新社会人の初出勤となる4月1日、各企業では軒並み入社式が執り行われたが、そんななか、ひときわド派手な入社式を開催したのが、フジテレビだ。

 フジの入社式といえば、毎年、芸能人をゲストに呼ぶことで有名だが、今年はなんと、SMAP、ゆず、E-girlsが駆けつけ、新入社員を前に特別パフォーマンスを繰り広げた。



 番組の収録を兼ねているとはいえ、視聴率低迷でテレビ東京にすら抜かれそうになっている自分たちの立場をわかっているのか、といいたくなる大盤振る舞いだが、実はこのフジの入社式にはもうひとつ、首をひねりたくなる特徴があった。

 それは当日、お台場の会場に、新入社員たちだけでなく、その両親たちも姿を現したことだ。しかも、ほとんどの新入社員の父親、母親がそろって参加。入社式の間、そばに座って我が子の晴れ姿を見守り、最後は一緒に記念写真に収まったのだ。

 いくら最近の親が過保護だといっても、この光景はびっくりだが、フジテレビの入社式は何十年も前から父母同伴がルールになっているのだという。

「内定すると、人事部から入社式に父兄同伴でくるようにお達しがくるんです。
これは昔からみたいですよ。50代の社員が『俺の時もそうだった』と言ってましたから」(フジテレビ関係者)

 実際、昨年は娘がアナウンサーとして入社した元サッカー日本代表の永島昭浩が式に出席していたことが話題になったし、2011年には、陣内孝則と入社した長男が式に出席。その後、一緒に食事に出かけ、長男が「開店50分前なのに店を開けてしまう父さんの影響力はすごい」とバカツイートをしたことが週刊誌で報道された。

 とにかく、今、フジテレビで働いている局員はおっさんたちも含めほぼ全員、入社式にパパとママが付き添いでやってきていたというわけで、これは相当に気持ち悪い話ではないか。それにしても、いったいなぜ同局では長年こんなルールがあるのか。

 フジテレビ側に取材してみたが、「詳細についてはお答えしておりません」の一点張りで、父母同伴を実施しているかどうかも明らかにしなかった。

 
 フジが入社式の父母同伴を公表したがらないのは、おそらく、このルールが例の悪名高い「コネ入社」と密接に関係しているからだろう。

「フジテレビはコネ入社が多いため、入社式も当人よりコネの直接の関係者である親へのお披露目という意味があるんじゃないでしょうか。実際、始まりはある大物実業家のご子息が入社した際に、母親が入社式を見たいと言いだしたのがきっかけだという説もあります」(前出・フジテレビ関係者)

 たしかに、フジテレビはテレビ局のなかでも、とびきりコネ入社が多いことで知られている。有名人の子弟も多く、芸能関係では、前述の陣内孝則の長男、高橋英樹の娘・高橋真麻はもちろん、俳優・宇津井健やミュージシャン・ムッシュかまやつの長男、生田斗真の弟......。ジャニーズ事務所の副社長でメリー喜多川の長女である藤島ジュリー景子も、役員秘書室に在籍していた。

 作家の子供も、放送業界の重鎮である永六輔の次女、小説家の遠藤周作や黒井千次の息子、山田太一の娘などがいるし、政治家も中曽根康弘元首相の孫、先日、路チューで話題になった中川郁子政務官の長女、さらには、安倍首相の実弟、岸信夫衆院議員の次男も昨年、同局に入社した。


「他にも、大物財界人の子息、広告代理店やスポンサー筋の関係者、大手出版社幹部の子供などがたくさんいます。社員の半分以上はコネ入社といっていいでしょう」(前出・フジテレビ関係者)

 つまり、フジテレビには現代の特権階級とでもいうべき人間が集まっており、その社員と関係者の間である種の閨閥のようなものが形成されているのだ。そして、父母同伴の入社式はいわば、その閨閥の新しいメンバーのお披露目というわけである。

 それにしても、公共の電波が生み出す利権を独占し、コネ入社によって、その甘い汁を関係者に継承していくテレビ局の体質のなんとグロテスクなことか。古賀茂明氏の発言などよりこの構造のほうがはるかに「放送法違反」だと思うのだが......。
(時田章広)