事実上封鎖のホルムズ海峡…石油タンカーの足止め続く

 イラン情勢の混迷により、事実上のホルムズ海峡封鎖が続いています。

 原油価格の高騰を受け、3月19日から「ガソリン補助金」が復活しましたが、26日からは4年ぶりとなる石油の「国家備蓄」放出がスタートしました。

 実は、日本の石油備蓄量は“世界最大級”とも言われています。

しかし専門家は「今必要なのは節約」だと指摘。そして、その節約を妨げているのが、ほかならぬ補助金だと言うのです。

 ガソリン補助金の問題点とは?そして、なぜ今節約が必要なのか?桃山学院大学・小嶌正稔教授に聞きました。

「終わりのない価格抑制策」再開されたガソリン補助金…3つの問題点とは?

【ガソリン】今必要なのは「節約」?補助金は「脱炭素政策と矛盾...の画像はこちら >>

 原油価格の高騰を受け、19日から再開された「ガソリン補助金」。170円/1L超える分が全額支給されていますが…

 桃山学院大学・小嶌正稔教授はこの補助金には問題点が3つあると指摘します。

 (1)補助金の終わりが未設定
 「終わりの見えない価格抑制策」になっている
 →補助金本来の目的である「急激な価格変動の緩和」でなく

 (2)補助金が主にガソリンだけ
 実際生活に影響するのはプラスチック製品・衣料品・原材料など
 →物価高騰の抑制政策では不十分

 (3)脱炭素との矛盾
 脱炭素を掲げていながらガソリン価格を補助金で抑制
 →本来なら“脱石油”を促すべき

「国内消費の1か月分」石油の国家備蓄放出がスタート

【ガソリン】今必要なのは「節約」?補助金は「脱炭素政策と矛盾」?石油の国家備蓄が放出スタート 在宅勤務・カーシェアなどIEAは対策提言【専門家解説】
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 一方、26日からは石油の国家備蓄放出がスタート。国内で消費される1か月分の石油=約850万kLが全国11か所から順次放出されます。

 3月16日からの民間放出分と合わせて、国内需要の約45日分が市場に出回る見込みです。

 さらに、石油業界4団体の幹部らは26日に赤沢経済産業大臣と面会。第2弾となる国家備蓄の放出を5月にも行うよう要望したということです。

日本の備蓄量「約248日分」アジア各国と比較すると…

【ガソリン】今必要なのは「節約」?補助金は「脱炭素政策と矛盾」?石油の国家備蓄が放出スタート 在宅勤務・カーシェアなどIEAは対策提言【専門家解説】
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 今年1月末時点で「約248日分」存在すると言われている日本の石油備蓄量。アジア各国と比較してもその多さが分かります。

 <アジア各国の石油備蓄量>
 ▼日本     約248日分(今年1月末時点)
 ▼韓国     約200日分(緊急需給調整命令)
 ▼フィリピン  約45日分(非常事態宣言・日本に支援要請)
 ▼ベトナム   約32日分(日本に支援要請)
 ▼インドネシア 約23日分
 ※現地メディアなどによる

今必要なのは『節約』?「補助金が節約を妨げている」

【ガソリン】今必要なのは「節約」?補助金は「脱炭素政策と矛盾」?石油の国家備蓄が放出スタート 在宅勤務・カーシェアなどIEAは対策提言【専門家解説】
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 世界的に見ても、石油備蓄量の多い日本。しかし、今必要なのは「節約」だと小嶌教授は指摘します。

 短期的には節約は不便ですが、中長期に見ると“脱石油”を進めることになり、「中東依存の低減」「エネルギー供給の安定化」につながると言うのです。

 また、市場原理の観点から「補助金なしでガソリン価格が上がる方が節約につながる」と指摘。

「現状の政策は節約を妨げている」と述べています。

IEAが提言「10項目の対策」在宅勤務・カーシェア・公共交通機関…

【ガソリン】今必要なのは「節約」?補助金は「脱炭素政策と矛盾」?石油の国家備蓄が放出スタート 在宅勤務・カーシェアなどIEAは対策提言【専門家解説】
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 また、IEA(国際エネルギー機関)は、消費者に与える影響を緩和するために「10項目の対策」を提言。

<IEAの提言>
(1)可能な限り在宅勤務
(2)高速道路の速度制限を時速10km引き下げ
(3)公共交通機関の利用促進
(4)自家用車のナンバープレートによるローテーション制度導入
(5)カーシェアの拡大とエコ運転の推進
(6)商用車および貨物輸送における効率的な運転
(7)LPガスを輸送から生活用途へ
(8)代替手段がある場合は航空機の利用を避ける
(9)調理をLPガスから電気へ切り替える
(10)産業界は石油消費を削減し業務効率化を

 私たちの生活に直接関わるものとしては、高速道路の速度制限引き下げ、在宅勤務の推奨、公共交通機関の利用促進などが挙げられています。

 原油の9割以上を中東からの輸入に頼ってきた日本。「脱中東」「脱石油」を含めたエネルギー政策を考える時期に来ているのかもしれません。

 (2026年3月27日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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