DAY2にはイルミネーションスターズより櫻木真乃役の関根瞳、風野灯織役の近藤玲奈、八宮めぐる役の峯田茉優、アンティーカより月岡恋鐘役の礒部花凜、田中摩美々役の菅沼千紗、白瀬咲耶役の八巻アンナ、三峰結華役の希水しお、幽谷霧子役の結名美月、放課後クライマックスガールズより小宮果穂役の河野ひより、園田智代子役の白石晴香、西城樹里役の永井真里子、杜野凛世役の丸岡和佳奈、有栖川夏葉役の涼本あきほ、アルストロメリアより大崎甘奈役の黒木ほの香、大崎甜花役の前川涼子、桑山千雪役の芝崎典子、ストレイライトより芹沢あさひ役の田中有紀、黛冬優子役の幸村恵理、和泉愛依役の北原沙弥香、ノクチルより浅倉透役の和久井優、樋口円香役の土屋李央、福丸小糸役の田嶌紗蘭、市川雛菜役の岡咲美保、シーズより七草にちか役の紫月杏朱彩、緋田美琴役の山根綺、コメティックより斑鳩ルカ役の川口莉奈が出演した。
TEXT BY 中里キリ
本ライブは、ソロ楽曲を中心としたコンセプトライブの幕間に、283プロのアイドルたちが別の役柄を演じる朗読劇が行なわれる構成。DAY1は高校の卒業を巡る物語だったが、DAY2は大学生活にフィールドをチェンジ。バンドでの音楽に夢を見る三峰結華と、一年生の時期から企業インターンに挑戦する才女・有栖川夏葉を中心とした物語が描かれる。なお、キャラクターが役柄を演じる二重構造のため、本文中の朗読劇パートではアイドル名称で記載する。
開演前の定例演出はスキップして、最初のシーンは大学の新入生を対象とした新勧シーズンの一コマ。アルバイトに勧誘する恋鐘や千雪、サークル活動を勧める冬優子と美琴の勢いに、たじたじになる三峰。やっとのことで逃げ出した三峰に声をかけたのが、同じく一年生の夏葉だった。最初はややぎこちなく連絡先を交換するふたりだったが、夏葉の積極性もあってすぐに意気投合していく。三峰には、高校時代から続けてきた音楽(バンド)を大学でもやりたいという夢があった。
ここでしっとりとした壮大なovertureが流れてライブはスタート。本稿ではDAY2ならではの要素を中心に書いていくので、ソロ曲の詳細についてはDAY1のレポートを併せて読んでほしい。
第1ブロックは芝崎典子の「Darling you!」、山根綺の「Look up to the sky」、幸村恵理の「SOS」、礒部花凜の「アポイント・シグナル」、そして4人揃っての「Killer×Mission」という構成。
「Killer×Mission」はアンティーカ×ストレイライトの原曲を新鮮なメンバーで披露。剣呑でソリッドなサウンドと歌詞が、大学というコミュニティでの女同士の関係性の一筋縄ではいかない感じを示しているようだ。ダンスもスタイリッシュでキレ味鋭く、芝崎がこの系統の楽曲に参加しているのはとても新鮮だ。逆にサングラス姿の山根はオリジナルメンバーか? と疑うほどにナチュラルにハマる。“背中合わせの刺激とシルエット”のフレーズでは山根と幸村が背中越しに指先を絡み合わせ、“One&Only Violet&Red”では芝崎と礒部が互いの頬に手を添えて超インファイトの見つめあい。ドキッとするシーンで場をさらい、クールに魅せるクライマックスへと雪崩れこんでいく。
第2ブロックは白石晴香の「チョコデート・サンデー」、岡咲美保の「あおぞらサイダー」、和久井優の「statice」、丸岡和佳奈の「常咲の庭」、前川涼子の「また明日」、そして5人による「Color Days」という構成。
白石はDAY2からの参加。ステージセットごと回転するステージに、ポーズをキメて登場。高めに結ったツインテールが印象的で、特徴的なイントロの“どぅいどぅいどぅ~”のフレーズに合わせた動きがなんともかわいらしい。大切な人との週末をめぐる少女の心情がみずみずしく描かれていて、クラスに本当にいそうな女の子の等身大の親しみやすさを感じる。“あなたとサンデー”のフレーズでは、会場いっぱいの“あなた”たちとの熱のこもったコールアンドレスポンスの交流が楽しめた。
朗読劇では透がUFOを探していたり、甜花が趣味に生きていたりしたが、第2ブロックは大学生活の多様性を象徴する顔ぶれだろうか。岡咲の表現が昨日よりちょっと大人っぽく感じる。歌唱中に靴がひっかかったりの小トラブルをさらっとリカバーする機転と、歌い終えて小さく「ごめんね」とささやくキュートさに歓声が上がった。岡咲の「あおぞらサイダー」から和久井の“上手すぎる”「statice」へのつなぎはさわやかで、ノクチルならではの透明感だ。和のテイストが優美な丸岡の「常咲の庭」、甜花ならではの日常をかわいらしく描く前川の「また明日」という並びは多様性に富んでいて、それぞれの色の青春がある……という見せ方からの「Color Days」という配置はお見事。
前川がセンターに立ち、仲間を呼び込んでの「Color Days」は、かわいらしさ、キュートさの表現にもこれだけの多彩さがあるんだと感じさせる並びで、和久井の清涼なさわやかさがワンポイントとして効いている感じだ。間奏の順番ジャンプの飛び方も個性豊か。
第3ブロックは夏葉、樹里、果穂、めぐる、にちかというインターン仲間を描くシーンの朗読から。仕事が一段落して和気あいあいと過ごしているところに、夏葉あてに三峰から電話が入る。バンド活動がうまくいっているかのように気丈にふるまう三峰だったが、その言葉には何か裏があることを夏葉は敏感に感じ取る。
第3ブロックのライブは永井真里子の「過純性ブリーチ」、河野ひよりの「ハナマルバッジ」、峯田茉優の「HAREBARE!!」、紫月杏朱彩の「フェアリー・ガール」、そして峯田、河野、永井による「プラニスフィア ~planisphere~」という並びだ。少し不穏な予感を蹴り破るような永井のパフォーマンスは陽性のエネルギーに満ちている。そして「ハナマルバッジ」「HAREBARE!!」という並びは283プロの太陽を集めてきたような眩しさで、夏葉の日常はこうした輝きたちに彩られていて、だからこそ三峰という異質な存在に興味を持ったのかな、と感じた。こんな晴れ晴れしいブロックに、七草にちかという少女がハマるのは「フェアリー・ガール」という新曲で拓いた新境地があればこそだろう。前日の初披露に続いてのパフォーマンスは伸び伸びとして、ステージを楽しんでいるように見えた。
峯田茉優、河野ひより、永井真里子による「プラニスフィア ~planisphere~」は、Team.Stellaの星々の歌を恒星たちが奏でるイメージ。みっつの輝く笑顔の引力が最強だ。立ち位置的なセンターは永井なのだが、ソロパートを歌い継ぐたびにその場所がステージの宇宙の真ん中になる感じで“トリプルセンター”という言葉が浮かぶ。
晴れのあとに来るのは雨、そして夜。第4ブロックは前ブロックとは対照的な温度と湿度になった。朗読では、大学でのバンド活動がうまくいかない三峰の状況とやりきれなさが、痛切な独白として描写された。
第4ブロックは希水しおの「プラスチック・アンブレラ」、川口莉奈の「神様は死んだ、って」、八巻アンナの「千夜アリア」、近藤玲奈の「スローモーション」、北原沙弥香の「Going my way」、菅沼千紗の「誰ソ彼アイデンティティー」、そして近藤、菅沼、八巻、北原による「Ambitious Eve」という構成。
圧巻だったのがDAY2の主演女優の一人である希水の表現で、直前の降りしきる雨の中の三峰の慟哭と、やるせない心情をそのまま楽曲の中に持ち込んだ。その臨場感はミュージカルのようで、悲壮な感情の乗ったパフォーマンスはDAY1とは完全に異質な見せ方。背を向けて表情を隠した白い傘に、ツインテールの頼りないシルエットが映るのが完全に“三峰”で、あまりにも実在性が高かった。三峰が置かれた状況の閉塞感と抑圧を「神様は死んだ、って」で描き出すと、彼女を太陽の翳りから連れ出してくれる“誰か”の存在を予感させる「千夜アリア」が空気の色と温度を変える。「スローモーション」は、“キミ”との出会いをきっかけに初めての自分になっていく変化と羽化の歌だ。
ここで、雨の中三峰の元に駆け付ける夏葉の姿がインサートされる。ちょっとした違和感を感じて、自分のために駆け付けてくれる友人という存在。
近藤玲奈、菅沼千紗、八巻アンナ、北原沙弥香は「Ambitious Eve」を披露。同曲は「シャニマス」のファーストライブのラストに初披露され、これから攻めていく姿勢と変化の意志を込めていたように思う。その新しい波を象徴する存在が、北原の所属するストレイライトという新ユニットだった。これから大志に挑み翔ぼうとする瞬間の輝かしさを、力のある芯が強い歌声たちが描き出した。
ラストブロックは、関根瞳、紫月杏朱彩、川口莉奈による「Shiny Stories」からスタート。「アイドルマスター シャイニーカラーズ」5周年記念楽曲のオリジナルメンバーが揃い、本作のスタートから真ん中に立ってきた関根と、新しき翼である2人が並び立った。センターに立つ川口のケレン味たっぷりのルカらしい歌唱が印象的で、光にも様々な色合いと輝き方があることを感じさせる。その上で川口(ルカ)に“今は信じてる”と星を描かせるのが業が深い。ルカとにちかがあるがまま自分らしくそこにいるのを、つなぐ真乃という存在のしなやかな強さを感じた気がした。
ラストブロックの前半は結名美月の「雪・月・風・花」、土屋李央の「夢見鳥」、黒木ほの香の「Sweet Memories」、関根瞳の「ありったけの輝きで」、そして結名、黒木、田中有紀、土屋、田嶌紗蘭による「虹の行方」という並び。
ふたり座って、三峰の元から去っていったバンドメンバー候補たちの話を聞く夏葉。一度は仲間にと願った少女たちの拒絶の言葉は、三峰の心と夢を折っていく。音楽をやめようかという三峰の諦めに、ありきたりの言葉は届かない。だが、夏葉が放った言葉は「私、あなたの音楽をまだ聴いてないわ!」だった。三峰は夏葉にいつか自分の音楽を聴かせると約束した。なのに、まだ聴いていない。だから、三峰が音楽を諦めるなんて許さない。そんな子供のように我儘な言葉が、三峰の心の防壁をするりと軽やかに突き抜けた。
もうちょっとだけ、頑張ってみる。わがままに、自分らしく──そんな小さな決意を受けた楽曲は、田中有紀の「星をめざして」だった。イントロの軽快なダンスの中で、笑顔が輝く。無限の好奇心とワクワクを推進力に星を目指し、いつか星になれたらと願う楽曲は、今の三峰の物語にこの上なくぴったりくる。手を振りながら花道を歩む彼女の足取りは軽快。誰よりもマイペースに、我儘に。自分らしく輝く一等星のようなパフォーマンス。歌い終えた田中はみんなに手を振りながら、再び駆けていった。
もうひとつの小さなかわいらしい“我儘”は田嶌紗蘭の「わたしの主人公はわたしだから!」。小糸という少女が控えめで遠慮がちだからこそ、そんな彼女がまっすぐ放つ言葉が強い感動を伴って響く。今日のセットリストという物語を通して、“わたしの主人公はわたし”というシンプルな我儘を、三峰は迷いながら、夏葉は誇りとともに口にする姿が浮かんでくるようだった。
時は移り数年後。夏葉は就活に打ち込み、三峰は音楽を続けていた。絆を感じさせる他愛のないじゃれあいの中で、夏葉は「何かを感じたの。あなたの背中に」と出会いの日を振り返った。ステージに並び立ったふたりはすっとポーズを取る。
その姿が示すのは、ふたりだけの光空記録。ライブ本編を締めくくったのは、希水しおと涼本あきほによる「シャイノグラフィ」だった。希水が高らかに独唱する“君が見るこの背中に 翼が見えるように”のフレーズの上で、夏葉が見たものと三峰が見せたいと願うものが交錯する。未完成な少女たちの物語をそのまま取りこみ、いだくだけの懐の深さが、この特別な楽曲にはある。“ねえ 最初の色 憶えている?”という聴きなれたフレーズを、物語を背負ったふたりが向かい合って、見つめあって歌う。ただそれだけで特別な意味を持つのだからライブは、音楽は面白い。歌い終わり、ふふふ、と笑みを交わしたふたりを、暖色と寒色の虹のコントラストが優しく照らし出した。
主演のふたりが来場の感謝を伝えると、今後に関する告知映像へ。次回ライブとして、「THE IDOLM@STER SHINY COLORS 5.5th Anniversary LIVE 星が見上げた空」の開催が告知された。開催日は2023年10月21~22日で、会場は幕張イベントホール。DAY1にはストレイライト、ノクチル、シーズ、コメティック(後述)、DAY2にはイルミネーションスターズ、アンティーカ、放課後クライマックスガールズ、アルストロメリア、コメティックが出演する。
そして特大のサプライズとなったのが、新ユニット・コメティックの参戦発表だ。斑鳩ルカの独白で構成されたムービーで、ルカのシルエットの横にふたつの影が寄り添う。新曲「無自覚アプリオリ」とともにコメティックのイメージムービーが上映されると、会場は驚愕の歓声に包まれた。コメティックは斑鳩ルカ、新アイドルの鈴木羽那、郁田はるきの3人ユニット。イメージワードは“新時代到来の予兆、黒色彗星(カラーレス・アイドル)”であるようだ。また、コメティックは新アプリ「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism」に登場することが合わせて告知された。
新アプリ「アイドルマスター シャイニーカラーズ Song for Prism」(通称「シャニソン」)については、事前登録の受付開始が告知された。「シャニソン」公式LINEが開設され、「シャニソン」公式Twitter(X)をフォロー、もしくは公式LINE友だち登録で事前登録完了となる。
盛りだくさんの告知ののち、ステージではキャスト陣が順番に登場してのカーテンコールが始まった。最初に女子力強めの大学新歓チームの4人が登場すると、わずか数時間前の彼女たちの出番が遠い昔のように感じられる。それだけ、密度の濃い物語とライブの時間だったのだろう。手をつないでジャンプしたり、優雅に一礼したり、思い思いのカーテンコールの最後を飾るのは、もちろん希水しおと涼本あきほの主演女優ふたりだ。下手に、上手に、そして正面に。感謝の一礼をすると、希水から抱きついていって、涼本を感激させたのだった。
ラストナンバーは、涼本あきほの「Damascus Cocktail」。最後は情熱的な大人のナンバーで座長が締めくくる。その笑顔は自信にあふれ、ひとつの物語を作り上げ、やり遂げた充実感に満ちているようだ。聴きなれた楽曲が、劇場映画のエンディング音楽のように響くのが面白かった。鮮やかなウィンクとともにポーズをキメると、会場いっぱいの大歓声と緑の光が彼女を包みこんでいた。
ライブ後には、主演・有栖川夏葉役涼本あきほ、三峰結華役希水しおから始まるエンドロールが上映された。斑鳩ルカの所属ユニットとして“コメティック”の文字が初めて刻まれた時間でもあった。ラストを飾ったのは、ギターと譜面を手にした三峰と、ランチタイムのために訪れたと思われる夏葉が寄り添って座る一枚絵だった。夏葉が眼鏡姿、三峰が素顔なのが新鮮でポイントが高い。
ソロ楽曲+朗読劇で綴るストーリーというコンセプチャルで挑戦的なライブはこうして幕を下ろしたが、我儘に生きる少女たちの物語は目撃者たちの胸に残り続けることだろう。
「アイドルマスター シャイニーカラーズ」
283PRODUCTION SOLO PERFORMANCE LIVE「我儘なまま」DAY2
2023.7.23 武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
<セットリスト>
M01:Darling you!(芝崎典子)
M02:Look up to the sky(山根綺)
M03:SOS(幸村恵理)
M04:アポイント・シグナル(礒部花凜)
M05:Killer×Mission(礒部花凜、芝崎典子、幸村恵理、山根綺)
M06:チョコデート・サンデー(白石晴香)
M07:あおぞらサイダー(岡咲美保)
M08:statice(和久井優)
M09:常咲の庭(丸岡和佳奈)
M10:また明日(前川涼子)
M11:Color Days(白石晴香、丸岡和佳奈、前川涼子、和久井優、岡咲美保)
M12:過純性ブリーチ(永井真里子)
M13:ハナマルバッジ(河野ひより)
M14:HAREBARE!!(峯田茉優)
M15:フェアリー・ガール(紫月杏朱彩)
M16:プラニスフィア ~planisphere~(峯田茉優、河野ひより、永井真里子)
M17:プラスチック・アンブレラ(希水しお)
M18:神様は死んだ、って(川口莉奈)
M19:千夜アリア(八巻アンナ)
M20:スローモーション(近藤玲奈)
M21:Going my way(北原沙弥香)
M22:誰ソ彼アイデンティティー(菅沼千紗)
M23:Ambitious Eve(近藤玲奈、菅沼千紗、八巻アンナ、北原沙弥香)
M24:Shiny Stories(関根瞳、紫月杏朱彩、川口莉奈)
M25:雪・月・風・花(結名美月)
M26:夢見鳥(土屋李央)
M27:Sweet Memories(黒木ほの香)
M28:ありったけの輝きで(関根瞳)
M29:虹の行方(結名美月、黒木ほの香、田中有紀、土屋李央、田嶌紗蘭)
M30:星をめざして(田中有紀)
M31:わたしの主人公はわたしだから!(田嶌紗蘭)
M32:シャイノグラフィ(希水しお、涼本あきほ)
-カーテンコール-
M33:Damascus Cocktail(涼本あきほ)
●配信情報
「283PRODUCTION SOLO PERFORMANCE LIVE「我儘なまま」」
アーカイブ配信中
視聴コメント付きアーカイブ映像視聴期間
DAY1/DAY2共通:2023年7月24日(月)18:00~7月31日(月)23:59
※視聴チケットをご購入いただいたお客様は、公演当日のリアルタイム配信に加え、上記期間中のアーカイブ視聴が可能です。
詳細はこちら
THE IDOLM@STER™& ©Bandai Namco Entertainment Inc.
関連リンク
「アイドルマスター シャイニーカラーズ」公式サイト
https://shinycolors.idolmaster.jp/