今年4月にデビューを果たしたジャニーズWEST。KinKi Kids、関ジャニ∞に続いて3組目の関西出身グループで、現在は『ハピくるっ!』『関ジャニ∞のジャニ勉』(以上、関西テレビ)、『リトルトーキョーライブ』(テレビ東京系)といったバラエティ番組をレギュラーに持ち、デビュー1年目とは思えぬ達者なトークを披露している。
また、12月にはファースト写真集を発売。中間淳太と神山智洋が一緒にお風呂に入り、中間が神山にシャンプーしてあげているショットや、食堂で小瀧望にスープを飲ませる藤井流星など、全編を通してメンバーの仲の良さが伝わる作りになっており、ファンの妄想をかき立てるアイドルらしい1冊となっている。
しかし、よーく目を凝らして見ると、ところどころにジャニーズWESTの"タブーを自虐する"ようなショットも散りばめられているのだ。
たとえば、「趣味はダイエット、特技はリバウンド」を公言するぽっちゃりキャラ・桐山照史は、これまでアイドル誌でシャツをはだけることはあっても、基本的に腹部を出すことはなかった。しかし、写真集では、水着ショットで禁断の腹出し。写真では肉がだぶつくことも腹が出てることもなく、まるでぽっちゃりキャラへの期待をあざ笑うかのように、スッキリとした体形を披露している。
同じく体ネタでいうと、濱田崇裕も。「ジャニーズWESTの濱田崇裕君よりなで肩の人類っているの?」というスレッドが立つほど極端ななで肩で知られている濱田。今回の写真集では、VネックのTシャツという体の線が強調される衣装で、ウワサに違わぬ驚異的ななで肩を披露しているのだ! まるでファンに自慢の肩を見せているかのような、濱田のウインクも憎めない。
もっともタブーを感じさせるのが、ホテルの一室で撮られた藤井の写真。ベッドに寝転び、誘っているかのようなせつない表情でカメラを見上げているので、思わずドキッとしてしまうほどアイドルらしい色気のある写真なのだが、これがどうにもアノ騒動を思い起こさせてしまう。
その騒動とは、ジャニーズWESTのデビュー翌日に「週刊文春」(文藝春秋)が報じた、「藤井流星の性的暴力、未成年飲酒・喫煙」だ。
これらの写真が偶然なのか計算なのか真偽は不明だが、タブーを自虐したように思えてしまうのは、関西ジャニーズならではのサービス精神や笑いへの情熱を感じるからだろう。同じジャニーズといえども、東京のジャニーズに感じる洗練されたカッコよさとは異なり、非常に親しみやすい関西のジャニーズ。その違いはどこから生まれるのだろうか。
もともと関西ジャニーズは、東京のジャニーズとは異なり、Jr.時代の活躍の場は圧倒的に少ない。東京のJr.が番組収録やコンサートにバックダンサーとして出演したり、アイドル誌にページを割いてもらったり、Jr.だけの公演に恵まれているのに対し、関西Jr.は先輩が関西方面に公演に来たときのみバックダンサーを務めることができる。いまでこそ関西Jr.が活躍できる番組が誕生したが、ごく最近までは圧倒的な露出の差があったのだ。関ジャニ∞が嵐と共演するたびに、扱いの違いを愚痴り、いまだに対抗心を燃やしているのはよく見かける風景だろう。
それが原因なのか、上下関係がゆるやかなのも関西ならでは。9月に放送された『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)では、関ジャニ∞の村上信五が「我々大阪で、自分たちだけでやってる時間が非常に長かったんですよ。だから東京に出て来たときにジャニーズのセオリーがわからなかった」とJr.時代は先輩がいなかったからこそ、のびのびと自由に活動できたことを語っていた(のびのびすぎて、先述の藤井級のスキャンダルがほかのメンバーにも......という噂もあるほど)。
また、関西特有の「お笑い」文化に触れていたことが、関西ジャニーズのサービス精神を育んだことは否めない。もともと関西のテレビ業界はローカル番組が多く、『モモコのOH!ソレ!み~よ!』(関西テレビ、重岡大毅出演)、『ピーコ&兵動のピーチケパーチケ』(同、小瀧&中間出演)でハイヒールモモコや矢野・兵動の兵動大樹ら、ゴリゴリの関西芸人と共演し、自ずと腕が磨かれる。
露出の少なさ、上下関係のゆるやかな環境、お笑いへの傾倒......。それらが親しみやすい関西ジャニーズ特有の空気や個性を生み出し、東京のジャニーズとは違った魅力でファンを引き付けているのかもしれない。
来年2月4日にリリースされるジャニーズWEST 3枚目のシングルのタイトルは「ズンドコ パラダイス」。ネットではあまりにも奇抜なタイトルに失笑が漏れているが、ある意味これこそが関西ジャニーズの真骨頂ともいえる。関ジャニ∞につづく大ブレイクとなるだろうか。
(江崎理生)