先日、放送された『武器はテレビ。SMAP×FNS 27時間テレビ』(フジテレビ系)で、SMAPを脱退したメンバー・森且行の手紙が読み上げられ、芸能マスコミに衝撃が走った。
オートレーサーになるという夢を追いかけ1996年にSMAPを脱退した森だが、ジャニーズ事務所の逆鱗にふれたため、その存在は長く"タブー"と化し、過去のVTRを放送するときも森の姿が映り込まないよう絶妙にカットが施されていた。だが、近年、SMAPメンバーが森の話題を積極的に発言するようになり、今回、手紙というかたちではあったものの、晴れて公に存在が認められた格好となった。
このほかにも『27時間テレビ』では、稲垣吾郎や草なぎ剛の逮捕歴にも言及したことで、「SMAPにタブーなし」「芸能界の不文律を破るSMAPはさすが」と評価の声が高まっているようだ。
が、しかし。そんなSMAPにも乗り越えられないタブーがある。それは"子どもの話題"という問題だ。
SMAPの場合、木村拓哉は2児のパパであるが、子どもの話題は完全なタブー。テレビはもちろん、プライベートな話題にも踏み込むラジオでも、かたくなに子どもに関する話は語らない。「ESSE」(扶桑社)8月号のインタビューでも、主婦向け雑誌を意識してか料理の話などを披露し、木村流の"自然体"について話しているのだが、主婦の心を掴みそうな育児話は出てこず、まるでいまでも独身かのよう。その徹底ぶりは、自然体というよりも不自然なほどだ。
「やっぱりジャニーズだと厳しいのでは?」と思う人もいるかもしれないが、同じジャニーズ事務所所属でも、幹部候補である東山紀之や、朝の顔となったV6・井ノ原快彦、TOKIO・山口達也がイクメンぶりをアピールしていることを考えると、木村の沈黙ぶりは異様である。
たしかに芸能界には、ジャニーズに限らず若い男性俳優が子どもの話題を口にするのがタブーだった時代もあった。
また、木村カエラと結婚し、松ケンと同じく2児のパパである瑛太も、子ども語りを解禁しているひとり。以前、『ボクらの時代』に松本潤と出演した際、松潤が結婚や子づくりへの不安を吐露すると、「しちゃえばいいんだよ」と断言し、「ぼくは何も考えてなかった。子どもをどうするとかも考えずに『子どもができた、よかった!』という感じだった」と、その経験を赤裸々に口にした。さらに、現在発売中の「Soup.」(ジャック・メディア)9月号のインタビューでも、声優を務めた『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』について、「子供が楽しいって思う作品は大人も楽しめると思うんです」と語り、つづけて「やっぱり子供の目というのはすごく厳しくて、飽きるときは一瞬で飽きますから」と、現役パパらしい視点を披露している。
かつては、キムタクと同じように反町隆史が沈黙を貫いていたが、それも父親役を演じるようになったころから解禁。イケメン俳優としての限界を迎え、パパキャラにシフトしたことが子ども語りのきっかけだった。しかし、キムタクにしても、かつての反町と同様の局面を迎えている状態だ。いまは『HERO』(フジテレビ系)で食いつないではいるが、ヒット作の続編という"過去の栄光"にすがっているに過ぎないからだ。──『南極大陸』(TBS系)のような超大作もダメ、『PRICELESS~あるわけねぇだろ、んなもん!~』(フジテレビ系)のようなコメディもダメ、飛び道具で打ち出したトンデモSF作品『安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~』(TBS系)もダメとなれば、あとは家族もののヒューマン路線しか残されていないのが実情ではないか。
自分よりもずっと年下の若手俳優たちがごく自然に子育てを語るなか、キムタクはいつ、ほんとうの"自然体"を手に入れられるのか。
(水井多賀子)