今回はPhotoshopで文字要素をメインに使い、リソグラフ印刷特有の版ズレ・混色・かすれなどの風合いを再現したビジュアルを作るテクニックを解説します。 
*本連載はPhotoshopで作る定番グラフィックの制作工程を、一から手順通りに解説するHow to記事です。


■使用する機能「塗りつぶしツール」「横書き文字ツール」「カラーオーバーレイ」「描画モード」「移動ツール」「スマートオブジェクト」「ぼかし(ガウス)」「ノイズを加える」「彩度を下げる」「レベル補正」

目次

Photoshop でリソグラフ風ビジュアルを作る: 
1.ビジュアルの元になる背景と文字を用意する

まずは新規ファイルを[幅:1200ピクセル]、[高さ:800ピクセル]、[解像度:350ピクセル/インチ]で作成したら、塗りつぶしツールを選択して[描画色]を濃いグレー(ここでは16進数カラーコード[#3f4852])に設定。レイヤーパネルで新規レイヤーを作成したあと、カンバス上をクリックして塗りつぶしておく(図1)

文字だけで作るリソグラフ風のビジュアル
図1横書き文字ツールで元になる文字列(ここでは「2025 FUKUOKA RISOGRAPH AWARD」)を入力したら、文字パネルでフォントやフォントサイズ、フォントカラーなどを設定(図2)。レイヤーパネルで文字のレイヤーを選択したあと、レイヤーメニュー→“ラスタライズ”→“テキスト”を実行する(図3)

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図2。フォントカラーはこの段階では好みの色でOK。ここでは仕上がりイメージに合わせてピンク(16進数カラーコード[#fdb4a4])に設定した
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図3。この時点のレイヤーの状態。文字のレイヤーをラスタライズしておく続いてレイヤーパネルで文字のレイヤーのレイヤーサムネールをcommandキー+クリック(Macの場合。WindowsではCtrlキー+クリック)して文字の形に選択範囲を作成したら(図4)、文字のレイヤーを非表示にしておく(図5)

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図4。文字の形に選択範囲を作成する
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図5次に、レイヤーパネルで濃いグレーで塗りつぶしたレイヤーを選択してcommand+Cキー(Macの場合。WindowsではCtrl+Cキー)で選択部分をコピーしたあと、deleteキーを押して消去(図6)
続いてcommand+Vキー(Macの場合。WindowsではCtrl+Vキー)でペーストする(図7)(図8)

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図6。選択部分をdeleteキーで消去したため、濃いグレーで塗りつぶしたレイヤーが文字の形に切り抜かれる
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図7。濃いグレーで塗りつぶしたレイヤーの前面に、同色の文字がペーストされる
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図8。この時点のレイヤーの状態

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2. 文字に色を着けて版ズレ風の演出をする

版ズレを表現していく。まず、レイヤーパネルで先ほどペーストしたレイヤーを選択したら(図9)、レイヤーメニュー→“レイヤースタイル”→“カラーオーバーレイ...”を、[描画モード:通常]、[オーバーレイのカラー]をピンク(ここでは16進数カラーコード[#fdb4a4])、[不透明度:100%]で適用する(図10)(図11)

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図9。この時点のレイヤーの状態。先ほどペーストしたレイヤーが選択されていない場合は、クリックして選択しておく
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図10。レイヤースタイルの[カラーオーバーレイ]を[描画モード:通常]、[オーバーレイのカラー]をピンク(ここでは16進数カラーコード[#fdb4a4])、[不透明度:100%]に設定する
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図11このレイヤーが選択された状態のまま、レイヤーメニュー→“ラスタライズ”→“レイヤースタイル”を実行し(図12)(図13)、レイヤーパネルで[描画モード:焼き込み(リニア)]に変更する(図14)(図15)

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図12。レイヤースタイルをラスタライズする前
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図13。
レイヤースタイルをラスタライズした後
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図14
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図15。この時点のレイヤーの状態。レイヤーパネルで[描画モード:焼き込み(リニア)]に変更しておく続いて、移動ツールでこのレイヤーを少しだけ右にドラッグして移動させ、版ズレ文字を表現する(図16)

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図16

Photoshop でリソグラフ風ビジュアルを作る: 
3. リソグラフ風に加工してビジュアルを仕上げる

ビジュアルを仕上げていく。まずレイヤーパネルで濃いグレーで塗りつぶしたレイヤーを選択して、レイヤーメニュー→“スマートオブジェクト”→“スマートオブジェクトに変換”を実行(図17)。同様に版ズレ文字のレイヤーもスマートオブジェクトに変換しておく(図18)

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図17。この時点のレイヤーの状態。濃いグレーで塗りつぶしたレイヤーをスマートオブジェクトに変換しておく
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図18。この時点のレイヤーの状態。版ズレ文字のレイヤーもスマートオブジェクトに変換しておく次に、濃いグレーで塗りつぶしたレイヤーを選択してフィルターメニュー→“ぼかし”→“ぼかし(ガウス)...”を[半径:0.5pixel]で適用(図19)(図20)。同様に版ズレ文字のレイヤーにも「ぼかし(ガウス)」フィルターを同じ設定値で適用する(図21)


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図19。[半径:0.5pixel]に設定する
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図20
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図21再び濃いグレーで塗りつぶしたレイヤーを選択したら、フィルターメニュー→“ノイズ”→“ノイズを加える...”を[量:5%]、[分布方法:均等に分布]、[グレースケールノイズ]で適用(図22)(図23)。同様に版ズレ文字のレイヤーにも「ノイズを加える」フィルターを同じ設定値で適用する(図24)

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図22。[量:5%]、[分布方法:均等に分布]、[グレースケールノイズ]に設定する
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図23
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図24最後に、コンクリートの写真素材を用意して前面に配置したら(図25)、イメージメニュー→“色調補正”→“彩度を下げる”を実行し(図26)、レイヤーパネルで[描画モード:スクリーン]に変更(図27)(図28)

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図25。前面にコンクリートの写真素材を配置する
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図26。写真素材の彩度を下げる
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図27
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図28。この時点のレイヤーの状態。レイヤーパネルで[描画モード:スクリーン]に変更するこの写真素材のレイヤーが選択された状態のまま、イメージメニュー→“色調補正”→“レベル補正...”を選び、シャドウのスライダーを右方向に動かして写真素材が暗くなるよう調整すれば完成(図29)(図30)

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図29。プレビューを見ながらヒストグラムの下にあるシャドウのスライダー(赤丸部分)を右方向に動かして写真素材が暗くなるよう調整する。
ここでは[シャドウ:110]に設定した
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図30。完成ビジュアル以上、Photoshopで文字要素をメインに使い、リソグラフ印刷特有の版ズレ・混色・かすれなどの風合いを再現したビジュアルを作るテクニックでした。

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