元兵庫県警刑事部長の見立ては

 4月8日、大阪府和泉市の集合住宅の一室で、住人の女性2人が死亡しているのが見つかりました。警察は殺人事件と断定し捜査を開始しています。

 現場周辺からの中継を交え、元兵庫県警刑事部長などとして多くの事件を指揮してきた棚瀬誠氏に現状からわかること、そして今後の捜査のポイントを聞きました。

棚瀬誠:元警視庁キャリア・元兵庫県警警察本部刑事部長、捜査の最前線に三大木、国内・海外で従事

【目次】
▼「強い殺意を持つ何者かの犯行」その背景は
▼考えられる可能性「侵入者」「合鍵を持つ人」「招き入れられた人」
▼犯行の標的は誰だったのか…
▼犯行時の物音や被害者の叫び声は?

集合住宅で女性2人が死亡 「強い殺意を持つ何者かの犯行」か

【大阪母娘殺害】今後の捜査のポイントは「侵入経路」と「犯行の...の画像はこちら >>

 4月8日、大阪府和泉市の集合住宅で死亡しているのが見つかった母親と娘。警察は殺人事件と断定し捜査を開始しました。事件の経緯を振り返ります。

 集合住宅の一室で見つかった女性2人の遺体。母親の村上和子さん(76)と、娘で社会福祉士の裕加さん(41)。

 8日午前11時頃、裕加さんの職場から「出勤していない」と親族に連絡があり、その後親族が室内で1人が血を流して倒れているのを発見し110番通報。かけつけた警察が倒れている2人を発見しました。

 死亡推定時刻は8日午前4時頃と見られていて、死因は首を刃物で切られたことによる「失血死」。2人の頭や首、背中には複数の刺し傷や切り傷があり、身を守る際にできたとみられる「防御創」もあったということです。裕加さんの右肩には殴られた痕もあったということで、

 警察は、遺体の状況などから強い殺意を持つ何者かの犯行とみて殺人容疑で捜査しています。

大阪・和泉市の現場周辺からMBS上田アナの報告

【大阪母娘殺害】今後の捜査のポイントは「侵入経路」と「犯行の“標的”」か 玄関は無施錠、首から上を複数回刺す犯行から見える“強い殺意” 血の付いた刃物はいまだ見つからず【元兵庫県警幹部が解説】
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 事件は、大阪府和泉市のJR阪和線・北信太駅から約1kmのところにある集合住宅で発生しました。

 MBS上田芹莉アナウンサーの取材によると、現場周辺について近隣住民はかなり静かで住みやすい町と話しているということで、「この町でこんな事件が起きて不安」という声も聞こえてたということです。

 集合住宅の目の前には道路がありますが、車通りはかなり多い一方、人通りはまばらな印象で、近隣住民によると、夜間はさらに人通りが少なく、かなり静かなエリアだということです。

事件当日に何か変わった物音や騒音などなかったか

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 同じ集合住宅の別の棟に住民によると、事件当日に何か変わった物音や騒音などは確認できなかったということです。また、この付近は市が設置した防犯カメラがあるということですが、上田アナが歩いてみたところなかなか確認することができず、防犯カメラの数は少ない印象だったということです。

 住民はこの集合住宅について、高齢の住人がかなり多く、近所付き合いなど住人同士の繋がりもほとんどないと話しました。

 その一方で、被害にあった母娘は、普段から2人で近くの寺に通っていたということです。寺の関係者は、2人とも「明るく仲が良かった印象だった」ということです。
 最後に会ったのは日曜日で、「2人の様子は何も変わりなくいつもと同じ。誰かとトラブルがあったという話は全く聞いていない」ということでした。

元兵庫県警刑事部長があげる捜査のポイント ①犯行時刻と侵入経路

【大阪母娘殺害】今後の捜査のポイントは「侵入経路」と「犯行の“標的”」か 玄関は無施錠、首から上を複数回刺す犯行から見える“強い殺意” 血の付いた刃物はいまだ見つからず【元兵庫県警幹部が解説】
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 元兵庫県警刑事部長などとして多くの事件を指揮してきた棚瀬誠氏に事件について話を聞きました。

 棚瀬氏は午前4時頃という死亡推定時刻などから「犯人の侵入経路が気になる」と話します。

 (棚瀬誠氏)「閑静な住宅街で、死亡推定時刻が午前4時頃。おそらく刺されたタイミングは3時~3時半頃だと思われます。まさに寝静まった時間に犯人がどう侵入したのか。場合によっては招き入れられていた犯人が、この時間に犯行に及んだということも考えられます

「首から上を凶器で刺す」強い恨みの念か

【大阪母娘殺害】今後の捜査のポイントは「侵入経路」と「犯行の“標的”」か 玄関は無施錠、首から上を複数回刺す犯行から見える“強い殺意” 血の付いた刃物はいまだ見つからず【元兵庫県警幹部が解説】
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 警察は殺人事件として捜査本部を設置。「強い殺意を持つ何者かの犯行」と見て捜査を進めています。この「強い殺意を持つ何者かの犯行」の背景について棚瀬氏は、遺体の状況について指摘します。

 (棚瀬誠氏)「首から上を凶器で刺すというのは、素人ではなかなか逡巡します。

首から上を刺すという段階で強い殺意が感じられますし、複数刺しているとなると、強い恨みの念が印象としてあります」

「侵入者」「合鍵を持つ人」「招き入れられた人」

 リビングで母親、そして台所で娘が寝巻きとみられる服装で倒れていたということが分かっています。玄関は施錠されておらず、台所に包丁はありましたが、血はついていませんでした。

 (棚瀬誠氏)「2人が刺された順番も含めて、司法解剖の結果を待つところではありますが、やはり気になるのは、玄関が空いていた点です。午前3時~3時半頃に押し入ったということであれば、物音などがあって然るべきです。場合によっては合鍵を持っている人ということも考えられますし、場合によっては招き入れられた人間がこの時間に犯行していたということも考えられますし、様々な可能性を視野に捜査しているものと考えられます」

ポイント②「犯行の標的は誰だったのか」

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 面識がある人物による犯行なのか、あるいは物取り目的による犯行なのか。様々な可能性が考えられる中で、棚瀬氏は「犯人の標的が誰だったのか」をポイントとして挙げました。

 (棚瀬誠氏)「犯人がまさに殺害しようとしていた相手が、どちらか1人だったのか、そもそも2人を殺害するつもりだったのかで動機が全く変わってきます。そういった意味では捜査のバリエーションが出てくるのではないかと思います」

 (棚瀬誠氏)「どちらか一方が刺された後、どちらかが抵抗、あるいは逃げるという営みがあった場合部屋の中は散乱していると思います。物取りなのか、ただ散乱したのかというのは、現状もう警察が捜査してるのではないかなと思いますが、決して物取りの線がなくなっているということではなく、様々な可能性を視野に捜査しているということになります」

 一方で、物取り目的で侵入し、住人が2人いる状況で凶器で脅すということは考えられるが、わざわざ首の上を複数回刺すというのは、シンプルな物取りとしては考えにくいのではないかと指摘しました。

▼犯行時の物音や被害者の叫び声は?

 閑静な住宅街で2人が刺されて殺害され、その時の物音や叫び声は凄まじいものがあったというふうに予想されます。

 (棚瀬誠氏)「2人が寝ているタイミングでの犯行となると、さすがに1人は悲鳴をあげる間もなく絶命した可能性はあろうかと思います。そのバタバタにもう1人は気づくはずで、その時に『ギャー』とか『助けて』とか、そういったことがあったのではないかなと思います。ただその声が近隣に届いたかどうかというのが、まさにこの集合住宅の特徴によるところということだと思います

 警察の発表ではトラブルの相談などはなかったということですが、棚瀬氏が挙げた捜査のポイント、
▽犯人がどう侵入したのか、
▽犯人の標的はなんだったのか
などの点も含めて、捜査が進められている状況です。

(2026年4月10日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より) 

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