演劇実験室◎天井棧敷「盲人書簡 上海篇」1974年
デザイン:花輪和一2024年1月13日(土)から1月28日(日)まで、Bunkamura Gallery 8/にて「ジャパン・アヴァンギャルドポスター見本市」が開催されます。寺山修司氏(1935~1983年)の没後40年記念で実施され、奇抜なデザインや昭和の熱いエネルギーを体感できる展覧会です。


【目次】

寺山修司氏と前衛演劇集団「天井桟敷」

寺山修司氏は、詩人/歌人/俳人/劇作家/映画監督などとしてマルチな才能を発揮した文化人です。1965年の歌集「田園に死す」や、1967年の評論・エッセイ「書を捨てよ、町へ出よう」などで広く知られています。両作品の映画化にあたっては、いずれも寺山氏が自らメガホンを執っています。

同時に、寺山修司氏を語るうえで外せないのが、前衛的(アヴァンギャルド)な演劇グループの「天井桟敷」です。寺山氏が主宰したこの劇団は、1960年代から1970年代にかけてのアングラ演劇ブームを牽引する立役者となりました。

アングラ演劇とポスターのデザイン

アングラ演劇の全盛期は、日本が目覚ましく発展した高度経済成長期とも重なります。経済や文化をはじめ、人々の価値観まで大きく変化したことで、そこに抵抗する反体制・反商業主義なども根底にしながらアングラ演劇が躍進しました。

既成のものを破壊し、新たなものを創造する動きを熱狂的に支持したのが当時の若者たちです。「天井桟敷」のほか、唐十郎氏の「状況劇場」、佐藤信氏の「黒テント」、鈴木忠志氏の「早稲田小劇場」などが特に有名で、過激かつ実験的な演出の演劇が数多く展開されました。

アングラ演劇のデザインが集まる「寺山修司没後40年記念 ジャパン・アヴァンギャルドポスター見本市」
劇団状況劇場「少女都市」1969年
デザイン:赤瀬川原平
アングラ演劇のデザインが集まる「寺山修司没後40年記念 ジャパン・アヴァンギャルドポスター見本市」
劇団状況劇場「糸姫」1975年
デザイン:篠原勝之そのアングラ演劇で、重要な役割を担っていたのがポスターです。アングラ演劇でのポスターは、単なる広告媒体としての意味を超え、それ自体が演劇の演出・主張の1つとなりました。

当時のポスターにはサイケデリックな表現が多く、その頃は「アヴァンギャルド(前衛的)」とされた表現ですが、現代から見ると「昭和レトロな雰囲気」と感じられることもあるでしょう。しかし、リアルタイムで当時を知らない現代から見ても、その紙面に満ちたエネルギーには圧倒されます。

出品予定作家の豪華な顔ぶれ

アングラ演劇のポスターを多く手掛けたアーティストには、現在でもデザイナーとして有名な宇野亞喜良氏や横尾忠則氏、赤瀬川原平氏(1937~2014年)、金子國義氏(1936~2015年)などがいます。
今回の「ジャパン・アヴァンギャルドポスター見本市」は、彼らがデザインしたアングラ演劇の公演ポスターを中心に、同時代のポスターやチラシ、古書などを展示販売する企画です。

アングラ演劇のデザインが集まる「寺山修司没後40年記念 ジャパン・アヴァンギャルドポスター見本市」
演劇実験室◎天井棧敷「毛皮のマリー フランクフルト公演版」1969年
デザイン:宇野亞喜良出品予定作家には、粟津潔氏(1929~2009年)や田中一光氏(1930~2002年)や和田誠氏(1936~2019年)、さらには1950年代生まれの大友克洋氏らも名を連ねています。豪華なクリエイターによる貴重な作品が一堂に会する展覧会です。会期中の1月21日(日)の16:00からは、隣接会場のイベントスペース・COURTで、無料のトークイベントの実施も予定されています。

出品予定作家(敬称略)赤瀬川原平、粟津潔、宇野亞喜良、及川正通、大友克洋、金子國義、合田佐和子、田中一光、寺山修司、花輪和一、林静一、平野甲賀、篠原勝之、横尾忠則、和田誠 ほかなお、本展の会場は、Bunkamuraの長期休館(オーチャードホールを除く)に伴い、2023年6月に移転したギャラリーです。渋谷ヒカリエ 8Fで「Bunkamura Gallery 8/」として活動が継続されています。

■期間:
2024年1月13日(土)~1月28日(日)

■開催場所:
Bunkamura Gallery 8/
東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ 8F

■問い合わせ先:
Bunkamura Gallery 8/
url. https://www.bunkamura.co.jp/gallery8/

アングラ演劇のデザインが集まる「寺山修司没後40年記念 ジャパン・アヴァンギャルドポスター見本市」
編集部おすすめ