旧統一教会の内部ではいまなにが…現役職員に独自取材

 3月4日に東京高裁が旧統一教会への解散命令を決定してから3週間。清算人が入り、手続きが進められている教団内部でいまなにが起こっているのでしょうか?今回は、教団の現役職員に独自取材を敢行しました。

 そして宗教法人でなくなった団体と、信仰を続ける信者たちの今後は…信仰2世で、32歳で脱会した元信者にも話を聞きました。

「解散命令が認められショックが大きい」旧統一教会職員の男性

【独自取材】旧統一教会・現役職員が語る本音 解散命令に「教会...の画像はこちら >>

 (旧統一教会 職員)「平日は毎日、本部に勤務してたので、それがまったくゼロになって渋谷に来ることもなくなった」

 通勤のため毎日のように歩いていたという渋谷の道。旧統一教会の職員の男性(30)です。教団の広報渉外局に在籍し、メディア対応などの業務に従事してきたといいます。

 到着したのは、「職場」だった教団本部。いまは中に立ち入ることすらできません。

 (旧統一教会 職員)「解散命令の決定が出ないようにという思いでいろいろな業務に走ってきたので、それが認められてしまったということで、ショックとしては大きい

男性の日記に記された解散命令当日の様子は?

【独自取材】旧統一教会・現役職員が語る本音 解散命令に「教会改革が一蹴。正直“そりゃないでしょう”」それでも揺るがぬ信仰心 献金は「尊い行為で咎められるものではない」
MBS

 3月4日、東京高裁から「解散」を命じられた旧統一教会。その判断が示された日も、男性はいつも通り本部に出勤していたといいます。その日の日記には…

 【旧統一教会・職員の日記より】
 「悲しみの1日。11時の決定から、瞬く間に清算人が入ってきて、あっという間に手続きが進んでいった」

 解散命令によって「宗教法人」ではなくなり、裁判所が選任した清算人の弁護士によって、教団の財産を処分する手続きが始まっています

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 東京高裁の決定文によると、教団の総資産額は約1000億円。その資産の一部でもある全国に約280か所あった教団施設。その一つに記者が訪れると、扉には、建物がすでに清算人の管理下にあることが記された告示書が張り付けられていました。

 さらに、公式ホームページも閉鎖。教団は内外に向けてメッセージを発信する手段を制限されています。

東京高裁の決定の日から命じられた“自宅待機” 「生活が成り立つのか…」

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 男性によりますと、教団の職員たちは東京高裁の判断が出た時点から、清算人によって自宅待機を指示されているといいます。

 (旧統一教会 職員)「清算人からは、職員はいずれ解雇になっていく方向ではあるけど、給料に関しては、解散命令時点で残っている財産から支払われていくと聞いてます。解散になったら別の仕事に就こうとか思ってもいなかったですし、“生活が成り立つのか”というか、そういう不安はあります

解散命令への受け止めは…

 合同結婚式で結ばれた両親のもとに生まれ、幼いころから教義に触れて育ってきたという職員の男性。

 大学を卒業したのち関連団体の職員を経て、2020年に教団の正職員となりました。

 今回の解散命令をどう受け止めているのでしょうか。

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 (旧統一教会 職員)「“反省が十分ではない”というご指摘はあるかもしれないですけど、精一杯の努力をして、いわゆる教会改革ということで、それが一蹴されたような形で正直“そりゃないでしょう”みたいな思いはありますね
―――納得できないということ?
 (旧統一教会 職員)「はい、そうですね」

献金は「尊い行為」で咎められるものではない そう語る男性の真意は

【独自取材】旧統一教会・現役職員が語る本音 解散命令に「教会改革が一蹴。正直“そりゃないでしょう”」それでも揺るがぬ信仰心 献金は「尊い行為で咎められるものではない」
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 東京高裁は決定文の中で、高額献金の問題について「極めて悪質」などと指摘しています。

 しかし、男性は、献金は「尊い行為」であり、そもそも咎められるものではないと主張します。

 (旧統一教会 職員)「献金を捧げるご本人にとって、それ(財産)を捧げるということは、すごく神聖な行為でもあると思うんですよね。その中いろいろな思いがあってされていることだと思うので」

「教団の形が変化しても職員として組織を支えたい」

【独自取材】旧統一教会・現役職員が語る本音 解散命令に「教会改革が一蹴。正直“そりゃないでしょう”」それでも揺るがぬ信仰心 献金は「尊い行為で咎められるものではない」
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 そして、これからも信仰心は「ゆるがない」といいます。

 (職員)「“お守り”みたいな感じで入れているんですけど。家庭連合の創設者の文鮮明先生と韓鶴子総裁の写真ですね。われわれは“お写真”と呼んでいますけど。私にとっては、たいへん尊敬できる、“生き様をモデルにしたい方”みたいな感じです」

 男性は「今後、教団の形が変わっても、再び職員として働き組織を支えていきたい」と話しました。

 一方で、解散に「安堵した」と語る人もいるようです。

32歳で脱会した元信者 そのきっかけは?

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 (田村一朗さん・仮名)「正直、安堵しました。(解散を)高裁も認めたのでよかったなと思っています」

 田村一朗さん(仮名)44歳。2014年、32歳の時に旧統一教会を脱会した元信者です。

 (田村一朗さん・仮名)「献金がずっと続く中で、本当に周りの信者の人たちが苦しい目に遭っている。大変な目に遭って、自死してしまう“2世”の人とか、病気になったのに保険証がなくて病院にもかかれない信者さんですとか。“おかしいじゃないか”と。そういう葛藤がすごく芽生えたことがありまして。脱会へつながる大きなきっかけにはなりました」

幼い頃から目の当たりにした「両親が信者に献金を要求する姿」

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 田村さんが小学校低学年のときに、勧誘を受けた両親が入信。両親に連れられて教会に通うようになり、自身も自然の流れで信者となりました。

 いわゆる「信仰2世」に該当します。両親は地元の教会で責任者の立場にあったといい、信者たちに電話をかけ献金を要求する姿を、幼少期に何度も目にしたと振り返ります。

 (田村一朗さん・仮名)「信者の悩みとか苦しみとか、子供がああだとか、夫がああだとか、ひたすら聞いて、“それから救われるためには、お父様(文鮮明氏)が願っているから、なんとか(献金を)いくらできないか”と。話を聞いて、聞いて、気持ちを解きほぐしながら、献金をしてもらうと
―――そういう姿を幼いながらに見てどう思っていた?
 (田村一朗さん・仮名)「疑わなかったんですよね、私の親は(教団に)貢献しているんだと。

やらなければいけないんだと」

「同じ2世の人たちを踏みつけてきたんだ」山上被告に抱く罪悪感

 教団の高額献金問題が注目されるきっかけとなったのは、山上徹也被告が起こした安倍元総理銃撃事件でした。

 自身の親が「献金を求める側」だった田村さんは、その山上被告に対して「罪悪感がある」と話します

【独自取材】旧統一教会・現役職員が語る本音 解散命令に「教会改革が一蹴。正直“そりゃないでしょう”」それでも揺るがぬ信仰心 献金は「尊い行為で咎められるものではない」
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 (田村一朗さん・仮名)「彼も私も“信仰2世”という区分に入る。同じ区分、同じ立場で年齢も本当に似ている、同じくらい。私が彼のように、ただ統一教会に苦しめられることがあってもおかしくなかったんですけど、私は“逆”だった。貧しくはなかったし、逆に韓国語を習得するとか、自分の人生のベースになる部分を築けましたし、やっぱり“あの中”は、私にとっては居心地が良かった。おいしい思いをしてきたわけですよね、私自身が。そのことで本当に苦しんでいる、山上被告みたいな、ただただ苦しんでいる、同じ2世の人たちを踏みつけてきたんだと、自分は

信仰心を抱き続ける2世の行く末は…憂える元信者

 教団に対して下された解散命令。ただ、田村さんは、両親は今後も信仰を続けていくだろうと話します。

 (田村一朗さん・仮名)「もう説得はしません。絶対無理です。(両親は)“真の父母”と言われた文鮮明・韓鶴子夫妻のことを考えながら、そのためにということで、何もかもを犠牲にしてやってきた。今回、解散になったので、『ああ、やっぱり間違っていた』と、もしかしたら内心では思っているかもしれません。であっても、意地でも認められないと思うんですよね」

【独自取材】旧統一教会・現役職員が語る本音 解散命令に「教会改革が一蹴。正直“そりゃないでしょう”」それでも揺るがぬ信仰心 献金は「尊い行為で咎められるものではない」
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 また、田村さんは、いまなお信仰心を抱き続けている、2世たちの行く末を憂えています

 (田村一朗さん・仮名)「解散ということで、『反社会的な団体』だと烙印を押されてしまった。“でも、私はそこが出自なんだ”と。このパラドックス(逆説)がある中、今後どういう動きを彼らはするのだろうかと」

解散命令が多くの信者の信仰心をより強固に?

【独自取材】旧統一教会・現役職員が語る本音 解散命令に「教会改革が一蹴。正直“そりゃないでしょう”」それでも揺るがぬ信仰心 献金は「尊い行為で咎められるものではない」
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 旧統一教会の内情を長年、研究してきた宗教学者は、解散命令によって2世を含む多くの信者が、かえって信仰を強固なものにしていくと分析しています。

 (北海道大学・宗教学者 櫻井義秀特任教授)「キリストの『受難』と同じで、正しいがゆえに迫害されるという。そういう物語を旧統一教会の方では作るでしょうし、そのシンボルに、韓鶴子総裁がたとえば、刑務所の中にいなきゃいけないということであれば、“これは自分たちの信仰が足りないがゆえに、身代わりとなっているのだ”とか。そういうような発想を持つんじゃないかなと思いますね」

 教団側は解散命令について「宗教の自由という優越的人権をはく奪するもの」などとして最高裁に特別抗告しています。

 そして、「法人格を否定されても宗教活動を行っていく」と表明しています。

(2026年3月27日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特命取材班スクープ』より)

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