本日5月3日、日本国憲法の施行から78年となる憲法記念日を迎えた。憲法改正を党是とする自民党は昨年の衆院選で大敗を喫し憲法改正の国会発議に必要な3分の2を失ったこともあり、改憲は遠のいているようにも見える。
玉木代表はSNS の駆使とともに「手取りを増やす」と喧伝したことで若者・現役世代から圧倒的な支持を集めており、7月の参院選でも大幅に議席を増やすことは必至。もし参院選で自公が過半数を割ることになれば自公と国民民主が連立を組み、玉木氏が総理大臣として担ぎ出される可能性だってある。非自民で連立政権を組んだ場合は、その可能性はもっと高まるだろう。
だが、玉木氏の台頭は、この国が一気に“危険な改憲”へなだれ込む大きなきっかけになるかもしれない。というのも、経済政策を強く打ち出す一方で玉木氏が声高に叫んできたのが「緊急事態条項の創設」だからだ。
そもそも、国民民主といえば、2019年の参院選では立憲民主党や共産党、社民党など5野党・会派で13項目の共通政策に合意、統一候補の一本化など野党共闘でたたかった。この際、玉木代表も合意の署名をおこなった市民連合と5野党・会派の「共通政策」では、安倍政権が進めようとしている改憲に反対し、改憲発議をさせないために全力を尽くすことが明記されていた。
ところが、玉木氏は選挙が終わって1週間も経たないうちにYouTube番組内で「私ね、生まれ変わりました! 安倍総理、たしかに総理の考えと私、違いますけど、憲法改正の議論はしっかり進めていきましょう!」などと発言。この時期あたりから玉木氏は保守層を取り込むべく、改憲、とりわけ緊急事態条項の創設を打ち出すようになっていった。
実際、国民民主は2023年に日本維新の会や衆院会派「有志の会」の2党1会派で緊急事態条項の条文案を公表し、昨年9月に発表した「2024年重点政策」においても〈大規模災害時などの緊急事態に国会機能を維持するための憲法改正〉と明記している。
そして、玉木氏は衆院憲法審査会の委員として緊急事態条項の創設を主張。「自民党の憲法改正は保守層をつなぎ止めるための“やるやる詐欺”になっている」「熱意と本気度が感じられない」などと自民にマウントをとったり、「私たちの緊急事態条項が成立してもナチスは出てこない。緊急事態条項=戦争国家づくりとのレッテル貼りはやめろ」と反対野党を攻撃してきた。
しかも、玉木氏の改憲への入れ込みぶりは、自民党の穏健派のようなプラグマティックなレベルにとどまるものではない。ある時期から、極右・歴史修正主義勢力と連動するような動きまで見せるようになった。
たとえば、玉木氏は日本会議の機関誌「日本の息吹」2024年1月号の特集「今年こそ、憲法改正実現の年へ」において「肝心の自民党に覚悟が足りない」とコメント。昨年5月30日に開かれた日本会議系の改憲イベント「国民の命と生活を守る武道館1万人大会」に登壇した際にも「我々はたぶん、もっとも熱心に緊急事態条項に取り組んできた政党だと思います」とアピール。ちなみに、2023年5月3日に開催された日本会議系の改憲集会に参加したときには、いかに改憲に向けて取り組んでいるのかを強調したほか、「櫻井よしこ先生に少しでも日本男児と認めていただけるかな」などと媚を売ってみせている。
しかも、玉木氏は緊急事態条項だけでなく9条改正の野心も持っている。2022年、足立康史氏らとYouTube番組に出演した際には、9条2項の削除の本音を持っていることを示唆した上、「安全保障の議論というのは、いついかなるときに日本国民は血を流す覚悟ができるかということなんですよ」と発言している。
2019年には護憲派の憲法集会に参加していたというのに、一転して改憲を振りかざし極右にまですり寄る変節ぶり──。これだけでもいかに玉木氏が信用ならない人物なのかがよくわかるが、もっと呆れるのが、この玉木氏の改憲への策動が例の不倫関係と一体化していたことだ。
周知のように、玉木氏は昨年11月、元グラビアアイドルで高松市の観光大使を務めていた小泉みゆき氏との不倫関係を「FLASH」電子版で暴露されたが、この小泉氏が玉木氏の出席する憲法審査会に足繁く通っていた。
憲法審査会の傍聴者は、多くの場合が議員や党の関係者を通じて申請、傍聴券を得て参加しているといい、小泉氏も玉木氏を通じて傍聴に訪れていたと見られている。小泉氏が衆院憲法審査会の傍聴に訪れるようになったのは2年ほど前からで、すでに玉木氏と不倫関係にあったと言われている時期と重なる。つまり、玉木氏は不倫相手を国会に招き入れ、自らの勇姿を見せつけていた、というわけだ。
しかも、小泉氏はたんに傍聴していただけではなく、昨年に入ってからは「静かにさせて!」「黙れ!」などとヤジを飛ばすようになっていたという。
この問題を報じた「週刊文春」(文藝春秋)の取材に応じた傍聴参加者は、小泉氏の様子について、こう証言している。
「玉木氏の発言に対して傍聴席からヤジが飛ぶと、小泉さんが立ちあがってその人物を指さし、衛視に注意するよう求めるようになったのです。厳しい口調に加え背が高いこともあり、その場をコントロールしているかのような、高圧的な印象を受けました」
「国民民主党は憲法改正賛成の立場ですが、それに反対する護憲派の傍聴者らは咳をしただけでも小泉さんに睨まれるようになり、年配の方たちはすっかり委縮してしまっていた。彼女が傍聴席の空気を支配していました」
実際、小泉氏自身もこの憲法調査会での行動を「見張り」だと称し、昨年5月、自身の旧Twitterでは〈木曜の見張りに今回は参加できず。みんなしずかにお話をきけたかな? 今日もうるさいなら更にゴリゴリの直談判するつもりだったけん、行きたかったな!〉などと投稿していた(現在は削除済み)。
先の「文春」記事によると、〈委員会室に入って来た玉木氏と小泉とが、アイコンタクトを交わしているように見えたこともあった〉というから、玉木氏は、不倫相手に護憲派の傍聴者を“威嚇”する役目を担わせていたのかもしれない。
しかも、玉木氏にはこの不倫相手である小泉氏を国民民主党から出馬させようとしていた疑惑がある。
実際、玉木氏は文春の取材に、党が正式に検討するには至っていないとしながらも、「小泉氏は政治への興味関心があったことから、玉木が個人的に国政に限らず何らかの選挙への立候補の可能性について話したことはあります」と認めている。
不倫が発覚したため小泉氏の出馬はなくなったが、報道がなかったら、そのまま小泉氏を参院選に小泉氏を担ぎ出し、改憲派の急先鋒として売り出していた可能性が高い。
愛人を自分が代表を務める公党の候補者に仕立てようとするとは驚きだが、この公私混同ぶりは、玉木氏が独裁者体質をもっていることの証左ともいえる。
減税や手取り増という甘い言葉に踊らされていると、その先にとてつもなく危険な事態が待ち受けていることを、国民は認識しておくべきだろう。