そこで今回は「Affinity by Canva」の特徴や従来のバージョンとの違いなどを押さえた上で、プロユースのクリエイティブツールの完全無料化によって起こる今後の展望を分析します。
目次
「Affinity by Canva」とは? 基本仕様と従来版との違い
※参照URL:全く新しいAffinity:誰もがプロのデザインを無料で作成できるようになりました(Canva公式サイト)
Affinityシリーズは、従来「Affinity Designer」(Adobe Illustratorに相当)「Affinity Photo」(Adobe Photoshopに相当)「Affinity Publisher」(Adobe InDesignに相当)といったように、それぞれの用途で独立したツールとして提供されてきましたが、「Affinity by Canva」でもそれぞれのツールは独立したアプリケーションとして機能します。
このようにDTP系の機能が統合されたワークフローで、軽量で高速なプロユースのグラフィックツールを実現している点は、Adobeにはない魅力と言えるでしょう。また、UIやクラウド連携など、運営元であるCanvaの要素が加わったのも大きなポイントです。
一方で、Canvaアカウントとの連携が必須になったことで、単なる買い切りツールではなく、SaaS的な運用要素も加わったため、初回のアクティベーションや定期的なアカウント確認などネット接続が必要になります。通常の使用においてはオフラインでの基本的な作業も可能ですが、先日のAdobeの大規模な障害も、こうしたSaaS的な運用要素が要因と一つになっていたと考えられますので、この点はデメリットにもなりうるということは留意しておきましょう。
本当に完全無料化なのか?
そのため、今回の完全無料化をポジティブな側面だけで捉えるのは早計です。上記のようなキャンペーンでは効果を得られないため、Adobeが築いた市場で存在感を確立するには「完全無料化」という大胆な戦略しかなかったと考えるのが妥当ではないでしょうか。また、Canvaは、何らかの方法でAffinityの事業を収益化する必要があります。Canvaアカウント連携を通じて、有料サービスへの誘導など課金ポイントが設けられる可能性があることは念頭に置いておきましょう。
「Affinity by Canva」に関しての4つの可能性と課題
前述の通り、Affinity by Canvaのコア技術の多くはV2からの延長線上にあり、機能面で大きな変更はありません。改めてその可能性と課題を考察します。1.印刷対応
Affinityに印刷入稿に課題があることは、前回の記事でもお伝えしたとおりです。しかし、近年ではX-1aやX-4といった印刷用途のPDF形式による入稿が主流になっています。完全データとして入稿データを作成する必要はあるものの、Adobeの生データを用いなくても入稿できる印刷サービスは増えています。PDFはAdobe開発ながらISO標準規格であり、Adobeが他ツールからの入稿を意図的に制限するリスクは低いでしょう。
2.ファイル互換性
▶︎Adobe Illustrator→Affinity Designer
▶︎Adobe Photoshop→Affinity Photo
▶︎Adobe InDesign→Affinity Publisher
グラフィカルな要素は手間やコストをかければ移行可能な部分もありますが、Affinityの難点は、後述する縦書き非対応を含むテキストデータの互換性にあります。書籍の重版時などにおける、わずかなテキスト修正でも全体のレイアウトに影響を及ぼすため、印刷・出版業界はリスクを避けソフトウェア移行に極めて慎重です。かつてQuarkXPressからInDesignへの移行はありましたが、InDesignがデファクトスタンダードとして定着した期間は格段に長く、データ資産も膨大で、QuarkXPressとInDesign間の高い互換性もAffinityへの移行とは大きく異なります。
また、ネット上で見られる意見は主にデザイナー視点であることも意識しておくべきポイントです。例えば、デザイナーがテキストを扱う場合、コピー&ペーストで流し込み微調整する役割が中心となることが多いですが、特に締め切りがタイトな定期刊行物の編集デザイン現場では、テキスト編集や入稿作業などの最終工程を編集者が担当するケースもあります。こうした出版業界で社員として働く編集者の見解は表に出にくい傾向があるため、SNSなどで見られるデザイナーの意見が、必ずしもDTPにおけるテキスト編集の全体像を網羅しているわけではないことを念頭に置くべきでしょう。
これらの観点から、大企業や出版社・印刷関連企業などを中心に、データ資産活用の面でAdobeの優位性を崩すのは極めて難しいと考えるのが妥当でしょう。
3.ローカライズ
▶︎縦書き
ここでも前回の記事の課題として挙げたように、Affinityは縦書きに対応していません。縦書き対応については、以前から強い要望があるものの今回のリニューアルに際しても実現に至っておらず、日本国内ではAdobeからの乗り換えで最大の障壁になっています。
今回のリニューアルは、ローカライズ対応についても強化していく絶好のタイミングでしたが、後回しにしているといった印象を拭えず、大きな懸念点として依然として残っています。
▶︎正規表現
正規表現については、「編集」>「検索」のモーダルウィンドウを開き、欄の右上に表示される歯車のアイコンをクリックすると表示されるメニュー項目の中から「正規表現」を選択すると機能を利用できます。
加えて、Affinity Publisherは現在スクリプト機能をほとんど持っていないため、正規表現を使った高度な自動処理は、「検索と置換」パネルの範囲内に限定されます。
▶︎ルビや約物
Affinityが縦書きに非対応ということは、縦書き中の欧文表記などで用いられる縦中横(縦書き中の欧文などを一部回転させることで、読みやすく編集する機能)やふりがな(ルビ)・強調マークに関しても非対応になります。
これらローカライズの問題は、今後Canvaが日本市場の特殊性と規模をどれだけ重視し、リソースを割くかにかかっています。これは、日本におけるAffinityの普及率が強く影響してくるでしょう。
4.フォント
Adobe Creative CloudとAffinity by Canvaを比較する上で重要なポイントのひとつに、フォントに関連する機能・サービスが挙げられます。
また、縦書き非対応については、Affinity用に用意された縦書き専用フォント(「えのころ角ゴシック vert」と「えのころ明朝 vert」など)を使うことで、日本語の縦書きレイアウトを擬似的に再現するといった対策もあります。しかし、これらのフォントはソフト側の縦書き用組版ルール(行の送り方向、約物処理、禁則処理など)をサポートするものではありません。そのため、エディトリアルデザインなどの高度な日本語組版が必要な場面では深刻な課題が残っている状態で、Affinityが今後本格的に縦書きに対応していくことが期待されています。
まとめ:Affinityがクリエイティブ業界にもたらすインパクト
私が実際にツールを触った感想として、UI/UXが一新され、Canvaライクなシンプル操作とAffinityの高機能を両立している点に魅力を感じました。また、比較的古い端末を使っている場合であっても、StudioLinkによるシームレスな連携が強化されたことで、各アプリを個別に開閉する手間が省け、結果的に他のソフトと同時に利用しやすいと感じました。一方で、Canvaアカウントとの連携が必須になったことで、たびたびログイン作業が必要になる可能性もあり、買い切りソフトとして完全にオフラインで使えた以前のバージョンの方が使い勝手が良かったようにも感じます。また、今回も縦書き非対応だった点から、AffinityはあくまでもCanvaに誘導させるための「捨て駒」にされているといった印象も拭えません。
しかし、プロユースのグラフィックツールが無料化され、多くの人がアクセス可能になるということは、ユーザー視点に立った市場競争を再構築していく上で非常に大きなインパクトを持つ出来事です。Figmaの進化と合わせ、Webデザイン分野においてはAdobeからの離脱も不可能でなくなってきました。
個人的な見解ですが、Affinity by CanvaとAdobe Creative Cloudの関係は、Googleのオフィス系ツールとMicrosoft Officeのような関係になっていくと予測しています。安定性や継続性を重視する大企業ではこれからもAdobeを使い続けると思われますが、ベンチャー企業やIT系企業などでは無料で使えるAffinityを積極的に導入し、コスト削減分をAIサービスなどに投資していくのではないでしょうか。
こうした展望を鑑み、今回の無料化を機にAffinity by Canvaを試用することは、クリエイターにとって重要な行動です。











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