AC部「GIFTOOOON(ギフトゥーーン)展」待ちに待ったゴールデンウィークがもうすぐやってきます。大型連休をどのように過ごすか、そろそろ計画を立てはじめている人も多いのではないでしょうか。
※ 2025.04.28:「CODE TO GRAPHIC」を追加
【目次】【1】<Event Area>京都府・京都市
京都国際写真祭「KYOTOGRAPHIIE」のサテライトイベント「KG+SPECIAL EXHIBITION」として開催される瀧本幹也氏の写真展です。展覧会のタイトルになっている「LUMIÈRE / PRIÈRE」は瀧本氏にとって10年ぶりの新作の写真集で、2冊同時刊行されました(発行:MT Gallery/販売:青幻舎)。
「LUMIÈRE」はフランス語で「光」の意味で、小型カメラで野の草花を撮影したシリーズです。「PRIÈRE」は同じくフランス語で「祈り」の意味で、静けさに満ちた寺院の建築や庭などが撮影されています。この2冊はいずれもコロナ禍をきっかけに誕生し、大型の機材を使って撮影するような過去の作品づくりとは異なるアプローチが採用されています。
「LUMIÈRE / PRIÈRE」展は、これまでにも2024年12月に代官山ヒルサイドフォーラム、2025年2月から3月にかけてSGallery SUGATA KYOTOで開催されてきました。今回は新たなキュレーションで空間が構成されています。開催時間は12:00~17:00で、タッセルホテル三条白川への宿泊者については好きな時間に作品を鑑賞することが可能です。会場では、既刊の写真集や関連グッズなども販売されます。
期間2025年4月8日(火)~5月10日(木)開催場所TODAYS GALLERY STUDIO. NAGOYA
愛知県名古屋市中区新栄1-17-12URLhttps://tasselhotel.jp/kyoto-sanjo/【2】<Event Area>東京都・渋谷区
ロシア出身で現在は東京を拠点としているイラストレーターのパベル・シプキン氏によるイラスト展です。コンビニという身近な存在を題材として掛け軸へと精緻に描き出された作品を通じて、過去と現在が共存するユニークな視点が示されます。
パベル・シプキン氏にとって、コンビニは単なる利便性の象徴ではなく、過去と現在が交差する特別な空間です。作品に描かれたコンビニの狭い通路や蛍光灯の光は一見すると普通に見えますが、そこには「古いものが現代の日常の中に溶け込んだ聖域」という意味も含まれています。通路が象徴しているのは人生の選択で、蛍光灯の光が象徴しているのは都市の中の儚い輝きです。
さらに同氏は、古くからの日本の物語に登場する妖怪やキャラクターも、現在の都市環境に再解釈しています。一般的に幽霊と言えば暗い森や隠れた場所に潜む存在のイメージですが、パベル・シプキン氏は現代の都市空間における新しい世界観を描きました。空想としての「現代の江戸」という舞台を創造し、昔の民間伝承にもとづく感情が今でも共鳴し続けていることが表現されています。
会期中には、作者のアートワークがあしらわれたギャラリーの公式ドリンク「Jinny Lemon Sour」の限定ラベルが登場予定です。神宮前2丁目の一部飲食店で特別販売されます。
会場は神宮前2丁目商和会に位置する路上ギャラリー期間2025年4月11日(金)~5月9日(土)開催場所Jinny Street Gallery
東京都渋谷区神宮前2-31-5URLhttps://www.jinnystreetgallery.com/【3】<Event Area>大阪府・大阪市
多摩美術大学で結成されたクリエイティブチーム・AC部の展覧会です。東京の日本橋三越本店コンテンポラリーギャラリー、福岡のOERGROUND、広島の猫屋町ビルヂングでの開催に続き、大阪への巡回が決まりました。
本展では、日本を代表するポップカルチャーの1つである漫画を取り上げています。AC部は、1999年の結成以来、「高速紙芝居」や「GIFマンガ」を発表するなど、ユニークな手法で漫画表現の可能性を広げてきました。本展では、SNSで話題となった自動で漫画を描き続けるインスタレーション「自動漫画家」が展示されます。
関連イベントとして、会期中の4月24日(木)には、梅田CLUB QUATTROにて、group_inouのワンマンライブも開催されます。group_inouは、AC部がMVやアートワークで長年コラボを重ねてきた音楽ユニットです。
「自動漫画家」のほかにも今回の展覧会では、そのgroup_inouの楽曲「HAPPENING」のMVとして制作された映像を中心に、白黒のアニメGIFをシームレスにつないだ「GIFマンガ」、GIF変換で生じる画像の圧縮やディザリングの粒子感を手描きで表現した作品など、多彩な作品が集められています。人気の「イルカのイルカくん」グッズなども販売予定です。
期間2025年4月11日(金)~5月12日(月)開催場所i GALLERY OSAKA
大阪府大阪市中央区南船場3-8-14 CAN心斎橋Garden 1FURLhttps://ac-bu.info/giftoooon/【4】<Event Area>東京都・台東区 ほか
ミニチュアアートの合同写真展&物販展です。独自の切り口での数々のユニークな展覧会を仕掛けているBACONの人気企画で、本物かと見間違うほどの精巧なミニチュア作品が集結します。4月11日(金)~5月18日(日)の東京での会期終了後は、5月24日(土)から名古屋ギャラリーで巡回展も開催予定です。
本展に出品するのは、主にSNSで人気を集めているクリエイターたちです。過去に来場した人も楽しめるように、展示作品は新作ベースに一新されました。8組の新規クリエーターを迎え、総勢64組がミニチュアアートを展示します。
出品例として、Instagramでフォロワー6.5万人超の人気の「りっこ(@mysiderikko)」は、小籠包や餃子など62種類の新作ミニチュア点心を初披露する予定です。手持ちのスマホのカメラで作品を撮影すると、画像検索で点心の種類が分かるという凝った仕掛けも盛り込まれました。
そのほか、「Renee(@renee_miniature)」は7年もの制作期間をかけて毎年バージョンアップしてきた大作「いちご農園のスイーツカフェ」を初展示します。
期間(東京)2025年4月11日(金)~5月18日(日)開催場所(東京)TODAYS GALLERY STUDIO.
東京都台東区浅草橋5-27-6 5F 期間(名古屋)2025年5月24日(土)~6月29日(日)開催場所(名古屋)TODAYS GALLERY STUDIO. NAGOYA
愛知県名古屋市中区新栄1-17-12 URLhttps://tgs.jp.net/event/miniature【5】<Event Area>東京都・品川区
「少年ジャンプ+展」キービジュアル ©少年ジャンプ+10周年/集英社集英社の漫画誌アプリ「少年ジャンプ+」が2024年9月に創刊10周年を迎えました。これをを記念し、初の展覧会が寺田倉庫G1ビルで開催されます。キービジュアルには、「少年ジャンプ+」の連載作家11名の描き下ろしイラストが起用されました。キーカラーの赤色の華やかな服を身に纏ったキャラクターたちが、パーティーのように来場者を迎えるコンセプトのビジュアルです。
2014年に創刊された「少年ジャンプ+」は70作品以上のオリジナル連載漫画を無料で連載し、2,900万ダウンロードを超えるアプリへと成長しました。「週刊少年ジャンプ」の電子版や「ジャンプコミックス」の購読にも対応しています。
今回の展覧会では、大迫力の巨大スクリーンで楽しめるシアター映像、作品の第1話の名シーンを集めた「ジャンプ+ロード」、等身大キャラクターや作中の名言および「神回」を集めたエリアなど、多彩なコンテンツが用意されている充実の内容です。「SPY×FAMILY」「怪獣8号」「ダンダダン」といった人気作品の個別のエリアも設置されています。
さらに「少年ジャンプ+」アプリでは「いいね!」のような「いいジャン!」という仕組みが導入されていますが、これをリアルの場に再現したのが「いいジャン!ウォール」です。お気に入りの作品のそばに「いいジャン!」シールを貼ることができ、展示されている複製原画には連載作家による作品へのコメントが寄せられています。
「ジャンプ+ロード」©少年ジャンプ+10周年/集英社期間2025年4月18日(金)~5月18日(日)開催場所寺田倉庫G1ビル
東京都品川区東品川2-6-4URLhttps://jumpplus-ex.jp/【6】<Event Area>神奈川県・横浜市
全国各地を好評巡回中の「ミュシャ展 アール・ヌーヴォーの女神たち」が、横浜で開催されます。2023年末に大阪でスタートし、名古屋での開催を経て、横浜会場は全国巡回3都市目の開催です。
本展ではアール・ヌーヴォーの代表的な画家・デザイナーとして知られるアルフォンス・ミュシャ(1860~1939年)が紹介されています。高精細のプロジェクターを用いた映像空間では、代表作の「ジスモンダ」をはじめ、「モナコ・モンテカルロ」「JOB」「夢想」などの多くの名作が映像化されました。パリ時代の華やかな作品を中心とした紹介が繰り広げられます。
さらに、本展はデジタルとリアルが融合した展覧会であることも特徴です。近年になって増えてきた映像コンテンツのみの美術展とは異なり、実物の作品も数多く展示されます。
展示は、大きく4章に分かれた構成です。第1章は魅力的な女性像を表現した作品が集まる「麗しの女神」、第2章は商業ポスターやカレンダーなどの印刷物を紹介する「暮らしの彩り」、第3章は女性や植物などのモチーフの流れる美しさが表現された「スタイルの美」で、第4章では自国の誇りや尊厳を表現した作品が展示されます。
なお、本展は写真撮影もOKです。ただし、撮影不可のエリアもあるため注意が必要となります。
期間2025年4月18日(金)~5月18日(日)開催場所横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホール
神奈川県横浜市中区新港1-1-1URLhttps://mucha-immersive.com/【7】<Event Area>東京都・渋谷区
霊的な存在など「 “何か” が視える」世界を擬似体験できる写真展です。展示写真は一見すると何の変哲もない風景写真に感じられますが、全て霊能力者の監修によって確認された「視える人には見える写真」となっています。
監修を務めたのは、吉本興業所属の霊視芸人であるシークエンスはやとも氏と、東京の高円寺で透視・霊視を用いたカウンセリングサロンを運営しているMiyoshi氏です。展示される写真は新たに撮り下ろされたもので、「廃墟」「樹海/パワースポット」「都市圏」という3つのテーマに沿っています。
その不思議な性質上、展覧会の注意書きには「人により見え方が違う場合もございます」と示されています。また、入場料金には「お清め塩付き」の仕様が採用されました(数がなくなり次第で終了)。
展覧会の公式サイトには、自分が「視える人」であるかを確認できるコーナーも設置されています。「視えない人」に向けてどのように映っているかも丁寧に解説されているため、チェックしてみると良いでしょう。ちなみにキービジュアルで用いられている写真では、丸で囲まれた部分に「静かに佇む50代くらいのスーツ姿の男性」が視えるそうです。
展示写真イメージ:樹海
展示写真イメージ:都市圏期間2025年4月18日(金)~5月4日(日)開催場所並木橋 OLDHAUS
東京都渋谷区東1-26-32URLhttps://mieruhito.com/【8】<Event Area>東京都・中央区
石崎光瑤「燦雨」(左隻・部分)1919年 第1回帝展(特選)豊かな色彩で華やかな花鳥画を数多く残した日本画家・石崎光瑤(1884~1947年)の展覧会です。石崎光瑤は富山で生まれ、金沢で琳派を学び、その後に京都に出て竹内栖鳳(1864~1942年)に入門しました。インドも旅して熱帯の風物に触れ、「燦雨(さんう)」などの濃密な描写の作品を描いています。
本展では、生誕140年を記念し、南砺市立福光美術館のコレクションから約40件が公開されます。石崎光瑤の画業の全貌が紹介される回顧展は、東京では初開催です。会場での展示は、第1章「画学修行と登山」、第2章「インドへの旅、新しい日本画へ」、第3章「深まる絵画表現」、第4章「静謐なる境地へ」で構成されました。
石崎光瑤は早くから伊藤若冲に関心を持ち、代表作を発見して世に広めたことでも知られており、第3章では幅広い東西の絵画研究を通じて生じた絵画表現の変化について触れられています。1930年の第11回帝展に出品された「笹百合」は、自身が「色も形も極めて簡素なものに興味を覚えて描いた」と語っている作品で、モダンな印象も感じられる幾何学的な構図です。
4月23日(水)の11:00からと14:00からは、各30分ほどで南砺市立福光美術館学芸員・川邉紫音氏によるギャラリートークも実施されます。参加には当日の入場券が必要です。
石崎光瑤「笹百合」1930年 第11回帝展期間2025年4月23日(水)~5月6日(火・休)開催場所日本橋高島屋S.C. 本館8Fホール
東京都中央区日本橋2-4-1URLhttps://www.takashimaya.co.jp/【9】<Event Area>東京都・中央区
写真集「Mary Had a Little Lamb」より第49回「木村伊兵衛写真賞」の受賞者が、長沢慎一郎氏に決まりました。1975年に朝日新聞社が創設した「木村伊兵衛写真賞」は「写真界の芥川賞」と呼ばれることもあり、多くの有名な写真家を輩出する若手の登竜門として広く知られています。第49回の開催では、2024年に優れた作品を発表した新人写真家が対象です。
長沢慎一郎氏の受賞を記念して、ソニーイメージングギャラリー銀座では受賞作品展が開催されます。展覧会タイトルは、受賞の対象作となった写真集と同じく「Mary Had a Little Lamb」です。
長沢氏は1977年東京生まれの写真家で、日本写真芸術専門学校、10BANスタジオを経て、4年半にわたって広告写真家の藤井保氏のアシスタントを務めました。2006年に独立し、広告の分野で活躍しています。
長沢氏は2008年には小笠原の父島の約100年前の欧米系島民の写真に衝撃を受けたそうです。そこから13年の年月を経て初の写真集「The Bonin Islanders」が出版され、続いて2024年に「Mary Had a Little Lamb」が発表されました。米軍占領時代の父島での出来事がまとめられたシリーズとなっています。
長沢慎一郎氏(写真:朝日新聞出版写真映像部・和仁貢介氏)期間2025年4月25日(金)~5月8日(木)開催場所ソニーイメージングギャラリー銀座
東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス 6FURLhttps://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/【10】<Event Area>東京都・豊島区
株式会社エポック社の人気ドールハウスシリーズ「シルバニアファミリー」が2025年で40周年を迎えたことを記念し、全国各地で「シルバニアファミリー展40th」が開催されます。最初の会場に選ばれたのは、東京のサンシャインシティの文化会館です。
「シルバニアファミリー」は、夢のある優しい世界を表現した動物のキャラクターたちのドールハウスシリーズです。2023年にはシリーズ初の映画が公開され、近年になって再び若い世代からも脚光を浴びています。
展覧会では「ようこそ、シルバニア村へ」というキャッチコピーのもと、シルバニアファミリーらしい心温まるコンテンツが繰り広げられます。総勢100種類以上が集まる「赤ちゃんコレクション」全種陳列コーナーや大型ジオラマ、アーカイブの展示などにも注目です。「ゆうえんちエリア」で遊んだり、新展開の「フェアリーシリーズ」の世界をひと足先に体感したりもできます。会場は全作品撮影OKです。
エポック社からは、40周年を記念して多彩なアイテムも続々と発売が予定されています。展覧会のスタートに先駆けて、4月19日(土)には5人の赤ちゃん人形が付属する「お城のゆめいろゆうえんち ーハピネスドリームー」が登場予定です。40周年キービジュアルも、遊園地の世界観で構成されています。
「シルバニアファミリー」40周年キービジュアル期間2025年4月25日(金)~5月18日(日)開催場所サンシャインシティ 文化会館2F 展示ホールD
東京都豊島区東池袋3-1-4URLhttps://www.sylvanianfamilies.com/40th/【11】<Event Area>東京都・渋谷区
ヴェネツィア派の技法を背景に持つTERÁN(テラン)氏の日本初の個展です。駐日スペイン大使館の後援のもとで開催され、入場無料で作品を鑑賞できます。
テラン氏は、チリ生まれでスペイン在住のアーティストです。都市の風景や視覚的記憶をテーマに、伝統と現代性を融合させながら活動し、国際的に高く評価されています。2013年には「ラテンアメリカの100人のパーソナリティ」に選出されました。
テラン氏は「Retrato Capital」や「Tribute to the Geniuses」などの「巨匠たちに捧げるシリーズ」を発表しており、異なるスタイルを交錯させながら絵画のコードを再構築しています。「Tribute to the Geniuses」では、ピカソやフォンタナやシャガールなどの巨匠の作品を独自に再解釈しました。
本展では、「もしもパブロ・ピカソが葛飾北斎の生きた江戸時代を歩いたら?」というコンセプトのもと、ピカソが架空の旅人として北斎の描いた風景や人物と出会い、時空を超えた対話を繰り広げるという幻想的な世界が表現されています。作品の中ではピカソが象徴的なモチーフと対話しており、新たな創造の形が提示されている展覧会です。
期間2025年4月27日(日)~5月25日(日)開催場所Galerie GEEK/ART
東京都渋谷区神宮前 6-23-6 1FURLhttps://geek.art/【12】<Event Area>東京都・渋谷区
デザイナーの深地宏昌氏とプログラマーの堀川淳一郎氏が2003年に結成したクリエイティブスタジオ・DIGRAPH(ディグラフ)の作品展示会です。ディグラフは「CODE TO GRAPHIC」という手法で作品を生み出しており、多種多様なプログラミング(コード)を使ってグラフィックを制作しています。
作品の描画には、デジタルとフィジカルの境界を探る表現技法「Plotter Drawing」が用いられています。画面上のデジタルのデータとも印刷物とも異なる物理的なゆらぎや独自の表情が作品の特徴です。
今回の展示会では、新たな試みとして「CTG(Computer Technique Group)」に焦点を当てた作品も披露されます。CTGは、1960年代に日本のコンピュータアートの黎明期を牽引したグループです。
CTGはCG作品の出力にプロッターを使用し、ディグラフと同じくコンピュータを使ってアートとデザインの壁を超えた活動を展開していました。本展では、CTGの痕跡を辿ることでディグラフの活動意義や位置付けを問いかけることを目指しています。CTGの代表作である「Kennedyシリーズ」をモチーフに、ディグラフならではの切り口で発表される新たな作品に注目です。
期間2025年5月3日(土・祝)~5月11日(日)開催場所CONTRAST
東京都渋谷区富ヶ谷1-49-4 1F/B1FURLhttps://infocusinc.com/* * * * * * * * * *
今回の記事では、2025年のゴールデンウィーク期間中に楽しめる注目の展覧会やアートイベントを紹介しました。旅先での立ち寄りや、気軽な休日のお出かけ先としてもぴったりの企画が満載です。大型連休は日常を離れてアートの世界に浸れる絶好のチャンスとなります。心をリセットする充実したアートなひとときを過ごし、思い出に残る素敵な休日をお過ごしください。
どこに出かけようか迷っているなら、アートに触れる旅もオススメです。人気急上昇中のクリエイティブチームの企画展や、「少年ジャンプ+」の初の大型展覧会、第49回木村伊兵衛写真賞の受賞記念展など、アート系イベントを一挙に紹介します。のんびり過ごしたい人も、感性を刺激したい人も、きっとお気に入りのイベントが見つかるはずです。
※ 2025.04.28:「CODE TO GRAPHIC」を追加
【目次】
【1】<Event Area>京都府・京都市
瀧本幹也写真展「LUMIÈRE / PRIÈRE」
~コロナ禍をきっかけに生まれた2冊の写真集の展覧会~

「LUMIÈRE」はフランス語で「光」の意味で、小型カメラで野の草花を撮影したシリーズです。「PRIÈRE」は同じくフランス語で「祈り」の意味で、静けさに満ちた寺院の建築や庭などが撮影されています。この2冊はいずれもコロナ禍をきっかけに誕生し、大型の機材を使って撮影するような過去の作品づくりとは異なるアプローチが採用されています。
「LUMIÈRE / PRIÈRE」展は、これまでにも2024年12月に代官山ヒルサイドフォーラム、2025年2月から3月にかけてSGallery SUGATA KYOTOで開催されてきました。今回は新たなキュレーションで空間が構成されています。開催時間は12:00~17:00で、タッセルホテル三条白川への宿泊者については好きな時間に作品を鑑賞することが可能です。会場では、既刊の写真集や関連グッズなども販売されます。
期間2025年4月8日(火)~5月10日(木)開催場所TODAYS GALLERY STUDIO. NAGOYA
愛知県名古屋市中区新栄1-17-12URLhttps://tasselhotel.jp/kyoto-sanjo/
【2】<Event Area>東京都・渋谷区
「江戸コンビニ百景」
~身近なコンビニを題材に過去と現在の共鳴を表現~

パベル・シプキン氏にとって、コンビニは単なる利便性の象徴ではなく、過去と現在が交差する特別な空間です。作品に描かれたコンビニの狭い通路や蛍光灯の光は一見すると普通に見えますが、そこには「古いものが現代の日常の中に溶け込んだ聖域」という意味も含まれています。通路が象徴しているのは人生の選択で、蛍光灯の光が象徴しているのは都市の中の儚い輝きです。
さらに同氏は、古くからの日本の物語に登場する妖怪やキャラクターも、現在の都市環境に再解釈しています。一般的に幽霊と言えば暗い森や隠れた場所に潜む存在のイメージですが、パベル・シプキン氏は現代の都市空間における新しい世界観を描きました。空想としての「現代の江戸」という舞台を創造し、昔の民間伝承にもとづく感情が今でも共鳴し続けていることが表現されています。
会期中には、作者のアートワークがあしらわれたギャラリーの公式ドリンク「Jinny Lemon Sour」の限定ラベルが登場予定です。神宮前2丁目の一部飲食店で特別販売されます。

東京都渋谷区神宮前2-31-5URLhttps://www.jinnystreetgallery.com/
【3】<Event Area>大阪府・大阪市
AC部「GIFTOOOON(ギフトゥーーン)展」
~SNSで話題の「自動漫画家」を披露~

本展では、日本を代表するポップカルチャーの1つである漫画を取り上げています。AC部は、1999年の結成以来、「高速紙芝居」や「GIFマンガ」を発表するなど、ユニークな手法で漫画表現の可能性を広げてきました。本展では、SNSで話題となった自動で漫画を描き続けるインスタレーション「自動漫画家」が展示されます。
関連イベントとして、会期中の4月24日(木)には、梅田CLUB QUATTROにて、group_inouのワンマンライブも開催されます。group_inouは、AC部がMVやアートワークで長年コラボを重ねてきた音楽ユニットです。
「自動漫画家」のほかにも今回の展覧会では、そのgroup_inouの楽曲「HAPPENING」のMVとして制作された映像を中心に、白黒のアニメGIFをシームレスにつないだ「GIFマンガ」、GIF変換で生じる画像の圧縮やディザリングの粒子感を手描きで表現した作品など、多彩な作品が集められています。人気の「イルカのイルカくん」グッズなども販売予定です。

大阪府大阪市中央区南船場3-8-14 CAN心斎橋Garden 1FURLhttps://ac-bu.info/giftoooon/
【4】<Event Area>東京都・台東区 ほか
「ミニチュア写真の世界展 2025」
~多数の新作が登場する恒例のミニチュアアート展~

本展に出品するのは、主にSNSで人気を集めているクリエイターたちです。過去に来場した人も楽しめるように、展示作品は新作ベースに一新されました。8組の新規クリエーターを迎え、総勢64組がミニチュアアートを展示します。
出品例として、Instagramでフォロワー6.5万人超の人気の「りっこ(@mysiderikko)」は、小籠包や餃子など62種類の新作ミニチュア点心を初披露する予定です。手持ちのスマホのカメラで作品を撮影すると、画像検索で点心の種類が分かるという凝った仕掛けも盛り込まれました。
そのほか、「Renee(@renee_miniature)」は7年もの制作期間をかけて毎年バージョンアップしてきた大作「いちご農園のスイーツカフェ」を初展示します。
48分の1サイズの世界観で細部までこだわり抜いた精巧なドールハウスを手掛ける「clarabel(@clarabel0919)」にも注目です。会場では、謎解きを楽しみながら参加できる体験型イベント「ミニチュアかくれんぼ」も展開されます。

東京都台東区浅草橋5-27-6 5F 期間(名古屋)2025年5月24日(土)~6月29日(日)開催場所(名古屋)TODAYS GALLERY STUDIO. NAGOYA
愛知県名古屋市中区新栄1-17-12 URLhttps://tgs.jp.net/event/miniature
【5】<Event Area>東京都・品川区
「少年ジャンプ+展」
~漫画アプリの創刊10周年を記念した初の展覧会~

2014年に創刊された「少年ジャンプ+」は70作品以上のオリジナル連載漫画を無料で連載し、2,900万ダウンロードを超えるアプリへと成長しました。「週刊少年ジャンプ」の電子版や「ジャンプコミックス」の購読にも対応しています。
今回の展覧会では、大迫力の巨大スクリーンで楽しめるシアター映像、作品の第1話の名シーンを集めた「ジャンプ+ロード」、等身大キャラクターや作中の名言および「神回」を集めたエリアなど、多彩なコンテンツが用意されている充実の内容です。「SPY×FAMILY」「怪獣8号」「ダンダダン」といった人気作品の個別のエリアも設置されています。
さらに「少年ジャンプ+」アプリでは「いいね!」のような「いいジャン!」という仕組みが導入されていますが、これをリアルの場に再現したのが「いいジャン!ウォール」です。お気に入りの作品のそばに「いいジャン!」シールを貼ることができ、展示されている複製原画には連載作家による作品へのコメントが寄せられています。

東京都品川区東品川2-6-4URLhttps://jumpplus-ex.jp/
【6】<Event Area>神奈川県・横浜市
「ミュシャ展 アール・ヌーヴォーの女神たち(横浜展)」
~リアルとデジタルで堪能するアール・ヌーヴォー~

本展ではアール・ヌーヴォーの代表的な画家・デザイナーとして知られるアルフォンス・ミュシャ(1860~1939年)が紹介されています。高精細のプロジェクターを用いた映像空間では、代表作の「ジスモンダ」をはじめ、「モナコ・モンテカルロ」「JOB」「夢想」などの多くの名作が映像化されました。パリ時代の華やかな作品を中心とした紹介が繰り広げられます。
さらに、本展はデジタルとリアルが融合した展覧会であることも特徴です。近年になって増えてきた映像コンテンツのみの美術展とは異なり、実物の作品も数多く展示されます。
展示は、大きく4章に分かれた構成です。第1章は魅力的な女性像を表現した作品が集まる「麗しの女神」、第2章は商業ポスターやカレンダーなどの印刷物を紹介する「暮らしの彩り」、第3章は女性や植物などのモチーフの流れる美しさが表現された「スタイルの美」で、第4章では自国の誇りや尊厳を表現した作品が展示されます。
なお、本展は写真撮影もOKです。ただし、撮影不可のエリアもあるため注意が必要となります。


神奈川県横浜市中区新港1-1-1URLhttps://mucha-immersive.com/
【7】<Event Area>東京都・渋谷区
「視える人には見える展」
~写り込んだ “何か” が見える…かもしれない写真展~

監修を務めたのは、吉本興業所属の霊視芸人であるシークエンスはやとも氏と、東京の高円寺で透視・霊視を用いたカウンセリングサロンを運営しているMiyoshi氏です。展示される写真は新たに撮り下ろされたもので、「廃墟」「樹海/パワースポット」「都市圏」という3つのテーマに沿っています。
その不思議な性質上、展覧会の注意書きには「人により見え方が違う場合もございます」と示されています。また、入場料金には「お清め塩付き」の仕様が採用されました(数がなくなり次第で終了)。
展覧会の公式サイトには、自分が「視える人」であるかを確認できるコーナーも設置されています。「視えない人」に向けてどのように映っているかも丁寧に解説されているため、チェックしてみると良いでしょう。ちなみにキービジュアルで用いられている写真では、丸で囲まれた部分に「静かに佇む50代くらいのスーツ姿の男性」が視えるそうです。


東京都渋谷区東1-26-32URLhttps://mieruhito.com/
【8】<Event Area>東京都・中央区
「生誕140年記念 石崎光瑤」
~華やかな花鳥画を描いた日本画家の回顧展~

本展では、生誕140年を記念し、南砺市立福光美術館のコレクションから約40件が公開されます。石崎光瑤の画業の全貌が紹介される回顧展は、東京では初開催です。会場での展示は、第1章「画学修行と登山」、第2章「インドへの旅、新しい日本画へ」、第3章「深まる絵画表現」、第4章「静謐なる境地へ」で構成されました。
石崎光瑤は早くから伊藤若冲に関心を持ち、代表作を発見して世に広めたことでも知られており、第3章では幅広い東西の絵画研究を通じて生じた絵画表現の変化について触れられています。1930年の第11回帝展に出品された「笹百合」は、自身が「色も形も極めて簡素なものに興味を覚えて描いた」と語っている作品で、モダンな印象も感じられる幾何学的な構図です。
4月23日(水)の11:00からと14:00からは、各30分ほどで南砺市立福光美術館学芸員・川邉紫音氏によるギャラリートークも実施されます。参加には当日の入場券が必要です。

東京都中央区日本橋2-4-1URLhttps://www.takashimaya.co.jp/
【9】<Event Area>東京都・中央区
長沢慎一郎 作品展「Mary Had a Little Lamb」
~第49回木村伊兵衛写真賞の受賞記念展~

長沢慎一郎氏の受賞を記念して、ソニーイメージングギャラリー銀座では受賞作品展が開催されます。展覧会タイトルは、受賞の対象作となった写真集と同じく「Mary Had a Little Lamb」です。
長沢氏は1977年東京生まれの写真家で、日本写真芸術専門学校、10BANスタジオを経て、4年半にわたって広告写真家の藤井保氏のアシスタントを務めました。2006年に独立し、広告の分野で活躍しています。
長沢氏は2008年には小笠原の父島の約100年前の欧米系島民の写真に衝撃を受けたそうです。そこから13年の年月を経て初の写真集「The Bonin Islanders」が出版され、続いて2024年に「Mary Had a Little Lamb」が発表されました。米軍占領時代の父島での出来事がまとめられたシリーズとなっています。

東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス 6FURLhttps://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/
【10】<Event Area>東京都・豊島区
「シルバニアファミリー展40th」
~40周年を迎えた人気ドールハウスの全国巡回展が開幕~

「シルバニアファミリー」は、夢のある優しい世界を表現した動物のキャラクターたちのドールハウスシリーズです。2023年にはシリーズ初の映画が公開され、近年になって再び若い世代からも脚光を浴びています。
展覧会では「ようこそ、シルバニア村へ」というキャッチコピーのもと、シルバニアファミリーらしい心温まるコンテンツが繰り広げられます。総勢100種類以上が集まる「赤ちゃんコレクション」全種陳列コーナーや大型ジオラマ、アーカイブの展示などにも注目です。「ゆうえんちエリア」で遊んだり、新展開の「フェアリーシリーズ」の世界をひと足先に体感したりもできます。会場は全作品撮影OKです。
エポック社からは、40周年を記念して多彩なアイテムも続々と発売が予定されています。展覧会のスタートに先駆けて、4月19日(土)には5人の赤ちゃん人形が付属する「お城のゆめいろゆうえんち ーハピネスドリームー」が登場予定です。40周年キービジュアルも、遊園地の世界観で構成されています。

東京都豊島区東池袋3-1-4URLhttps://www.sylvanianfamilies.com/40th/
【11】<Event Area>東京都・渋谷区
TERÁN 日本初個展「Fantasías de Picasso(ピカソの幻想)」
~もしもピカソが北斎の描いた風景と出会ったら~

テラン氏は、チリ生まれでスペイン在住のアーティストです。都市の風景や視覚的記憶をテーマに、伝統と現代性を融合させながら活動し、国際的に高く評価されています。2013年には「ラテンアメリカの100人のパーソナリティ」に選出されました。
テラン氏は「Retrato Capital」や「Tribute to the Geniuses」などの「巨匠たちに捧げるシリーズ」を発表しており、異なるスタイルを交錯させながら絵画のコードを再構築しています。「Tribute to the Geniuses」では、ピカソやフォンタナやシャガールなどの巨匠の作品を独自に再解釈しました。
本展では、「もしもパブロ・ピカソが葛飾北斎の生きた江戸時代を歩いたら?」というコンセプトのもと、ピカソが架空の旅人として北斎の描いた風景や人物と出会い、時空を超えた対話を繰り広げるという幻想的な世界が表現されています。作品の中ではピカソが象徴的なモチーフと対話しており、新たな創造の形が提示されている展覧会です。
期間2025年4月27日(日)~5月25日(日)開催場所Galerie GEEK/ART
東京都渋谷区神宮前 6-23-6 1FURLhttps://geek.art/
【12】<Event Area>東京都・渋谷区
「CODE TO GRAPHIC」
~プログラミングでグラフィックを作るDIGRAPHの作品展~

作品の描画には、デジタルとフィジカルの境界を探る表現技法「Plotter Drawing」が用いられています。画面上のデジタルのデータとも印刷物とも異なる物理的なゆらぎや独自の表情が作品の特徴です。
今回の展示会では、新たな試みとして「CTG(Computer Technique Group)」に焦点を当てた作品も披露されます。CTGは、1960年代に日本のコンピュータアートの黎明期を牽引したグループです。
CTGはCG作品の出力にプロッターを使用し、ディグラフと同じくコンピュータを使ってアートとデザインの壁を超えた活動を展開していました。本展では、CTGの痕跡を辿ることでディグラフの活動意義や位置付けを問いかけることを目指しています。CTGの代表作である「Kennedyシリーズ」をモチーフに、ディグラフならではの切り口で発表される新たな作品に注目です。


東京都渋谷区富ヶ谷1-49-4 1F/B1FURLhttps://infocusinc.com/* * * * * * * * * *
今回の記事では、2025年のゴールデンウィーク期間中に楽しめる注目の展覧会やアートイベントを紹介しました。旅先での立ち寄りや、気軽な休日のお出かけ先としてもぴったりの企画が満載です。大型連休は日常を離れてアートの世界に浸れる絶好のチャンスとなります。心をリセットする充実したアートなひとときを過ごし、思い出に残る素敵な休日をお過ごしください。

編集部おすすめ