TEXT BY えびさわなち
PHOTOGRAPHY BY 白石達也
始まりから魅せた“伝説のアイドル”のステージ――アニメ最終話と繋がるライブへ!
準備が整っていく東京ガーデンシアター。スタッフが行き来をするバックヤードでヘッドフォンをしてじっとステージをイメージする清瀬明良、じっと時を待つようにしながらその手に扇を握る五十鈴川千紘、膝を抱えて座っていた直江万里。思い出されるリハーサルの景色。続々と会場に入る仲間たちとの入念な準備。手番を待ってずらりと並べられたメンバーのマイクの傍には、位置についたsMiLeaプロダクションのアイドルたち。ファンが会場に入場を始めると、フロアに期待感が膨らんでいく。そして客電が落とされ、煌めきのSEと共にステージと客席を隔てる紗幕に出演グループの名前が大きく映し出される。そのたびに湧き上がる歓声。オーディエンスが見つめる舞台から鳴り出した最初の曲は……Anelaの「Break border」!アニメ『UniteUp!』の最終話「#12 繋がらないと」の冒頭の演出そのままに始まった“sMiLea LIVE-Unite with You-”は、始まりの瞬間から物語が“真実だった”と示す最高の演出で幕を開けた。
紗幕に大きく映し出される大月 凛こと斉藤壮馬と辻堂真音こと中島ヨシキ。「Break border」のつま弾かれるようなイントロが響いた途端に、悲鳴にも近い声がフロアから上がった。憂いと甘美とが入り混じり、エモーショナルな音と重なるエレクトロダンスチューンがフロアを席捲。アニメに同じくステージの一段高い場所で、アニメとは異なるフルコーラスで楽曲の魅力を余すことなく放つように2人が歌い上げる。
「皆さん、こんにちは~!『sMiLea LIVE-Unite with You-』へ、ようこそ!」と斉藤が声をあげると「いやぁ、気持ちよかったです。イントロが流れた瞬間の皆さんの“キャー!”は嬉しかったです」と中島も続き、スペシャルゲストのAnelaが最初に登場したことはアニメと同じであることを告げる。「とにかく、早くうちの子たちをお届けしたい!」とMCにも熱の入る斉藤はまさしく凛そのもの。その様子をにこにこと見守る中島。「真音っていつもそうだよね」と斉藤が揶揄うと、中島は「社長だからね。大事なことは全部凛がやってくれる」と笑みを絶やさない。物語の2人のやり取りをそのままに見せられては、思わず歓声も大きくなってしまう。
そしてAnelaのライブは「希望の声」へ。
力強くも艶めくダンスナンバー。LEGITの情熱溢れるステージを見よ。
Anelaがステージを降りると、スクリーンにはLEGITの名シーンが映し出される。その映像をバックに凛と真音がLEGITを紹介。出会いから仲が深まっていった様子まで、これまでイメージでしかなかった彼らの絆が紐解かれていく。「あとは頼んだよ」と凛からLEGIT・高尾大毅に手渡されたマイク。暗転からエッジの効いたギターによる「THE DAY」のイントロが響き、アニメと同じく二条瑛士郎役の森蔭晨之介、東郷楓雅役の坂田隆一郎、大毅役の助川真蔵がポップアップで飛び出す。「お前ら、行くぞー!」と叫ぶ助川。変則ビーツで色香ある1曲で、3人はダイナミックなダンスを魅せた。歌だけでなくダンスパフォーマンスに定評あるグループなだけに、その堂々たるダンスは会場の視線を釘付けに。ライティングや映像演出やカメラワーク、もちろん衣装もアニメのままに作りこまれたステージで、キレのある瑛士郎のラップ、アンニュイな楓雅のボーカル、大毅の突き抜けるパワーボーカルという3色が楽曲と見事にシンクロした。
続いたのはsMiLeaプロ所属アイドルの中でも、最初のライブシーンとしてアニメで放送された「ON MY WAY」。アッパーなビートでライブユースな軽快ダンスチューンは、都会的かつ洋楽ライクなトラックが印象的。そんな1曲では華麗なダンスと激しく感情の乗るボーカルでオーディエンスを煽るように熱いステージを繰り広げた。
「せっかくみんな声が出せるので、僕たちのキャラクター名をコール&レスポンスしていきましょう!」という坂田。助川が「高尾!」と叫ぶとフロアから「大毅!」と声が上がり、続く森蔭の「二条!」には「瑛士郎!」、最後は坂田の「東郷!」に「楓雅!」と盛り上がりを見せ、会場のテンションを1つにしていった。「今聴いていただいた曲は2曲とも本編のライブシーンで歌っている曲で、そのときの衣装もここで完全再現させていただいています!」という助川の言葉に「カッコいい!」と観客の想いも響く。そして人生初ライブという森蔭は「このステージより狭い古着屋にいた人間が、こんな広いステージに立って……めちゃくちゃ楽しいです。ここまで来られたのも2人のおかげです」と真っ直ぐな想いを口にした。
LEGITのステージは「Twenty Four」へ。コール&レスポンスが重要になってくるファンク味あるダンスチューンで、会場は一体となって声を上げる。トロッコでアリーナ中央にあるステージへと移動すると、観客の間近でそのパフォーマンスを見せ、声を1つにしたLEGIT。その軽快なビートに会場は大きく揺れたのだった。
爽快で快活!元気を与えるスーパースター・JAXX/JAXX参上!
LEGIT同様にその出会いから現在まで共に歩んできた時間について真音と凛が語らったのは、JAXX/JAXX。sMiLeaプロダクション所属グループで唯一のバンドである彼らの紹介VTR終わると、場面はアニメ最終話のライブシーンへ。LEGITが最後の曲を歌い終えると、大毅がステージの上段へ向けて放ったマイク。それはリアルのステージでポップアップから飛び出したJAXX/JAXXのボーカル・春賀楽翔役のmasaの手に!最初の曲は「SuperStar」だ。masaが視線を投げた先には共にステージ上段にいるキーボード・桂 ほまれ役の下前祐貴。そして、その階下にはベース・若狭 潤役の坪倉康晴、ドラム・香椎一澄役の馬越琢己、ギター・森ノ宮奏太役の高本 学が楽器を操る。軽快な演奏は真っ直ぐに観客の全身を打ち、鼓動のビートと爽快なギターのリフに高揚感を味わう、そんな1曲でオーディエンスは大きく跳ね、ペンライトを振りながら楽しんでいる。
メンバーそれぞれの歌声も軽やかに響く1曲からはJAXX/JAXXの絆や仲の良さまでもが届くようだ。
間髪入れずに鳴り出した「STORM’s EYE」ではガラリと雰囲気が変わり、「Wow Wow!」と会場が一体となって拳と声を上げた。軽やかに跳ねるように響くビートにオーディエンスもmasaや高本、坪倉と共にジャンプ!楽翔にとっての愛しきTyphoonは、オーディエンスにとっても愛しきTyphoonであることを感じさせるように、ドラムと合わさり大きな音となったクラップが響いた。
「チャオッピー☆」と楽翔の挨拶でmasaが先陣を切ったMCの場面。これは「俺も『チャオッピー☆』やりたい」とメンバーも次々に挑戦するほどの人気フレーズだ。「(ここまでライブをしていて)マジで楽しかった」と高本が笑顔を見せると「この景色を見たときびっくりした」と馬越も照れ笑い。「みんな、ありがとう!」という下前のあとに口を開いた坪倉は「初ライブなのでコール&レスポンスがやりたい」とリクエスト。坪倉の「JAXX/JAXX―!」に会場も「JAXX/JAXX―!」と声を響かせ、満面の笑みと共に潤の声で「ありがとう」と告げれば、「キャー!」とファンの悲鳴が上がった。
ここでは全員が楽器から離れて歌いながらトロッコに乗り、オーディエンスの間近で歌うスペシャルな時間に。アリーナ中央ステージへ移動すると、息の合ったシンクロダンスと共に軽快に歌を聴かせた。一度のライブでバンドとダンスと2つの魅力を存分に放ったJAXX/JAXX。オーディエンスを満面の笑顔にしたのだった。
離れていても想いは1つ。2人でもフルパワーを感じさせたPROTOSTAR
歌い手として活動していた3人をスカウトしたときの心境や、その後の成長を見守ってきたからこその想いを丁寧に紐解くように語る真音と凛のナレーションで振り返るPROTOSTARの3人の物語は、ライブパフォーマンスを前に観客の胸を熱くさせたはず。その証拠にフロアには赤、青、黄のライトが揺れていた。
この日、残念ながら欠席となってしまった清瀬明良役の戸谷菊之助も一緒に、とばかりに赤のライトが一際輝く。ステージ裏で楽翔から「行ってこい」とマイクを渡された明良。そして光がステージに注がれると、そこには直江万里役の山口諒太郎、五十鈴川千紘役の平井亜門の2人の姿があった。「星瞬My wish」で幕を開けたPROTOSTARのステージ。ライティングもスクリーンの映像もアニメのままではあるが、ステージの上には2人だけ。しかし、山口と平井の視線の向きで、差し出す掌で、戸谷がいる場所が伝わり、そこに明良と万里、千紘がいることを感じさせた。爽快でカラフルなポップチューンを元気で真っ直ぐな声で歌い上げる彼ら。アニメではステージに出る直前に「デビュー決定」と速報で伝えられ、その喜びのままに想いを乗せて歌った1曲だったが、デビューならではの瑞々しさとピュアな輝きを持った彼らの歌声は煌めきと共に響いていた。
「すごい人だねー!」と声を上げる山口。「こんな景色、見たことないよ!」と平井も瞳を大きく開いて驚きを表現する。自己紹介では緊張のあまり「PROTOSTARの直江万里です!」と名乗ってしまった山口だったが、一心同体になるほど、観客の熱が高いということだろう。フロアの3色の輝きを見た平井が「PROTOSTARの3色、綺麗!ありがとう!」と笑顔を見せる。ここまで繋いできたコール&レスポンスだが、キャラ名、グループ名のあとにPROTOSTARは演者の名前で盛り上がりたいと観客へ伝える。平井の「せーの!」の声に「亜門くーーん!」と応じた会場。山口も観客の「諒ちゃーーん!」の声に包まれた。最後は「今までで一番大きな声を!」とリクエストを入れ、この場にいない戸谷に届け!と「菊ちゃーーん!」と声を上げたのだった。
PROTOSTARのライブ後半戦のスタートは「トリプレット」だ。PROTSTARにとっても自分たちにとっても、とても大切な1曲だというこの曲は「#7 向き合わないと」のエンディング曲。明良、万里、千紘の心の距離を近づけたように、歌声が溶け合うユニゾン曲だ。星空の中で歌い上げる2人の姿が非常に印象的だった。続いてトロッコに乗り、観客の傍で語り掛けるように歌った「YOU」はドラマティックなメロディで紡ぐナンバー。これこそファンと共に育ててきた1曲だろう。明良のキメである「準備はいい?」を、戸谷に届けんと山口と平井で声を合わせたシーンに胸が熱くなった。
PROTOSTARのステージのラストを飾ったのは「吠えろ!クロスファイヤー」!劇中では国民的アニメの主題歌であり、世界でも知らない人はいないほどの名曲をPROTOSTARカバーで聴かせる。情熱とパワーとで響かせる熱いアニメソングを、モチーフの野球のフリを交えながら思いっきり声を上げて歌う2人。楽しさを隠すことなく、全身で最高に滾る1曲を披露した。
これからも輝き続ける『UniteUp!』
それぞれのグループのステージが終わると、このライブで全員の曲が出来上がるまでの想いを語る真音と凛。合同曲「UniteUp!」は作詞が苦手だという真音も迷わずに言葉が出てきたのだという。事務所のみんなで歌う曲、メンバーみんなが繋がる曲、ファンとメンバーとが繋がる曲。そしてライブは「#12 繋がらないと」にリンクしていく。
アニメで映し出されたメンバーの円陣は、ステージの真ん中にあった。「明良、おまえが円陣のかけ声やれ」と大毅の声。「うん」と力強く返す明良。「みんながこれまで乗り越えてきたこと全部が、きっと今日に繋がっているから!最高の笑顔を届けましょう!」と明良の声が響く。「いくぞ!」と声が響くと、ステージの10人の「おー!」の雄叫びがフロアを席捲して、眩い光の中でイントロが鳴る。
アニメのオープニング曲であり、彼らを象徴する楽曲「UniteUp!」を、アニメとまったく同じ振り付けで、ステージを大きく使って魅せるPROTOSTAR、LEGIT、JAXX/JAXXのメンバーたち。白い衣装に身を包んだ彼らの、無限のHeartを繋いで咲き誇る瞬間だった。ユニットごとのダンスソロや普段とは違う組み合わせのユニゾンなど、見せ場の多いこの曲は見るべき瞬間だらけの1曲。銀テープもフロアへ放たれ、大きな盛り上がりの中でライブは幕を閉じた。
アンコールでは明良と大毅、楽翔で歌う「ユメノトビラ」を10人で歌ったあとに、今秋の4週連続デジタルシングルのリリースとアニメ第2期制作決定という重大発表が。驚きと喜びに会場が激震。最後に再び「UniteUp!」を会場一体で歌い、アニメ第1期のすべての瞬間が蘇るライブは幕を閉じた。リアルとフィクションが交わる多次元アイドルプロジェクトの燃え続ける熱を感じさせたこの夜。未来への約束を交わした「UniteUp!」の、輝く時間はまだまだ止まらない!ここからの彼らの旅路を楽しみにしたい。
「sMiLea LIVE -Unite with You-」
7/29(土)・30(日)東京ガーデンシアター
<セットリスト>
M1 Break border – Anela
M2 希望の声 – Anela
M3 TARGET – Anela
M4 THE DAY – LEGIT
M5 ON MY WAY – LEGIT
M6 Twenty Four – LEGIT
M7 FIRE – LEGIT
M8 SuperStar – JAXX/JAXX
M9 ライアー – JAXX/JAXX
M10 STORM’s EYE – JAXX/JAXX
M11 A.P.P.L.E. – JAXX/JAXX
M12 星瞬My wish! – PROTOSTAR
M13 トリプレット – PROTOSTAR
M14 YOU – PROTOSTAR
M15 吠えろ!クロスファイヤー – PROTOSTAR
M16 Unite up! – UniteUp!
ENCORE
EN1 ユメノトビラ – 清瀬明良×高尾大毅×春賀楽翔(全員歌唱)
EN2 Unite up! – UniteUp!
■出演者
PROTOSTAR:戸谷菊之介/山口諒太郎/平井亜門
LEGIT:助川真蔵/森蔭晨之介/坂田隆一郎
JAXX/JAXX:masa/下前祐貴/馬越琢己/坪倉康晴/高本 学
■Special guest
Anela:斉藤壮馬/中島ヨシキ
●作品情報
TVアニメ『Unite up!』
<イントロダクション>
2022年、突如オープンしたYouTubeチャンネルにて、さまざまなアーティストのバラエティ豊かな楽曲を展開。その楽曲からつながるTVアニメ「UniteUp!」が2023年1月に放送。元歌い手グループ”PROTOSTAR”、実力派ダンスボーカルグループ”LEGIT”、バンドアイドルグループ”JAXX/JAXX”。彼らが元伝説のアイドル”Anela”の立ち上げた芸能事務所”sMiLeaプロダクション”で活動していく中で、多くの音楽とドラマを紡いだ。そして今、多次元アイドルプロジェクトとして、初ライブ「sMiLea LIVE -Unite with You-」へとつながっていく──。
<あらすじ>
「俺が、アイドル…?」
歌が大好きな高校生・清瀬明良。
彼の歌は歌い手“KIKUNOYU”として動画配信サイトに公開されていた。
ある日、その歌声を聴いた芸能事務所“sMiLeaプロダクション”にスカウトされる。
そこは、突如引退した伝説のアイドル“Anela”がアイドル育成のために立ち上げた事務所だった。
同じくスカウトされた直江万里、五十鈴川千紘とともにグループを結成することになった明良。
歌い手出身の3人は、同じ事務所の所属アイドル“LEGIT”、“JAXX/JAXX”に刺激を受けながら、それぞれの想いを胸にアイドルデビューを目指す──。
【スタッフ】
監督:牛嶋新一郎
シリーズ構成:山崎莉乃
キャラクターデザイン:まじろ
サブキャラクターデザイン:瀬川健寿
総作画監督:まじろ・浜 友里恵・野々下いおり・瀬川健寿・PSD Delivery
アクションディレクター:石上ひろ美
デザインワークス:浜 友里恵・髙木恵湖・野々下いおり・久原陽子・水谷汐里・石上ひろ美
美術設定:佐南友理
美術監督:三宅昌和
色彩設計:中島和子
撮影監督:長瀬由起子
3DCG:株式会社5
3Dディレクター:本多 真
編集:三嶋章紀
音楽:林 ゆうき
制作:CloverWorks
【キャスト】
清瀬明良:戸谷菊之介
直江万里:山口諒太郎
五十鈴川千紘:平井亜門
高尾大毅:助川真蔵
二条瑛士郎:森蔭晨之介
東郷楓雅:坂田隆一郎
春賀楽翔:masa
桂 ほまれ:下前祐貴
香椎一澄:馬越琢己
若桜 潤:坪倉康晴
森ノ宮奏太:高本 学
大月 凛:斉藤壮馬
辻堂真音:中島ヨシキ
©Project UniteUp!
関連リンク
TVアニメ『Unite up!』公式サイト
https://uniteup.info