Photoshopで水中に沈んだ文字を表現するテクニックを紹介します。「置き換え」フィルターで文字を水面に合わせて変形させるのがポイントです。
*本連載はPhotoshopで作る定番グラフィックの制作工程を、一から手順通りに解説するHow to記事です。
■使用する機能「横書き文字ツール」「スマートオブジェクト」「置き換え」「レイヤー効果」「レイヤーマスク」「ブラシツール」「グラデーションマップ」
目次
Photoshopで水中に沈んだ文字を表現:
1.写真素材に合わせて文字を変形する
まずは、新規ファイルを[幅:1200ピクセル]、[高さ:1400ピクセル]、[解像度:350ピクセル/インチ]で作成したら、水面の写真を用意して配置。ファイルメニュー→“別名で保存...”を選び、分かりやすい名前をつけて[フォーマット:Photoshop]でファイルを保存しておく
(図1)。
図1[描画色]を白に設定したら、横書き文字ツールで写真の前面に元になる文字列を入力し、文字パネルでフォントやフォントサイズ、行送りなどを設定する
(図2)。
図2。ここでは、フォントにAdobe Fontsで提供されている「DIN 2014 Extra Bold」(Paratype)を選択したレイヤーパネルで文字のレイヤーを選択し、レイヤーメニュー→“スマートオブジェクト”→“スマートオブジェクトに変換”を実行
(図3)。
図3。この時点のレイヤーの状態。文字のレイヤーをスマートオブジェクトに変換しておく続いて、フィルターメニュー→“変形”→“置き換え...”を[水平比率:20]、[垂直比率:20]、[置き換えマップデータ:同一サイズに拡大/縮小]、[未定義領域:端のピクセルを繰り返して埋める]、[スマートオブジェクトにファイルデータを埋め込む]で実行する
(図4)。
図4。[水平比率:20]、[垂直比率:20]、[置き換えマップデータ:同一サイズに拡大/縮小]、[未定義領域:端のピクセルを繰り返して埋める]、[スマートオブジェクトにファイルデータを埋め込む]に設定するファイルを選択するダイアログが表示されるので、先ほど保存した水面のファイルを選んで適用する
(図5)。
図5。水面の模様に合わせて文字が変形する
Photoshopで水中に沈んだ文字を表現:
2.文字に濃淡をつける
水面の模様に合わせて文字にムラをつけていく。まず、文字のレイヤーが選択された状態で、レイヤーメニュー→“レイヤースタイル”→“レイヤー効果...”を選択。
[ブレンド条件]の欄の[下になっているレイヤー]にある、黒いスライダーの右半分をoptionキー(Macの場合。WindowsではAltキー)を押しながらクリックして分離し、そのままドラッグして右方向に移動させる。これにより文字に濃淡ができるので、プレビューを参考にしながらちょうどいい見え具合に調節したあと[OK]をクリックして適用する
(図6)(図7)。
図6。[レイヤー効果]の画面。[ブレンド条件]の欄の[下になっているレイヤー]にある黒いスライダーを、optionキー(Macの場合。WindowsではAltキー)を押しながらクリックするとふたつに分離するので、右半分をドラッグして右方向に移動させる。ここでは数値が[140]になるよう調整したが、写真素材や表現したいイメージによっても最適値は異なるのでプレビューを確認しながら適宜調整してみてほしい
図7この文字のレイヤーが選択された状態のまま、レイヤーパネル下部の[レイヤーマスクを追加]ボタンをクリックしてレイヤーマスクを追加する
(図8)。
図8。この時点のレイヤーの状態。[レイヤーマスクを追加]ボタン(赤枠部分)をクリックしてレイヤーマスクを追加する[描画色]を黒に設定したあと、ブラシツールを選んで、オプションバーでブラシプリセットピッカーを開き[ソフト円ブラシ]を選択。さらに[不透明度:30%]、[流量:100%]、[滑らかさ:0%]に設定し
(図9)、ブラシサイズを適宜調整しながら部分的にブラシを加えてムラをつけていく
(図10)(図11)。
図9。ブラシツールのオプションバーでブラシプリセットピッカーを開き[ソフト円ブラシ]を選択。さらに[不透明度:30%]、[流量:100%]、[滑らかさ:0%]に設定する
図10
図11
Photoshopで水中に沈んだ文字を表現:
3.全体の色味を調整して仕上げる
ビジュアルを仕上げていく。まず、レイヤーメニュー→“新規調整レイヤー”→“グラデーションマップ...”を選び、「新規レイヤー」ダイアログが表示されたら[OK]をクリック
(図12)(図13)。
図12。「新規レイヤー」ダイアログが表示されるので、そのまま[OK]をクリックする
図13。「グラデーションマップ」調整レイヤーを適用すると、画像の明暗差に合わせて色が置き換えられる。この場合は、初期設定の[描画色から背景色へ]のグラデーションで色が置き換えられた(作業環境により異なる見た目になる場合があるが、この段階では気にしなくてよい)続いて、プロパティパネルのグラデーションサンプル(マウスポインターを合わせると「クリックでグラデーションを編集」とヒントが表示されるバー状のグラデーション見本)をクリックして
(図14)、グラデーションエディターを開く。
図14。赤枠部分がグラデーションサンプル。バーの上をクリックするとグラデーションエディターを開くことができるグラデーションエディターが表示されたら、グラデーションサンプルのカラー分岐点を設定して黒、濃い青、青、水色、白のグラデーションを作成して適用する
(図15)(図16)。
図15。
赤丸部分がカラー分岐点。グラデーションサンプルの下辺をクリックしてカラー分岐点を3つ追加して計5つとし、それぞれ[カラー]と[位置]を設定する。ここでは、いちばん左の[カラー]を黒(16進数カラーコード[#000000])、[位置:0]に、左から2番目の[カラー]を濃い青(16進数カラーコード[#11131f])、[位置:30]に、左から3番目の[カラー]を青(16進数カラーコード[#008aff])、[位置:70]に、左から4番目の[カラー]を水色(16進数カラーコード[#91e1ff])、[位置:90]に、いちばん右の[カラー]を白(16進数カラーコード[#ffffff])、[位置:100]に設定した
図16ここでは、さらに文字要素などを配置して完成とした
(図17)。
図17。完成ビジュアル以上、Photoshopで水中に沈んだ文字を表現する方法でした。