Illustrator(イラレ)でも、にじみやムラのある水彩画風のタッチで描画することができます。ここでは、そのために必要な素材やブラシの作り方を解説します。
図1。画用紙と絵の具、絵筆を用意する絵の具を水で溶いたら、筆につけて画用紙に着色します(図2)。ここでは、水をたっぷり含ませてにじませてみたり、水をつけずに色を伸ばしてみたりと、バリエーションをつけながら着色しました。
図2
PCに取り込んだらPhotoshopで必要に応じて明度やコントラストを上げ(図3)、色の着いた部分だけ選択してコピーします(図4)。そのままIllustratorにペーストすれば、ドキュメント上に貼り付けられます(図5)。
図3。Photoshopではなくても、画像の明るさやコントラストを調整できるソフトであればOK。
図4。Photoshopで色の部分だけ選択する手順の一例→ マジック消しゴムツールなどで背景を削除後、Command(Macの場合。WindowsはCtrl)を押しながら、レイヤーパネルで画用紙のレイヤーのレイヤーサムネールをクリックすると、色の部分だけを選択できる。これが上図の状態。あとは、このレイヤーサムネールを選択した状態(レイヤーサムネールの四隅にガイドが付いている状態)で、Command+Cキーでコピーして、Illustratorを開いてCommand+Vキーでペーストする
図5。Illustratorのアートボード上に素材を貼り付けた(ペーストされた)状態次に、Illustratorでウィンドウメニュー→“コントロール”を選んでコントロールパネルを表示させたら、貼り付けた素材を選択した状態で、コントロールパネルの[画像トレース]をクリック(図6)。
図6。コントロールバーの[画像トレース]をクリックする続いて、コントロールパネルで[プリセット:写真(高精度)]を選び、[拡張]をクリックします(図7)。これによって、素材がIllustratorで扱いやすいベクター画像に変換されます(図8)。
図7。コントロールバーの[プリセット:写真(高精度)]を選んだあと、[拡張]をクリックする
図8
図9。
図10。選択ツールでひとつの素材を囲むようにドラッグして選択し、ブラシパネルにドラッグ&ドロップする「新規ブラシ」ダイアログが表示されるので[新規ブラシの種類を選択:アートブラシ]を選び(図11)、「アートブラシオプション」ダイアログでそのまま[OK]をクリックすると(図12)、オリジナルの水彩ブラシを登録できます。ほかの素材も同様にブラシとして登録しておきましょう(図13)。
図11。[新規ブラシの種類を選択:アートブラシ]を選ぶ
図12。「アートブラシオプション」ダイアログは初期値のままでOK
図13あとは、ツールバーからブラシツールを選び、ブラシパネルで登録したオリジナルの水彩ブラシを選択して描画していけば、簡単に水彩画風のイラストを作成できます(図14)。
図14以上、Illustratorで水彩画風のブラシを作って描画する方法でした。
●構成:編集部、専門学校講師のイラレさん ●制作:専門学校講師のイラレさん ●編集:山口優
また、作ったブラシを実際に使用する方法も併せて紹介します。
■使用する機能「画像トレース」「ブラシパネル」「ブラシツール」
目次1.水彩画風のブラシの素材を作る
Illustratorで水彩画風タッチで描く方法を紹介します。少し手間ですが実際に水彩絵の具で紙に描いた素材を加工して使うとリアルな再現ができます。必要なものは、画用紙と絵の具、絵筆です。手持ちのものでも、100円ショップなどで安く購入したものでも、なんでもOKです(図1)。

2.水彩画風のブラシの素材をPCに取り込みデータ化する
着色したら、画用紙全体を写真に撮ってPCやMacに取り込みます。スマホのカメラで撮っても、スキャナーでスキャンしても構いません。PCに取り込んだらPhotoshopで必要に応じて明度やコントラストを上げ(図3)、色の着いた部分だけ選択してコピーします(図4)。そのままIllustratorにペーストすれば、ドキュメント上に貼り付けられます(図5)。

ここではPhotoshopの使用を想定して後の工程を説明しているので、各ソフトに置き換えて読んでほしい





3.水彩画風のブラシを登録して描画する
このままだと素材全体がひとつのグループにまとまっているので、選択ツールで選択したあと、オブジェクトメニュー→“グループ解除”を実行してグループを解除します(図9)。
“グループ解除”を1回実行しただけではグループが解除できない場合は、繰り返し“グループ解除”をしてみてほしい次にウィンドウメニュー→“ブラシ”を選択してブラシパネルを表示させ、選択ツールでひとつの素材を選択したらブラシパネルにドラッグ&ドロップします(図10)。*Illustratorのブラシの概要や使い方の詳細はこちら「ブラシツールの使い方(基本操作/ブラシの追加方法)」。





●構成:編集部、専門学校講師のイラレさん ●制作:専門学校講師のイラレさん ●編集:山口優
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