僕らも日本だけじゃなく、世界で活躍したいという気持ちがあるので、世界で活躍されているFLOWさんのことは尊敬しています。先日、ある対談をさせていただいた際に「19年、信じてやってこられたから今がある」というお話を聞きまして。僕たちも諦めずに、これから先も頑張っていきたいなと思いました。いつか追い越せるように、もっと頑張っていきたいなと。
YUKI 昔はアニメソングをバンドでやること自体、白い目で見られていたことも伺いました。僕らはダンスボーカルグループとして活動していますが、ダンスボーカルグループがアニソンを歌うという文化はまだなかなかなくて。壁をぶち壊す存在になった先輩たちに続いて、その壁を殴り続けていくのが、僕たちなりの生きる道なのかなと考えています。
自分がどこにいるかじゃなく、何をするかが大事
──『Lv1魔王とワンルーム勇者』にはどのような印象がありましたか?
LIN これまでやってきた作品とは違う雰囲気なので、楽しく原作を読ませていただきました。
歌詞を書くのも楽しくて。また新しいMADKIDの曲ができたのかなと、嬉しく思っています。
──MADKIDは勇者が登場する作品の主題歌を彩ることが多いように思うのですが、今回の勇者は一味違いますね。
LIN そうですね。
YUKI これまで携わったアニメはどちらかというとネガの要素が強くて。それに比べると、コメディの要素が入っていたので、曲自体も明るいほうにチェンジしていき、これまでになかった曲になりました。今回のアー写も、今までにない色使いや、表情になっていて。
──皆さん笑顔で、素敵な1枚だなと思いました。
YUKI 9年間一度も笑顔のアー写はトライしたことがなかったのですが、作品との出会いにより、みんなでディスカッションして、こういう形になりました。そういった面でも新しさが出たのかなと。
──楽曲制作はどのような形で?
LIN いつも作曲をお願いするときはコンペをするんです。そこでみんなが良いと思った曲を選ばせてもらって。
今回の曲は、pw.aさん、Ucca-Laughさんが作ってくださっています。
──編曲もpw.aさんが手がけられていますね。
LIN pw.aさんはヒットメーカーで。そういった方に曲を作っていただけることを光栄に思っています。そのあとに歌詞を置いて、という感じです。また、89秒以外はアニメで使われない、僕たちがライブで披露する部分。そこをいかにMADKIDらしく楽曲を作っていくかというところで、こちらからも要望を伝えさせてもらって、何度かブラッシュアップして完成しました。
──曲が届いたときはこれまでとは違う手応えはありましたか。
LIN 僕はどなたが作られる曲も「すごいな」と思って聴いているんです。だから、その素敵な楽曲を自分たちでできるというのが嬉しいなと。
YOU-TA 今まではシリアスな曲が多かったのですが、今回は前向きで明るい曲です。レコーディングもそこまで苦戦しなかった印象があります。
僕らの制作フローとしては、LINが書いてくれた楽曲はLINがプリプロを一度上げてくれて、それを僕らが噛み砕いて再度プリプロをして……という流れなんです。日本語のフレーズが多いので、言葉が伝わるようにと心がけて歌いました。
KAƵUKI YOU-TAはスムーズにレコーディングしていたんですが、僕としては久しぶりに苦戦した記憶があります。僕はド頭の曲を歌う予定だったんですけど、いざレコーディングをしてみたら、英語の発音が悪くてですね……(苦笑)。「ど頭をKAƵUKIに任せることはできない」となってしまいました。僕としては悔しさもある曲になったのですが、自分の力不足も確認できたのでもっと頑張らないとなと思いましたね。そのあとのAメロの入りは低めで。僕自身、声質的に高いもののほうが合うと思っているので、そこも若干苦戦したところです。
SHIN 僕は自分らしく歌うことができました。レコーディングも楽しかったです。
──メンバーによって違いがあるというのが面白いですね。
YOU-TA 僕らはそれだけ、それぞれ声質が違うんですよね。
歌割りもKAƵUKI にとっては低いかもしれないなと思いつつも、メンバーごとにバチッとハマってるところが多いと思うので、そういうところも楽しんでもらえたら嬉しいですね。
YUKI 僕の場合はレコーディング自体は苦戦しなかったんですけど……僕たちの曲はラップがアクセントになるので、ラップを作るときにロックっぽい要素をどうやって入れようかなと、模索する時間が長かったように思っています。今回は角が立つようなラップというよりもスルッと聴けるような、それでいてフロウはUSロックっぽいイメージで作りました。
──『Lv1魔王とワンルーム勇者』の主題歌ならではの「One Room Adventure」というタイトルのフレーズはサビにも登場します。どんな想いが込められているのでしょうか。
LIN 主人公のマックスは勇者なんですけど、僕たちが関わらせてもらった作品の中では一番普通の人の感覚に近いというか。昔、偉業を成し遂げたにも関わらず、その後上手くいかずにモチベーションがなくなって……それって、誰にでもあるような気がするんです。数年前にコロナ禍になったとき、家の中にいることが多くなりましたが、そこから飛び出すのも1つのAdventureだと思っていて。でも部屋の中でできることって、実はたくさんあるんですよね。みんな仕事もリモートでやっていましたし、だから心の持ちようというか。自分がどこにいるかじゃなく、何をするかが大事なのかなと思っていたので、どちらにも取れるようにしたんです。「One Roomから飛び出すアドベンチャー」なのか、「One Roomの中のAdventure」なのかは具体的に言及しないようにして、曲名とサビの大事なフレーズにしました。
──聴き手の心の持ちようによって受け取り方も変わるかもしれませんね。
LIN そうですね。
──MVのダンスのポイントを教えてください。
YUKI 今回の振り付けはとっても細かいんです。ポイントとしては、“流れ”でしょうか。曲の爽やかさや疾走感を活かして、流れるように、歌うように振付師の方が作ってくれていて。だから流れが途切れない。ダンスボーカルグループの場合、(メインとなる)人が入れ替わったり、サビの前にわざと止まったり、ということがあるんですが、今回はそういうことがなく常に動いています。だから僕らとしても、最初の振り入れのときは「これは歌いながらできるのか」と思っていたんですが、なんとかできました(笑)。良いチャレンジになりましたね。視覚的にも、新しい作品が作れたなと思っています。
未来に残る音を作りたい=「Future Notes」を掲げて
──カップリングの「Future Notes」は作詞をKOHSHIさん(FLOW)、YOU-TAさん、LINさん、YUKIさん、作曲をTAKEさん(FLOW)、編曲をTAKEさんとLINさんが手がけられています。本作が生まれることになった経緯を改めて教えてください。
YOU-TA アニサマの統括プロデューサーであり、ライブの総合演出も手がけられている齋藤光二さん(以下、齋藤P)が僕らを繋いでくれて、アニサマでコラボレーションさせていただくことになったことがきっかけで。今回の機会も齋藤Pが繋いでくださったんです。そして、タイトルについては僕らが3年前に立ち上げた会社「Future Notes」という名前にするのが良いんじゃないかなと。だからタイトルは最初から決めていました。
──「Future Notes」は今年5月に開催された“MADKID ALLTIME BEST LIVE”のサブタイトルでもありました。それだけ大切な言葉が使われていることからも気合いを感じます。
YOU-TA 「Notes」には音という意味があり、「未来に残る音を作りたい」というシンプルな理由から付けました。色々な想いがあったなかで会社を立ち上げているので、僕らにとってすごく大切な言葉です。“MADKID ALLTIME BEST LIVE”にはKOHSHIさんとTAKEさんが見に来てくださって。KOHSHIさんは「音源で聴くより全然良いじゃん」と言ってくださり、TAKEさんは「GO!!!」を初めて客席で聴いた、と。ありがたいお言葉をいただきました。
──「Future Notes」の制作はどのような流れだったのでしょうか。
YOU-TA 今回の「Future Notes」に関しては、時期的なこともあって最初はオンラインで顔合わせをして、僕らの想いをお二人にお伝えしました。そこからTAKEさんが着想を得て、すぐにデモを上げてくださって。そのあとにKOHSHIさんがワンコーラス分の歌詞を書いてくださり、その続きを僕らが書いたという流れです。
──それこそ“ぶっ放しライナー”と、「GO!!!」を感じる歌詞も散りばめられています。FLOWとMADKIDならではのミクスチャー感が溢れる曲になっていますね。
YOU-TA “踊れる「GO!!!」を作る”というのが、1つのサブテーマだったんです。そのテーマ自体も斎藤Pが提案してくれました。FLOWさんの明るい要素もありながら、MADKIDを象徴する2人のラップを活かしたビートもあって、色々な工夫が込められているなと思っていました。前向きな歌詞で、色々な思いがそこに詰め込まれている。僕らにとって大切な1曲になりました。
──TAKEさんからのコメントに「仲を取り持っていただき、様々なご助言いただいた齋藤Pにも感謝します」とありましたが、斎藤Pは楽曲作りの面においてはどのような関わり方をされているのですか?
YOU-TA 今回は斎藤Pが楽曲のディレクションもしてくださっていて、斎藤Pのこだわりで、ギター、ベースも別の方に乗せてもらっていています。普段は自分たちでディレクションしているので、外部の方がディレクションしてくださるというのは新鮮でしたね。いつもはものすごく時間を掛けて作っていたんですが、斎藤Pは「少ないテイクでどれだけ良いものを出すか」というディレクションの方法で、ものすごくスムーズに進んでいって。以降、僕らのディレクションのやり方も変わりました。また、今回は基本的には僕が平歌を歌っているのですが、「Future Notes KAƵUKI Edition」「Fufure Notes SHIN Edition」を作り、全員それぞれのパートを歌っているというのも、斎藤Pのアドバイスです。
KAƵUKI MADKIDとして活動してきて、1曲丸々歌うというのは初めての経験でした。僕らだけだったら出てこないアイデアだったと思うので、本当に感謝です。
SHIN 緊張感がありましたね、新鮮でした。
──ジャケ写の通り、新たな扉を開くようなシングルだなと思っていましたが、制作の面においても新しさがあったのですね。
YUKI 自分たちでは考えがつかなかったことにも挑戦ができましたし、実際にやってみて、僕たちだからこそできることなのかなという手応えがありました。得たものは大きかったですね。
──そして、この先にも“MADKID ANIME SONG LIVE”、“Animelo Summer Live 2023 -AXEL-”、“MADKID LIVE TOUR 2023”などが控えています。今年の夏も特別な季節になりそうですね。
YOU-TA ライブにはぜひ気軽に遊びにきてもらいたいです。一緒になって楽しめる曲が多いので、1人でも全然大丈夫!無料で見られるライブも全国各地でやっているので、まずそういうところから来てくれたら嬉しいなと思っています。
KAƵUKI ツアーでは初めて全国10都市を周ります。このインタビューを読んで気になった方は、ぜひ近い場所に遊びに来てください。
──ライブに初めて行く方が聴いておいたほうが良い曲はありますか?
YOU-TA タイアップ曲でしょうか。それとQ-MHzさんが作ってくださった「No border」は、リスアニ!の読者の皆様が好きな曲なんじゃないかなと思います。
──では、最後にお一言ずつメッセージをいただけますか。
LIN 「One Room Adventure」、「Future Notes 」どちらも良い曲になっています。ぜひお手に取って楽しんでいただけたら嬉しいです。
YOU-TA この2つの曲は違う意味で、前向きになれる曲になっていると思います。たくさんの方に聴いていただき、その延長でライブに来てくださったらと思っています。
YUKI 「One Room Adventure」をきっかけに知ってくださる方もいらっしゃると思います。MADKIDの強みの1つに、色々な楽曲ができるというものがあるので、この2曲をきっかけに、ぜひほかの楽曲についても掘り下げてほしいです。
SHIN 聴いている人たちの支えになるような曲ができたと思っているので、元気がないときがあれば、ぜひ聴いてもらえたらと。
KAƵUKI 最近男性の方や新しい方がライブにも来てくれるようになり、徐々に僕らのことを気にしてくれている方々が増えているように感じています。この曲をアニメと共にチェックしていただき、ツアーに遊びに来ていただければなと思っています。よろしくお願いします!
──ところで、最初に道半ば、というお話がありました。MADKIDの目標にしている景色もぜひ伺いたいです。
YOU-TA 具体的な景色はないのですが……1人でも多くの人にライブを見てもらいたい、という気持ちがずっとあります。また、アメリカでのライブを経て、海外の方とのシナジーがあると感じたんです。日本の方にも、海外の方にもアプローチできるようになったら良いなと思っていますね。
●リリース情報
MADKID 8th シングル
TVアニメ『Lv1魔王とワンルーム勇者』OPテーマ
「One Room Adventure」
7月26日(水)発売
■mora
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【Type-A(CD+DVD)】
価格:¥1980(税込)
【Type-B(CD)】
価格:¥1430(税込)
「One Room Adventure」
先行配信中
配信リンクはこちら
<CD>
M1.One Room Adventure
作詞:LIN、YUKI 作曲:pw.a, Ucca-Laugh 編曲:pw.a
M2.Future Notes
作詞:KOHSHI(FLOW) &YOU-TA、LIN、YUKI 作曲:TAKE(FLOW) 編曲:TAKE(FLOW) & LIN
M3.One Room Adventure (Instrumental)
M4.Future Notes (Instrumental)
M5.Fufure Notes KAƵUKI Edition
M6.Future Notes SHIN Edition
<DVD>
‘One Room Adventure’ Music Video
‘One Room Adventure ‘ Music Video Behind The Scenes
‘Future Notes’ Live Video at MADKID ALL TIME BEST LIVE -Future Notes-
●ライブ情報
MADKID LIVE TOUR 2023
チケット好評発売中
詳細はこちら
2023/10/7(土) Live House Hearts(埼玉)
開場:16:30/開演:17:00
2023/10/8(日) 稲毛K’s DREAM(千葉)
開場:16:30/開演:17:00
2023/10/14(土) 川崎Serbian Night(神奈川)
開場:16:30/開演:17:00
2023/10/21(土) space Zero(仙台)
DAY 開場:14:30/開演:15:00
NIGHT 開場:17:30/開演:18:00
2023/10/22(日) HEAVEN’S ROCK宇都宮 2/3(VJ-4)(栃木)
開場:16:30/開演:17:00
2023/11/3(金祝) Lion Limited Sakae(愛知)
開場:16:30/開演:17:00
2023/11/4(土) 梅田Zeela(大阪)
DAY 開場:14:30/開演:15:00
NIGHT 開場:17:30/開演:18:00
2023/11/5(日) 広島Yise(広島)
DAY 開場:14:30/開演:15:00
NIGHT 開場:17:30/開演:18:00
2023/11/23(木祝) INSA(福岡)
DAY 開場:14:30/開演:15:00
NIGHT 開場:17:30/開演:18:00
2023/11/25(土) LAZARUS(宮崎)
DAY 開場:14:30/開演:15:00
NIGHT 開場:17:30/開演:18:00
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