Illustratorで、歪んだ文字・グニャグニャ文字を表現する方法(文字をオブジェクトの形に合わせて変形させるテクニック)を紹介します。
*本連載はIllustratorで作る定番&最新グラフィックの制作工程を、一から手順通りに解説するHow to記事です。


■使用する機能「長方形ツール」「曲線ツール」「文字ツール」「エンベロープ」「文字タッチツール」「グラデーションパネル」「スターツール」「スタイライズ効果」

Illustratorで歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る:
1.ベースとなるゆがんだオブジェクトを用意する

まずは、ロゴのテーマを決めて手描きでラフを作成する。今回はぐにゃぐにゃと柔らかくゆがんだ形をイメージしながら、曲線を多用した文字やオブジェクトを描いた(図1)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図1。ラフ画次にIllustratorで新規ドキュメントを[カラーモード:RGBカラー]、[ラスタライズ効果:スクリーン(72ppi)]で作成したら、長方形ツールでアートボードを覆うような長方形を描き、[塗り]を任意の色(ここでは[R:87、G:87、B:255]のブルー)、[線]を[なし]に設定する(図2)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図2。長方形ツールでアートボードを覆うような長方形を描き背景とする。背景の色は最終的に変更するため、この段階ではイメージに近い色を選んでおけばOK続いてレイヤーパネルで新規レイヤーを作成したら、曲線ツールを選んで[塗り]を薄いブルー(ここでは[R:139、G:147、B:252])、[線]を[なし]に変更。ラフを参考にして、アートボード上をクリックしながらぐにゃぐにゃゆがんだオブジェクトをいくつか描く(図3)(図4)。※曲線ツールの使い方はこちらも参考に(Illustrator逆引き辞典「線」編:「曲線を描く(曲線ツールの使い方)」)。

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図3。曲線ツールでアートボード上を3点以上クリックしていくと、それらのポイントを結ぶ曲線を描くことができる
【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図4。ここではオブジェクト内に英語を入れることを想定し、目立たせたい言葉が入るオブジェクトを大きく、それ以外を小さめに描いた

Illustratorで歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る:
2.オブジェクトの前面に文字を配置して変形する

ロゴのベースとなる文字を用意する。まず、レイヤーパネルで新規レイヤーを作成したら、文字ツールでオブジェクトの前面に文字を入力し、イメージに合った書体やフォントサイズ、テキストカラーに設定する。ここでは、曲線的で丸々とした字面が印象的な見出し用フォント「Blenny Black」を選び、オブジェクトの大きさに合わせてフォントサイズを調整してテキストカラーをブルー(ここでは[R:87、G:87、B:255])に設定した(図5)


【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図5。ここではAdobe Fontsで提供されている曲線的な見出し用フォント「Blenny Black」を選んだ同様に、文字ツールで各オブジェクトに文字を配置していく(図6)(図7)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図6
【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図7次に、選択ツールでベースのオブジェクトをいずれか選んでコピーしたら、レイヤーパネルで文字のレイヤーを選択し、編集メニュー→“前面へペースト”を実行する(図8)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図8。文字の前面にベースのオブジェクトをコピー&ペーストする続いて、そのペーストされたオブジェクトと背面の文字の両方を選択したあと(図9)、オブジェクトメニュー→“エンベロープ”→“最前面のオブジェクトで作成”を適用。これでオブジェクトの形に合わせて文字を変形することができる(図10)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図9。ペーストされたオブジェクトが選択された状態のまま、選択メニュー→“背面のオブジェクト”を実行すると文字を選択できる。文字が選択されたら、shiftキーを押しながらペーストされたオブジェクトをクリックすると、文字とオブジェクトの両方を選択することが可能
【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図10。文字をオブジェクトの形に変形できる同様に、ほかのオブジェクトと文字もそれぞれ変形していく(図11)(図12)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図11
【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図12。文字をオブジェクトの形に変形させて、歪んだ文字・グニャグニャ文字ができた

Illustratorで歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る:
3.文字の形を調整して不揃いな印象を出す

文字の形を整えていく。まずツールバーから文字タッチツールを選ぶ。
見当たらない場合は、ウィンドウメニュー→“ツールバー”→“詳細”を選択したあと、ツールバーの文字ツールのアイコンを長押しすると表示される(図13)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図13。Illustrator CC 2019(v.23)以降ではツールバーを「基本」と「詳細」の2種類の表示方法に切り替えられる。文字タッチツールが見当たらない場合は、ウィンドウメニュー→“ツールバー”→“詳細”を選んで詳細ツールバーに切り替えて、ツールバーの文字ツールのアイコンを長押しすると表示される先ほど変形した文字にマウスポインターを合わせると、変形前の文字が一時的に表示されるので、その上をクリックして選択する(図14)。続いて、選択した文字をドラッグして移動したり、バウンディングボックスのハンドルのいずれかをドラッグしてサイズや形を調整する(図15)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図14。変形した文字にマウスポインターを合わせると変形前の文字が前面に重ねて表示されるので、その上をクリックして選択する
【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図15。選択した文字をドラッグすると位置を調整できる。またバウンディングボックスのハンドルのいずれかをドラッグすると、文字のサイズや形を調整することが可能同様に各文字の位置や形を整えて全体に不揃いな感じを出していく(図16)(図17)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図16
【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図17。文字ごとに級数を変えることで、よりぐにゃぐにゃ感が増して、有機的な印象になる文字の形を調整したら、選択ツールですべての文字を選択して、オブジェクトメニュー→“エンベロープ”→“拡張”を適用し、文字をパスで構成された通常のオブジェクトに変換しておく(図18)(図19)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図18。
オブジェクトメニュー→“エンベロープ”→“拡張”を適用する前
【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図19。オブジェクトメニュー→“エンベロープ”→“拡張”を適用した後。文字がパスに変換され、通常のオブジェクトと同様に編集できるようになるので、必要に応じてダイレクト選択ツールなどで細部の形を整えておくといい

Illustratorで歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る:
4.色味を整えたり装飾パーツをあしらってロゴを仕上げる

ロゴを仕上げていく。まず、選択ツールで文字の背面のぐにゃぐにゃオブジェクトをいずれか選択したら(図20)、グラデーションパネルで[種類:円形グラデーション]に設定。バー状のグラデーション見本(グラデーションガイド)の下にある丸い点(グラデーションスライダー)をダブルクリックしてそれぞれカラーを変更する。ここでは、左側をピンク[R:241、G:146、B:255]に、右側を薄いブルー[R:131、G:164、B:255]に設定した(図21)(図22)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図20。文字の背面のぐにゃぐにゃオブジェクトを選択する
【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図21。ここでは、グラデーションパネルで[種類:円形グラデーション]、グラデーションスライダーの左側をピンク[R:241、G:146、B:255]、右を薄いブルー[R:131、G:164、B:255]に設定した
【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図22同様にほかのオブジェクトにも円形グラデーションを適用していく(図23)。その際、一部のオブジェクトについては左右のグラデーションスライダーの色を入れ替えてメリハリをつけた(図24)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図23
【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図24次に、[塗り]を水色[R:171、G:255、B:253]、[線]を[なし]に設定したら、スターツールでアートボード上を1回クリック。「スター」ダイアログが表示されるので、[第1半径]と[第2半径]を任意の数値、[点の数:4]に設定して[OK]をクリックするとキラキラ模様ができる(図25)(図26)


【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図25。[第1半径]と[第2半径]を任意の数値、[点の数:4]に設定する。その際、[第1半径]を[第2半径]より大きな数値にしておく
【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図26。キラキラ模様ができる。なお、ここでは見やすいように背景を一時的に非表示にしているそのキラキラ模様が選択された状態のまま、効果メニュー→“スタイライズ”→“角を丸くする...”を選び、プレビューを参考にしながら[半径]を設定して適用すれば、角が丸まったキラキラ模様ができる(図27)(図28)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図27。[半径]の数値が大きいほど、キラキラ模様の角の丸みも大きくなる
【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図28ここでは、同様の手順で色やサイズの異なるキラキラ模様を作り、文字の周囲にランダムに配置していった(図29)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図29最後に選択ツールで背景の長方形を選択したあと、[塗り]の色を調整すれば完成。ここでは、ロゴやキラキラ模様が映えるよう、暗めの青[R:30、G:30、B:142]に変更しておいた(図30)

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
図30。完成ビジュアル以上、Illustratorで歪んだ文字・グニャグニャ文字を表現する方法(文字を変形させる基本と応用テクニック)でした。

【Illustrator】歪んだ文字・グニャグニャ文字を作る(オブジェクトの形に合わせて文字を変形する方法)
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