連休・夏休みなど運転する機会が増える時期になると、ニュースで目にすることが多くなる逆走トラブル。標識などを見落としてしまった“うっかり”のほか、出口を誤って通り過ぎてしまい、わざと逆走して戻ろうとするケースもあります。

一方認知症が疑われ、判断力が低下していることが背景にあるという場合も。

「まさか自分がそんなことをするわけがない」と思いがちですが、専門家は「いつ誰が事故を起こしても、あるいは巻き込まれてもおかしくない」と警告します。

「高速道路での逆走」はなぜ後を絶たないのでしょうか。その原因と対策について、東海大学・鈴木美緒教授への取材をもとに解説します。

「海の日」に2人死亡の正面衝突事故 片方の車が逆走か

【相次ぐ高速道路逆走】原因の約半数は「道間違い」がきっかけ ...の画像はこちら >>

20日未明、奈良県香芝市の西名阪自動車道で軽乗用車2台が正面衝突し、2人が死亡しました。この事故の直前、現場近くの料金所付近で、車がUターンして逆走しているという内容の通報があったということで、警察はどちらかの車が逆走したとみて調べています。 

さらに13日には福岡県の八木山バイパスで、ダンプカーが逆走して対向車のトラックの運転手が犠牲になる事故が起きています。

高速道路の「逆走」件数 減っている?増えている?

【相次ぐ高速道路逆走】原因の約半数は「道間違い」がきっかけ うっかり出口を間違えてしまったら…正しい行動は? 認知症疑いの高齢ドライバーで「逆走の認識ない」ケースも
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後を絶たない逆走事故。しかし、意外にも過去10年間のデータを見ると、高速道路での逆走の発生件数自体は約1.5割減少しています。コロナ禍での外出自粛期から人の動きが戻ったことで直近はやや増加が見られるものの、長期的には増加しているわけではありません。

【高速道路での逆走発生件数】(国交省資料)
2015年:259件 → 2024年:220件

一方で、警察庁資料によると、高速道路での事故件数はこの10年ほどで約4割減少しています。事故全体が大きく減っている中で逆走事故の減少スピードが追いついていないため、相対的に際立って見える側面もあるかもしれません。

死亡率は約38倍!?逆走事故のおそろしさ

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逆走事故は「被害が重大化しやすい」と東海大・鈴木教授は指摘します。

正面衝突の事故となったとき、お互いの速度分のエネルギーが加算されるため、その衝撃は倍にとどまりません。

さらに急なハンドル操作によって重大な事故が起こるリスクもあるほか、夜間では正面から相手の車のライトが当たり距離感がつかみにくくなります。

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実際に、逆走事故での死亡割合は高速での事故全体に比べ約38倍、負傷率も約3倍に跳ね上がるというデータが出ています(国交省資料より)。

【高速道路の事故全体】
死亡:0.26%
負傷:9%

【逆走事故】
死亡:10%
負傷:28%

「うっかりミス」が原因で逆走してしまうケースも

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逆走が発生する原因は大きく分けて以下の2つです。

・道間違いがきっかけ:約5割
・認知症疑い:約4割

「道間違い」の代表例が、目的のインターチェンジやジャンクションを通り過ぎてしまい、本線上で強引にUターンしたり、ハザードランプをつけてバックで戻ろうとしたりする行為です。これらはすべて重大な逆走行為にあたります。

また、サービスエリアやパーキングエリアから本線に戻る際に進入方向を間違えるケースや、一般道から曲がって高速道路へ入る際に対向車線へ進入してしまうケースも少なくありません。

実は現役世代も多い!運転者の年代別にみる事故発生割合

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国交省資料によると、2011年~2023年に高速道路などで発生した逆走の件数は2654件。そのうち約7割は、運転者が「65歳以上」となっています。

【逆走の発生件数(2654件)と運転者の年齢】
75歳以上:45%
65歳~75歳未満:22%
30歳~65歳未満:24%
30歳未満:8%
不明:1% 

一方、逆走事故の件数で見ると、合計531件のうち、約5割が65歳未満の運転者によるものです。「自分は若いから関係ない」などと油断せず、誰もが当事者になり得る問題として認識する必要があります。

【逆走事故の件数(531件)と運転者の年齢】
30~65歳未満:34%
75歳以上:32%
65歳~75歳未満:19%
30歳未満:13%
不明:2%

高速道路で目的の出口を通り過ぎてしまったら…正しい対処法は?

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道間違いによる逆走の動機として多く挙がるのが、「先まで行って降りると時間がかかる」「次のインターチェンジまで行くと余計なお金(通行料金)がかかる」という心理です。

しかし、これは大きな誤解です。

高速道路で目的の出口を通り過ぎてしまった場合、無理なUターンやバックをしてはいけません。そのまま次のインターチェンジまで進み、有人の料金所のスタッフに「出口を間違えた」旨を申し出てください。

そうすることで、係員の指示のもと、超過料金を請求されることなく目的の出口に戻ることができます(※一部対応できない料金所あり)。

10年以上前から周知が行われている制度ですが、いまだに知らないドライバーも多いため、必ず覚えておきたい知識です。

トリックアートやセンサー検知…誤進入を防ぐ対策

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ハード面や技術面での逆走防止対策も進められています。例えば、路面表示では…

▼反対方向から進入したときにだけ「逆走」の文字が見える表示
▼道路に立体的に文字が浮き上がって見えるトリックアートの導入
▼進路が分かりにくいレーンの場合にカラー舗装で色分けを行う

一方で、道路の管轄(高速道路会社、国、自治体)ごとの壁があり整備が難しい場所があるほか、警告表示の文字数はどれくらいが適切なのかといった悩ましい課題も抱えています。

首都高速(一部の出入り口)では、車が誤進入したりした際にセンサーが検知し、表示板と音声で警告するシステムが運用されています。

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さらに、より強力な逆走阻止策として、路面に突起物を設置して、逆走方向から入るとタイヤに衝撃と大きな音を与えて逆走に気づかせる「路面埋め込み型ブレード」の導入が今後予定されています。

高齢ドライバーの免許更新に課題 3年更新で本当に大丈夫?

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逆走原因の約4割を占める「認知症疑いの運転者」への対策も急がれます。

高齢ドライバーには免許更新時に認知機能検査が実施されています。しかし、制度上の課題も議論されています。

【検査内容は適切か?】
▼現在の検査は主にアルツハイマー型を検出することを念頭に置いた仕様
→認知症には4種類の型があり、他のタイプの認知症を見落としてしまう懸念

【免許の更新周期は適切か?】
▼75歳までの人はゴールド免許なら5年更新
運転頻度が少ないためにゴールド免許を持つ人も

▼75歳以上は3年更新(+認知機能検査)
→進行の早い人では約1年で症状が悪化するケース

スイスなどでは「昼間限定」「自宅周辺の特定エリア限定」といった条件付き免許が導入されていると鈴木教授は指摘します。

免許制度も、時代や実情に応じた柔軟な制度設計が求められる時期に来ているのかもしれません。

(2026年7月21日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内「山中プレゼン」より)

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