大阪と愛媛に本社を置く「リブドゥコーポレーション」。主力商品である大人用の「紙おむつ」は、技術の進歩と需要の高まりを受けて“人生100年時代”に欠かせない商品のひとつとなっている。
会社のモットーは「生きるチカラを応援する」。排泄という当たり前のことができなくなった時、精神的につらい思いをする人が少なくない。おむつを使うことで、尊厳を回復し、明日も頑張って生きようという力になれれば…。また2000年には“医療”の分野に参入。手術準備用キットの製造や販売も手掛け、“介護”と“医療”の2本柱で、さらなる成長を目指す。
創業家出身のトップとして超高齢化社会の生きやすさを追求する宇田知仁社長に迫った。
「すごい」「面白いね」 モノづくりの原点は“友人たちの反応”
――――子どもの頃は、どんな少年でしたか?
小児喘息があり、活発なほうではなくて。どちらかというと何かを作るのが好きで、4コマ漫画を描いたり、すごろくを作ったりして遊んでいました。凝り性なので細かく凝ったものを作るのですが、友人たちが「すごいな」とか「面白いね」と言ってくれるのが楽しかった。そこがモノづくりの原点だったような気がしますね。
――――おじいさまが起業された会社ですが、子どもの頃から会社とは心理的に近かった?
創業の地は愛媛県の四国中央市にあります。私自身は大阪生まれ大阪育ちで、お盆やお正月など長期休暇のタイミングは家族で祖父の家に帰省していました。祖父の家の横が本社で工場もあったので、夏休みは朝に工場が始まるタイミングで一緒にラジオ体操したり、夜は工場の見回りに祖父と一緒に行ったり、親しみを持っていた場所ですね。
大学卒業後は化学品メーカーに入社「必ず違う会社で社会人をスタートしようと」
――――大学を卒業後、一度別の会社に入ったのはどうしてですか?
リブドゥしか知らない、しかも社長の息子である点は自分にとって良い経験にならないと思っていました。必ず違う会社で社会人としてスタートしようという気持ちがあり、化学品メーカーに入社しました。そこでの製造現場はとてもいい経験で、モノづくりがどうなっているのか、それを作るプロセスがどういう人たちによって構成されているのか、大変ななかで商品ができていくことを実感しましたね。
――――2010年にリブドゥコーポレーションに入社しましたが、なぜこの時期に?
ちょうどそのタイミングで創業者の祖父が病床にあり、私も29歳で、30歳手前の時期に入社することで祖父も安心するかなというところもありました。一戦力として普通の中途社員として扱ってほしいという思いで、社員と一緒に同じ仕事をして、同じしんどさや苦しみを味わいながら、切磋琢磨できたと思います。
「私の代には私なりの良さや環境の変化がある」
――――いざ社長になる時はどんな気持ちでしたか?
社長になると背負うものというか、従業員やそのご家族、お客さまも含めて関係する方が広くなる。その責任が非常に大きいなと。自分の判断一つで、それが崩壊してしまうかもしれないことを思うと、プレッシャーが大きいと思いました。
――――さまざまな会社の形態があるなかで、創業家が担っていく難しさは?
初代は創業者で祖父になりますが、2代目の父から「代々初代」、つまり「代々、初代の気持ちで、創業者の気持ちでやりなさい」と教えられました。もちろん創業家が続けていくところもあるのですが、その時々において、世の中から求められることは必ず変わってくるので、その意味ではその代に適した人がやるべきですし、それが創業家とも限らないという姿勢でいます。私の代には私なりの良さや環境の変化もあるでしょうし、そういうところを追求していきたいです。
「医療と介護」の連携が求められる今…「おむつ」が果たす役割とは
――――会社としては、最初はベビー用紙おむつを手掛けていたのですよね?
そうです。ベビー用の紙おむつが激戦となる中で、われわれの規模でこの業界に生きていて大丈夫なのかというところがあり、少し残念ですがベビー用紙おむつからは撤退しました。ただ、それだけでは会社として成り立たないので、代わりに新しくメディカル事業を立ち上げました。介護や治療行為に必要なもの、生きることに非常に重要なものを扱っています。
「医療と介護」は近いけれど遠くもあり、なかなか一緒に歩んでいく分野ではなかったのですが、最近では各地域に「医療と介護」を連携させていく動きも進んでいますので、改めて手をつないでいかないといけない分野だと思っています。
――――以前は大人になっておむつを着用して外出することに抵抗がある人もいたかもしれませんが、いまは安心して外に出かけられるなら、と思う人が増えましたね?
もちろん、紙おむつの技術も進み、「サラサラ」「着け心地がいい」といった機能面での進歩もあります。さらに今回、大阪・関西万博で「O-MU-TSU WORLD EXPO」が開催されて、カラー展開や、見かけだけではおむつと思えないようなデザインのものがあり、おむつに対しての抵抗感が薄れている、というのが時代背景としてあると思います。
「少しでも発展していくことをやり続ける」会社の未来に込める思い
――――今後、宇田社長はこの会社をどのようにしていきたいですか?
社長に就任する際に「永続的に進化・発展・成長し続ける会社にしたい」という話をしました。“続ける”という言葉を多用しています。「医療と介護」が進化・成長していく中で、少しでも我々も発展していくことをやり続けるんだという思いを込めて。そして結果として、続いているよねというふうになってほしいと思います。
―――最後に、宇田社長にとってリーダーとは?
凡庸でありたいです。凡庸の「凡」は平凡の「凡」、決して特別ではなく1人ではなく、仲間と一緒にいろいろなことを成し遂げたい。凡庸の「庸」は中庸の「庸」、時代や環境の変化に合わせて適切な姿に変わっていく、そんなリーダーでありたいと思っています。
■リブドゥコーポレーション
1965年創業者・宇田直正が、愛媛県川之江市(現在の愛媛県四国中央市)に設立。幼児用紙おむつやお産用パッドの販売を開始し、2000年には手術準備用キットの製造・販売など“医療”分野に参入。
■宇田知仁(うだ・ともひと)
1981年大阪府箕面市生まれ。2005年同志社大学経済学部を卒業後に化学品メーカーに入社。2010年リブドゥコーポレーションに入社し、経営企画や生産管理の要職を歴任。2024年社長就任。
※このインタビュー記事は、毎月第2日曜日のあさ5時30分から放送している『ザ・リーダー』をもとに再構成しました。『ザ・リーダー』は、毎回ひとりのリーダーに焦点をあて、その人間像をインタビューや映像で描きだすドキュメンタリー番組です。

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