Appleの開発者向けイベント「WWDC24」が、日本時間で2024年6月11日(火)に開始されました。基調講演では「Apple intelligence」など、主にOS・プラットフォームやAIに関する発表が行われています。


【目次】

「Apple Vision Pro」が日本国内でもついに発売

「Apple Vision Pro」について、日本国内でも2024年6月14日(金)から予約注文の受付が始まり、6月28日(金)に販売がスタートすることが発表されました。「Apple Vision Pro」は、昨年の「WWDC23」での新発表で目玉となったゴーグル型のXRヘッドセットです。

【Apple WWDC24での発表まとめ】注目はアップルでAI技術を本格導入する「Apple Intelligence」、そのほか各OSの強化が中心に!
「Apple Vision Pro」装着イメージ「Apple Vision Pro」は、既に販売が開始されているアメリカ本国に加え、新たに日本を含む複数の国と地域(China/Japan/Singapore/Australia/Canada/France/Germany/United Kingdom ※表記名と順序は基調講演のムービー内の表記に準拠)で発売されます。日本・中国本土・香港・シンガポールで先行して発売され、そのほか5カ国では現地時間で7月12日(金)に販売がスタートする予定です。

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“空間” が作業スペースになる全く新しいかたちのデバイス今回の発表では「Apple Vision Pro」に用いられている「visionOS」という “空間コンピューティング” のOSが今秋に無料アップデートを果たし、「visionOS 2」となることも明らかにされました。操作性が向上することや新たなフレームワーク・APIの提供、「写真」アプリで既存の画像を簡単に3D写真へと変換できるようになることなどが紹介されています。

パーソナル性がさらに向上する「iOS 18」

iOSの新バージョンとなる「iOS 18」が紹介されました。デベロッパー向けのベータ版の提供が開始されており、パブリックベータ版は7月から提供されます。iPhone Xs以降を対象として、一般ユーザーは今秋の無料アップデートで利用できる予定です。

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新しいカスタマイズ方法などが追加された「iOS 18」ホーム画面のカスタマイズ性が向上し、アプリのアイコンを自由に配置しやすくなることなどが紹介されました。画面右上から下へのスワイプで起動する「コントロールセンター」も再設計されており、各項目を階層的に複数ページで管理できるようになっています。

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ホーム画面のカスタマイズ例
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新しい「コントロールセンター」ロック画面の下部にあるコントロールを切り替えられることも便利です。これまではカメラとフラッシュライトが表示されていましたが、これらを任意の項目へと変更できます。

プライバシー保護に関連したトピックとして、他人に見られたくないアプリをロック状態または非表示にできる機能も紹介されました。
また、アプリで共有される連絡先についても、「iOS 18」では特定の連絡先のみ参照するように自分で決めて設定できるようになります。

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ロックしたアプリはホーム画面では非表示にそのほかには、メッセージやメール、マップ、ウォレット、ジャーナルといった各種アプリの強化が紹介されました。「写真」アプリも “史上最大の変更” を掲げ、大幅なデザインの刷新が実現されています。上方に画像のグリッド、下方にテーマ別のライブラリーが配置されました。上側のグリッド部分はスワイプで変化するカルーセル形式のUIで、おすすめの画像などが表示されます(自分でカスタマイズも可能)。

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刷新された「写真」アプリなお「iOS 18」には、後述のAI機能「Apple Intelligence」も導入されます。

 

ジェスチャーでSiriに応答できる「AirPods」

「AirPods」は今秋にソフトウェアアップデートが実施され、新たな操作方法が追加されます。「Siri」への応答で声を出したくない場面で、首を縦に振れば「はい」、首を横に振れば「いいえ」と伝えることが可能です。「AirPods」には、周囲の雑音が大きい場所や風が強い時にも声がはっきりと聞こえる「声を分離」機能も導入されます。

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「AirPods」の利便性が向上

新たに翻訳アプリも導入される「watchOS 11」

「Apple watch」用の「watchOS 11」のプレビューでは、トレーニングの負荷を効果的に測定・管理できる機能や、新しいバイタルアプリなどが紹介されました。スマートスタックと「写真」文字盤は、パーソナライズを意識した強化が行われます。新しい翻訳アプリの機能も登場し、ユーザーは対応する20言語への翻訳に手首の「Apple watch」から直接アクセスできます。「watchOS 11」も今秋にリリース予定です。


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「watchOS 11」のイメージ

手書きの操作での体験が進化する「iPadOS 18」

iPadの新たなOSのバージョンである「iPadOS 18」も、「iOS 18」と同様に、ホーム画面/アプリアイコン/コントロールセンターのカスタマイズ性が向上しています。「写真」アプリも「iOS 18」と同じように一新されます。

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計算メモの機能(右)のデモが印象的だった「iPadOS 18」Apple PencilやApple Intelligenceに関連したアプリのアップデートにも注目です。新登場の「計算機」アプリには、「計算メモ」という機能があります。アプリ上の「計算機」ボタンを押すことで、紙と同じように自分で計算式を手書きすることが可能です。しかも「=」記号を書くと同時に、iPadが瞬時に答えを出してくれます。式に変更を加えると、計算結果にもすぐに反映されます。

新しい計算機能は「メモ」アプリ上でも利用できます。「メモ」には、手書きのテキストをリアルタイムで滑らかにして傾きを補正する「スマートスクリプト」も搭載されました。入力したテキストを手書きメモの中にペーストすることで、文字を自分の手書き風に自動的に変更できる機能も便利そうです。

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注目の「Apple Intelligence」が組み込まれている「iPadOS 18」にも後述のAI機能「Apple Intelligence」が導入されており、上記の新機能もそれらが存分に活用されたパワーアップです。「iPadOS 18」はデベロッパー向けのベータ版の提供が即日開始され、パブリックベータ版は7月から提供されます。一般ユーザーには、iPad Pro(M4)、12.9インチiPad Pro(第3世代以降)、11インチiPad Pro(第1世代以降)、iPad Air(M2)、iPad Air(第3世代以降)、iPad(第7世代以降)、iPad mini(第5世代以降)向けに無料アップデートが今秋リリース予定です。


 

iPhoneとの連係が魅力的な「macOS Sequoia」

Mac用の「macOS」の新バージョンは「macOS Sequoia」と名付けられました。「Sequoia(セコイア)」は、シエラネバダ山脈の南部にあるアメリカの国立公園の名前に由来しています。「iOS 18」や「iPadOS 18」で紹介された各種のアプリの強化などが行われ、後述のAI機能「Apple Intelligence」も導入されています。

「macOS Sequoia」では、iPhoneに直接アクセスして連係させられる「iPhoneミラーリング」の機能が搭載されました。ワイヤレスでつないでMac側でiPhoneの画面を見ることができ、さらにそのままMacのキーボード/トラックパッド/マウスでiPhoneの操作ができて非常に便利です。MacとiPhone間でのシームレスなドラッグ&ドロップでのデータのやり取りにも対応し、Mac上でiPhoneの通知も表示されるようになります。

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iPhoneとMacの連係が強固になる「iPhoneミラーリング」そのほか、今回の「macOS」の最新バージョンには、タイル表示がしやすくなるウィンドウの整理方法、FaceTimeやZoomなどで使えるビデオ会議での新しい発表者プレビュー、Safariの強化、新しいパスワードアプリなどのアップデートが含まれます。

新たな「Passwords」では、全ての認証情報を1カ所にまとめ、より簡単なパスワードへのアクセスが可能です。ちなみにこのパスワードアプリは、MacだけでなくiPhoneやiPadやVision Proでも利用でき、「iCloud for Windows」アプリによってWindowsでも使うことができて、デバイス間で同期ができます。

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新しいパスワードアプリ「macOS Sequoia」はデベロッパー向けのベータ版の提供が開始済み、パブリックベータ版は7月に登場予定で、一般ユーザーに無料のアップデートとして提供されるのは今秋です。

「Apple Intelligence」でAIを本格的に導入

今回、iPhoneにもiPadにもMacにも共通したOSでの大きな強化が「Apple Intelligence」の導入です。Appleシリコンのパワーを活用する “パーソナル人工知能” のシステムとして登場します。「Apple Intelligence」を端的に表現すると、各ユーザーのApple製品をAIによって “さらにパーソナルな便利で楽しいもの” にするテクノロジーです。


【Apple WWDC24での発表まとめ】注目はアップルでAI技術を本格導入する「Apple Intelligence」、そのほか各OSの強化が中心に!
iPhoneでもiPadでもMacでも利用できるようになる「Apple Intelligence」具体的な例として、iPhoneの通知に自分に合った優先順位を付けられること、「書き直し」アクションによって自分が書いたEメールなどの文面の修正・校正・要約ができるようになること、「Image Playground」でスケッチ/イラストレーション/アニメーションの3つから任意のスタイルで画像を作り出せること、簡単な説明の入力でオリジナルの「Genmoji」(絵文字の進化版)を作れること、「Image Wand」でざっくり描いたスケッチを “洗練された画像” に変身させられることなどが紹介されました。

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「書き直し」機能はメール、メモ、Safari、Pages、Keynoteに加えて他社製アプリでも自動的に使うことが可能
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「Image Playground」はアプリやシステム全体に組み込まれ、メモ、フリーボード、Keynote、Pagesなどで使えるほか、独立した専用のアプリも提供表層的な恩恵だけでなく、「Apple Intelligence」ではより深いレベルでのパーソナライズにまつわる変化がもたらされ、Siriとも緊密に統合されます。デモではSiriに「母のフライトの到着時間は?」と質問するだけで、母親からのEメールのフライト情報とリアルタイムの運航状況が相互に参照され、最新の到着時間を答えてもらえる例などが紹介されていました。

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Siriは新しいデザインを採用。タイプ入力もでき、テキストと声を切り替えてやり取りが可能
【Apple WWDC24での発表まとめ】注目はアップルでAI技術を本格導入する「Apple Intelligence」、そのほか各OSの強化が中心に!
アプリ内やアプリを横断して多くの新しい “インテリジェンス” なアクションを実行できるSiriなお、この「Apple Intelligence」への対応は、最初は英語(米国のみ)です。一部の機能、ソフトウェアプラットフォーム、追加言語は2025年中の公開が予定されています。「Apple Intelligence」が影響を受けそうな強化は広範囲に及ぶため、「日本国内ではまだだいぶ先」になりそうなのは少し残念です。

また、「Apple Intelligence」に追加される形で、Appleのプラットフォーム全体にChatGPTが統合されることも発表されています。ユーザーはアカウントを作成せずに無料でChatGPTにアクセスでき、2024年内に利用が可能となる予定です(GPT-4oモデル)。さらに将来的には、ほかのAIモデルのサポートも追加していくことが予定されています。

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ChatGPTはユーザーがアクセス許可を与えることで利用可能にApple
URL:https://www.apple.com/jp/

2024/06/11

【Apple WWDC24での発表まとめ】注目はアップルでAI技術を本格導入する「Apple Intelligence」、そのほか各OSの強化が中心に!
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