Adobeは、2025年7月末にAdobe Photoshopのアップデートを実施しました。生成AIを活用し、合成の作業を効率化できる機能や、画像を鮮明にアップスケールできる機能などがβ版として追加されています。
「削除ツール」の性能もさらに強化されました。

【目次】

手軽に高品質な合成を実現できる「調和」機能

「調和(ベータ版)」は、2024年10月のAdobe MAXで「Project Perfect Blend」として初披露された新機能です。Photoshopのデスクトップ版とWeb版ではβ版の機能として搭載され、iOS向けのモバイル版では早期アクセス版として利用できるようになりました。

Adobe Photoshopの2025年7月アップデートをチェック〜Fireflyを活用する新機能などが登場〜
この機能には、同社のAI機能であるAdobe Firefly Image Modelが活用されています。合成の作業で背景と追加オブジェクトを手軽に馴染ませるために役立つ機能です。この「調和(ベータ版)」機能は、コンテキストタスクバーからアクセスできます。実行後は複数のバリエーションが同時に生成され、適切な馴染ませ具合を自分で選ぶことが可能です。

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生成後の結果は、新規の「調和済みレイヤー」として追加されます。なお、本機能の利用には、生成ごとに1クレジットが必要です。

鮮明に画像を拡大できる「生成アップスケール」

「生成アップスケール(ベータ版)」も、Photoshopのデスクトップ版とWeb版にβ版の機能として導入されました。解像度の低い画像をAIによって鮮明にアップスケールできます。

Adobe Photoshopの2025年7月アップデートをチェック〜Fireflyを活用する新機能などが登場〜
この機能は、イメージメニュー→“生成アップスケール...”で実行します。そのほか、従来のイメージメニュー→“画像解像度...”のダイアログにも「生成アップスケールで開く...」というリンクが追加されました。処理を実行すると、アップスケールされた画像は新規のドキュメントとして開かれます。


最大8メガピクセルまでのアップスケールができ、β版では最大画像出力が4,096pxで幅と高さの最大比率は1:4とされています。なお、この機能はβ版である間は生成クレジットの消費を必要とせずに利用することが可能です。

ファイル管理と共同作業に便利な「プロジェクト」

Photoshopの最新バージョンでは「プロジェクト(ベータ版)」という機能も追加されました。これはデスクトップ版のアプリでのみ利用できるβ版の機能です。

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「プロジェクト」を作成すると、ファイル、ブランド、ライブラリをまとめて保存できます。複数のローカルドライブに散らばったファイルを探す手間を省くことができ、作業ファイルや納品物の管理・整理に役立ちます。

さらに本機能では、ほかのユーザーを「プロジェクト」に招待して共有することもできます。不要になったプロジェクトを削除するとメンバーはアクセスできなくなり、ファイルは非公開となる仕様です。削除したプロジェクトは、30日後にAdobeクラウドストレージから完全に削除されます。

「削除ツール」の性能もさらに強化

2025年7月期のアップデートでは、β版ではないPhotoshopアプリも強化されました。最新のAdobe Firefly Image Modelを搭載した「削除ツール」が改善され、デスクトップ版とWeb版で利用できるようになっています。

「削除ツール」は、AI技術を活用して画像内の不要なオブジェクトを自然に消すことができるツールです。削除したい箇所をなぞったり囲んだりするだけの簡単な操作性が魅力です。


今回のアップデートで、この「削除ツール」の処理能力がさらに向上し、これまで以上に正確かつ高品質に不要なオブジェクトの消去が可能となりました。削除が適用された領域のエッジはノイズが少なく、背景と自然に調和します。生成AIが活用されるツールですが、クレジット消費は不要です。

Adobe Photoshopの2025年7月アップデートをチェック〜Fireflyを活用する新機能などが登場〜
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今回のPhotoshopのアップデートでは、β版での機能の追加を中心として、主に生成AIを活用する強化が実施されています。デスクトップ版アプリでは「生成AIモデルピッカー」も導入され、「生成塗りつぶし」や「生成拡張」を拡張する際に異なるAdobe Firefly Image Model(Adobe Firefly Image 3とAdobe Firefly Image 1)を選べるようにもなりました。

Adobe Photoshopの2025年7月アップデートをチェック〜Fireflyを活用する新機能などが登場〜
近年のCreative Cloudアプリのアップデートでは、新機能や機能強化のほとんどがAdobe Fireflyと連携した内容で、かなりの進化を遂げています。これまでプロフェッショナルのみの “職人技” であった画像編集のテクニックが、「細部の制御にこだわらなければ」という条件付きではありますが、素早く手軽に実現できるようになっている印象です。

アドビ株式会社
URL:https://www.adobe.com/jp/

2025/08/14

Adobe Photoshopの2025年7月アップデートをチェック〜Fireflyを活用する新機能などが登場〜
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