天皇の即位パレード「祝賀御列の儀」が台風19号の被害に配慮して延期になった。当然だろう。
ところが、この延期は新天皇の強い希望によるもので、安倍政権、首相官邸はギリギリまでパレードを予定通り強行しようとしていたというのだ。宮内庁担当記者が語る。
「天皇陛下は台風19号の被害が明らかになった直後から、パレードの延期を主張されていたようで、15日の段階で宮内庁から官邸の皇室担当である杉田和博官房副長官に、陛下の意向が伝えられた。ところが、首相官邸は準備が進んでいることを理由にこの要望を一蹴、逆に陛下を説得するよう宮内庁に命じたんです」
実際、菅官房長官は15日の記者会見で、パレードの準備を「淡々と進めていきたい」と延期するつもりがないことを明言。翌16日の会見でも、開催の是非を問われて「昨日、私が申し上げた通り」と答えた。
また、一部の新聞では、15日には、政府高官が「陛下のお気持ちもあるが、国民の期待がある」と語ったことも報じられている。この政府高官というのは、杉田官房副長官のことで、首相官邸も非公式に天皇が延期を希望していたことを認めていたのだ。
一方、宮内庁は西村泰彦次長が会見で、「天皇皇后両陛下には、台風19号による大雨災害で多数の方々が犠牲となり、また、依然として多くの方の安否が不明であること、数多くの方々が被災されていることに大変心を痛めておられます」と天皇の心情を説明したが、これは天皇の心情を国民に説明して、パレードに応じてもらおう、という作戦だったといわれている。
しかし、それでも、天皇の抵抗は強く、頑として首を縦に振らなかった。そして、報告を受けた首相官邸もようやく説得を諦め、17日なって、延期を判断したというのが、事の真相なのだ。
つまり、天皇自身が被災者を配慮してパレードを延期しようとしているのに、国民の側に立たなければならないはずの安倍首相や菅官房長官は、被災地のことなんて全く無視してパレードを強行しようとしていたのである。
本サイトは安倍首相が以前から災害被害者に対して冷酷な対応を繰り返していたことを指摘し、今回の台風19号でも被害拡大の最中に私邸に帰り、ラグビーに大はしゃぎしていたことなどを伝えたが、この姿勢こそ、被災者ないがしろの典型と言っていいだろう
しかも、姑息なのは、17日、この延期決定を公表した際の安倍首相のやり口だった。まず、安倍首相が被災地訪問した際、同行記者団に「今回の被災状況を踏まえて延期する方向で検討している」と発言、これを受けて、菅官房長官が会見で「首相から延期の方向で検討するよう指示があった。宮内庁と相談し、あくまで内閣として判断した」と説明し、まるで安倍首相の「英断」のようなストーリに仕立ててしまったのだ。
苦しむ国民を平気でないがしろにし、天皇の意向まで自分の手柄にしてしまう独裁者ぶり。日本国民はこんな“逆賊”をいつまで総理大臣の椅子に座らせておくのだろうか。