自転車で坂道を走っていたら、背後から警察官に服をつかまれて転倒___違法な職務質問で後遺症を負ったとして、40代の男性が約640万円の賠償を求めて裁判を起こしました。

「普段の生活もそうですし、仕事中も痛み・違和感を感じてつらいというのがある。

これからどうなるか分からない」

原告の会社員の男性(40代)は、転倒から約2年が経った今も、左膝に痛みやしびれが残り、立ちながらの仕事に影響が出ていると話します。

転倒の原因となったのは「警察官の職務質問」でした。

訴状などによると、男性は2024年5月12日の朝、飲食店で朝食をとったあと、大阪府八尾市の近鉄久宝寺口駅近くの道路を、自転車で自宅に向かっていました。

道路を走っていたパトカーが横を通り過ぎ、前方の離れた場所で停車。歩道に警察官が出てきました。自転車から約20~30m離れた場所で、警察官が大きく手をあげましたが、男性は何を意図しているか分からず、幹線道路で騒音も大きかったこともあり、通行止めかと思い、左折したということです。

左折して坂道を下っていると、突然背後から、警察官に服の右脇腹あたりをつかまれ、バランスを崩して自転車ごと転倒。全身を強く打って、立ち上がることができなかったといいます。

男性は背後から警察官が追いかけてきていることに、気づいていなかったということです。引き倒した警察官からは何も説明されず、パトカーに乗っていた別の警察官らが駆けつけ、119番通報。

その際、駆けつけた警察官が引き倒した警察官に「謝れよ」などと話したということですが、謝罪はなかったといいます。

男性は救急車で病院に運ばれ、左膝の打撲など全治10日間の打撲と診断されましたが、現在も左膝に痛みやしびれなどの後遺症があるということです。


後日、男性が大阪府警に説明を求めたところ、「自転車の前カゴに空のペットボトルが入っていたことから、放置自転車を盗んだのではないかと思い職務質問しようとした」と説明されたということです。

原告の会社員の男性(40代)「自転車も僕のもので間違いないですし、何も悪いことはしていない」

男性は自ら大阪府警に対し賠償を求めましたが、府警側が支払いの意向を示したのは、ケガの治療費など11万円のみでした。

弁護士を立てても、府警側の姿勢に変化はなかったため、ついに提訴に踏み切ったということです。

男性側は「適合性・必要性・相当性、いずれの観点からも違法」として、大阪府に対し約640万円の賠償を求めています。

原告の会社員の男性(40代)
「職務質問は本当は任意でするものです、ケガをさせることはあってはならない。後遺障害という診断書も出してもらっている。認めて欲しい」

(いずれも4月8日の記者会見)
原告代理人・辻本典央弁護士
「まったくの無実の方が、職務質問の名のもとに自転車で引きずり倒されケガをした。自転車から引きずり降ろしてまで質問をするべきなのか。警察の限度を超えている」

原告代理人・松田真紀弁護士
「損害賠償額は交通事故などを基準とした。ケガをしたらこれくらいを請求するのが一般的な基準。これが公権力の行使になると11万円しか補償しなくていいのか。公職の活動をされるのはわかるが、損害が起きて正しく補償されなくていいのか、常識的に感じていただきたい」

原告代理人・松本亜土弁護士
「職務質問は任意。
警察としてもう一度原則を振り返って、周知徹底してほしい。職務質問の要件を仮に満たすとしても、いきなり坂道でつかむのはやりすぎだと思う。笛をふいたり、容易に他の手段はあると思います」

大阪府警は8日時点で、「訴状が届いていないので回答は差し控えます」とコメントしています。

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