◆Netflixシリーズ「九条の大罪」
国民的ダークヒーロー漫画「闇金ウシジマくん」作者・真鍋昌平氏による同名コミックを実写シリーズ化した本作。法とモラルの境界線を極限まで問い、これまでタブー視されてきた日常に潜む闇に切り込むことで現代社会の真実の物差しを揺さぶる作品となっている。
「依頼人を守るのが弁護士の使命」という信念を貫き、半グレやヤクザなど、厄介な依頼人の案件ばかりを引き受け、世間から“悪徳弁護士”と呼ばれる主人公・九条間人を柳楽が演じる。そして、彼とともに働くことになる東大卒のエリート弁護士・烏丸真司役を松村が務める。
◆柳楽優弥&松村北斗、6ヶ月の撮影で深まったバディの絆
― 回を追うごとに、言葉を交わさずとも通じ合うような九条と烏丸のバディ感が増していました。撮影を通して、お互いの印象に変化はありましたか?
松村:柳楽さんは初対面の時から、本当に優しく温かく接してくださいました。最初は「初めだからこその空気感かな?」と思っていたのですが、最後まで一貫して変わらず、その温かさで現場を包み込んでくださったことがすごく印象に残っています。撮影が続いて疲れが出てきたり、現場に慣れてきたりすると、良い意味で遠慮がなくなって雑味のようなものが出てくることもあると思うのですが、柳楽さんはずっと変わらなくて。変化という意味では、柳楽さんご本人というより、演じられている九条としての姿に強く感じました。物語とともに、僕たちの会話も自然と増えていった過程が心に残っています。
柳楽:僕は北斗くんに対しての印象は全く変わらず、最初から良いイメージでした。自然体で現場にいらっしゃるので、一緒にいて不思議と安心感があります。
― 撮影で印象に残っているエピソードを教えてください。
松村:朝、ワンシーン目を撮る前に、1分ほどみんなで四股を踏む時間があったんです。そこでより一層バディ感が深まった気がします。
柳楽:そうそう、そこにスタッフさんも加わってね(笑)。
松村:みんなで裏ももなどの筋肉を刺激してから、現場に入るんです。そうやって代謝を上げて、脳をしっかり動かしてから撮影に挑んでいました。
― 四股はどなたが発案されたのですか?
柳楽:北斗くんがずっと武道をやられていて、僕も習っていて。
松村:僕は空手をやっていました。
柳楽:それで「四股っていいんじゃない?」と思って踏み始めたら、北斗くんが一番上手くて(笑)。「いや、こうですよ」と、お手本のような綺麗な四股を見せてくれたところから、みんなで一緒にやる習慣が始まりました。
◆松村北斗、柳楽優弥から受けた刺激「次元が違う」「強烈な教材」
― お芝居の面で、お互いの演技に助けられたことや、“すごい”と感じた部分はありますか?
松村:僕は、ずっと思っていました。真似をすると言うと少し語弊があるかもしれませんが、それくらいの気持ちで、強烈な教材を見つめるようにずっと拝見していました。特に、この作品の中で初めて九条というキャラクターが生まれる瞬間のチューニング作業は今でも忘れられません。柳楽さんがご自身の感覚で、九条というキャラクターのピントを少しずつずらして調整していく中で、土井(裕泰)監督が「今のが九条です」とピタリと当てはめる。そのキャラクターの置き所の柔軟さと、一度決まったら完全に九条として存在し続ける姿が本当にすごくて…。もちろん、俳優のみなさんはそれぞれそういった作業をされているでしょうし、僕自身も考えますが、柳楽さんは次元が違うというか。ごめんなさい、まだ完全には言語化しきれないのですが、「あれを自分もできるようになれたら」と思わずにはいられませんでした。ずらし方がとにかく凄まじいです。
柳楽:嬉しい。でも、北斗くんも自然とそういうことをやっているんじゃない?
松村:もちろん、演出に対して一生懸命応えようとはしますが、柳楽さんは本当にすごかったです!
― 柳楽さんはいかがですか?
柳楽:まず、純粋に嬉しかったです。北斗くんは話題作に数多く出演されていますし、ちょうど日本アカデミー賞もね(※)。おめでとうございます。
松村:ありがとうございます(照れ笑い)。
柳楽:そういうタイミングで、加えてバディという深い関係性でご一緒できたことは、僕にとってとても幸せなことでした。この6ヶ月間を最高の空気感で乗り越えられたバディだと感じています。撮影期間の6ヶ月というのは、役者としてはもちろん、僕自身の人生の大切な時間でもあります。その時間を、北斗くんと共有できたというのは、本当に幸せなことだと思います。俳優としても尊敬できる部分がたくさんありますし、北斗くんと一緒にこの作品を作ることができて本当に良かったです。
※取材当時、松村の「第49回日本アカデミー賞」優秀主演男優賞、優秀助演男優賞のW受賞が発表されていた。
◆柳楽優弥&松村北斗の信念――自分を見失わず進むためには
― 現代は他人の評価や世間の空気に自身が引っ張られてしまいそうになる瞬間も多いかと思います。お二人は、そうした状況に陥った時、どのように自分を立て直していますか?
松村:僕は一度引っ張られてしまうと元に戻すのはかなり大変なので、最初から引っ張られないための努力といいますか、引っ張られない方法を取っています。
柳楽:僕は普通に引っ張られますね(笑)。でも、逆に「今の自分に何ができるか」を改めて考えるようにしています。自分は引っ張られやすいと自覚しているからこそ、人に対して、より細やかな配慮ができるようになりたいと思っています。
― 九条が「依頼人の利益を守ること」を信念としているように、お二人が仕事をする上で大切にしていることを教えてください。
松村:僕は、“とりあえず辞めない”というところまで自分へのハードルを下げています。
柳楽:それすごく賢いやり方ですよね。辛い時でも、とりあえず現場まで行けば、もうそれだけで100点みたいな。
松村:そうなんです。たとえ「今日はサボりたいな」「少し手を抜いちゃうかも」という気持ちがよぎったとしても「まあいいか、辞めないだけ」とハードルを低く設定しておくと、意外とサボらないんですよね。
柳楽:たしかに。僕も…辞めないことかな(笑)。でも本当に大事なことだよね。
― 素敵なお話をありがとうございました。
◆「九条の大罪」舞台裏Q&A
Q1.役を演じるにあたり、美容面やビジュアル面で意識したことは?
松村:体つきががっしりしすぎないように、シャープなイメージを意識しました。
柳楽:僕は、これ(鼻に貼っているテープ)を絶対に忘れないように気をつけていました。
松村:え、ありましたっけ?
柳楽:ワンシーンだけね(笑)。それからは、メイクさんとも「これだけは何があっても死守しよう」と決めて現場に臨んでいました。
Q2.劇中では食事シーンも印象的ですが、特に記憶に残っているものは?
柳楽:カップラーメンを食べているシーンが多かったですね。
松村:柳楽さんはハンバーグも食べられていましたよね。隣で見ていて、すごく美味しそうだなと思っていました。
柳楽:いろいろなものを食べたよね。鰻を食べたこともあったし。お陰で、食べながら演技をすることが上手くなった気がします(笑)。
松村:僕は薬師前さん(池田エライザ)と中華料理店に行くシーンがあったのですが、薬師前がよく食べるキャラクターなので大変そうでした。よく食べるしよく喋るから(笑)。
柳楽:難しいよね。
松村:普通、よく喋る人って食べる手は止まっているものじゃないですか。それを、わっと食べてすぐに「でさー」と話し始めるので「いや、そんなの無理でしょ!」って(笑)。最初はスムーズでも、途中で息継ぎをした瞬間に、お米がスンッと喉に入っちゃって、池田さんが「あ、ごめんなさい!」となることもありました。
Q3.カップラーメンはいかがでしたか?
柳楽:美味しかったです。
松村:セリフを言いながらフーフーされていましたよね。
柳楽:ちょっと熱くて(笑)。そこもぜひ、注目してください!
◆取材こぼれ話
スチール撮影のセッティング中、柳楽が「紅白かっこよかったね」と、昨年末の「第76回NHK紅白歌合戦」に出演したSixTONESのパフォーマンスを絶賛。思わぬ言葉に松村も「え、観てくださったんですか!?」と驚きつつ、嬉しそうに笑い合うなど、互いのリスペクトが溢れる和やかなやり取りが垣間見えた。(modelpress編集部)
◆柳楽優弥(やぎら・ゆうや)プロフィール
1990年3月26日生まれ、東京都出身。2004年、映画『誰も知らない』で、カンヌ国際映画祭・最優秀男優賞を史上最年少14歳で受賞。主な出演作に、Netflix映画『浅草キッド』(21)、ドラマ『ライオンの隠れ家』(24)、Disney+オリジナルドラマ『ガンニバル』(22・25)などがある。また、映画『RYUJI 竜二』の公開(26年10月30日)が控えている。
◆松村北斗(まつむら・ほくと)プロフィール
1995年6月18日生まれ、静岡県出身。2020年にSixTONESとしてCDデビュー。俳優としても高く評価されており、映画『夜明けのすべて』(24)で「第98回キネマ旬報ベスト・テン」主演男優賞を受賞。2026年には「第50回エランドール賞」受賞のほか、「第49回日本アカデミー賞」にて優秀主演男優賞・優秀助演男優賞・話題賞の3冠を達成。近年の主な出演作は、ドラマ『西園寺さんは家事をしない』(24)、『アンサンブル』(25)、映画『ファーストキス 1ST KISS』(25)、『秒速5センチメートル』(25)など。待機作に映画『白鳥とコウモリ』(26年9月4日公開)がある。
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