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ポーラ美術館に収蔵されたゴッホの油彩画
本展は、後世の芸術家たちに大きな影響を及ぼしたゴッホをテーマにしている展覧会です。ときには社会現象にもなったゴッホのインパクトを検証するとともに、ゴッホの作品の魅力に迫っています。
ポーラ美術館ポーラ美術館には、ゴッホによる3点の油彩画が収蔵されています。1888年の「ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋」、1889年の「草むら」、1890年の「アザミの花」です。「ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋」はアルル時代の風景画で、その作品の中でゴッホは「自らの得意とした補色の効果」を確かめようとしています。

ポーラ美術館「草むら」は、ゴーギャンとの共同生活が破綻してアルルを去ったゴッホが、精神の不調から入院することになったサン=レミの地で描かれています。さまざまな階調の緑で描かれ、範囲を限定して庭の一角を取り上げることで、色彩の効果や草むらの存在感が高められました。「アザミの花」は精神科医の治療を受けるために移り住んだオーヴェール=シュル=オワーズで、亡くなる約1カ月前に制作された作品です。

ポーラ美術館
ゴッホの影響を受けた芸術家の作品
本展では、これらのほかに他館からもゴッホ作品も出品され、諸橋近代美術館の「座る農婦」なども鑑賞できます。劇的な生涯を過ごしながら絵画を制作したゴッホの歩みを辿れる内容です。
諸橋近代美術館それとともに、ゴッホがほかの芸術家たちにどのような影響を与えたかについても大きく取り上げられています。一例として挙げられるのが、モーリス・ド・ヴラマンク(1876~1958年)の作品です。野獣派に分類される彼がゴッホの作品を初めて目にしたのは1901年にベルネーム=ジュヌ画廊での個展で、「自然の解釈に見られるほとんど宗教的とも言えるような感情」に大きな影響を受けました。
日本の画家たちにも影響を及ぼしたゴッホ
ゴッホは日本の画家たちにもさまざまな影響を及ぼしており、そこに注目しているのも本展の大きな特徴です。
京都国立近代美術館岸田劉生(1891~1929年)、前田寛治(1896~1930年)、中村彝(1887~1924年)などの作品が取り上げられます。さらに、森村泰昌氏や福田美蘭氏や桑久保徹氏などの現代の作家たちの絵画も展示され、初公開となるポーラ美術館の新たに収蔵された作品も含まれる予定です。

ポーラ美術館
copyright the artist, courtesy of ShugoArts* * * * * * * * * *
■期間:
2025年5月31日(土)~11月30日(日)
■開催場所:
ポーラ美術館 展示室1、2、3
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
■問い合わせ先:
ポーラ美術館
url. https://www.polamuseum.or.jp/
