◆粘り続けた10年の執念
「2025年は、僕の芸能生活の中で大きな変革になった年。俳優としては民放キー局GP帯の主演に選んでいただいて、M!LKとしては『紅白』や『レコ大』が決まり、ようやくスタートラインに立てた。今までやってきたことが少しずつ花咲いた年です。たぶん人生の終わりにもこの年のことは思い出すんじゃないかな」。
穏やかながらも、確かな熱を帯びた声で佐野は切り出した。朝ドラから主演ドラマまで駆け抜けた俳優業、そしてアーティストとしても長年の想いが実を結んだ、大きな飛躍。「すごく長かった。ここまで続けてきて、粘ってよかったなって思います」と彼は10年という月日の重みを噛みしめる。
その躍進の起点となったのが、3月にリリースした楽曲「イイじゃん」の社会現象的なヒットだ。SNSを中心に凄まじいバズを生み出し、幅広い層へM!LKの名を轟かせた。かつては“佐野勇斗”と個人名で呼ばれることが多かったが、最近では「M!LKの佐野くんですよね?」「『イイじゃん』の人だ」と、グループや楽曲をきっかけに声をかけられることが増え、「それがすごく嬉しい」と語る。
◆佐野勇斗を支える存在
飛躍を支えたのは、切磋琢磨し合える周囲の存在だ。「トリリオンゲーム」で共演した目黒蓮(Snow Man)とは、今も変わらず連絡を取り合う。「目黒くんとはバラエティとか歌番組とか、ドラマ以外で共演できる機会がすごく増えて。ドラマで共演したときも『お互いにグループを引っ張っていこう。頑張っていこうな』という話もしてくれるので、この状況がすごく嬉しいし、心の支えになっています。目黒くんも頑張ってるから、自分も頑張ろうと思えます」。
この1年、彼らはあらゆるメディアで「目標は紅白出場」と臆することなく公言し続けてきた。佐野個人としては、紅白には2024年に連続テレビ小説「おむすび」の出演者とともにサプライズゲストとして出演した経験がある。しかし、その華やかな舞台を経験したからこそ、胸に刻んだ想いがあった。「来年はM!LKで出たい」。
そんな「第76回NHK紅白歌合戦」の舞台では、NHK土曜ドラマ「ひとりでしにたい」で共演した綾瀬はるかとも再会を果たす。「綾瀬さんとドラマの現場で『紅白に出られたらいいね』って話をしていたんです。そしたらまさかの、綾瀬さんが司会で!再会を果たせるのが、本当に嬉しいです」。
また、「おむすび」で共演し、2024年の司会を務めた橋本環奈からも「去年からM!LKで出たいって言ってたよね。一緒に出たかった!」と祝福を受けたという。自分のことのように喜んでくれる周囲の存在が、佐野の心を温かく包み込んだようだ。
◆負の感情は“ガソリン”に
しかし、その道のりは決して順風満帆ではなかった。「20代前半はしんどかった」と振り返る。「『ドラゴン桜』とかが決まる前までは、何をやってもなかなか結果が出ない。主演をやらせてもらっても数字の結果が出ないし、『これはやばいな』と思っていました。僕の中では25歳ぐらいまでにはドームでライブができてると思ってたので、この時期は“第1暗黒期”でした」。
さらに、最も多忙を極める中で訪れた2024年の“第2暗黒期”。あまりの忙しさにメンタルが追いつかず、自身の態度に猛省する日々。「毎日日記に『今日も俺は眠たそうにしてしまった』『こんなんではドームツアーはできない』。って反省を書いていました。毎日自分と戦っていました」。
そんな極限状態でも、彼は己を客観視することを止めない。悲しい時、怒りが湧いた時、悔しい時、あえて自分にカメラを向け、動画を回すのだという。「そういうのも全部1個の“ガソリン”にしています。きつい時に自分にカメラを向けて、自分の表情や呼吸を撮るんです。それをたまに見返して芝居に生かしています」。
◆5人で描き出すドームへの道
なぜ、そこまでストイックになれるのか。その問いに対し、佐野は「ドームツアーがしたいから」と即答した。
さらに、彼を突き動かす理由はそれだけではない。「何よりM!LKには感謝しているんです。M!LKという存在がなかったら、たぶんお芝居もこんなに頑張ろうと思えていなかった。無名の頃から応援してくれているファンの皆さんにも、本当に感謝しかありません」。
これまでは、自らが先頭に立ってトゲトゲの道をなぎ倒し、整地することこそが自分の役割だと思ってきた。しかし今、グループは新たなフェーズに入ったと感じている。「第1段階の整地は終わりました。ここからの整地は5人ですればいい。今の僕の役割は、メンバーと仲良くすることかな(笑)。
◆佐野勇斗の夢を叶える秘訣
インタビューの最後、“夢を叶える秘訣”を問うと、彼は一点を見つめて答えた。「どれだけ深く“夢を叶えるぞ!”という気持ちを刻めるか。『夢はドームツアー』と言うのはすごく簡単ですけど、僕は“死んでもやるぞ!”というくらいの強い気持ちを持っています。人間はその時の決心を忘れてしまいがちなので、毎日唱えて、書いて、宣言して、自分を追い詰める環境を作る。そういうことをしていると、自然と夢を叶えるために必要な情報が入ってくる。毎日の意識が、運と引き寄せる力に繋がってくると思うんです」。
「粘ってよかった」――10年という歳月をかけて証明した、夢を信じる力。ようやく辿り着いたスタートラインの先で、佐野は今日もまた、ドームの光景を心に刻みながら力強く歩みを進めていく。(modelpress編集部)
◆佐野勇斗(さの・はやと)プロフィール
1998年3月23日生まれ。愛知県・岡崎市出身。
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