声優アーティストユニット・DIALOGUE+が、1月24日(水)にTVアニメ『弱キャラ友崎くん 2nd STAGE』のOPとEDテーマを収録したニューシングル「イージー?ハード?しかして進めっ!」をリリース。オープニングを飾る表題曲は、3年前に放送された第1期OPテーマ「人生イージー?」の歌詞の一部やゲームを連想させる電子音などを引き継ぎつつ、ともに前進させてくれるような応援ソング。
また、エンディングに起用されたカップリング曲「誰かじゃないから」はメンバー8人の追っかけやハーモニーが彩る、温かみのあるディスコ風のナンバーとなっている。今回はリリースを記念して、メンバーの鷹村彩花・宮原颯希へのインタビューを敢行。シングルの話題に加え、5周年イヤーならではの目標などについても語ってもらった。

また、本稿の最後にはインタビュー時点では開催前だったパシフィコ横浜国立大ホールでのワンマンライブ“LIFE is EASY?”を終えての感想コメントも掲載。こちらも本文と合わせて、ぜひお読みいただきたい。

INTERVIEW & TEXT BY 須永兼次

真摯に活動と向き合い成長してきた彼女たちが詰め込んだ、自分ならではの表現
――まずは新曲初披露ワンマン“フレンドファンファーレ”2公演を終えられて、そのなかで感じられたことからお聞きしたいのですが。

鷹村彩花 2公演とも同じタイトルだったので、私自身も「セトリはそんなに変わらないのかな?」と思っていたんです。そうしたら、曲目自体はそこまで変わっていないんですけど、配置がかなり変わっていて。それだけでライブの印象がガラッと変わったことは驚きでした。

宮原颯希 そのうち群馬公演にはカメラが入っていなかったので、私たちもいつものようなカメラアピールというよりも、完全にその場にいたログっ子(※DIALOGUE+ファンの総称)の方たちに「あなたたちに、届けたいです!」という想いをストレートに伝えられたような印象があります。群馬での開催というのもなかなかないですし、そこに駆けつけてくれたログっ子の方たちとの絆を感じられるライブにもなったと思っています。

――カメラがなかったことによる違いは、ステージ上でどのように感じられましたか?

鷹村 普段以上にお客さん1人1人の表情まで見られたことは、すごく印象に残っています。
それが楽しげだったり驚いたりしていると「してやったり!」という気持ちになって(笑)。パフォーマンスの精度もどんどん上がっていったような気がしますし、それこそ最後のほうではカメラがないからこそリズムや曲をわざと外してみたり、歌詞をちょっとアレンジしてみたりと、目の前のお客さんを楽しませるためにみんな結構はっちゃけられたこともすごく楽しかったですね。

宮原 あと、“フレンドファンファーレ”はセトリが結構ハードだったというのもあって、今まで以上に「私たち8人で支え合って、このライブを絶対に成功させよう!」みたいな勢いを、公演中にすごく感じたんです。それもきっとカメラがなくて、その場にいる皆さんに集中できたからこそあり得た瞬間だったのかもしれません。

――さて、この度ニューシングル「イージー?ハード?しかして進めっ!」がリリースとなります。今回収録の2曲について、TVアニメ『弱キャラ友崎くん』第1期のOP・EDテーマからの変化を感じた部分などはございますか?

鷹村 私は歌っていて、今回のほうが元気さや前向きさがより増しているように感じました。タイトルも「?」ではなく「!」で終わっているので、「まぁ、どっちでもいいけど進もうぜ!」みたいな前向きさやがむしゃらさを感じて。プラス、『友崎くん』の第2期に合わせてだと思うんですけど、仲間感みたいなものもすごくあるんですよ。

宮原 私は、スピード感はありつつも「人生イージー?」よりもメロの感じが少し大人っぽくなったように思いました。少し落ち着いたというか……「フレッシュで、一生懸命!」という感じから、ちょっと腰を据えたような雰囲気へと色が変わったように感じましたね。

――一方、EDテーマ「誰かじゃないから」についてはいかがですか?

宮原 「すごい!DIALOGUE+で、こういう曲も歌うんだ!」という新しい気持ちにもなりましたし、この掛け合いの感じは複数人で、仲間と歌っているからこそできる表現という感じがあって。この曲もまた、「良いなぁ」と思いました。


鷹村 そこも含めて、1人で自分自身と向き合っていた「あやふわアスタリスク」と違って外に目を向けて誰かと向き合って寄り添っている……みたいな感じ。より「人間の成長」みたいなものを感じられる曲たちだと思います。それに、歌っている私たち自身もかなり成長しているはずなので(笑)、そこも楽しんでいただけると嬉しいですね。

――その成長は、例えばこの2曲の中ではどういう部分に込められたように感じられていますか?

鷹村 DIALOGUE+としては、特に「誰かじゃないから」で「暗くもネガティブでもない、落ち着いた感じ」という微妙なラインをそれぞれの歌声で表現できるようになったことは、1つの成長ポイントのように感じています。それは、多分3年前に比べて各々の声や歌の特徴が見えてきたことで、自分の表現と向き合えたからこそのものだと思うんですよ。私自身も1-Aメロの終わりの“ひょっとしたら今までに何度も何度も”というソロパートでは、今までにないぐらいオトナな感じに歌えた自信があります。

宮原 それ、私も聴いていて思います!「やかん(=鷹村)……こういう歌い方もできるんだ!」って、新しい一面を感じられたので。

鷹村 嬉しい……!でもそれに気づけたのは、その部分の最後の「Ah」みたいな部分が「すごくオトナだった!」と緒方佑奈に言われたからなんですよ。

――逆に宮原さんはいかがですか?自分で自分の成長を、と言われても難しい部分はあると思うのですが……。

宮原 そうですね、うーん……あ!同じく「誰かじゃないから」の1-Bメロの“知らぬ間に運命とすれ違ってた”が、歌い方に一生懸命さが抜けてきたように自分では思っていまして。

――良い塩梅で余裕を持ててきたという感じですか?

宮原 そうですね。表現することに対して余裕が生まれてきたのかな?というふうに。
この曲にはちょっと大人っぽさもある印象があるので、そんな曲で余裕を持たせて歌えているというところは、自分でも「ちょっと成長できたかな?」と思えるポイントです。

――さて、改めて「イージー?ハード?しかして進めっ!」についてお聞かせください。まずこの曲、最初に聴いたときには純粋にどう思われましたか?

鷹村 「うわー!DIALOGUE+だぁ!」っていう印象でした!(笑)。やっぱり「はじめてのかくめい!」から始まったというのもありますし、そのほかにも例えば「大冒険をよろしく」とか「人生イージー?」といった曲に連なる系統のものだと思うので。

――ということは、わくわく感みたいなものも結構あった?

鷹村 ありました。それに歌詞もとにかくポジティブなので、歌っていても踊っていてもすごく楽しいんですよ。

宮原 私は「歌詞がすごく優しいな」という印象でした。思いっきり背中を押して「行け!行け!」と叩くようだった「人生イージー?」から、その流れも汲みつつ「君も成長したね」という観点を大前提にして、それを包み込むような意味合いの言葉がすごく多くて。これまた違う優しさで、応援ソングとして素敵なんですよ。

――そういったイメージを持ちつつ臨まれたこの曲のレコーディングで、実際歌ってみていかがでしたか?

鷹村 ハモのキーが高かったうえに、メロディの動きが難しかったことがすごく記憶に残っています。私はファルセットがあまり得意ではなくて、できるところまでは地声で行きたいタイプなので、地声でいく上限のラインをきれいに出せるように。でもハモだからといって元気さを失ってもいけないし……ライブのときとかはすごく楽しいしハモ自体は好きなんですけど、今回はリズムと音程のバランスも含めてちょっと難しかったかなぁ……っていう印象です。


宮原 最近の曲では、8人の声のまとまりやそれぞれの「自分って、ここが強みだよね」というものがわかってきていて、そのバランスがすごく取れてきているのを実感するので……私は私の個性の出し方を維持しつつ、「この曲の表現をどうしよう?」って田淵さんと「もうちょっと、“宮原さんみ”を出そうか」みたいな会話をしながら進めていけたので、結構スムーズでした。

――となると、レコーディングのなかで元々のイメージにちょっとプラスした要素も?

宮原 ありますね。「人生イージー?」との繋がりもあったので、どちらかと言うと全体的に歌声を元気寄りというか、若い感じでレコーディングには準備していったんです。そのなかで、「私の声だ」とすぐわかる感じにしたいから、声の要素をもうちょっと太い感じにするというか。あまり上にならない、下のほうの音に厚みを出すような感じで調整していきました。

――ちなみにこの曲、いつものようなソロパートを決める“オーディション”の部分には、どんなことをポイントにして臨まれたのでしょうか?

鷹村 私はオーディションって「個性のぶつかり合い」だと捉えていまして。「いかに個性を活かして、そこに乗せるか?」という方向で取り組んで、落ちたとしても受かったとしても「あ、ここの部分は誰々のこの表現が合ったんだな」と常に思っているんですね。例えば、私が今回オーディションで勝ち取った1-Aメロの“5歩進んで4歩下がった感じ その1歩も自己採点なんです”でも、きっと私の声にあるほかの人にはない個性を殺さず活かすといいますか(笑)。ないものねだりをせずに、「きっと私だからこそできるものなんじゃないかな?」と、自分の引き出しの中から「しょぼん」と「拗ね」の間みたいな表現をしていきました。

宮原 私は、2番の“って息巻いたのは夜中のテンション”という早口の部分のあたりは、特にレコーディングで集中しました。やっぱり早口ってリズムを掴みづらいですし、縦のリズムがすごく目立つ部分でもあるので、もう「縦さえ合えば、大丈夫!」と思いながら(笑)、冷静な気持ちで取り組んだんですよ。ただ、歌詞自体は「あわあわ」となっちゃっている部分なので、そこを両立するのは少し大変でしたね。


――そして今回この曲では、MVも撮影されました。

鷹村 とにかくパーティしてるよね(笑)。ボウリング場とか、カラオケとか……。

宮原 ねー(笑)!放課後に友達と「わわわ!」って騒いでいる、等身大の高校生の子たちが青春しているようなMVだよね。

鷹村 それこそカラオケで盛り上がっているシーンでは、「メインで歌っている人以外は好きにやってください」と言われていて。ひたすらお菓子を食べている子もいれば、タンバリンを振っている子も踊りだす子もいるんですよ。しかもそのタンバリンも、かわりばんこに「次、持つ?」みたいに渡したりしていたんですよね。

宮原 私ね、そういうところでもすごく「みんな、優しい!」って改めて思った。

鷹村 ほんと?

宮原 だって誰かが独占することなく欲しい物を使えるように「これ使う?」とか、あとは「そこ行く?」みたいな譲り合いがすごく目立っていたので、「私たち、精神的にもオトナになってるな」とも思いました。

――ただオトナになっただけではなく、そういうふうにパスし合うことが自然になっていたりも?

宮原 なってます!

鷹村 うん。自然と、相手が欲しいものがわかるようになってきたのもあるかもしれないね。

――そのほかにも、冒頭からボウリングのシーンもありますよね。


鷹村 そうなんです!そのなかには、私が必死に連続で頑張って投げて、でもガターをめっちゃ出して疲れ切ってその場で倒れてみんなが駆け寄ってくれる……みたいなシーンもありますし。ほかにもみんなに膝枕されながら、ボウリングのボールを磨くタオルでひたすら拭かれていたり(笑)、ちょっとクスッとなるようなシーンもあります。あと、このMVは全部のカットに必ず8人映ってるんですよ!

宮原 あ、そうだ!この曲そうだったね!

鷹村 そう。全員ずっと映っていて、絶対に何かをしているんです。

宮原 たしかに、うしろでずっと動いてたなぁ……そういうところも斬新ですよね。ぜひそれぞれのメンバーに集中して、8回は観てほしいです。

5周年というめでたい節目に向けて、2人が達成したい目標とは
――では続いて「誰かじゃないから」についても、楽曲自体の最初のイメージからお聞きできますか?

鷹村 最初は「精神的に、すごく自立した曲だなぁ」と思いました(笑)。やっぱり人間って自分のことだけにいっぱいいっぱいになりがちじゃないですか?でも、そのうえで相手にここまで寄り添うことができるというのが……“温かい”んですけど、ただの“温かい”という言葉だけでは表現しきれないような深みがあるという印象を持ったんです。それは、楽曲の視野が広がったからなんですかね?歌詞でも“足元ばかり見て歩いていたら気づけなかった”みたいに自分の成長をさらに自分で俯瞰して見られていたりと、精神的にオトナになったように感じました。

宮原 私が最初にこの曲を聴いたのは、田淵(智也)さんが歌う仮歌が入ったもので、そのときは「すごく地に足のついた落ち着いた曲だなぁ」という印象だったんです。でもいつも、田淵さんの仮歌のときと8人の歌声で出来上がったときの印象は、やっぱり私の中では全然違っていたので、「きっとレコーディングして出来上がるものは、違う形になるんだろうな」と期待しながら聴いていました。

――そのレコーディングでは、まず全体としてどういう部分を大事にされていきましたか?

鷹村 優しい曲だとは思うんですけど、一本ちゃんと芯や軸がある、地に足がついた優しさというものを意識しました。“強い”まではいかないけれども“弱く”はならないように、でもふわふわしすぎて飛んでいかないように、気をつけながら歌いましたね。

宮原 私は田淵さんの仮歌を通じた印象から、「眉をしかめて歌う」というか……自分の心の中の気持ちを強めで練習して持っていったんです。「8人バージョンになったらきっと印象も変わるだろうから、歌い方も変わるだろうな。でも、私が入れるならこんな感じ」と思いながら。そうしたら、レコーディングでは田淵さんから「あ、宮原さんはそれでいいかも」と言われたんですよ。

――そこはちょっと、予想外だったと。

宮原 はい。なので、結局内の気持ち強めでぐっとしながらずっと歌ったんです。でもこの曲では、みんなとの違いを自覚できて持っていけたことも良かったですし、自分の内面とすごく向き合いながら歌ったことがポイントになったと思っています。

――オーディションの部分も、お二人ともそういったイメージをベースに臨まれたんでしょうか?

鷹村 この曲ではメンバー指定がなくて全員が受けるオーディションだったので、前に歌う人がどういう感じでくるかとかがわからないから、「8人で1人の人物像を描く」のではなく「8人がそれぞれ各々の人物像を描いている」という意識を持って歌いました。

宮原 オーディション部分自体も少なかったからね。そんななかで私は内側に、顔をしかめた感じで……ちょっと陰な部分というか葛藤強めな感じを持ってオーディションに臨んだので、「今回は、そういう表現をして歌うんだよね?」ということをちゃんと維持できるように、頑張りました。

――それも、先ほど鷹村さんがおっしゃられた「自分の中で1人の人物像を作って、それを持っていく」というか。

宮原 そうですね。「多分8人の感じと、この陰強めな感じは違うな」というのはわかっていたんですけど、「私は私で、この感じ。選ばれなくても、合わなかっただけだね」くらいの気持ちで臨みました。

――ちなみにこの2曲、完成版を聴いてより好きになった部分などはありますか?

鷹村 自分の話になっちゃうんですけど……私、お芝居でも歌でも低い音域を求められることがあまりなかったんです。でも今回、低音を前面に出すという取り組みをしたら、「私結構……こういう低い感じもアリじゃない?」みたいに思いまして(笑)。今まで「好き」とか「嫌い」みたいな感情になることすらなかったくらい放置していた部分に触れて、新たな自分を発見できて、好きにもなりました。

宮原 私、この曲はBメロの掛け合いの感じが、想像していたよりも遥かに良かったんですよ。私たちの声って結構みんなバラバラで、歌い方も8人全然違いますけど、それがこんなに良い感じに合わさるんだ!と衝撃を受けたくらい、このパートをすごく好きになりました。

――さて、2024年はDIALOGUE+にとって5周年イヤーとなります。その5周年を迎える前に、クリアしたい目標みたいなものはありますか?

鷹村 これは「できたらいいなぁ」くらいのふわっとしたものなんですけど……「『好きだよ、好き。』のMVを撮影した東京国際フォーラムでライブできたらアツくない?」みたいな気持ちはあります(笑)。5周年に限らなくても、何かのメモリアル的なときにできたらエモいよね?

宮原 たしかに。「好きだよ、好き。」のMVって、自分の気持ちを叫んだシーンがあったりと、私たちにとってターニングポイントの1つになるものだったので……その流れで言うと、私たちは5年間ずーっと一緒にいてたくさん活動をしていますけど、1人1人が何を思って今活動しているかを聞く機会ってあまりないんです。なので、この5周年という節目に「どういう気持ちで、今、私たちって一緒にいる?」という話をしてみたいなという興味があるんですよ。これは目標というより、私の個人的な希望なんですけど……(笑)。

鷹村 そういえばさ、案外8人だけでご飯行ったことってなくない?

宮原 ない。スタッフさんもいなくて8人だけって、1回もないんじゃない?

鷹村 だから「8人でごはん行こう」みたいな感じにしたら、できるんじゃない?

宮原 あ、たしかに!行ってみたいかも!

鷹村 そうしたら、やったことがないから現実的な「目標」にもなるし。

――それと合わせると、鷹村さんの目標までの道筋ができたようでもありますね。

鷹村 たしかに。非現実的すぎた私の目標が(笑)、ちょっと現実的になったかもしれないです。

宮原 そうだね。だからまずは8人だけでご飯、行きたいです!

■1月7日開催 ワンマンライブ“LIFE is EASY?”を終えての感想コメント
――“LIFE is EASY?”全体を通しての感想や、ステージに立っていたなかで特に深く記憶に残っていることをお教えいただけないでしょうか。

鷹村 もうとにかく楽しかったです!毎回耳中に田淵さんが指示や労いの言葉をかけてくださるのですが、それがとても面白くて。ハケる時にきょんちゃん(=守屋亨香)と一緒に笑ってしまいました。今までのライブでは毎回毎回いっぱいいっぱいで暗転中はもうとにかく「無」だったのですが、今回は耳中に意識を向けて田淵さんの言葉を拾うことが出来たのでライブが終わってからそんな自分に驚いています。

宮原 すごく!すごく良いLIVEだったと思います。2023年はメンバーもLIVEづくりにたくさん関わり始めた年でして、いろんな対話を重ねて今の形に仕上がってきた。その成果を今公演では存分にお見せできたと思います。特に記憶に残っているのは、村上まなつのMC中の景色です。会場にいる皆さんに「出会ってくれてありがとう」と私も心から思った瞬間でした。

――インタビューでも話題に出た「好きだよ、好き。」が久々のアカペラ始まりだったのもハイライトのひとつ
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