somei(ソメイ)というアーティスト名には“様々な姿を持ち、移りゆく季節に寄り添うソメイヨシノのように、たくさんの表情を持ち多くの人の瞬間に寄り添えるアーティストになれるように。”という願いが込められているという。
INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ
someiと名乗るまでの道のりは紆余曲折
――まずはsomeiさんがシンガーソングライターになるまでの経緯をお伺いさせてください。
somei 家族が音楽一家で、小さい頃から身近に音楽を感じてきました。父はエンジニアなのですが出張に行く度に珍しい楽器を買ってきて。それを使って自分で作曲した曲を屋根裏部屋で多重録音して、CDも出していました。母は三味線奏者だったんですけど、琴で弾き語りをしたいと思っていたらしく、新しいことに挑戦していました。
――ある種someiさんが歌手になったのは必然でもあるというか。
somei 自分でもなるべきしてこうなった気はしています(笑)。だから自然と音楽をやりたいとは思っていたんですが……音楽番組がやっている時間にはあまりテレビを観させてもらえなかったこともあって、歌手という概念を知らなかったんです。初めて歌手という職業を知ったのは小学校1年生のときでした。母が出演するライブに行ったところ、他の方のステージで歌をうたっている女性の方が「歌手です」と紹介をされていて。
――音楽のジャンルも幅広く聴かれていたんですか?少し前にSNSでニール・ヤングのことをつぶやいていましたね。
somei 70年代の海外のロックも好きです。それに関しては父の影響が大きいんです。ご飯のときにはニール・ヤングやイーグルスなどが流れていました。だから一言でバックグラウンドを説明するのは難しいのですが……。
――今回の曲を聴いたときにMONGOL800などのパンクバンドも好きなのかなと思っていました。
somei モンパチ(MONGOL800)も大好きです!自分の世代の邦ロックもアイドルの曲も、海外のロックも、アニメの音楽も片っ端から聴いています。
――アニメにハマったきっかけはなんだったんです?
somei テレビを観られる時間が限られていたので、土曜日の夕方のアニメや日曜日の午前中に放送されている少年アニメをよく観ていましたね。少女系のアニメも好きで『しゅごキャラ!』を観て『ケロロ軍曹』『家庭教師ヒットマンREBORN!』を続けて観るのが日々の楽しみでした。
――そこでアニソンにも出会ったんですね。
somei そうですね。
――そこからはどのように活動をされたんですか?
somei 歌うことに人生を掛けたいと漠然と思っていて。バレエをやっていたこともあって、当初は歌って踊りたいという気持ちもありました。それで小学校3年生のときにあるミュージカルのオーディションを受けたんですが、結局二次審査で落ちてしまって、母と一緒に泣きながら帰るという苦い経験もしました(苦笑)。小学校高学年のときに歌手のオーディションもあるということを知って、色々と受けるようになって。オーディションを受けるなら音源がないといけないなと思って……オケを作ることはできないし、カバーするにも音源を買わなきゃいけなかったので、「じゃあ自分で演奏するしかない!」と11歳のときのクリスマスに、サンタさんからギターをプレゼントしてもらいました(笑)。
――どんなギターをプレゼントしてもらったんですか?
somei 今作のジャケットにも写っているギターと同じメーカーのMartin(マーティン)の、少し小さめの白いギターです。私は体が小さいので弾きやすいギターをプレゼントしてもらって。父や母の音楽仲間にギターを教えてもらい、少しずつ弾き語りができるようになりました。アニソンももちろん弾いていて、小学校5年生あたりのときに『けいおん!』や『Angel Beats!』が流行っていたので、入っていきやすかったんです。
――ではバンドも組まれていた?
somei 中学に入ってからゴリゴリのアニソンバンドを組みました。
――当時からオリジナル曲はあったんですか?
somei 見様見真似で曲も作り始めていました。当時はとにかくがむしゃらでしたね。中学時代はライブとオーディションの繰り返しでした。学校を卒業した翌年には年間50本ライブをやって。その中で、事務所に誕生日の前日に呼び出され、突然「合格です」と言われて……正直理解が追いつかなかったです。嬉しさや不安が入り混じって「しっかりしなきゃ!」って。そこからはひたすら自分の出せるものを絞り出して、曲を書いてと、オーディション合格後はsomeiとして、少しずつ活動していたような状態でした。コロナ禍でお客さんも減っている状況ではあったんですけど、配信ライブという形もできてきましたし、「今だからこそ歌わなきゃいけない」と覚悟を決めていました。
――親御さんはsomeiさんの音楽活動をどのように見守っているのでしょう。
somei すごく愛情深い両親なんです。音楽に対してものすごく理解もあるので、「舞台に立つということは命がけでやることだから」と小さい頃から言われてきました。先行きが不安な世界ではあるので当初は心配していたんですが、「自分のやりたいことを見つけて、それをできるのは一番だ」と応援してくれています。『デキ猫』を観ているときは、私よりも興奮しているかもしれないです(笑)。
――someiというアーティスト名はソメイヨシノにかけて“多くの人の瞬間に寄り添えるアーティストになれるように”などの意味が込められているそうですね。
somei 実はアーティストとして聡明で在れるように、という思いも込めています。花が咲いて、緑になって、紅葉して……色々なアーティスト性を変わりゆく花のように見せていきたいです。
――海外でも桜は人気がありますよね。
somei そうなんですよね!アメリカのワシントンD.C.に日米の平和と親善の象徴として送られているじゃないですか。自分自身もいつか音楽で架け橋になれたらなって。小さい頃は「私はグラミー賞を取る!世界に羽ばたくんだ!」という野望を抱いていたので「だったら英語は喋れないと!」と英語を習っていた時期も……ただ、最近は喋らなくなっちゃっのでほとんど話せないんですけど(笑)。
音楽を視覚的にも楽しめるように
――ではTVアニメ『デキる猫は今日も憂鬱』の主題歌でデビューが決まったときのお気持ちを教えてください。
somei 昨年「コンペに挑戦してみる?」というお話をいただいて、楽曲の制作をはじめました。そしたらいつの間にかこの曲が決まって、気づいたらデビューになって。アニメが放送されるまで信じてなかったです(笑)。なんなら今も実感がないくらい。
――『デキ猫』を読まれたときはどのような印象がありましたか?
somei 愛に溢れた作品だなという印象がありました。元々すごく猫が大好きなので、『デキ猫』に携われるということが嬉しかったです。ただ、この気持ちをどう曲にするかは悩んだところでした。『デキ猫』を読んで自分の中で生まれた愛しさをギターを触りながら、少しずつ形にしていきました。家で諭吉のご飯を再現して曲作りのときも「諭吉の気持ちになろう!」と。タイトルも歌詞も、そうした日々の中で生まれていきました。
――諭吉のご飯の再現まで!「憂う門には福来たる」はすごくキャッチーな曲でありながらも、タイトルには“憂う”という『デキ猫』ならではの言葉も。日々の憂いはsomeiさんの音楽に欠かせない要素でもありますか?
somei はい。
――編曲は福田真一朗さんが担当されています。福田さんはギターも弾いたそうですね。
somei ものすごく新鮮でした!自分の理想を福田さんが表現してくれて「プロってすごいなぁ」と思いました。バンドをやっていた時期はありましたけど、基本的にはギター一本を持ってひとりでやってきたので、「今は一緒に音楽を作ってくれる人がいるんだな」と幸せを噛み締めながらの制作でした。
――カップリング「サイバーパンク」「六畳夢想」の編曲には石崎 光さんが携わられていますね。
somei 自分の頭の中で描いていたものが再現されていて、本当に感動しました。「そうです、こういう世界観です!」と。本当に素敵に仕上げていただき頭が上がりません。
――「サイバーパンク」は、サイバーパンク感とシティポップ感が入り混じったサウンド感が印象的です。
somei そうなんです! 私が廃墟やネオン、路地裏がすごく好きで。曲を作りながら、その世界に1人で入り込んだような気持ちになっていました。
――“うぉーあいにー”はあえてひらがなでの表記。言葉遊びも印象的な曲だなと。
somei 私は文字を絵のように捉えているところがあって。音楽は耳で聴くものではありますけど、視覚的にも楽しめるものにしたいなって思っているんです。世の中には耳が聴こえない方もいるわけで。エンターテインメントとして視覚的な角度からも楽しめる作品を作っていきたいなと思っています。
――ミディアムナンバーの「六畳夢想」もタイトルからして想像が膨らむ曲ですよね。
somei オーディションに受かる前くらいに作った曲です。当時はコロナの最中で、先が見えないのがとにかく不安で、幽体離脱してどこかに行ってしまいたいと思っていた時期でした。その気持ちをそのまま六畳一間の真っ暗な部屋の中で、ギターを抱きしめながら書きました。
――夢に対する思いが描かれた曲ですよね。“このまま終わりたい”という言葉もあるんですけど、でも最後は明るく、未来へと進んでいく。
somei 文字だけ読むと少し重たい感じがするかもしれないのですが、消えてしまいたいとかそういうことではなくて、風になりたい、概念になりたい……みたいな思いです。その上で明るい気持ちに昇華しています。
――ところでこの曲に入っている音はなんの音なんでしょう?
somei あれは街中の喧騒を録ったものなんです。ディレクターさんからのアイデアで、身近な場所を歩いているときの音を録音しました。
――身近な音で彩られているわけですね。それにしても、三者三様の花が咲いたシングルになりましたね。
somei 振り幅が広いシングルになりました。「振り回してごめんなさい」という感じです(笑)。
――アートワークについても教えてください。MVにはヨシノ役として女優・富田望生さんが出演されています。ご覧になられていかがでしたか?
somei 感動しました!富田さんが出演されている作品は様々見させてもらっていたんです。まさか自分の作品で演じてくださるとは思っても見なかったので本当に嬉しかったです。演技に圧倒されました。人柄も本当に素敵な方で、出会えて良かったです。
――ジャケット写真にはギターの他、電話や本、バスケットボールなどが写っています。
somei 意外と気づかれないんですが、猫ちゃんになっているんですよ。私が大きな猫に乗っている風になっていて。
――今お話を聞いてハッとしました。猫がいる……!
somei そうなんです(笑)。CDの中に描かれている猫ちゃんと同じ形になっています。アート作品として楽しんでもらいたいです。
――では最後に、今後挑戦したいことを教えてください。
somei たくさんあります。誰も置いていかない作品作り、ライブ作りを心がけていきたいです。それとクリエイティブなことにも興味があります。いつかラジオもやってみたい! 自分自身の価値観や、幅広い音楽を発信できるラジオ番組をいつかできたらな、なんて思っています。
●リリース情報
somei 1st Single
「憂う門には福来たる」
【通常盤(CD)】
価格:¥1,200(税込)
品番:SMCL-829
【期間生産限定盤(CD+DVD)】
価格:¥1,500(税込)
品番:SMCL-830~831
※アニメ書き下ろしジャケット仕様
<CD>
01. 憂う門には福来たる(アニメ『デキる猫は今日も憂鬱』オープニングテーマ)
02. サイバーパンク
03. 六畳夢想
04. 憂う門には福来たる -TV size ※期間生産限定盤のみ収録-
<DVD>
アニメ『デキる猫は今日も憂鬱』ノンクレジットオープニングムービー
関連リンク
somei オフィシャルサイト
https://www.somei-official.com/
somei オフィシャルX(旧Twitter)
https://twitter.com/somei_nanodayo
somei オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/@somei_official
1stシングルのタイトル曲「憂う門には福来たる」は、TVアニメ『デキる猫は今日も憂鬱』のOPテーマで、自身が作詞・作曲を担当。唯一無二の豊かな才能が咲き誇る。
INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ
someiと名乗るまでの道のりは紆余曲折
――まずはsomeiさんがシンガーソングライターになるまでの経緯をお伺いさせてください。
somei 家族が音楽一家で、小さい頃から身近に音楽を感じてきました。父はエンジニアなのですが出張に行く度に珍しい楽器を買ってきて。それを使って自分で作曲した曲を屋根裏部屋で多重録音して、CDも出していました。母は三味線奏者だったんですけど、琴で弾き語りをしたいと思っていたらしく、新しいことに挑戦していました。
――ある種someiさんが歌手になったのは必然でもあるというか。
somei 自分でもなるべきしてこうなった気はしています(笑)。だから自然と音楽をやりたいとは思っていたんですが……音楽番組がやっている時間にはあまりテレビを観させてもらえなかったこともあって、歌手という概念を知らなかったんです。初めて歌手という職業を知ったのは小学校1年生のときでした。母が出演するライブに行ったところ、他の方のステージで歌をうたっている女性の方が「歌手です」と紹介をされていて。
そこで「歌手という職業があるんだ」ということを知りました。
――音楽のジャンルも幅広く聴かれていたんですか?少し前にSNSでニール・ヤングのことをつぶやいていましたね。
somei 70年代の海外のロックも好きです。それに関しては父の影響が大きいんです。ご飯のときにはニール・ヤングやイーグルスなどが流れていました。だから一言でバックグラウンドを説明するのは難しいのですが……。
――今回の曲を聴いたときにMONGOL800などのパンクバンドも好きなのかなと思っていました。
somei モンパチ(MONGOL800)も大好きです!自分の世代の邦ロックもアイドルの曲も、海外のロックも、アニメの音楽も片っ端から聴いています。
――アニメにハマったきっかけはなんだったんです?
somei テレビを観られる時間が限られていたので、土曜日の夕方のアニメや日曜日の午前中に放送されている少年アニメをよく観ていましたね。少女系のアニメも好きで『しゅごキャラ!』を観て『ケロロ軍曹』『家庭教師ヒットマンREBORN!』を続けて観るのが日々の楽しみでした。
――そこでアニソンにも出会ったんですね。
somei そうですね。
特に『REBORN!』の音楽が大好きで、おこづかいで大全集を買いました。CHERRYBLOSSOMの「桜ロック」は未だによく聴いています。
――そこからはどのように活動をされたんですか?
somei 歌うことに人生を掛けたいと漠然と思っていて。バレエをやっていたこともあって、当初は歌って踊りたいという気持ちもありました。それで小学校3年生のときにあるミュージカルのオーディションを受けたんですが、結局二次審査で落ちてしまって、母と一緒に泣きながら帰るという苦い経験もしました(苦笑)。小学校高学年のときに歌手のオーディションもあるということを知って、色々と受けるようになって。オーディションを受けるなら音源がないといけないなと思って……オケを作ることはできないし、カバーするにも音源を買わなきゃいけなかったので、「じゃあ自分で演奏するしかない!」と11歳のときのクリスマスに、サンタさんからギターをプレゼントしてもらいました(笑)。
――どんなギターをプレゼントしてもらったんですか?
somei 今作のジャケットにも写っているギターと同じメーカーのMartin(マーティン)の、少し小さめの白いギターです。私は体が小さいので弾きやすいギターをプレゼントしてもらって。父や母の音楽仲間にギターを教えてもらい、少しずつ弾き語りができるようになりました。アニソンももちろん弾いていて、小学校5年生あたりのときに『けいおん!』や『Angel Beats!』が流行っていたので、入っていきやすかったんです。
――ではバンドも組まれていた?
somei 中学に入ってからゴリゴリのアニソンバンドを組みました。
周りに音楽をやっている子がいなかったので、母の音楽仲間に囲まれながら、私はギターボーカルを担当していました。初ステージは中学2年生のときで、そのバンドで高円寺のライブハウスに立ちました。当時のバックステージパスはいまだに取っています。
――当時からオリジナル曲はあったんですか?
somei 見様見真似で曲も作り始めていました。当時はとにかくがむしゃらでしたね。中学時代はライブとオーディションの繰り返しでした。学校を卒業した翌年には年間50本ライブをやって。その中で、事務所に誕生日の前日に呼び出され、突然「合格です」と言われて……正直理解が追いつかなかったです。嬉しさや不安が入り混じって「しっかりしなきゃ!」って。そこからはひたすら自分の出せるものを絞り出して、曲を書いてと、オーディション合格後はsomeiとして、少しずつ活動していたような状態でした。コロナ禍でお客さんも減っている状況ではあったんですけど、配信ライブという形もできてきましたし、「今だからこそ歌わなきゃいけない」と覚悟を決めていました。
――親御さんはsomeiさんの音楽活動をどのように見守っているのでしょう。
somei すごく愛情深い両親なんです。音楽に対してものすごく理解もあるので、「舞台に立つということは命がけでやることだから」と小さい頃から言われてきました。先行きが不安な世界ではあるので当初は心配していたんですが、「自分のやりたいことを見つけて、それをできるのは一番だ」と応援してくれています。『デキ猫』を観ているときは、私よりも興奮しているかもしれないです(笑)。
――someiというアーティスト名はソメイヨシノにかけて“多くの人の瞬間に寄り添えるアーティストになれるように”などの意味が込められているそうですね。
somei 実はアーティストとして聡明で在れるように、という思いも込めています。花が咲いて、緑になって、紅葉して……色々なアーティスト性を変わりゆく花のように見せていきたいです。
――海外でも桜は人気がありますよね。
somei そうなんですよね!アメリカのワシントンD.C.に日米の平和と親善の象徴として送られているじゃないですか。自分自身もいつか音楽で架け橋になれたらなって。小さい頃は「私はグラミー賞を取る!世界に羽ばたくんだ!」という野望を抱いていたので「だったら英語は喋れないと!」と英語を習っていた時期も……ただ、最近は喋らなくなっちゃっのでほとんど話せないんですけど(笑)。
音楽を視覚的にも楽しめるように
――ではTVアニメ『デキる猫は今日も憂鬱』の主題歌でデビューが決まったときのお気持ちを教えてください。
somei 昨年「コンペに挑戦してみる?」というお話をいただいて、楽曲の制作をはじめました。そしたらいつの間にかこの曲が決まって、気づいたらデビューになって。アニメが放送されるまで信じてなかったです(笑)。なんなら今も実感がないくらい。
――『デキ猫』を読まれたときはどのような印象がありましたか?
somei 愛に溢れた作品だなという印象がありました。元々すごく猫が大好きなので、『デキ猫』に携われるということが嬉しかったです。ただ、この気持ちをどう曲にするかは悩んだところでした。『デキ猫』を読んで自分の中で生まれた愛しさをギターを触りながら、少しずつ形にしていきました。家で諭吉のご飯を再現して曲作りのときも「諭吉の気持ちになろう!」と。タイトルも歌詞も、そうした日々の中で生まれていきました。
――諭吉のご飯の再現まで!「憂う門には福来たる」はすごくキャッチーな曲でありながらも、タイトルには“憂う”という『デキ猫』ならではの言葉も。日々の憂いはsomeiさんの音楽に欠かせない要素でもありますか?
somei はい。
日常の中にちょっとした憂いがあるからこそ、何かを愛おしく感じることができるんじゃないかなと思っています。
――編曲は福田真一朗さんが担当されています。福田さんはギターも弾いたそうですね。
somei ものすごく新鮮でした!自分の理想を福田さんが表現してくれて「プロってすごいなぁ」と思いました。バンドをやっていた時期はありましたけど、基本的にはギター一本を持ってひとりでやってきたので、「今は一緒に音楽を作ってくれる人がいるんだな」と幸せを噛み締めながらの制作でした。
――カップリング「サイバーパンク」「六畳夢想」の編曲には石崎 光さんが携わられていますね。
somei 自分の頭の中で描いていたものが再現されていて、本当に感動しました。「そうです、こういう世界観です!」と。本当に素敵に仕上げていただき頭が上がりません。
――「サイバーパンク」は、サイバーパンク感とシティポップ感が入り混じったサウンド感が印象的です。
somei そうなんです! 私が廃墟やネオン、路地裏がすごく好きで。曲を作りながら、その世界に1人で入り込んだような気持ちになっていました。
――“うぉーあいにー”はあえてひらがなでの表記。言葉遊びも印象的な曲だなと。
somei 私は文字を絵のように捉えているところがあって。音楽は耳で聴くものではありますけど、視覚的にも楽しめるものにしたいなって思っているんです。世の中には耳が聴こえない方もいるわけで。エンターテインメントとして視覚的な角度からも楽しめる作品を作っていきたいなと思っています。
――ミディアムナンバーの「六畳夢想」もタイトルからして想像が膨らむ曲ですよね。
somei オーディションに受かる前くらいに作った曲です。当時はコロナの最中で、先が見えないのがとにかく不安で、幽体離脱してどこかに行ってしまいたいと思っていた時期でした。その気持ちをそのまま六畳一間の真っ暗な部屋の中で、ギターを抱きしめながら書きました。
――夢に対する思いが描かれた曲ですよね。“このまま終わりたい”という言葉もあるんですけど、でも最後は明るく、未来へと進んでいく。
somei 文字だけ読むと少し重たい感じがするかもしれないのですが、消えてしまいたいとかそういうことではなくて、風になりたい、概念になりたい……みたいな思いです。その上で明るい気持ちに昇華しています。
――ところでこの曲に入っている音はなんの音なんでしょう?
somei あれは街中の喧騒を録ったものなんです。ディレクターさんからのアイデアで、身近な場所を歩いているときの音を録音しました。
――身近な音で彩られているわけですね。それにしても、三者三様の花が咲いたシングルになりましたね。
somei 振り幅が広いシングルになりました。「振り回してごめんなさい」という感じです(笑)。
――アートワークについても教えてください。MVにはヨシノ役として女優・富田望生さんが出演されています。ご覧になられていかがでしたか?
somei 感動しました!富田さんが出演されている作品は様々見させてもらっていたんです。まさか自分の作品で演じてくださるとは思っても見なかったので本当に嬉しかったです。演技に圧倒されました。人柄も本当に素敵な方で、出会えて良かったです。
――ジャケット写真にはギターの他、電話や本、バスケットボールなどが写っています。
somei 意外と気づかれないんですが、猫ちゃんになっているんですよ。私が大きな猫に乗っている風になっていて。
――今お話を聞いてハッとしました。猫がいる……!
somei そうなんです(笑)。CDの中に描かれている猫ちゃんと同じ形になっています。アート作品として楽しんでもらいたいです。
――では最後に、今後挑戦したいことを教えてください。
somei たくさんあります。誰も置いていかない作品作り、ライブ作りを心がけていきたいです。それとクリエイティブなことにも興味があります。いつかラジオもやってみたい! 自分自身の価値観や、幅広い音楽を発信できるラジオ番組をいつかできたらな、なんて思っています。
●リリース情報
somei 1st Single
「憂う門には福来たる」
【通常盤(CD)】
価格:¥1,200(税込)
品番:SMCL-829
【期間生産限定盤(CD+DVD)】
価格:¥1,500(税込)
品番:SMCL-830~831
※アニメ書き下ろしジャケット仕様
<CD>
01. 憂う門には福来たる(アニメ『デキる猫は今日も憂鬱』オープニングテーマ)
02. サイバーパンク
03. 六畳夢想
04. 憂う門には福来たる -TV size ※期間生産限定盤のみ収録-
<DVD>
アニメ『デキる猫は今日も憂鬱』ノンクレジットオープニングムービー
関連リンク
somei オフィシャルサイト
https://www.somei-official.com/
somei オフィシャルX(旧Twitter)
https://twitter.com/somei_nanodayo
somei オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/@somei_official
編集部おすすめ