◆映画「エディントンへようこそ」
舞台は2020年、コロナ禍によるロックダウンの影響で息苦しい隔離生活を強いられたアメリカ・ニューメキシコ州の小さな町エディントン。見えないウイルスへの恐怖と隔離生活の息苦しさが、住民たちの不満を限界まで膨らませていく。そんな中、IT企業誘致で町を救おうと画策する野心家の市長・テッド(ペドロ・パスカル)と、彼に反発する保安官・ジョー(フェニックス)がマスク着用を巡る些細な口論から激しく衝突。あろうことか、ジョーが突如として市長選への立候補を宣言する事態に発展するのだ。
2人の小競り合いはSNSを通じて瞬く間に町中に広がり、SNSはフェイクニュースと憎悪が飛び交う炎上へと加速していく。さらに、ジョーの妻・ルイーズ(エマ・ストーン)はカルト集団の若き教祖・ヴァーノン(オースティン・バトラー)が発信する扇動動画に心を奪われ、陰謀論にハマっていく。
本作を手掛けたのは「ミッドサマー」「ボーはおそれている」などで知られるアリ・アスター監督。コロナ禍でロックダウンされた小さな町の選挙戦が全米を巻き込む事件へと発展していく、生々しくも破滅的なスリラーへと昇華させている。
◆豪華キャストが魅せる“狂演”とケミストリー
今作の注目ポイントは、アスター作品史上最も豪華なアンサンブルが実現したトップ俳優陣の“狂演”である。「ジョーカー」でアカデミー賞主演男優賞を受賞したフェニックス演じるジョー、話題作への出演が絶えないパスカル演じるテッドが火花を散らす争いは、一瞬たりとも目が離せない凄まじい緊迫感を生んでいる。
暴力、陰謀論、SNSの暴走…現代社会の闇をすべて煮詰めたような先読み不可能な脚本が、実力派俳優たちのケミストリーによって、リアリティを持って描き出されている。
疑心暗鬼と論争が渦巻き、当たり前だった日常があっという間に崩壊していく様は、決してスクリーンの中だけのフィクションとは思えないリアルな恐怖を突きつけてくる。
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