PHOTOGRAPHY BY 中村ユタカ
TEXT BY 澄川龍一
あれから1年、大きな進化を見せた第3期fripSide
fripSideの東京でのワンマンとしては約1年ぶりとなった会場のZepp Haneda(TOKYO)。開演前からすでにfripSideのトレードマークであるオレンジ色のライトが客席を照らすなか、この1年で彼らの得た経験がしっかりと刻印されたアルバム『infinite Resonance 2』の手ごたえがフロアに満ちているようにも感じられた。1年前とは異なるステージが確実に見られるはず――そんな期待に溢れた感情がフロアを埋め尽くすなか、会場が暗転し入場のインストが流れ、オレンジ色のペンライトが灯されていく。バンドメンバー、八木沼悟志、阿部寿世、上杉真央が続々とステージに登場したのち、お馴染みのfripSideのロゴサウンドが鳴らされ、一瞬の静寂のあとに始まったのは、『iR2』のオープニングを飾る「Invisible Wings」だ。阿部、上杉のソロ歌唱からバンドも加わって2人のハモへと繋がっていく、じわじわと高揚させるような冒頭から、八木沼が「いくぞー!」と宣言し、この日のステージが幕を開けた。ステージ中央の阿部と上杉に注目すると、その歌唱の堂々としたものはもちろんのことだが、よりシンメトリカルに息の合ったステージングがまず印象に残る。ダンスキャリアの異なる2人が、昨年に比べてグッと一体感を増している。ボーカリスト2人という特徴をもつ第3期fripSideの魅力が視覚的にもより感じられるというインパクトが、1曲目からすでに際立って見られた。そして1年前にはなかった要素として欠かせないのは、パワフルなサウンドに加わる観客の歓声だ。
高いテンションでのパフォーマンスを展開した「Invisible Wings」のあとには、間髪入れず「final phase -version2023-」のシンセリフが鳴らされる。曲前で上杉が「こんばんは、fripSideです!」、阿部が「ツアーファイナル東京、盛り上がっていきましょう!」と発したあとは、八木沼もAメロの最後で「せーの!」といつもの警報を鳴らす。もちろん観客もそれに対して大歓声を返すという見慣れた光景が展開される。改めて2人のボーカリストが質の高いパフォーマンスを見せる一方で