右:「Mooncake Box」富士フイルムビジネスイノベーションアジアパシフィックが、2023年度の「イノベーション・プリント・アワード(IPA)」の入賞作品を公開しています。同アワードは、国内外の富士フイルムグループの印刷機器ユーザーによるデジタル印刷作品を評価するコンテストです。
【目次】
IPAの概要と2023年度の応募状況
IPAは2008年から毎年アジア・パシフィック地域で開催されており、2023年度で16回目の開催となりました。応募対象とされているのは、富士フイルムビジネスイノベーションのプロダクションプリンター「Revoria Press」シリーズや、インクジェットデジタルプレス「Jet Press」シリーズ、ワイドフォーマットプリンター「Acuity」シリーズなどを使って制作された印刷作品です。2023年度は11の国と地域から275作品の応募があり、その中から39作品が入賞に選ばれました。最優秀作品には2作品が選ばれ、そのうちの1つ「 ”SUN BOOK” by YOSHIROTTEN」は京都府の株式会社サンエムカラーによるもの。日本の印刷機器ユーザーの作品が最優秀賞となるのは2021年以来の2回目のことです。
インクジェット技術を活用した最優秀賞の作品
「 ”SUN BOOK” by YOSHIROTTEN」ではインクジェット技術が活用され、出力機種には「Jet Press 750S」が用いられています。デザイナーのYOSHIROTTEN氏による展示会用のアートブックで「芸術関連製品」部門の第1位に選出されました。
「Jet Press 750S」は枚葉型のインクジェットデジタルプレスで、最大3,600枚/時の生産性を備えています。広色域かつ高発色の水性顔料インク「VIVIDIA」が採用されており、オフセットのプロセス4色では再現できない鮮やかな色彩表現が可能です。「SUN BOOK」の画像を見ても、その鮮やかさには驚かされます。
トナー技術を活用した最優秀賞の作品
もう1つの最優秀賞「Best Innovation Award 2023(トナー)」に選ばれたのは、シンガポールのSpectrum Press International Pte Ltdによる「Mooncake Box」で、「特殊色の活用」部門で第1位に選出されました。こちらの出力に用いられた機種は「Revoria Press PC1120」です。
「Revoria Press PC1120」は、1パス6色プリントエンジンを搭載し、6色トナーの使用時にも120ページ/分の高速プリントが可能なプロダクションカラープリンタです。この製品は、2023年度の「グッドデザイン賞」も受賞しました。今回のコンテストの受賞作品を見ても、その鮮やかな表現はとてもインパクトがあり、特殊トナーによる出力での付加価値の高さを強く感じさせます。
そのほかの入賞作品もハイレベル
このほか、日本からの入賞作品には、「フォトブック」部門の第1位、「大判印刷物」部門の第1位、「マルチピース」部門の第2位があります。「フォトブック」部門の第1位は、ヤマゼンコミュニケイションズ株式会社の「メタバース時代の新たなフォトブック市場開拓 - VRフォトグラファーとアバター達の撮影会 – 」。VRカメラでアバターたちを撮影したフォトブックアルバムとポスターです。VR空間のRGB色域が限りなく再現されています。



本コンテストでの入賞作品および応募作品は、「グラフィックコミュニケーション東京」などのショールームをはじめ、各地域で開催されるイベントで展示される予定です。入賞作品を見ると、いかにデザインにとって印刷技術の巧みな活用が大切であるかが感じられます。
凝ったデザインや鮮やかな色彩を頭の中でイメージしても、デザインの仕事としてはそれを最終的にアウトプットして形にしなくては意味がありません。2023年度のIPAも、デザイナーにとって印刷に関する知識や、印刷サイドとの綿密な連携が非常に重要であるとあらためて実感させるコンテストでした。
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
URL:https://fujifilm.com/fb
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2023/11/28
