ちょっとした場面に筆で絵を描きたいと思っても、たまにしか使わないので画材を揃えるのは面倒だという方もいるかもしれません。あるいは、画材はたくさん持っていても、少しの用途で使うのは面倒くさいと感じることもあるでしょう。
そんな方にぴったりなのが、「万年筆ペン先のつけペン hocoro(ホコロ)」シリーズの毛筆タイプのペン先「 ブラッシュ」です。色変えが簡単なので、1本持っているだけで手軽にいろいろな色のインクを使って絵を描いたり、書道のような質感で文字を書いたりすることができます。今回は、この「万年筆ペン先のつけペン hocoro ブラッシュ」の使用感をレポートします。

もくじ

「万年筆ペン先のつけペン hocoro ブラッシュ」の使い方

「万年筆ペン先のつけペン hocoro」は、ペン先を水で軽く洗うだけで簡単に色替えできる万年筆のシリーズです。ペン軸からペン先を取り外して付け替えられるようになっていて、これまで5種のペン先が販売されていました。6種類目となる「ブラッシュ」は毛筆タイプのペン先となっています。線に強弱をつけて筆書きの表現が楽しめるので、文字を書くのはもちろん、絵を描くのにも使えます。

万年筆のシリーズに毛筆タイプのペン先は意外な感じもしますが、「万年筆ペン先のつけペン hocoro」の販売元であるセーラー万年筆は1972年に筆ペンを発明した会社なので、筆の製作においても老舗とも言えます。

「万年筆ペン先のつけペン hocoroブラッシュ」は毛筆タイプのペン先をペン軸に取り付けて使用します。ペン軸とペン先のセットはもちろん、ペン先だけでも販売されているので、同シリーズの他のペン軸を持っている方は「ブラッシュ」のペン先だけ購入すれば使うことができます。ペン軸は、これまでのシリーズではシロかグレーの2種類でしたが、「ブラッシュ」はクリアタイプなのもオシャレです。

いろいろな描き味が楽しめて洗浄も簡単な毛筆タイプのつけペン「hocoro ブラッシュ」お試しレビュー
「万年筆ペン先のつけペン hocoro ブラッシュ」のペン軸とペン先のセット。ペン軸はシリーズ初のクリアタイプ使い方は簡単です。
万年筆インクなどの水性インクにペン先をひたし、余分なインクを瓶の縁でしごいて紙に書くだけです。

いろいろな描き味が楽しめて洗浄も簡単な毛筆タイプのつけペン「hocoro ブラッシュ」お試しレビュー
ペン先はナイロン製の毛筆タイプ
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ペン先に万年筆インクをつけて使うナイロン製のこしのあるペン先で文字や線も書きやすく、一度インクをつけるとけっこう長く保ちます。

いろいろな描き味が楽しめて洗浄も簡単な毛筆タイプのつけペン「hocoro ブラッシュ」お試しレビュー
紙に文字や線を描いたところ。毛筆ならではの強弱をつけられる「万年筆ペン先のつけペン hocoro」シリーズの一番の特徴は、ペン先を水でゆすぐだけで簡単に色変えができる点です。「ブラッシュ」も水で流したらティッシュなどで水分を拭き取り、すぐ次のインクを使うことができます。そこがカートリッジ式ではなくつけペン式である大きなメリットと言えるでしょう。洗浄時は、ペン先のオレンジ色の部分に窓があいているので、そこに水がかかるようにすると根本にインクが残りづらくなります。

いろいろな描き味が楽しめて洗浄も簡単な毛筆タイプのつけペン「hocoro ブラッシュ」お試しレビュー
水で「ブラッシュ」の穂先を洗ったら、すぐに別のインクを使うことができる見た目は水筆ペンとも似ていますが、ペン軸はただの持ち手で水を入れるわけではないので、まさに絵筆や書道筆のような使い心地です。万年筆人気は高くさまざまな色のインクが販売されているので、インク沼にハマっている方もいるかもしれません。そんな方々が、集めたインクを万年筆だけでなく筆書きするのに活用できるのもよいところではないでしょうか。

「万年筆ペン先のつけペン hocoro ブラッシュ」で絵を塗る

毛筆タイプの「万年筆ペン先のつけペン hocoro ブラッシュ」は、文字を書くだけでなく絵を描くのにも活用できます。ここからは、色塗りに使っていきます。

毛筆タイプなので万年筆と違い広い面を塗るのにも向いています。
万年筆インク用の薄め液を持っていなくても、腐らせてしまう心配がなく水や精製水でインクを薄めることができるのもつけペン式のメリットです。水彩画のようにグラデーションにしたりにじませたりする表現も可能です。

また、万年筆タイプのペン先やカートリッジ式のもののように詰まる心配がないので、ラメインクにも適しています。

いろいろな描き味が楽しめて洗浄も簡単な毛筆タイプのつけペン「hocoro ブラッシュ」お試しレビュー
薄めた万年筆インクで濃淡をつけて広い面を塗れる
いろいろな描き味が楽しめて洗浄も簡単な毛筆タイプのつけペン「hocoro ブラッシュ」お試しレビュー
ラメインクも詰まる心配なく使えるせっかくなので、「万年筆ペン先のつけペン hocoro」シリーズのほかのペン先も使ってみます。「ブラッシュ」以外に5種類販売されていて、その中の2つがスタンダードな万年筆の細字と中字です。ここでは中字で「ブラッシュ」で塗った上にチェックの柄を書いてみました。

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「万年筆ペン先のつけペン hocoro 中字」をシロのペン軸に付けた。ペン先のハート型の穴のところまでインクをつけて使用する
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「ブラッシュ」で色を塗った上に、「万年筆ペン先のつけペン hocoro 中字」でチェック柄を描いたほかにも「1.0mm幅(カリグラフィタイプ)」と「2.0mm幅(カリグラフィタイプ)」のペン先があります。筆者がカリグラフィが書けていないので(すみません…)書き味が伝わりにくいかもしれませんが、ペンを自分の側に倒すほど太い線になっていきます。ここでは、「2.0mm幅」を使い「2025 A&W」の文字を書いてみました。

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「万年筆ペン先のつけペン hocoro  2.0mm幅(カリグラフィタイプ)」をグレーのペン軸に付けた
いろいろな描き味が楽しめて洗浄も簡単な毛筆タイプのつけペン「hocoro ブラッシュ」お試しレビュー
「2.0mm幅(カリグラフィタイプ)」を使い「2025 A&W」の文字を書いた残りの1種類「万年筆ペン先のつけペン hocoro 筆文字」は、名前だけ見ると「ブラッシュ」と似た印象ですが、こちらのペン先はあくまでも万年筆で筆文字のような柔らかい書き心地になります。書道筆のように止めやはらいの表現もできます。
ここでは、髪の毛を塗るのに使ってみました。

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「万年筆ペン先のつけペン hocoro 筆文字」は、筆文字のような書き味の万年筆となっている
いろいろな描き味が楽しめて洗浄も簡単な毛筆タイプのつけペン「hocoro ブラッシュ」お試しレビュー
「筆文字」で髪の毛を塗ったこのようにサッと色を変えて、場合によっては他のペン軸に変えて絵を塗ることができるので、ラフ案を描いてざっと色のイメージをつける場合などにも活用できるのではないでしょうか。インク瓶と水の入った入れ物だけあれば作業でき、パレットや水入れを広げる必要がないので、普段の仕事机でも使いやすいです。

いろいろな描き味が楽しめて洗浄も簡単な毛筆タイプのつけペン「hocoro ブラッシュ」お試しレビュー
ファッション画に「万年筆ペン先のつけペン hocoro ブラッシュ」などを使い、サッと色を塗った

「万年筆ペン先のつけペン hocoro ブラッシュ」のメンテナンス

「万年筆ペン先のつけペン hocoro」シリーズのペン先はすべて、使わないときはペン軸の内側に差し込むことができます。特に毛筆タイプの「ブラッシュ」はペン先が押されたり曲がったりして変な癖がついてしまうと使いづらくなるので、ペン先を痛めてしまうリスクが減りとても便利です。出先や外で使いたいときなどの持ち運びに適していますし、デスクの引き出しにしまっておくのにもよいでしょう。これは他の絵筆や書道筆にも導入できないかと思うくらい、穂先を痛めず収納するシステムとして優秀だと思いました。

いろいろな描き味が楽しめて洗浄も簡単な毛筆タイプのつけペン「hocoro ブラッシュ」お試しレビュー
使わないときはペン先を内側に差し込んでおけるので、穂先を痛めづらい濃い色のインクを使ったあとなどには、水で洗っても「ブラッシュ」のペン先に色が残ってしまうことがありますが、使用には問題ありません。別売りの「万年筆ペン先のつけペン hocoro ブラッシュ用洗浄器」を使えば、ペン先の後ろ側から水を流せてよりしっかり洗浄できます。

注射器のような形をした洗浄器本体の先に洗浄ノズル、その先に「ブラッシュ」のペン先をとりつけます。次に、ペン先を水の中に入れ、後ろのプランジャー部分を上下して水を吸い上げて後ろから押し出すことで穂先を洗浄します。筆は根本に色が残りがちだけれど、あまりぎゅうぎゅう洗うと痛めてしまうという悩みがありましたが、後ろから水を流すことで根本からきれいになります。この仕組みも、一般的な絵筆や書道筆に採用してほしいと思うくらい便利でした。


いろいろな描き味が楽しめて洗浄も簡単な毛筆タイプのつけペン「hocoro ブラッシュ」お試しレビュー
洗浄器本体の先に洗浄ノズル、その先にペン先をつける
いろいろな描き味が楽しめて洗浄も簡単な毛筆タイプのつけペン「hocoro ブラッシュ」お試しレビュー
ペン先を水に入れて洗浄器の後ろにあるプランジャーを上下するもし穂先がつぶれたり曲がったりしてしまった場合は、60~80℃のお湯に1~2分ほどつけて穂先を整えることで、癖を取ることができます。

いろいろな描き味が楽しめて洗浄も簡単な毛筆タイプのつけペン「hocoro ブラッシュ」お試しレビュー
穂先に癖がついてしまった場合は、60~80℃のお湯に1~2分つける洗浄器やお湯でメンテナンスできるとはいっても、使用し終わったらインクが乾く前になるべく早く洗い流し、筆に癖がつかないよう整えておく方がよいでしょう。また、ペン軸の後ろ側はフタがされていて貫通しているわけではありません。そのため、濡れたままペン軸に差しておくと蒸れてしまうので、少し乾かしてからしまった方が衛生的でペン先の品質を保てるのではないかと思います。

まとめ

「万年筆ペン先のつけペン hocoro ブラッシュ」は、ペン軸に取り付けて使える毛筆タイプのペン先です。使い方は一般的な筆と大きく変わりませんが、ペン先を水でさっと洗っただけですぐに色変えできる点が、絵の具などを使う場合と比べて非常に手軽です。また、ペン先をペン軸の中に入れられるので穂先を痛めづらく、収納や持ち歩きに優れています。書道筆代わりにも活用できるので、ご祝儀袋の宛名など、ごくたまに発生する毛筆で書きたい場面にも有用でしょう。

万年筆は文具の中でもファンの多い分野で、さまざまなこだわりのインクが発売されています。そうした絵の具にはないような色のインクを絵を描くのに使えるのも、嬉しい点と言えます。

ただ、今のところこの筆ペンタイプの「ブラッシュ」は1種類しかありません。細筆や太筆、平筆などのバリエーションが増えると、手軽な画材としてさらに活用の幅が広がります。
今後そうした製品が発売されることにも期待です。

DATA製品名:万年筆ペン先のつけペン hocoro ブラッシュ
希望小売価格:1,210 円(ペン先+ペン軸)、660 円(ペン先)、770円(洗浄器)
発売元:セーラー万年筆株式会社
商品情報サイトhttps://sailor.co.jp/product/27-0135/
公式ECサイト:https://sailorshop.jp/products/27-0135-202
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/B0F28ZBQHV/

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