MyGO!!!!!にとって初のライブハウスツアー“MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」”の初日となる東京公演が、2月12日、Zepp Haneda (TOKYO)で開催された。彼女たちの結成までの軌跡を描いたTVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』の放送や、自身最大規模となる東京ガーデンシアターでのワンマンライブの成功など、2023年を飛躍の年とした彼女たち。
2024年最初の単独公演となったこの日のライブで、彼女たちはバンドとしての進化と成長を、迷い続けた先に見つけた5人だけの輝きを、ファンの脳裏にしっかりと刻み込んだ。

TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY Photo 福岡諒祠(GEKKO)

※現在公演中のツアーのセットリスト等を含みます。

初ツアー初日、ライブハウスだからこその熱気
2022年4月に本格始動して以来、定期的にライブを行ってきたMyGO!!!!!だが、ライブハウスで単独公演を行うのは2023年8月に神奈川・KT Zepp Yokohamaで行われた“5th LIVE「迷うことに迷わない」”ぶり。それ以前も振り返ると、彼女たちはホール会場でライブを行うことが多かったため、実は2022年7月の“1st LIVE「僕たちはここで叫ぶ」”(東京・渋谷 duo MUSIC EXCHANGE)まで遡ることになる。

筆者は“1st LIVE”も現地で観覧してレポートを執筆したのだが、そのときからMyGO!!!!!はライブハウスが似合うバンドだと感じていた。当時から彼女たちの時に焦燥さえも滲むひたむきさ、歌や演奏と真っ直ぐ向き合う真摯な姿勢に、従来の「BanG Dream!(バンドリ!)」発のリアルバンドとはまた別種の雰囲気、まるでライブハウス叩き上げのバンドのような空気感を感じたからだ(それは彼女たちが演じるキャラクターの性質によるものでもある)。
その“1st LIVE”から約1年半、TVアニメの放送によって彼女たちが根源に抱える想い、音楽(というよりもバンドそのもの)にかける情熱が種明かしされた今、やはりMyGO!!!!!は(言い方を選ばないとするならば)“本物のバンド”であることを確信できたのが、今回のライブだった。

1階はオールスタンディング、2階席も満員御礼で、始まる前から熱気に包まれた会場。照明が暗転すると、メンバーたちがステージに上がり、ドラムのドドンッ!という音を合図に竿隊のメンバーも手にしている楽器をかき鳴らしてアピールする。そして燈(Vo./CV:羊宮妃那)が「皆さん、こんばんは。MyGO!!!!!です。今日はよろしくお願いします」と挨拶すると、彼女たちのレパートリーの中でもとりわけ晴れやかなアップチューン「碧天伴走」でライブの幕を開ける。
TVアニメ第7話の挿入歌でもある本楽曲、そのストーリーに当てはめるなら愛音(Gt./CV:立石 凛)の背中を押すようなメッセージが込められているわけだが、ライブにおいてはMyGO!!!!!を応援するすべての人々、あらゆる迷子たちに向けた歌として心に響く。

そこから間髪入れずライブの定番曲「影色舞」に突入。燈、愛音、楽奈(Gt./CV:青木陽菜)のフロント3名によるお馴染みのステップ、そよ(Ba./CV:小日向美香)と立希(Dr./CV:林 鼓子)のリズム隊が紡ぎ出すグルーヴが会場を熱狂させる。ブレイクの部分でクラップを煽る愛音、サビで右手を大きく振りながら歌ってワイパーを促す燈、もはや鉄板のパフォーマンスだ。その後のMCでは、愛音が生配信用のカメラに向けて指ハートでアピールするも、立希に諫められる一幕も。すると愛音が「カメラさ~ん、りっきー(立希)も映してあげてくださ~い」と呼び掛けて、その流れで立希、そよ、燈、楽奈もカメラの向こうのファンに向けて挨拶する。
燈は楽奈に助けを求めて、2人で一緒にカメラに向けてピースサインをしていたのがかわいらしかった。

そんな彼女たちの賑やかなやり取りを挿みつつ、燈が改めてメンバーたちに「やっぱりこの5人でライブするのは楽しいよね」と伝えてバンドの喜びを噛み締めると、ライブは彼女たちの1st Single「迷星叫」で再開。“1st LIVE”で初披露されて以来、ナンバリングライブでは欠かさず演奏されてきたこの楽曲。今回は燈のアカペラ歌唱から始まるアレンジが施され、バンドの“始まりの歌”をよりエモーショナルに表現してみせる。続く「名無声」でも燈がステージに設置された台に座り込んで自身の内側の感情を抱き締めるように歌う場面もあり、サビ終わりの“Oh oh oh”とみんなで声を合わせるパートでは、客席も大きな声で大合唱。さらに2ビートの疾走パンク「壱雫空」(TVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』OPテーマ)を畳みかけ、嵐のような熱狂を巻き起こしていく。


昨年11月には1st Album『迷跡波』をリリースして、今やオリジナル曲も充実している彼女たちだが、「カバー曲とか聴きたくない?」(愛音)ということで、“1st LIVE”の頃からレパートリーにしていたDECO*27「二息歩行 (Reloaded)」を久々に披露。初期のライブでは重宝されていた楽曲ということもあり、そよのスラップベースや楽奈のギターソロなど楽器隊の見せ場も多かった。そして燈がパーカーのフードを被ると、ポエトリーリーディングを大きくフィーチャーした「潜在表明」へ。数々の大舞台での経験を経て逞しさを増したバンドのアンサンブル、そして燈の内に秘めた感情を吐き出すようなパフォーマンスが、オーディエンスの心に深く刺さっていく。特にラスサビ前での燈の叫ぶような声(ステージに倒れ込むくらいの勢いで歌っていた)、そこからフードを脱いで“生きる”ことを力強く表明する歌声には、並々ならぬ気迫がこもっていた。

「潜在表明」のラスト、ギターのハウリングノイズが後を引くなか、燈は次に歌う楽曲のタイトルをコールする。
その楽曲は「君の神様になりたい。」。これも彼女たちが“2nd LIVE”の頃からレパートリーにしてきた、カンザキイオリの楽曲のカバーだ(さらに言うと「歌いましょう鳴らしましょう」を楽曲提供したメガテラ・ゼロの歌ってみた動画でも知られる)。“君を救う歌を歌いたい”という気持ち、“僕は無力だ”と繰り返し連呼する悲痛な想い。過去のライブでもMyGO!!!!!の音楽性や世界観との相性の良さを感じていたが、アニメが放送されて燈のパーソナリティが詳らかにされた今、彼女がこの楽曲を歌うことの意味がより大きくなっていることを実感させられる。時に膝をついて、声を震わせて歌う燈の姿、全身全霊のステージングは圧倒的とも言えるものだった。

ライブ初披露の新曲2曲で見せた、バンドという集合体の奇跡
そしてライブは終盤戦に突入、我々はMyGO!!!!!というバンドの底知れないポテンシャルを知ることになる。
「まだまだ盛り上がっていけますか?」「まだまだ声出せますか?」「もっとボリューム上げていけますか?」と、いつになく力強い声で観客の心に火を付ける燈。以前の彼女には見られなかったアクションだ(そういえば“リスアニ!LIVE 2024”に出演した際も彼女は同じように客席に向けて檄を飛ばしていた)。オーディエンスも大歓声で応えて改めて気合いを入れると、ここでライブ初披露となる「歌いましょう鳴らしましょう」が投入され、会場のテンションは一気に最高潮までヒートアップする。

MyGO!!!!!の楽曲は、「迷子でもいい、前へ進め。」という最初期からのキャッチフレーズが象徴するように、基本的に燈の心情や、彼女と同じく色々な意味で“迷子”の境遇にあるメンバーの気持ちとシンクロする楽曲が多い。そのなかにあって「歌いましょう鳴らしましょう」という楽曲の直情的なメッセージ、歌を歌うことを、音楽を鳴らすことを、高らかと呼び掛ける歌詞には、どこか今までの流れとは違う雰囲気を感じていた。だがこの日、彼女たちがこの楽曲をライブで演奏する姿を見て、これもまたMyGO!!!!!にしか鳴らせない音楽であることに気づかされた。勢いよく加速する2ビート、ただひたすらに前だけを見て突っ走るようなパンクサウンドを、彼女たちは心からの笑顔を浮かべながら奏でる。燈も楽しそうに飛び跳ねたりと、彼女にしては珍しい動きを見せながら歌う。そこには、この5人でバンドができることの喜びが詰まっていた。迷い続けた先で巡り合った5人が1つの音楽を奏でる奇跡、その一瞬にしか生まれない人生の煌めきが、この日のステージには確かに感じられた。

そこからMyGO!!!!!はノンストップで駆け抜けていく。ライブという音を介した一期一会の出会いへの感謝の気持ちを届ける「音一会」で会場の気持ちを1つにすると、彼女たちの“迷いの日々”の集大成とも言うべきナンバー「迷路日々」(TVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第12話挿入歌)では、燈が終盤で客席ではなくメンバーの側を見渡したあとに“迷っても 一生離れない”と歌い、バンドの絆の深さを表現。緩急の効いた演奏も素晴らしく、個人的にはライブの終盤にかけて、バンドのアンサンブルがより一体になっていくのが感じられた。

そしてライブ本編のラストを飾ったのが、本邦初披露となった新曲「砂寸奏(さすらい)」。まずメンバーたちが「君と持ち寄った、この鼓動が現在地」(立希)、「旅人のように、うたからうたへ」(そよ)、「足跡、砂風が隠しても」(楽奈)、「消えないうたを、道連れにして」(愛音)と歌詞の一節を朗読劇のように読み上げ、最後に燈が「今にしか触れない音、今にしか叫べない感情。もう止めないで、いいよね」と告げると演奏がスタート。ワイルドなギターリフ、今までになく熱いメロディを備えた本楽曲は、ツアータイトルの“彷徨する渇望”というフレーズも歌詞に含まれており、力強い曲調と歌詞がMyGO!!!!!の新たなフェーズを予感させるようなロックナンバー。メンバーが「Wow wow」とコーラスを添えるパートで、燈が客席にマイクを向けていたのも印象的で、彼女のライブに対するアプローチが明らかに変化しているようにも感じた。

アンコールは燈と楽奈のツインボーカル曲「無路矢」でスタート。立希のパワフルなドラムが牽引する無骨なバンドサウンドに、燈の真っ直ぐな歌声と楽奈のホイッスルボイスがクロスして、他では得難い景色を描き出す。その後のMCでキャストたちがキャラクターではなく素の自分に戻って仲良くトーク。新規解禁情報として、アニメの設定資料をまとめた「TVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』official guidebook FOOTPRINTS」の発売を告知し、改めてファンに挨拶すると、再びキャラクターをその身に宿して、この日のラストナンバー「焚音打」を披露。燈の求心力のあるボーカルを中心に、メンバーたちの演奏と掛け合いの歌声、そして5人の気持ちがひとところに集まっていく感覚。その大きな渦に飲み込まれるように、オーディエンスも想いを1つにしていく。終盤、燈は「皆さんと拳を掲げられるこの時間が、一生続いていきますよう」「迷子でもいい、迷子でも進めー!」と大きく声を上げ、最後は拳を高く掲げてツアー初日を締め括った。

「歌いましょう鳴らしましょう」や「砂寸奏」といったライブ初披露の新曲を含め、ライブハウス向けの攻め曲を満載したセットリスト、燈のライブに対するアプローチの変化や演奏力の向上も含めたパフォーマンス面も込みで、MyGO!!!!!というバンドの進化を感じさせた今回のライブ。個人的には、特に「歌いましょう鳴らしましょう」以降の流れでバンドという集合体の奇跡を目の当たりにできた感覚があったし(TVアニメ『BanG Dream! It’s MyGO!!!!!』第10話を観たときの感覚に近いものがあった)、これがツアー初日ということは、今後、公演を重ねていくなかで、さらなる進化が期待できるということでもある。一生をバンドに捧げる覚悟を決めたMyGO!!!!!たちの、今のこの一瞬を、絶対に見逃すべきではない。

■MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2024「彷徨する渇望」東京公演

<セットリスト>
M1 碧天伴走
M2 影色舞
M3 迷星叫
M4 名無声
M5 壱雫空
M6 二息歩行 (Reloaded)
M7 潜在表明
M8 君の神様になりたい。
M9 歌いましょう鳴らしましょう
M10 音一会
M11 迷路日々
M12 砂寸奏

EN1 無路矢
EN2 焚音打

●リリース情報
MyGO!!!!! 4th Single
「砂寸奏/回層浮」
3月20日(水)発売

【Blu-ray付生産限定盤】
<Blu-ray>
MyGO!!!!! 5th LIVE「迷うことに迷わない」ライブ映像
価格:¥7,700(税込)

【通常盤】
価格:¥1,760(税込)

詳しくはこちら
https://bang-dream.com/discographies/3575

●イベント情報
Poppin’Party×MyGO!!!!! 合同ライブ「Divide/Unite」
4月29日(月・祝)開催
会場:横浜アリーナ

詳しくはこちら
https://bang-dream.com/events/pp_mygo

<「BanG Dream!(バンドリ!)」とは>
キャラクターとライブがリンクする次世代ガールズバンドプロジェクト。アニメ、ゲーム、リアルライブなどのメディアミックスを展開している。
作中に登場するバンド「Poppin’Party」「Roselia」「Morfonica」「RAISE A SUILEN」「MyGO!!!!!」「Ave Mujica」の声優が実際にバンドを結成し積極的に生演奏のライブ活動を行っている。
スマートフォン向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」は、提供開始から6年目の2022年11月には、国内ユーザー数が1,600万人を突破。また、2023年3月16日に迎えた6周年で超大型アップデートを実施。
さらには、2023年夏に放送したTVアニメ「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」の再編集劇場版となる劇場版「BanG Dream! It’s MyGO!!!!!」が2024年中の上映を予定、また続編となるTVアニメ新シリーズ「BanG Dream! Ave Mujica」が2025年1月から放送を予定しており、今後の展開への期待が高まっている。

©BanG Dream! Project

関連リンク
公式サイト
https://bang-dream.com

公式X
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YouTube「バンドリちゃんねる☆」
https://www.youtube.com/@bang_dream_official