3rdミニアルバム『愛してしまえば』を引っ提げた全国ライブハウスツアー“朱演2023 LIVE HOUSE TOUR「愛のやじるし」”のファイナル公演の模様を収録したライブBlu-rayをリリースした斉藤朱夏。本編最後のMCで「私は歌と向き合うことが苦しくなって、逃げ出したくなることがありました」と告白。
INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ
『愛してしまえば』で気づいた本当の気持ち
――2023年を振り返って、斉藤朱夏としてどんな1年になりましたか?
斉藤朱夏 とにかく大変な1年でした。あははは。色んなことが大変だったんですよね。歌に対して、人とのコミュニケーションの仕方に対して、よく考えた時期でした。しかも、27歳になったタイミングから、体調にも悩まされて。今まではそんなことはなかったし、コロナ禍に入ってからも体調を崩すことはなかったので、急にガクッときたことに自分でも正直びっくりして。色んなものに悩まされ、体にも悩まされ、とにかくずっと悩んでた1年だったなっていう印象です。
――色んな悩みのなかでも、歌に対する悩みというのはどういうものでしたか?ライブハウスツアー“朱演2023 LIVE HOUSE TOUR「愛のやじるし」”の最終日に「自分の歌がわからなくなった」とおっしゃっていました。
斉藤 楽曲制作をしていくなかで、本当にもう、歌うことがよくわかんなくなってきちゃったんですよね。「自分の気持ちってなんなんだろう?」とか、「これはどうやって歌ったらいいんだろう?」とか。本当にもう、わけがわからなくなってしまって。
――その悩みの種はなんだったんですか?
斉藤 ミニアルバム『愛してしまえば』は斉藤朱夏チームや色んな人の意見を反映させて制作していて、その中で自分自身の気持ちや色を入れていくのがなかなか難しいなとずっと悩んでいました。
――その悩みがライブハウスツアーを通して解消されたわけですね。
斉藤 そうですね。新しく生み出された楽曲たちとの向き合い方を、ライブを通してみんなから教わったなと思います。今は自分に対しても、ライブや歌うことに対してもすごく前向きになっています。今ではあの時の悩みがあって良かったなと思っています。
――ライブ映像商品「-朱演2023 LIVE HOUSE TOUR愛のやじるし-」のドキュメント映像では、初日のSpotify O-EAST公演の後に、2019年のワンマンライブ“くつひもの結び方”を思い出して、「過去に戻った感じ」とも言ってました。今回のファイナル公演はどこか節目のようなものを感じてました。1つのタームの締め括りというか。
斉藤 正直、前のツアーで「次のツアー(朱演2023LIVE HOUSE TOUR「愛のやじるし」)で第2幕を開けます」と宣言したんですけど、本当のことを言うと、まったくもって幕は開かなかったんですよ。なんだったら続いていたんですよね、第1幕が。このツアーでは新章にいけないんだ、と気づいた時はちょっとショックだったんです。
――変化した気持ちというのは?
斉藤 歌に対してもそうですし、ライブの作り方もそう。これからどうしていくか――声優でもありつつ、ライブの本数はきっと他の声優さんよりもかなり多いので。
――あははは。そうですね。
斉藤 その一瞬を本当に楽しみたいからこそ、より音楽としっかり向き合っていきたいなと思っています。今までももちろん、ライブや歌に対して真剣に向き合ってはきたんですけど、それよりももっと深いところで向き合っていきたい。次にリリースをする時は、しっかりと自分の気持ちを伝えたいし、ライブでももう少し自分がこうしたいというものを入れていったほうが楽しいんじゃないかなって考えていて。自分が楽しいと思えることをみんなと共有することが大事だなと思っていて。
次ページ:“君”がいるから――ヒーローへの憧れ、そして日本武道館への憧れ
“君”がいるから――ヒーローへの憧れ、そして日本武道館への憧れ
――過去で思い出したことは何でしたか?“くつひもの結び方”から丸4年経っています。
斉藤 いつまでたっても泣き虫なのは変わらないんだなと思いました(笑)。あと、私はヒロインよりもヒーローになりたいっていう楽曲(「ヒーローになりたかった」)を初めてもらったときに、本当にそうだなと思ったんですよ。自分の性格的に、ヒロインではなくてヒーローになりたいし、守られるより守りたいっていう気持ちがある。そこの根本は何も変わってないと思ったんですよね。“くつひもの結び方”の時も強く思ったんですけど、当時はまだまだ未熟者で、すごく弱っちいみたいな感じだった。でも、“愛のやじるし”でステージに立ったときは、少しだけ強くなれた気がして。少しでも君がヒーローって思ってくれたら嬉しいな、くらいには思えるようになったというか。
――ファイナル公演では「君のヒーローになれましたか?」と呼びかけていました。
斉藤 どういう反応が来るんだろう?と思って。
――実際にそういった声がたくさん上がっていましたよ。
斉藤 とっても嬉しかったし、やっぱり自信にも繋がりました。自分がやってきたことは間違いではなかったんだなっていう、自分の中でホッとしたかったのもあって。私、自分の楽曲でプロットを書く時は、自分が欲しい言葉を書くことが多いんですよ。ライブもそうで、自分が今、欲しい言葉を投げかけることをよくしているなと思っていて。私は本当に自分に自信がないんで。「今イケてたかな?」「大丈夫かな?」みたいな。とにかく心配性だし、練習を重ねないとできないタイプなので、あのときはあの言葉が欲しくて問いかけたんだろうなって。
――その後に「まだ夢の途中です」と続けたのは、まだヒーローになる途中だってことですか?
斉藤 そうですね。多分、私はずっと、完璧なヒーローではないって思い続けると思うんですよ。だけど、まだ終わらせたくないものがたくさんあって。色んな目標があって、みんなと見たい景色があるからこそ、自分はここにい続けますっていう宣言でもあります。まだ夢かもしれないけれど、それがいつか現実になったらいいなっていうのもあるし、自分が思っている夢が叶えられるために、君がいてくれたらいいなっていう気持ちも込めて言いました。
――その夢というのはどんなステージですかね。
斉藤 大きいステージに立ちたいので、アーティストの誰もが立ちたいと思っている日本武道館には絶対に行きたいんです。まず1個の目標として、武道館っていうものを今掲げていて。これ、私、言ったことないですよね。
――そんなに具体的な場所は聞いたことがなかったです。
斉藤 言ったことないんですよ。でも、なんかもう、言いたくなったんだと思います、今(笑)。
――武道館に立つ斉藤朱夏を見たいです!
斉藤 見たいですねー!(笑)。
――第二幕が開く前に、第一幕をまとめておくと、どんな日々でしたか?
斉藤 正直、自分が思い描いていた第一幕ではなかったなという印象です。デビューしてからすぐにコロナになってしまったり、結構、苦しい期間を過ごしていて。でも、その期間がなくて、とんとん拍子にいっていたら、あっけなかったと思うんですよ、正直。私の人生ってずっと壁があるので、「デビューしてまもなくしてこんな分厚い壁?え、面白っ!! 」みたいな(笑)。逆に「やってやろうじゃないか!」みたいな気持ちだったので、本当に色んな分厚い壁があった第一幕だったなと思いつつ、それでもがむしゃらに走ってきたなと思います。とにかく、そのときにできることを一生懸命やってきたなかで、自分の歌やライブとの向き合い方を再確認することもできた。今まで被っていた仮面が少しずつ剥がれてきた第一幕でもあったかな。全部が剥がれたかはわからないですけど、斉藤朱夏を演じていた自分はいなくなりました。
――仮面を外した後の第二幕に向けてはどう考えていますか。
斉藤 自分の芯を曲げないっていうのを第一に考えています。自分自身が歌いたいこと、やりたいこと、ライブを通して表現したいことをやり続けたい。もちろん、色んな意見をもらうだろうし、それはちゃんと聞きつつも、自分の思っていることを第一優先にしようって。だから、我が道を本当に突っ走っていきます。自分のできることを増やして、自分を信じていきたい。今、27歳なので、第二幕が終わるのは、きっと30歳だと思うんです。そこに向けて、色んなことを失敗し、学んでいき、1人の人間としても立派に立っていけるようになるのが第二幕の大きな目標かなと思いますね。
――やりたいことっていうのはどんなものですか。歌いたいこと、ライブで表現したいこと。
斉藤 リアルタイムに自分が思うことを歌っていきたいですね。今までは過去の自分を歌ってきた曲もあったんですけど、より現実的で等身大なものだったり、未来に向けて歌っていくのもいいなと思う。あとは、本当に楽曲を聞いてくれている“君”に寄り添っていく歌をうたっていくのが私らしいんじゃないかなと思っています。その距離感をとても大事にしていきたいなって思いながら、第二幕ではライブで47都道府県すべてに行けるようにしたいですね。
――5周年企画の第一弾として、4月から全国のライブハウス16会場を巡るツアーの開催が発表されました。
斉藤 今まで行ったことないところをたくさん回ります。自分の地元に来てほしいっていう声をたくさんもらうので、「じゃあ行くわ、ここで集合ね!」っていう感じです。
――青森、熊本、滋賀、四国と、あまりツアーに組み込まれないところも多いですね。
斉藤 なかなかライブで行かない場所なので、みんな、来てくれるかな?っていう不安もありますけど(笑)、喜んでもらえたら嬉しいですね。来年は5周年だし、声優さんがやっていないようなとんでもないことをしたいなと思っています。最初の13公演は少人数編成で、最後の東名阪はバンドが入ったりして。結構、ロングスパンのツアーになるので、色んなタイトルをつけたライブにしようかなと思って。どのライブに来ても楽しいライブにしてあげたいです。ここ最近、鍵盤ハーモニカをやったり、楽器に挑戦したのはそういうことで。斉藤朱夏自身が鳴らす音楽としてその空間を思う存分楽しんでほしいという気持ちがあるので、楽器は毎回、挑戦したいなと思いますね。
――ちょっと意外でした。第一幕が終わって、一旦、制作に打ち込む時期になるのかなと想像していたので。
斉藤 ライブが大好きなんですよね。まずは、とにかく47都道府県制覇を目指したい。それは、ある意味、武道館に向けて。もう若手バンドマンみたいなやり方ですね、ライブで仲間を増やしていくっていう。東名阪のライブになかなかこれない人のとこにどうしても行きたいなって思うので、規模感も小さくしてやるし、みんなと近い距離で音楽を楽しみたいなと思って。新しい曲も含めて、ライブで色んなものを生み出していきたいです。
――リリースと関係ないツアーってことですよね。
斉藤 そうですね。ライブだけの楽曲とかも作っていきたいと思っています。ライブに来て、その曲を初めて聴くっていうのがやっぱりライブの楽しみにはなるかなと思っていて。色んな仕掛けを考えつつ、とにかく自分の芯を曲げずに、真っ直ぐ立って走っていきたい。早いことにもう5周年になるので、武道館っていう目標に向けて、いちアーティストとして確立していきたいなっていう気持ちがありますね。
●ライブ情報
5th ANNIVERSARY 朱演 2024 LIVE HOUSE TOUR「タイトル未定」
小編成ライブ
2024年4月20日(土) SUPERNOVA KAWASAKI(神奈川)
開場17:00/開演17:30
2024年4月27日(土) 金沢AZ(石川)
開場17:00/開演17:30
2024年4月28日(日) GOLDEN PIGS RED STAGE(新潟)
開場17:00/開演17:30
2024年5月11日(土) U☆STONE(滋賀)
開場17:00/開演17:30
2024年5月12日(日) 松阪M’AXA(三重)
開場17:00/開演17:30
2024年5月18日(土) DIME(香川)
開場17:00/開演17:30
2024年5月19日(日) YEBISU YA PRO(岡山)
開場17:00/開演17:30
2024年5月25日(土) QUARTER(青森)
開場17:00/開演17:30
2024年5月26日(日) HIPSHOT JAPAN (福島)
開場17:00/開演17:30
2024年5月31日(金) B9 V2(熊本)
開場18:00/18:30
2024年6月1日(土) DRUM Be-1(福岡)
開場17:00/開演17:30
2024年6月8日(土) 水戸LIGHT HOUSE(茨城)
開場17:00/開演17:30
2024年6月15日(土) cube garden(北海道)
開場17:00/開演17:30
フルバンド編成ライブ
2024年6月29日(土) BIGCAT(大阪)
開場17:00/開演18:00
2024年7月7日(日) BOTTOM LINE(愛知)
開場17:00/開演18:00
2024年7月14日(日) 新宿BLAZE(東京)
開場14:45/開演15:30
席種・チケット料金
・4/20(土)神奈川公演~6/15(土)北海道公演 ※ミュージシャン小編成
立見 ¥6,500(税込・ドリンク代別)
・6/29(土)大阪公演~7/14(日)東京公演 ※フルバンド編成
立見 ¥7,500(税込・ドリンク代別)
オフィシャル先行受付
受付期間:2024年1月13日(土)20:00~2024年1月21日(月)23:59
チケット申し込みの詳細はこちら
枚数制限:お一人様2枚まで(複数公演申し込み可能)
※複数枚お申し込みされる場合、同行者は非会員の方でも可能です。
チケットに関する注意事項
※未就学児入場不可
※営利目的での転売行為一切禁止/転売チケットでの入場不可
※入場時にIDを確認させていただく場合がございます。
●リリース情報
「斉藤朱夏 -朱演2023 LIVE HOUSE TOUR愛のやじるし- at KT Zepp Yokohama」
発売中
【完全生産限定盤(BD+CD)】
品番:VVXL-180~181
価格:¥10,000(税込)
*三面差し込みスリーブ仕様
*ハート型フォトカード封入(2枚)
*ライブ音源を収録したCD同梱
【通常盤(BD)】
品番:VVXL-182
価格:¥7,700(税込)
<BD>
声をきかせて
くつひも
しゅしゅしゅ
パパパ
はんぶんこ
夏唄
セカイノハテ
最強じゃん?
Your Way My Way
月で星で太陽だ!
イッパイアッテナ
僕らはジーニアス
伝言愛歌
ゼンシンゼンレイ
ベイビーテルミー
ひまわり
愛してしまえば
-朱演2023 LIVE HOUSE TOUR 愛のやじるし- DOCUMENT
<CD>
01.声をきかせて
02.くつひも
03.しゅしゅしゅ
04.パパパ
05.はんぶんこ
06.夏唄
07.セカイノハテ
08.最強じゃん?
09.Your Way My Way
10.月で星で太陽だ!
11.イッパイアッテナ
12.僕らはジーニアス
13.伝言愛歌
14.ゼンシンゼンレイ
15.ベイビーテルミー
16.ひまわり
17.愛してしまえば
関連リンク
斉藤朱夏 オフィシャルサイト
http://www.saitoshuka.jp
斉藤朱夏 オフィシャルX(旧Twitter)
https://twitter.com/Saito_Shuka
斉藤朱夏 オフィシャルInstagram
https://instagram.com/08saito_shuka16
斉藤朱夏 オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/channel/UCNZixANYOD3NyepS2lsAArg
FCサイト『en』
https://account.shuka-en.com/introduction.php
続けて、このツアーを通して、「私は自分を取り戻すことができた」とファン、観客、“君”に向けて感謝を伝えていた彼女に、その言葉の真意を問うとともに、来年8月に迎えるソロデビュー5周年に向けた意気込みを聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ
『愛してしまえば』で気づいた本当の気持ち
――2023年を振り返って、斉藤朱夏としてどんな1年になりましたか?
斉藤朱夏 とにかく大変な1年でした。あははは。色んなことが大変だったんですよね。歌に対して、人とのコミュニケーションの仕方に対して、よく考えた時期でした。しかも、27歳になったタイミングから、体調にも悩まされて。今まではそんなことはなかったし、コロナ禍に入ってからも体調を崩すことはなかったので、急にガクッときたことに自分でも正直びっくりして。色んなものに悩まされ、体にも悩まされ、とにかくずっと悩んでた1年だったなっていう印象です。
――色んな悩みのなかでも、歌に対する悩みというのはどういうものでしたか?ライブハウスツアー“朱演2023 LIVE HOUSE TOUR「愛のやじるし」”の最終日に「自分の歌がわからなくなった」とおっしゃっていました。
斉藤 楽曲制作をしていくなかで、本当にもう、歌うことがよくわかんなくなってきちゃったんですよね。「自分の気持ちってなんなんだろう?」とか、「これはどうやって歌ったらいいんだろう?」とか。本当にもう、わけがわからなくなってしまって。
――その悩みの種はなんだったんですか?
斉藤 ミニアルバム『愛してしまえば』は斉藤朱夏チームや色んな人の意見を反映させて制作していて、その中で自分自身の気持ちや色を入れていくのがなかなか難しいなとずっと悩んでいました。
――その悩みがライブハウスツアーを通して解消されたわけですね。
斉藤 そうですね。新しく生み出された楽曲たちとの向き合い方を、ライブを通してみんなから教わったなと思います。今は自分に対しても、ライブや歌うことに対してもすごく前向きになっています。今ではあの時の悩みがあって良かったなと思っています。
――ライブ映像商品「-朱演2023 LIVE HOUSE TOUR愛のやじるし-」のドキュメント映像では、初日のSpotify O-EAST公演の後に、2019年のワンマンライブ“くつひもの結び方”を思い出して、「過去に戻った感じ」とも言ってました。今回のファイナル公演はどこか節目のようなものを感じてました。1つのタームの締め括りというか。
斉藤 正直、前のツアーで「次のツアー(朱演2023LIVE HOUSE TOUR「愛のやじるし」)で第2幕を開けます」と宣言したんですけど、本当のことを言うと、まったくもって幕は開かなかったんですよ。なんだったら続いていたんですよね、第1幕が。このツアーでは新章にいけないんだ、と気づいた時はちょっとショックだったんです。
でも、このツアーを終えた瞬間に、自分自身の気持ちが大きく変化したんです。多分、ここからが第2幕なんだろうなと思っていて。ここからまたひと味違う新しいライブを作っていくだろうし、新たな楽曲たちと向き合っていくんだろうなって。第1幕がやっと終えられたことに自分の中でホッとしていますし、とてもすっきりもしてます。
――変化した気持ちというのは?
斉藤 歌に対してもそうですし、ライブの作り方もそう。これからどうしていくか――声優でもありつつ、ライブの本数はきっと他の声優さんよりもかなり多いので。
――あははは。そうですね。
斉藤 その一瞬を本当に楽しみたいからこそ、より音楽としっかり向き合っていきたいなと思っています。今までももちろん、ライブや歌に対して真剣に向き合ってはきたんですけど、それよりももっと深いところで向き合っていきたい。次にリリースをする時は、しっかりと自分の気持ちを伝えたいし、ライブでももう少し自分がこうしたいというものを入れていったほうが楽しいんじゃないかなって考えていて。自分が楽しいと思えることをみんなと共有することが大事だなと思っていて。
音楽に対しての気持ちの変化はすごく大きいです。ライブに対してもそうですし、1人の人間として、1人のアーティストとしての在り方みたいなものが変化しましたね。
次ページ:“君”がいるから――ヒーローへの憧れ、そして日本武道館への憧れ
“君”がいるから――ヒーローへの憧れ、そして日本武道館への憧れ
――過去で思い出したことは何でしたか?“くつひもの結び方”から丸4年経っています。
斉藤 いつまでたっても泣き虫なのは変わらないんだなと思いました(笑)。あと、私はヒロインよりもヒーローになりたいっていう楽曲(「ヒーローになりたかった」)を初めてもらったときに、本当にそうだなと思ったんですよ。自分の性格的に、ヒロインではなくてヒーローになりたいし、守られるより守りたいっていう気持ちがある。そこの根本は何も変わってないと思ったんですよね。“くつひもの結び方”の時も強く思ったんですけど、当時はまだまだ未熟者で、すごく弱っちいみたいな感じだった。でも、“愛のやじるし”でステージに立ったときは、少しだけ強くなれた気がして。少しでも君がヒーローって思ってくれたら嬉しいな、くらいには思えるようになったというか。
――ファイナル公演では「君のヒーローになれましたか?」と呼びかけていました。
斉藤 どういう反応が来るんだろう?と思って。
みんなありがたいことに、いつも私のことを「自分たちのヒーローです」って言ってくれるけど、果たして、本当にそうなのかな?って。どうしても、まだまだ泣き虫で強がりの部分がたくさんあるし、私はまだ完璧なヒーローにはなれていないし、ボロボロのマントを自分で縫っていく作業をずっとしてるからこそ、聞いてみたかったんですよね。その答えで少し自信をつけたかったんだろうなと思います(笑)。「そうだよ」とか、「自分たちのヒーローだよ」って言ってほしかったんです。
――実際にそういった声がたくさん上がっていましたよ。
斉藤 とっても嬉しかったし、やっぱり自信にも繋がりました。自分がやってきたことは間違いではなかったんだなっていう、自分の中でホッとしたかったのもあって。私、自分の楽曲でプロットを書く時は、自分が欲しい言葉を書くことが多いんですよ。ライブもそうで、自分が今、欲しい言葉を投げかけることをよくしているなと思っていて。私は本当に自分に自信がないんで。「今イケてたかな?」「大丈夫かな?」みたいな。とにかく心配性だし、練習を重ねないとできないタイプなので、あのときはあの言葉が欲しくて問いかけたんだろうなって。
ステージに立つのも、ちょっと厳しいなって思う時期があったからこそ、今、目の前にいる“君”が今どう思ってるかを聞きたかったんです」
――その後に「まだ夢の途中です」と続けたのは、まだヒーローになる途中だってことですか?
斉藤 そうですね。多分、私はずっと、完璧なヒーローではないって思い続けると思うんですよ。だけど、まだ終わらせたくないものがたくさんあって。色んな目標があって、みんなと見たい景色があるからこそ、自分はここにい続けますっていう宣言でもあります。まだ夢かもしれないけれど、それがいつか現実になったらいいなっていうのもあるし、自分が思っている夢が叶えられるために、君がいてくれたらいいなっていう気持ちも込めて言いました。
――その夢というのはどんなステージですかね。
斉藤 大きいステージに立ちたいので、アーティストの誰もが立ちたいと思っている日本武道館には絶対に行きたいんです。まず1個の目標として、武道館っていうものを今掲げていて。これ、私、言ったことないですよね。
――そんなに具体的な場所は聞いたことがなかったです。
斉藤 言ったことないんですよ。でも、なんかもう、言いたくなったんだと思います、今(笑)。
やっと第1幕が終わって、第2幕に向かって走っているんですけど、さっき「音楽とより深く向き合っていきたい」と言ったのは、本当に武道館に行きたいから。みんなが言ってくれるですよね。「武道館に立っている姿を見たいです」って。たまに、「どんどん大きくなっている朱夏ちゃんを見て、嬉しい気持ちもある反面、寂しく思うときもあります。なんだか遠く感じてしまうから」っていうコメントも見るけど、それを感じさせないように武道館まで歩んでいくのが私らしいなと思うんですよ。もし私が武道館に立ったら、私以上に、 “君”の喜ぶ顔が見れるって思ったら、もう、もうそれ以上幸せなことはない。その顔が見たいからこそ走るっていうふうに決めています。自分のためというよりかは、みんなのために走ります、みたいな。みんなの夢を叶えていくのが私の夢だって言っているので。「武道館に立ってほしい」って言われたら、立つしかないよねっていう気持ちがすごく大きくなってきています。
――武道館に立つ斉藤朱夏を見たいです!
斉藤 見たいですねー!(笑)。
――第二幕が開く前に、第一幕をまとめておくと、どんな日々でしたか?
斉藤 正直、自分が思い描いていた第一幕ではなかったなという印象です。デビューしてからすぐにコロナになってしまったり、結構、苦しい期間を過ごしていて。でも、その期間がなくて、とんとん拍子にいっていたら、あっけなかったと思うんですよ、正直。私の人生ってずっと壁があるので、「デビューしてまもなくしてこんな分厚い壁?え、面白っ!! 」みたいな(笑)。逆に「やってやろうじゃないか!」みたいな気持ちだったので、本当に色んな分厚い壁があった第一幕だったなと思いつつ、それでもがむしゃらに走ってきたなと思います。とにかく、そのときにできることを一生懸命やってきたなかで、自分の歌やライブとの向き合い方を再確認することもできた。今まで被っていた仮面が少しずつ剥がれてきた第一幕でもあったかな。全部が剥がれたかはわからないですけど、斉藤朱夏を演じていた自分はいなくなりました。
――仮面を外した後の第二幕に向けてはどう考えていますか。
斉藤 自分の芯を曲げないっていうのを第一に考えています。自分自身が歌いたいこと、やりたいこと、ライブを通して表現したいことをやり続けたい。もちろん、色んな意見をもらうだろうし、それはちゃんと聞きつつも、自分の思っていることを第一優先にしようって。だから、我が道を本当に突っ走っていきます。自分のできることを増やして、自分を信じていきたい。今、27歳なので、第二幕が終わるのは、きっと30歳だと思うんです。そこに向けて、色んなことを失敗し、学んでいき、1人の人間としても立派に立っていけるようになるのが第二幕の大きな目標かなと思いますね。
――やりたいことっていうのはどんなものですか。歌いたいこと、ライブで表現したいこと。
斉藤 リアルタイムに自分が思うことを歌っていきたいですね。今までは過去の自分を歌ってきた曲もあったんですけど、より現実的で等身大なものだったり、未来に向けて歌っていくのもいいなと思う。あとは、本当に楽曲を聞いてくれている“君”に寄り添っていく歌をうたっていくのが私らしいんじゃないかなと思っています。その距離感をとても大事にしていきたいなって思いながら、第二幕ではライブで47都道府県すべてに行けるようにしたいですね。
――5周年企画の第一弾として、4月から全国のライブハウス16会場を巡るツアーの開催が発表されました。
斉藤 今まで行ったことないところをたくさん回ります。自分の地元に来てほしいっていう声をたくさんもらうので、「じゃあ行くわ、ここで集合ね!」っていう感じです。
――青森、熊本、滋賀、四国と、あまりツアーに組み込まれないところも多いですね。
斉藤 なかなかライブで行かない場所なので、みんな、来てくれるかな?っていう不安もありますけど(笑)、喜んでもらえたら嬉しいですね。来年は5周年だし、声優さんがやっていないようなとんでもないことをしたいなと思っています。最初の13公演は少人数編成で、最後の東名阪はバンドが入ったりして。結構、ロングスパンのツアーになるので、色んなタイトルをつけたライブにしようかなと思って。どのライブに来ても楽しいライブにしてあげたいです。ここ最近、鍵盤ハーモニカをやったり、楽器に挑戦したのはそういうことで。斉藤朱夏自身が鳴らす音楽としてその空間を思う存分楽しんでほしいという気持ちがあるので、楽器は毎回、挑戦したいなと思いますね。
――ちょっと意外でした。第一幕が終わって、一旦、制作に打ち込む時期になるのかなと想像していたので。
斉藤 ライブが大好きなんですよね。まずは、とにかく47都道府県制覇を目指したい。それは、ある意味、武道館に向けて。もう若手バンドマンみたいなやり方ですね、ライブで仲間を増やしていくっていう。東名阪のライブになかなかこれない人のとこにどうしても行きたいなって思うので、規模感も小さくしてやるし、みんなと近い距離で音楽を楽しみたいなと思って。新しい曲も含めて、ライブで色んなものを生み出していきたいです。
――リリースと関係ないツアーってことですよね。
斉藤 そうですね。ライブだけの楽曲とかも作っていきたいと思っています。ライブに来て、その曲を初めて聴くっていうのがやっぱりライブの楽しみにはなるかなと思っていて。色んな仕掛けを考えつつ、とにかく自分の芯を曲げずに、真っ直ぐ立って走っていきたい。早いことにもう5周年になるので、武道館っていう目標に向けて、いちアーティストとして確立していきたいなっていう気持ちがありますね。
●ライブ情報
5th ANNIVERSARY 朱演 2024 LIVE HOUSE TOUR「タイトル未定」
小編成ライブ
2024年4月20日(土) SUPERNOVA KAWASAKI(神奈川)
開場17:00/開演17:30
2024年4月27日(土) 金沢AZ(石川)
開場17:00/開演17:30
2024年4月28日(日) GOLDEN PIGS RED STAGE(新潟)
開場17:00/開演17:30
2024年5月11日(土) U☆STONE(滋賀)
開場17:00/開演17:30
2024年5月12日(日) 松阪M’AXA(三重)
開場17:00/開演17:30
2024年5月18日(土) DIME(香川)
開場17:00/開演17:30
2024年5月19日(日) YEBISU YA PRO(岡山)
開場17:00/開演17:30
2024年5月25日(土) QUARTER(青森)
開場17:00/開演17:30
2024年5月26日(日) HIPSHOT JAPAN (福島)
開場17:00/開演17:30
2024年5月31日(金) B9 V2(熊本)
開場18:00/18:30
2024年6月1日(土) DRUM Be-1(福岡)
開場17:00/開演17:30
2024年6月8日(土) 水戸LIGHT HOUSE(茨城)
開場17:00/開演17:30
2024年6月15日(土) cube garden(北海道)
開場17:00/開演17:30
フルバンド編成ライブ
2024年6月29日(土) BIGCAT(大阪)
開場17:00/開演18:00
2024年7月7日(日) BOTTOM LINE(愛知)
開場17:00/開演18:00
2024年7月14日(日) 新宿BLAZE(東京)
開場14:45/開演15:30
席種・チケット料金
・4/20(土)神奈川公演~6/15(土)北海道公演 ※ミュージシャン小編成
立見 ¥6,500(税込・ドリンク代別)
・6/29(土)大阪公演~7/14(日)東京公演 ※フルバンド編成
立見 ¥7,500(税込・ドリンク代別)
オフィシャル先行受付
受付期間:2024年1月13日(土)20:00~2024年1月21日(月)23:59
チケット申し込みの詳細はこちら
枚数制限:お一人様2枚まで(複数公演申し込み可能)
※複数枚お申し込みされる場合、同行者は非会員の方でも可能です。
チケットに関する注意事項
※未就学児入場不可
※営利目的での転売行為一切禁止/転売チケットでの入場不可
※入場時にIDを確認させていただく場合がございます。
●リリース情報
「斉藤朱夏 -朱演2023 LIVE HOUSE TOUR愛のやじるし- at KT Zepp Yokohama」
発売中
【完全生産限定盤(BD+CD)】
品番:VVXL-180~181
価格:¥10,000(税込)
*三面差し込みスリーブ仕様
*ハート型フォトカード封入(2枚)
*ライブ音源を収録したCD同梱
【通常盤(BD)】
品番:VVXL-182
価格:¥7,700(税込)
<BD>
声をきかせて
くつひも
しゅしゅしゅ
パパパ
はんぶんこ
夏唄
セカイノハテ
最強じゃん?
Your Way My Way
月で星で太陽だ!
イッパイアッテナ
僕らはジーニアス
伝言愛歌
ゼンシンゼンレイ
ベイビーテルミー
ひまわり
愛してしまえば
-朱演2023 LIVE HOUSE TOUR 愛のやじるし- DOCUMENT
<CD>
01.声をきかせて
02.くつひも
03.しゅしゅしゅ
04.パパパ
05.はんぶんこ
06.夏唄
07.セカイノハテ
08.最強じゃん?
09.Your Way My Way
10.月で星で太陽だ!
11.イッパイアッテナ
12.僕らはジーニアス
13.伝言愛歌
14.ゼンシンゼンレイ
15.ベイビーテルミー
16.ひまわり
17.愛してしまえば
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