東京12区から衆院選に立候補した元航空幕僚長の田母神俊雄氏。常々「日本の国益、そして国民の生命を守る」、そのためには基盤となる「家庭を中心とした地域共同体の復活を!」と訴えているが、そんな田母サンが基盤であるご自分の"家庭"を不倫によって崩壊させようとしているのをご存知だろうか。



「田母神候補の『不倫→離婚』ドロドロ裁判は選挙より凄い!」
 
 本日発売の「フライデー」(12月19日号)がこんなタイトルでその詳細を伝えている。しかも、田母サンと不倫相手のツーショットまでがでかでかと掲載されている衝撃的な記事だ。

 記事によれば田母サンは5年ほど前に出会った50歳前後の女性Aさんと不倫関係になり、一時は自分の秘書にしていたという。しかし、田母サンには30年以上連れ添った妻と2人の子どもがいた。やがて、田母サンは妻と別れAさんと結婚したいと言い出したのだが、妻はこれを拒否。2年前に離婚調停を申し立てたが折り合いがつかず、13年6月には東京家庭裁判所に離婚を求める訴訟を起こしたのである。

 「フライデー」に掲載されていたAさんとのツーショットはどうやら、この裁判に証拠資料として提出されたものらしいが、裁判でも両者の主張は真っ向から対立した。

 田母サンはこの訴訟で妻に対し「愛人と出会うはるか前から事実上、夫婦関係は破綻していた。だから離婚は認められるべきだ」という主張を展開。一方、妻は「夫婦関係は破綻していなかったにもかかわらず、夫は肉体関係を伴う不倫同棲生活をするようになった」「夫はAから受けた魔性の籠落攻撃に我を忘れて夢中になった」とこれを否定した。

 また、田母神氏の長女も陳述書で「父はAに言い寄られて同棲し、母を切り捨てようとしています」と父を非難したという。

 まさに泥沼裁判――。
だが、その過程で、田母サンが3年前の政治集会で妻を応援弁士に立てていたことが判明し、今年6月、東京家裁は田母神氏の請求を棄却した。

 しかし、田母神氏はこれを不服として控訴。その判決が出るのが、今度の衆院選投票日の3日前の12月11日なのだという。「フライデー」には田母神の友人のコメントがこう紹介されている。

「たとえ田母神さんが勝訴しても、妻を捨てたというマイナスイメージがつくでしょうし、負けたら負けたで選挙前に黒星というミソがつく。周囲は『よりによってなぜこのタイミングで...』と頭を抱えています」

 もっとも、こうしたスキャンダルは、そう大きなダメージになることはないだろう。というのも、田母神候補の場合、長年連れ添ってきた妻を捨てるといった行動と普段の主張にあまりギャップがないからだ。

 軍事や歴史認識でのタカ派色ばかりが強調されている田母神氏だが、その言動をこまめにチェックすると、今時ありえないような「女性蔑視」「弱者切り捨て」を公言している。

 有名なのが、2012年10月20日の沖縄暴行事件のツイッターだ。田母神氏はこのとき、〈沖縄女性暴行事件でテレビが連日米兵の危険性を訴えるが、この事件が起きたのは朝の4時だそうです。平成7年の女子高生暴行事件も朝の4時だったそうです。朝の4時ごろに街中をうろうろしている女性や女子高生は何をやっていたのでしょうか。
でもテレビはこの時間については全く報道しないのです。〉と、夜中に歩いている女子はレイプされて当然、とでもいうような主張を展開した。

 また、2014年10月24日には、妊娠した女性についてこんなツイートをしている。

〈妊娠で軽い業務しか出来なくなった女性を降格したとか言って裁判に訴えるような女性はどんな女性か。「貴女を愛してくれる男性はいますか」と聞きたい。〉

 さらに、2010年9月26日に開催された「my日本・総決起大会」では、低所得者を切り捨てるようなこんな発言もしている。

「法律が会社経営の手足を縛るものばかり、最低賃金法。日本はそんなものがなくたって経営者がきちんと判断をしてきた。これを法律で義務づけては経営者の自由裁量が奪われ、経営がやりにくくなる。これでは国際競争に勝てるわけがない」

 2012年9月19日のツイッターはもっと露骨だ。

〈弱者が権力を握ろうとしています。弱者救済が行き過ぎると社会はどんどん駄目になります。
国を作ってきたのは時の権力者と金持ちです。言葉は悪いが貧乏人は御すそ分けに預かって生きてきたのです。「貧乏人は麦を食え」。これは池田総理が国会で言った言葉です。〉

 国を作ってきたのは時の権力者と金持ち。貧乏人はその御すそ分けに預かってきただけ。聞いているだけで空恐ろしくなる発想だが、しかし、こういう人物が、先の都知事選では、61万票もの票を集めたのである。

 おそらく、今回の不倫・離婚騒動を聞いても、一連の弱者切り捨て発言を聞いても、田母神支持者はきっとほとんど動揺しないだろう。むしろ「よくぞいった!」と大喝采をあげるかもしれない。そう。日本は多分、思っている以上に香ばしい国になっているのである。
(田部祥太)

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