イラストや制作物のデザインに金や銀、あるいはカラーの箔でキラキラとした装飾をしたいけれど、印刷での箔押しは費用がそれなりにかかってしまうため、予算の都合で諦めたという経験がある方も多いのではないでしょうか。また、手描きの絵に箔を貼る場合にも、箔は破れたりシワがよったりと扱いが難しく、なかなか初心者には手を出しづらいものです。
そんな時にオススメなのが、テープ状の箔をのりで貼ることで、簡単にさまざまな色の箔を貼ることができる「ウチハク」です。そこで今回は、箔押しと変わらない出来栄えなのに、手軽に箔押しができる「ウチハク」を試してみました。
もくじ
また、家で箔押しができるハンドメイド用のキットなどは従来からありますが、箔をシワや破れなくキレイに貼るのが難しく慣れが必要だったり、金や銀はよくあるもののカラーバリエーションがそれほど多くなかったりもしました。
しかし「ウチハク」は、箔がテープ状になっていて扱いやすく、貼りたい部分にのりを塗るだけで簡単に箔を貼ることができます。また、カラーバリエーションが多く40色近くあり、3cm幅×10mのサイズで1本770円と価格も手頃です。
「ウチハク」のカラーの種類は大きく4つのシリーズに分かれていて、ゴールドやシルバーといった定番カラーでキラキラ光る「Standard Metallic Foils」、同様にキラキラ光りカラーバリエーションが豊富な「Special Metallic Color Foils」、見る角度によって模様が変わるホログラム加工を施した「Holographic Foils」、光沢が抑えられ発色のはっきりした「Pigment Foils」があります。
ここでは、「Standard Metallic Foils」のゴールド、「Special Metallic Color Foils」のシルキーコバルト、「Holographic Foils」のホログラムモザイクシルバー、「Pigment Foils」のSCピンクの4色を使っていきます「ウチハク」を貼るための専用のりも販売されていて、ペン型で極細・まる・ひらの3種類のペン先のタイプがある「ウチハクglue pen」、筆などで塗れるボトルタイプの「ウチハクglue liquid」があります。
ペン型のり「ウチハクglue pen」。ペン先のタイプは3種類あり、上から「ひら」「まる」「極細」となっている
ボトルのり「ウチハクglue liquid」
(1)箔押ししたい部分を「ウチハクglue pen」で塗る
(2)最初は水色ののりが乾いて透明になったら、「ウチハク」を重ね指の腹で押す
(3)のりを塗った形に沿って箔が貼れた。右は、箔を貼った後の「ウチハク」。箔押しした絵柄の部分だけ箔が剥がれているイラストのアクセントとして箔を貼る場合には、ペン先のタイプが3種類あるペン型のり「ウチハクglue pen」が便利です。広い面はもちろん、細い線や文字に箔を貼ることができます。最初に「ウチハクglue pen」を使うときはペン先を数回押し付けると、薄い水色ののりがペン先に滲み出てきます。あえてかすれたテクスチャを出すのも趣があって良いですが、なるべくムラなく貼りたい場合は、水分でよれないよう紙の強度に注意しつつのりを多めに塗った方が良さそうです。
BEFORE:Illustratorで作成したような色がくっきりと分かれたイラスト
AFTER:3種類のペン先の「ウチハクglue pen」を使って箔を貼った
「ウチハクglue pen」の「ひら」は平らで広いペン先のため、広い面を塗りつぶして箔を貼るのに適している
こちらも「ひら」のペンを使用。四角いペン先のため安定した太さで線を描け、二度塗りせずともしっかり箔を貼れる
「まる」のペンは名前の通りペン先が丸いので、ドットや曲線を描くのに使いやすい
「まる」は「ひら」に比べるとのりの染み出しが薄いので、あえてささっと描くとかすれたテクスチャにもできる
「極細」はステンレス製の非常に細いペン先なので、細い線に箔を貼っていくのに便利
「ウチハクglue pen」はペン型なので文字も書きやすい。Mは「まる」Oは「極細」を使って箔を貼った
ボトルタイプののり「ウチハクglue liquid」を筆、スポンジ、指で塗って箔を貼った。それぞれ違ったテクスチャになる手描きの絵のアクセントとして箔を貼る場合には、このボトルタイプののりが馴染みやすいでしょう。
BEFORE:大胆な筆のタッチが印象的なトラの絵
AFTER:ボトル型ののりを使い、4種類の塗り方で箔を貼った
指で大胆にのりを塗り、シルキーコバルトの箔を貼った
筆でのりを塗り、ホログラムモザイクシルバーの箔を貼った
歯ブラシにのりをつけてトントンと叩きつけ、ゴールドの箔を貼った
背景に筆でのりをスパッタリングし、SCピンクの箔を貼ったボトル型はペン型よりのりの乾燥時間がかかり、公式情報として自然乾燥に3~4時間要すると書かれています。急ぐ場合はドライヤーを使うようにしましょう。のりを塗ってから1~2日置いてもキレイに箔を貼れるので、乾かしすぎることには神経質にならなくても大丈夫そうです。なお、筆やスポンジ等に着いたのりは、乾いて固まってしまう前に速やかに水や中性洗剤で洗い流すようにしましょう。
また、「ウチハク」を貼れるのは紙などの平面だけではありません。立体物にも貼ることができます。ここでは、木製のアクセサリーパーツに漆風塗料を塗ったものに「ウチハクglue liquid」でゴールドの「ウチハク」を貼り、漆芸作品風に仕上げてみました。「ウチハクglue liquid」は乾くと皮膜化しマスキングテープとの境界部分がキレイに剥がれなくなるため、乾く前にマスキングテープを剥がすようにすると良いでしょう。
(1)木製のアクセサリーパーツに漆風の塗料「工芸うるし」を塗り、乾燥する
(2)作業しやすいようひっつき虫で持ち手を付け、マスキングテープで柄をつくり、「ウチハクglue liquid」を塗ってすぐにマスキングテープを剥がす
(3)「ウチハクglue liquid」が乾いたら、ゴールドの「ウチハク」を貼り指の腹で押さえる
(4)マスキングテープを貼ったところ以外にゴールドの箔が貼られ、漆芸風の装飾に木製品だけでなく、プラスチックや陶磁器にも箔を貼ることができるそうです。例えば絵を入れる額縁や花瓶、文具などさまざまなものに活用できます。
スティックのりは箔を貼れますが、固形のため紙に塗る際にのり自体にムラができやすく、均一にはなりませんでした。液状のりは、水分が多いとのりが箔の方についてしまい箔があまり着かず、乾かすと粘着力がなくなりやはり箔が着かなくなるため扱いが難しそうです。両面テープは粘着面が均一のため、すごくキレイに箔を貼ることができます。木工用ボンドは箔を貼れますが、粘度が少し高いため紙にムラなく塗ることが難しく、筆塗りしてもムラが出てしまいます。スティックのりと木工用ボンドは、箔押しする形に沿って塗るのは難しそうですが、特定の形状にするのではなく、背景などにあえてかすれ気味のテクスチャを活かして貼る場合には良さそうです。
スティックのり、液状のり、木工用ボンド、両面テープでも「ウチハク」を貼れるかテストした
スティックのりと木工用ボンドはムラにはなるが箔を貼ることができ、両面テープは均一に貼ることができた。液状のりは箔があまり着かず、「ウチハク」と使うのには向いてなさそうだ両面テープは均一に箔が貼れるので、特定の形状に型抜きできるクラフトパンチと合わせて使用するのも良いでしょう。
両面テープをオーブンシートに貼り、リーフ型のクラフトパンチで型抜きをする
紙に両面テープを貼り「ウチハク」を重ねて指の腹で押さえると、リーフ型の箔押しができるまた、接着面に部分的に箔を貼っていくことで複数の色を混ぜたような表現にしたり、「ウチハク」を貼った上にさらに貼り重ねていくこともできます。これらの手法は、もちろん「ウチハク」の専用のりでも同様に行えます。
1枚の両面テープに複数の箔を部分的に貼り合わせた
両面テープと「ウチハク」を貼り重ねた「ウチハク」の専用商品として両側に台紙が貼られた両面テープ「ウチハクsticker doubleside」も販売されていますので、大きい面積やたくさんの量を使う場合にはそちらを購入するとより便利でしょう。
また、箔押しといえば、紙を盛り上げたエンボス加工と組み合わせて使われることもあります。エンボス加工も簡単な形状であれば、手作業で行うことができます。ここでは、クラフトパンチを使って、もともと箔押ししてある名刺にさらにエンボス加工と箔押しを追加してみました。
(1)厚紙をクラフトパンチで型抜きし、名刺のエンボス加工したい部分に重ねてマスキングテープで留めておく
(2)名刺を裏返し以前ご紹介したトレースボードに乗せてリーフ型を透かし、輪郭を丸鉄筆でなぞる。100円均一等で売っているネイル用のドットペンでも良い
(3)名刺を表側から見ると、リーフ型のエンボスができている
(4)エンボス加工の上にクラフトパンチで型抜きした両面テープを貼り、箔を貼った
ただ、手作業でののり付けのため、業務用の機械で行うような完全に均一な箔押しにすることは難しいです。多少かすれやムラが出るのはそれはそれで趣があるので、その質感をあえて活かし、楽しむのがよいでしょう。例えば、のりを筆や指などで塗ることで、手作業だからこそ表現できる躍動感や偶然性を付与することができます。いくつかのカラーの箔をミックスしたり、重ねて貼ったりといった表現も可能です。光る素材はとても存在感があるので、イラストやデザインをより引き立てる手段として活用できるでしょう。
DATA製品名:ウチハク
実売価格:ウチハク(箔)770円、ウチハクglue pen 3本セット 990円、ウチハクglue liquid 1,100円
発売元:村田金箔株式会社
公式ECサイト:https://haku89.base.shop/
そんな時にオススメなのが、テープ状の箔をのりで貼ることで、簡単にさまざまな色の箔を貼ることができる「ウチハク」です。そこで今回は、箔押しと変わらない出来栄えなのに、手軽に箔押しができる「ウチハク」を試してみました。
もくじ
老舗の箔メーカーが手掛けた家庭用の箔押し「ウチハク」
「ウチハク」は、家で手軽に箔押しができる専用の箔です。慶応元年の創業時に純金箔や蒔絵材料の製造販売から始まり、箔押し加工用の転写箔やホログラムなど光る素材を提供し続けてきた村田金箔が販売しています。金属箔を熱や圧で転写する箔押しはメジャーな印刷技法の一つですが、通常の印刷よりはコストがかかるため、やりたいと思っても予算上の都合で諦める場合もあるでしょう。また、家で箔押しができるハンドメイド用のキットなどは従来からありますが、箔をシワや破れなくキレイに貼るのが難しく慣れが必要だったり、金や銀はよくあるもののカラーバリエーションがそれほど多くなかったりもしました。
しかし「ウチハク」は、箔がテープ状になっていて扱いやすく、貼りたい部分にのりを塗るだけで簡単に箔を貼ることができます。また、カラーバリエーションが多く40色近くあり、3cm幅×10mのサイズで1本770円と価格も手頃です。
「ウチハク」のカラーの種類は大きく4つのシリーズに分かれていて、ゴールドやシルバーといった定番カラーでキラキラ光る「Standard Metallic Foils」、同様にキラキラ光りカラーバリエーションが豊富な「Special Metallic Color Foils」、見る角度によって模様が変わるホログラム加工を施した「Holographic Foils」、光沢が抑えられ発色のはっきりした「Pigment Foils」があります。



イラストをキラキラの面や線で装飾する
「ウチハク」の基本的な使い方は、箔押しをしたい部分にのりを塗り、乾いたら箔をのせて指の腹で押さえるだけです。のりは最初薄い水色ですが、乾くと透明になります。乾かないと箔がきちんと着かないので、急ぐときはドライヤーで乾かすと良いでしょう。










躍動感のあるアーティスティックなキラキラ装飾を施す
ボトルのり「ウチハクglue liquid」は筆などで塗ることでのりの濃淡が出るので、そのテクスチャを活かして箔を貼ることができます。ここでは、筆とステンシル用のスポンジ、指でのりを塗り、それぞれの質感を比べてみました。他にもローラーやブラシなど、塗るものや塗り方によってさまざまな表情を出すことができます。
大胆な筆のタッチで描かれたトラの絵に、筆で塗ったのりにホログラムモザイクシルバーの箔を、指で塗ったのりにシルキーコバルトを、歯ブラシで叩きつけたのりにゴールドを、そして背景に筆でのりを飛ばすスパッタリングをしてSCピンクの箔を貼りました。自由度が高く、アーティスティックな箔の表現が可能になります。






また、「ウチハク」を貼れるのは紙などの平面だけではありません。立体物にも貼ることができます。ここでは、木製のアクセサリーパーツに漆風塗料を塗ったものに「ウチハクglue liquid」でゴールドの「ウチハク」を貼り、漆芸作品風に仕上げてみました。「ウチハクglue liquid」は乾くと皮膜化しマスキングテープとの境界部分がキレイに剥がれなくなるため、乾く前にマスキングテープを剥がすようにすると良いでしょう。




ただし、硬いものでひっかくと削れる可能性がありますし、頻繁に洗うものはのりの耐久性が保たないかもしれません。また、食品衛生法に対応した商品ではないため、直接食品に触れる器などには不向きです。そうした特性を考慮した用途に使用するようにしましょう。
身近なのりで多様な表現を実現
「ウチハク」は、専用のりでなくても貼れるのでしょうか。スティックのり、液状のり、両面テープ、木工用ボンドで試してみました。これらは「ウチハク」専用のりと違い乾燥すると接着力が落ちてしまうため、塗ってからあまり時間を置かずに箔を貼ります。スティックのりは箔を貼れますが、固形のため紙に塗る際にのり自体にムラができやすく、均一にはなりませんでした。液状のりは、水分が多いとのりが箔の方についてしまい箔があまり着かず、乾かすと粘着力がなくなりやはり箔が着かなくなるため扱いが難しそうです。両面テープは粘着面が均一のため、すごくキレイに箔を貼ることができます。木工用ボンドは箔を貼れますが、粘度が少し高いため紙にムラなく塗ることが難しく、筆塗りしてもムラが出てしまいます。スティックのりと木工用ボンドは、箔押しする形に沿って塗るのは難しそうですが、特定の形状にするのではなく、背景などにあえてかすれ気味のテクスチャを活かして貼る場合には良さそうです。


両面テープの粘着面をオーブンシート等の剥がしやすい紙に貼り、リーフ型のクラフトパンチで型抜きして紙に貼り、箔を貼るとリーフ型の箔押しができます。




また、箔押しといえば、紙を盛り上げたエンボス加工と組み合わせて使われることもあります。エンボス加工も簡単な形状であれば、手作業で行うことができます。ここでは、クラフトパンチを使って、もともと箔押ししてある名刺にさらにエンボス加工と箔押しを追加してみました。




まとめ
「ウチハク」は、特別な機材を用いることなく手軽に箔押しをすることができます。印刷所に箔押しをオーダーするとそれなりに費用がかかるため、予算の問題で断念したり、擬似金と呼ばれる金色に近いベージュで代用したりといった場面もあったでしょう。しかし「ウチハク」であれば、イラストやデザインにキラキラとした装飾をカラーバリエーション豊かに施すことができます。木製品などの立体物にも箔を貼ることができるので、絵だけでなく額縁を装飾したり、キラキラのアクセサリーや雑貨をつくったりといったこともできます。ただ、手作業でののり付けのため、業務用の機械で行うような完全に均一な箔押しにすることは難しいです。多少かすれやムラが出るのはそれはそれで趣があるので、その質感をあえて活かし、楽しむのがよいでしょう。例えば、のりを筆や指などで塗ることで、手作業だからこそ表現できる躍動感や偶然性を付与することができます。いくつかのカラーの箔をミックスしたり、重ねて貼ったりといった表現も可能です。光る素材はとても存在感があるので、イラストやデザインをより引き立てる手段として活用できるでしょう。
DATA製品名:ウチハク
実売価格:ウチハク(箔)770円、ウチハクglue pen 3本セット 990円、ウチハクglue liquid 1,100円
発売元:村田金箔株式会社
公式ECサイト:https://haku89.base.shop/

編集部おすすめ